Member : フジ、組長
Timeline :天女山入口P0625~0854前三ッ頭~0948三ッ頭~1048権現頂上1120~1230ツルネ~1415天狗尾根合流点~1520赤岳頂上1540~1624行者小屋
2回も中止になったこの企画。ちょうど先週もつぶれたばかりのこの企画。3回目の正直でようやくトレースすることができました。これで八ヶ岳の主脈縦走路、無雪期と積雪期合わせて全てトレースすることができました。
実は今回のルートは、2人では行きたくないルートでした。なぜなら、車で行った場合、入山口と下山口が異なるため、下山口の美濃戸口から入山口の天女山までタクシーでも使って戻らなければなりません。バス&電車&歩きでも戻れますが、結構、面倒くさいです。毎度お馴染み貧乏人の僕は今回の企画のそこだけがネックでしたが、なんと前日の日曜日に蓼科山に行くakkoさんたちが下山後、もみの湯で拾って天女山まで送ってくれる、というありがたいお言葉。akkoさんが女神様に見えました。
ということで、なんの心配もなく一路天女山へ。前泊はいつも通り道の駅小淵沢です。相変わらずこの日も山ヤのみなさんがテント張って前泊してました。ちょこっと寝て、鹿さん轢きそうになりながら天女山登山口に到着です。すでに車が3台停まっていました。トレースがありそうだということに対して、ちょっと嬉しい気持ちとちょっと残念な気持ち。
さてさて出発です。
ヘッデンをつけてよく踏まれたトレイルを歩き出します。天の河原の展望ポイントからは南アルプスの山々が一望できます。日の出を待つカメラマンが二人、寒さに震えながらバズーカみたいなカメラを山に向けていました。
朝日を背に人生を語るフジさん |
今日のパートナーなアスリートなフジさんなんで、こちらも久しぶりに自分のペースで気持ちよく歩かせていただきます。長く緩やかな尾根筋を歩き、前三ッ頭の手前あたりから急登の連続になります。足変わらずよく踏まれていてとても歩きやすい。途中でアイゼンをつけ、スタコラと高度を上げていきます。後ろを振り返れば、フジさんの快調な歩き・・・って、あれいない。ちょっと待ってると、「やっぱついてけない・・・」と。まあそんなことはお構いなしに相変わらず自分のペースで歩かせてもらいます笑。ドカーンと開けた空間の先に、延々と連なる南アルプスが、まるでこの世界の中心のように堂々と聳立しています。思わず、その広大な空間に飛び出したくなります。羽があればなあ。
三ッ頭からは南八の三役がワシが一番や!!とばかりに、その美しい姿態を競いあっていました。
空青く、天高く、風弱く。山はいいなぁと心から思える瞬間です。
八つの三役、揃い踏み |
つーくさん、そんな所で何してるんスか?! |
たどって来た尾根 |
景色、隠れとるがな・・・ |
そそる~ |
権現からの下りには長いハシゴがあります。まだハシゴはバッチリでています。これが雪で埋まると結構悪いらしいですが、ハシゴ脇の斜面は危険を感じるほどの傾斜ではなく、雪山慣れしていれば十分クライムダウンできる程度です。
権現からの下りの長いハシゴ |
旭岳までの細いリッジを気持ちよく歩き、旭岳の頂上へ。
今回の計画の一つの目的、いや個人的には最大の目的は、八ヶ岳東面の魅力的なバリエーションルートの偵察にありました。そして、今一番狙っているのが旭岳東稜です。頂上から見下ろして、目の前の本当にデリケートな雪稜がまさにそれでした。細い岩稜の上を吹けば飛びそうなほどデリケートなソフトクリームがモコモコとのっかってます。こんなところ、自分が登れるんでしょうか??怖い。怖すぎる。行きたくない。でも行きたい。その急峻な岩場と美しい雪稜を眺めていると、やっぱり行かずにはいられません。それはもう性欲に近い衝動です。
旭岳への登り |
旭東稜。トレースがありました。 |
相変わらずトレースは続いています。権現までよりは踏み固められてはいないものの、ラッセルはありません。気温は体感で-15℃~-20℃。風もあまりないのでインナーと薄手フリース一枚で十分です(※個人差あります笑。フジさんは冬山フル武装でした)。
目の前に続くはツルネ、そして主峰赤岳。こちら側から見る赤岳は、偉大でとても美しい。右側には2年前に登った天狗尾根の鋭い岩峰が威圧的に聳立しています。そういえば、今は亡き(笑)モトキ先生の大天狗直登リードは見事でした。
ツルネから赤岳。右側の岩岩が天狗尾根。 |
背中で語るフジ兄貴 |
疲れがでて、少し頭がおかしくなってきたフジさんをからかいながら、どんどん赤岳に迫ります。ここら辺は冬季は風の強い稜線です。爆風で吹き飛ばされたのか、雪は非常に少なく、脆いガレ場を不愉快にアイゼンを軋ませながら登ります。夏道用のペンキマークはまだほとんど出ていて、道が明瞭過ぎて、なんだか残念??な感じです。
