小同心クラック

2010-02-21

03_積雪期 i_八ヶ岳

Date : 2010/02/21-2010/02/22
Member :かずさん(SL)、もときさん、さちさん、たなか(CL、記録)
Timeline :
1日目 02/21 美濃戸口~赤岳鉱泉~ジョウゴ沢F1~赤岳鉱泉
2日目 02/22 赤岳鉱泉(5:50)~大同心基部(8:00頃)~小同心クラック(8:20頃)~横岳(13:10頃)~硫黄岳~赤岳鉱泉~美濃戸口(18:15)

昨年10月に下見を行った小同心クラックに行ってきました。
10月に行った際には、快適なクライミングを堪能できました。今回も、天気予報は快晴、気持ち良くクライミングを楽しもうと出かけました。

1日目:
美濃戸口を10時前に出発、3時間ほどで赤岳鉱泉に着きます。
まず、大同心稜にトレースが付いているか確認に行きました。大同心沢左岸から、完璧なトレースがあり、安心しました。

時間に余裕があり、かずさん、もときさんが行ったことがなかったため、ジョウゴ沢F1にトレーニングに行きました。
ジョウゴ沢F1は大混雑でした。香港のクライマーが10名ほど練習していました。彼らはロープを折り返して二重にして、トップロープにしています。ビレイ器はエイトカンとルベルソを使用していました。
私達は滝の右側をアイゼンで登下降、中央、左側をバイルを用い登下降する練習を行いました。

<ジョウゴ沢F1>
赤岳鉱泉に戻ってからは、ビーコントレーニングを行いました。
ピープスのシングル、トリプル、アナログのトラッカー(かな?)とそれぞれ持っているビーコンが違います。発信ビーコンに向かって最も早く到達できるのはトリプルアンテナ、近距離にいってからの十字法についてはアナログビーコンが優れているように感じました。


<ビーコントレ>

赤岳鉱泉には親しくさせて頂いている世田谷山友会の方もいらしていました。美味しいお酒をいただき、ありがとうございました。

2日目:
5時50分、まだ暗いうちに出発します。大同心基部までは完璧なトレースがありましたが、基部から小同心へのトラバースにはトレースはありません。トラバース箇所は大同心ルンゼを横切ります。大同心ルンゼは雪崩が頻発しているそうですが、それほど、危険に感じませんでした。出発から2時間30分ほどで、小同心クラック取り付きに着きます。私ともときさん、かずさんとさちさんがペアを組み登ります。


<大同心基部へ>

<基部から小同心へのトラバース>

1ピッチ目は取り付きから左上し、15mほど登ったところから、チムニーに入ります。
チムニーの中は、ドアノブ型の掴み易いガバホールドばかりで、手袋を着けて登攀しても、ホールドは豊富で快適と想定していました。

チムニーに着き、登り始めて、びっくり。掴み易いと想像していたホールドには、氷が付いており、フリクションの効きずらいホールドばかりです。ホールドを掴むことができないため、手足をつっぱり、少しずつ足を上げます。クライミングシューズで登るのと違い、傾斜をうまく殺すことができず、難しく感じます。2回毛糸の手袋を外し、インナーで強引に登りました。

2ピッチ目から先は、慎重にインナー手袋のみで登りました。1ピッチ目のビレイ点であるテラスから右に移動し、再びチムニーに入ります。岩に付いている雪を振り払い、凍っていない、フリクションの効くホールドを探し、ホールドがない箇所は、バイルが効く箇所を探しながら慎重に登ります。支点が少ないため、岩角でランニングを取りますが、信用できません。2ピッチ目は前回と同様、小同心の肩の10mほど下で切りました。

途中、大同心南稜ルートに取り付いているパーティーが見えます。4人パーティ-、2人パーティー、それと、なんとフリーソロの人が見えます。難しいようで、4人パーティーのリードしている方が何箇所もハーケンを打っていました。大同心南稜&雲稜は登ってみたいルートですが、遠くから登っているのを見る限り、南稜でも積雪期は、手ごわそうです。

