仙ノ倉山北尾根

2018-03-10

03_積雪期 d_上信越

Date : 2018/03/10-11
Member :まり、みの、ユウ、バード
Timeline :
0605出発→0815山荘→1005小屋場ノ頭→1230テント場(1,530m地点のコル)
0605出発→0803仙ノ倉山ピーク→0945平標山ピーク→1215バス停
Author :バード

頂に入会して、いわゆる一般登山道ではないルートも登るようになった。「どこの山に登ろうか」そんなことを考えたり、調べているうちに「岳人100ルート」なるものを知る。
「岳人100ルート」とは、山岳雑誌『岳人』が現在のモンベル体制ではなく、東京新聞社によって出版されていた頃に発表された100の山岳ルート集だ。

東京新聞社体制は2014年の8月号をもって最後となるのだが、その最後2014年5-8月号にわたり連載されたのが「岳人100ルート」だ。自らを「岳人」と称したような“山バカ”たちである。その最後に自身のこれまでの集大成として「これが僕らが愛した山登りである」と世に残したもの。「頂を目指して、その道は延びている」という一説から始まるこのルートが、一般登山道からハズれだした自分にはどうにも魅力的に映ったのだ。そこにまりさんから、今回の「仙ノ倉山北尾根」の話をもらう。「これは!」と思い乗っかった次第である。

金曜日の夜、早々に職場からのエスケープをかまし新宿駅に集合。一路、土樽駅を目指す。
夜中2-3時頃に到着。しばしの睡眠をとり、土樽駅よりクライムオン。多くの人が入った形跡はないが、我々より先行者がいるのか、新しい踏み跡はある。川沿いを歩いていくと、仙ノ倉山荘あたりで先行者に追いついた。
風はないが少し寒い。しかし眠い。
お話していると途中まで同じルートとのことだったので、群馬からいらした岳人とともにラッセルパーティーを組むことに。仙ノ倉山荘向かいの橋を渡り尾根にとりつく。尾根にとりつくと赤いペンキマークがあった。

そこからいざラッセルである。まずは小屋場ノ頭(1,182m地点)までの標高を稼ぐために交代でラッセルしていく。先行者の踏み跡はない。
新雪のパウダー状の雪に足をとられる。

小屋場ノ頭までくると、そこからは細い稜線上を歩くことになるのだが、新しい踏み固まっていない雪に足元を奪われる。いやらしいリッジ状のルート、視界も悪くなってきた。ズボズボとハマる足に苛立ちを覚えながらも、なかなか距離を稼げない。群馬の岳人は、ワカンラッセルで軽快に進んでいる。(ここはワカンラッセルが正解だった)交代といいつつ、徐々に隊の間隔が開いていき、ほぼリードいただく状態に。。通称”ゴールデンマウンテンルート”に僕らは乗っかり、ホワイトアウト状態になってしまったので、核心部となるだろう2つの雪壁は明日にとっておこうということで、明日の快晴を祈りながら1,530mあたりのコルにテン場を定める。
ホワイトアウトしはじめた
本日のテント場
群馬の岳人とはここでお別れ。今晩は雪洞泊とのこと。雪山が似合う、とてもさわやかな人だった。(この場を借りてありがとうございました!)
早々にテントにて籠城となりましたので、さっそくユウさんが酒瓶を手に取る。睡眠不足も手伝って、早々に第一ラウンド終了。しばし昼寝。その後、もぞもぞとみな起き上がり食事の準備をはじめる。本日は、ニラ豚鍋。なにを思ったか、みのさんが「チンジャオロースが食べたい」と言い放ったので、ユウさんは豆鉄砲でも食らった鳩のように呆然。自然と酒瓶に手が伸びる。
どうやら、このニラ鍋。ユウさんには思い出深い献立だったようで「学生時代は、よくニラだけで鍋してたもんですよ」とのこと。そのときの周りのリアクションは、さぞオドオドしたものだっただろう。
夕食の写真を撮り忘れてしまった、、
 一息ついて、テントの外を見ると満点の星空と、仙ノ倉山の頂が見えていた。ああ、ここまで来てよかったと心から思った。
言葉にならない夜景

翌朝、テントを畳み6時には日の出とともに出発。まさに"The Day"である。昨晩はホワイトアウトで見えなかったが、目の前には1つ目の雪壁がそりたっている。どうやら、ここが核心部だ。我々が通過した際には、南側に大きな雪庇が出ていた。


後日、群馬の岳人の記録によれば、昨日のホワイトアウト状態のなか、この雪壁にとりつき、空と雪庇との境界がわからず、危うく雪庇を踏み抜きかけたとのことだった。(ストックをついた先が雪庇で、ストックは落下、危機一髪だったとのこと。ご無事でなにより)

気温と気候によって、難易度が著しく変化するルートだろう。我々の際は、雪もしっかりとしまっており、アイゼンもよく効いた。が、これで雪質がもろく、足場がままならない状態で且つ、クライムダウンするような状況だったならば、相当に心細い。ロープをもっていくか否か。この山行前に話し合ったが、持っていっていてよかった。

さて、この雪壁を楽しみにしていたまりさん。皆で隊の順番を話し始めたときにはもうリードして取り付いていた。あっぱれ。ピッケルとアイゼンとを突き刺していく。高度感もあり、テンションも上がってきた。
知らぬ間に攻めるまりさん

岳人的なショット

1つ目の雪壁。傾斜がでてきた

NHKスペシャル的なショット@雪壁二つ目

1つ目の雪壁を登りきった後、昨日の岳友の雪洞を発見。見事なものである。
2つ目の雪壁を超えると、目の前には大きな雪原が広がっていた。ただ圧倒的だ。吹き上がる爆風が、雪面を削る。どこか地球離れしたような景色に一同「アルマゲドン」とつぶやいた。
Miss A Thing


徐々に気温もあがり、雲が湧いてきた。ピークはもうすぐそこだ。しかし、雲がかかって視界が悪い。雲が抜けるつかの間、ピークが見えた。ゴールだ。
I could stay awake

just to hear you breathing

仙ノ倉山ピーク!

素晴らしいルートだ、いい山登りだった。そんな感傷に浸りたい気持ちもありつつ、あまりの強風に先を急ぐこと。そこから先の平標山まで終始無言。それくらいの爆風だったし、平標山につく頃には、みなのウェアもザックもバキバキに凍りついていた。

バキバキに凍っている

吹き飛ばされそうなほどの爆風

ヤカイ沢に下りる頃には風も止み、ポカポカとした日差しに迎えられた。いかにも雪崩れそうな沢上にスキーヤーが陣取っている。「スキーが滑れたらな」そんなことを思いながら、林道の帰路についた。

「仙ノ倉山北尾根」とても素晴らしいルートだった。「うまくできている」というと、だれ目線だという話だが、いい映画作品でも見ているかのように、美しいシーンが要所に現れる。

「もう一つ山を好きになったな」そんな山行だった。

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