キレット小屋 |
キレットから赤岳への登り返し |
憂鬱なガレ場。雪のたっぷりあった4月は、ここは雪壁になっていました。 |
天狗尾根合流点手前のトラバース。雪がもっと付いていれば、もっと楽しい。怖い?? |
2800mを越えたら会話は全て英語で、とかいうフジさんのつまらない遊びを、これまたテキトーに流し、やはり次に狙っている赤岳東稜をジロジロと偵察します。稜自体は短いですが、こちらもまた魅惑的なスノーリッジでした。雪のたっぷり着いた時期に是非チャレンジしたいです。
そして、5度目の積雪期赤岳登頂。人もいないし風もないので快適ですが、さすがに5回目ともなると登頂の感動はあまりありません笑。でも眺める景色は何度見ても美しい。何度登ろうが、この感動が湧いてこないつまらない人間にはなりたくないものです。赤岳主稜には登攀を終えたクライマーがロープをたたんでいます。今日は本当に快適なクライミングだったことでしょう。
文三郎の下山中に、南峰リッジルートをしっかり偵察し、さらにフジさんに狙って頂きたい赤岳主稜・阿弥陀北稜のルート全体を見渡しながら、細かにルートの話をさせていただきました。是非、チャレンジしてみてください。
行者につくと、小屋には灯りがともっています。今冬は週末土曜日、行者小屋は素泊まりのみの営業をしているそうです。ビールやつまみも買えるし、カレーだけですが食事も頂けるそうです。なんだかんだで、やっぱり小屋があって、暖かいストーブがあると癒されます。
今日の行者 |
狭い二人用テント内でフジ兄貴といろいろ語りました。テトラ兄さんの時とは違って、基本下ネタです。そして、ちょうどいい感じに酔っ払ってくると、今度はケータイがつながることをいいことに(行者はauつながります。そしてなんとSoftbankもつながります!!)、今頃街で仕事をしているだろうまり姉さんにLINEでからみ始めます。飲み会で、自分たちとテンションが違うのに、自分たちと同じようなテンションを求めて、そこにいない人に電話とかメールとかで絡む人よくいますよねー。まあそんな感じのめんどくさい我々にまり姉さんは、付き合ってくれました・・・。基本的に、下らない話が多かったけど、時折まじめな話をして、夢とか希望とかなんかそーいうことを学生みたいに語って・・・。
明日は行者から下りて、もみの湯で蓼科組を待つだけだから、いちいち目覚ましなんかかける必要はありません。いくらでも寝られる夜長をいくらでも続く下ネタに盛り上がりましたとさ・・・。
翌朝。
夜の間はずっと雪が降っていました。稜線を見上げると、晴れてはいますが、ものすごい雪煙が上がっており、どうやら爆風のようです。目の前を歩いていく皆さんは、目出帽をかぶってフル装備で気合の入った??いや重い足取りで??赤岳やらに向かっていきます。やはり、昨日のうちに行者まで下りて正解でした。
雪が降って、歩きやすくなった南沢を走るように下り、美濃戸へ。途中、美濃戸の氷瀑の氷結具合をチェック。右の氷瀑、左の氷柱ともによく氷結しており、楽しく登れそうです。
もみの湯までタクシーで向かい、結局、15時過ぎの到着した蓼科組を待って、温泉に入ったり、チマキ食ったり、昼寝したり、スマホいじったり、昼寝したり・・・。村のおじいちゃんおばあちゃんに紛れて、超グータラな時を過ごしました。そして、無事蓼科組と合流し、もう一度サウナに入ってから、天女山まで送って頂きました。本当に助かりました。ありがとうございました。この借りは、たぶんフジ兄貴が男らしく返してくれることでしょう!!!
ということで、ようやく実現した権現~赤縦走。想定していたよりも、技術的にも体力的にもかなり楽チンでした。少し物足りなささえ感じました。一応、ロープやガチャも少しもっていきましたが、全く使うところはありませんでした。より雪山としての魅力を感じたいのであれば、やはり一番雪がたっぷりある時期、2月の終わり頃が最も面白いのかもしれません。鎖やハシゴは絶対に使わないとかの限定をつければ、より楽しめると思います。
今回、ペースよく歩けたのは、トレースがあったからということはもちろん、パートナーのフジさんが歩きが強いということもあるでしょう。休憩や景色を堪能する時間を十分にとっても夏道コースタイムより早い時間でトレースできたのだから、さすがです。赤岳山頂付近では相当へろへろになっていたみたいですが・・・。蓼科組に翌日ピックアップしてもらうのでなければ、日帰りで余裕をもって美濃戸まで行けるでしょう。
また、今回の山行は、これから狙うルートを下見できたということが個人的には最も有意義なことでした。
(組長)