<大同心南稜ルート>

3ピッチ目は最初が核心でした。狭い箇所を越えますが、体の向きが悪くなり、傾斜が付いてしまいます。ムーブを探りますが、なかなか見つからず、5-6回登ってはクライミングダウンを繰り返しました。ようやくムーブが決まり、思い切って攻めます。左足を大きく振って回し、アイゼンで立とうとしますが、足が上がらず、腿を岩に乗せ、馬乗り状態になります。格好悪い体勢になりながらも、なんとか、核心をクリア。小同心の肩を過ぎ、終了点の小同心の頭まで登ります。小同心の頭は支点が雪で埋まっていて、かつ、雪が浅く、バイルで支点を作れなかったため、支点なしで、座って腰がらみでビレーしました。もときさんは、核心もすんなり越えられたようでした。小同心の頭でさちさんとかずさんが登ってくるのを待ちました。かずさんは3ピッチ目の出だしに苦労して、後続パーティにサポートしてもらったようです。もときさんは3ピッチとも毛糸の手袋で、さちさんは、私と同様、インナーで登っていたようです。

小同心の頭から先はコンテで進み、横岳直下のみ、スタッカットで登ります。10月に来た際は、ここは、ロープをフィックスして、プルージックで登りました。今回も同様にしようと考えていました。岩は薄い雪と氷に埋まっていました。今回は私は縦走用のピッケルを持ってきておらず、アイスバイル1本を持参していました。シングルアックスで登りますが、5mも登らない所で行き詰まります。ダブルアックスでないと厳しそうなので、さちさんの補助バイルをお借りすることにしました。アイスバイルを雪に打ち込み、効いていると信じて、アイスバイルと自分を連結しセルフをセットしてから、さちさんの補助バイルを上げます。ダブルアックスですとそれほど難しくはありませんが、途中、ランニングを一箇所もセットできないため、緊張が続きます。横岳山頂に無事、到着しました。プルージックでは厳しそうなので、ビレーしました。3人とも縦走用ピッケル1本で登ったため、厳しかったようです。さちさんはここが核心と言っていました。

横岳からは硫黄岳を経由して下山しました。
もときさん、かずさん、さちさん、お疲れ様でした。


<横岳から赤岳>

【さちさん 感想】
小同心クラックはチムニーという自然の地形を利用して、ダイレクトに横岳の山頂に出る素晴らしいルートだった。今回は気温も-10℃以上で無風快晴であり、気象条件には恵まれた。しかし壁のコンディションは雪と氷がびっしり着いていて、厳冬期特有の難しさがあった。厳しい時期に登れて、充実した。アックスで登る場合も多く、アイスクライミングをやってきてよかったと感じる。クラックが太くてジャミングが1手だけだったが、チムニー登りなど、クラックもやっていてよかった。同時にホールドの凍ってない所を効かせるために身体を振るなど、フリークライミングをやっていてよかった。このルートは初見だが、仲間が10月に偵察してくれていて、安心して取り付けた。チームワークも良く、いろいろ助けていただけて感謝だった。

【たなか 感想】
本山行は、当会における初めての雪山アルパインの山行です。簡単ですが、今後のために、課題を中心に考えていることを書きます。

今回の山行は、下見をする等、十分に準備して臨んだつもりでしたが、ホールドが凍っており、想定より難しく、緊張の連続でした。
まず、ホールドが凍っていることは、厳冬期ですから、想定しておくべきだったと思います。
凍っているホールドの登り方ですが、今回は、対応方法を思いつかず、慎重に登ることしかできませんでした。ブレードで氷を割って、ホールドを作りながら進む方法等、工夫する余地はあったと思います。この当たりは、勉強不足だと思います。

装備については、バイルを2本持って行くべきでした。
スノーバー、アイススクリューは1本くらいは慎重に持って行った方が良かったかもしれません。
軽量化することも重要ですので、持っていった方がいいと結論ずけるのは難しいですが、持っていれば、横岳下のフリー・ソロは回避できました。

事前の練習については、クライミングの実力がもう少しあれば、快適にクライミングができたと思います。「危機管理能力の高い人はクライミングの能力も高い」という言葉がありますが、その通りだと思います。クライミングの練習が怠りがちなのは反省です。

良かった点は、想定したルートを登り、山頂に立てたことです。下見を行っていなかったら、先が不安で、撤退していたと思いますので、下見は重要でした。今シーズンから開始したアイスクライミングの技術が役に立ったのは想定外でした。本当にメンバーに助けられた山行でした。

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