鶏冠谷左俣

2014-10-19

06_沢登り e_奥秩父・奥武蔵

Date : 2014/10/19
Member : フジ、組長
Timeline :鶏冠谷出合0710~0830二俣~1050鶏冠山稜線~1214鶏冠山頂上~1430鶏冠谷出合

沢納めに行ってきました。
鶏冠谷の遡行から鶏冠尾根の岩稜登高。ジャパニーズアルパイン感満載の好ルートでした。



鶏冠谷は何度計画したことか・・・。
それほど焦がれたルート・・・でもないんですが笑。
いつもサブプランに回る不遇のルート・・・。
いつも2番手の沢・・・。

ほこりのかぶった計画書を今回も引っ張り出してきて、沢納という有終の美を飾る舞台についに日の目を見ることになりました笑。

前夜はいつもの道の駅みとみへ。
夜の気温は7度。暖房の効いたトイレに、すでに冬の匂いを感じました。
この日も休日出勤でこき使われ、クタクタなので、のび太くん並みの速さで即就寝。

翌朝。
あたりの木々は紅葉し始めており、優しい朝日を浴びて、気持ちの安らぐ淡い色彩にあふれています。
西沢渓谷駐車場に移動してから出発。釜の沢に向かうのでしょうか。中高年パーティーが楽しそうに歩いてく。
ところで、中高年って何歳から?40歳は中年?
「若者主体の山岳会」イタダキは、だんだん危なくなってきましたね・・・笑。
ま、人のことばかり言ってられないけれども・・・。
いずれジジイになる。体のパフォーマンスは落ちる。そうしたら、自分が思い描くような素晴らしい沢登りやクライミングは難しくなります。
現実的には、年齢的な問題よりも結婚とか出産とか、人生の大イベントのために山から離れる可能性の方が高いでしょう。
僕の目の前にはには、まだ二つの北壁があります。
あります、っておかしいな。あるかもしれません笑。いや、ないかも・・・。
そんなことはどうでもよくて、何が言いたいかって言いますと、山に行きたくて行ける時はもうとにかく必死に行け!山は逃げないというけれど、チャンスは確実に逃げる。意外と時間は少ないのだ。

と、まあ、こんなことばかり考えているから、いつまでたっても社会人として未熟なんだろうな笑。
まり姉さんあたりから馬鹿にされるんだろうな笑。
まあいい、最低限、人の道は外れてません笑。

鶏冠尾根
 吊り橋から鶏冠尾根を見上げます。鶏冠とは、まさに言い得て妙。コケコッコーって、聞こえる気がしました。
鶏冠谷の出合いで準備し、ご入渓。
鬱蒼とした森の中、薄暗い渓相でスタートします。
今回もパートナーはフジ兄。既に三大北壁をすべて制し、一気に懸垂下降して(いや、もはや滑落して)また新たな北壁に挑んでいる尊敬すべき山ヤです・・・笑。
魚止めの滝
 すぐに現れる魚止の滝は、右から巻きます。右壁を登ってもいいですが、まあ、巻きでいいでしょう。幅広の美瀑です。
ペースの合うパートナーとの遡行は実にテンポが良い。仕事の話、おなごの話、結婚の話、山の話、会の話、時々、下ネタ。
街での、何かこう、あまり綺麗でないものをどんどん吐き出します。ブナの深い森と優しいナメが全てを浄化してくれることでしょう、たぶん。我々が遡行したあとに木々が枯れてなければいいですが・・・笑。

 オペラ劇場のような荘厳な雰囲気の逆さくの字滝は、水流の脇を登ってきます。最後は右壁にA0用スリングがいくつもぶら下がっていますが、傾斜も緩くスタンスもあるので使わなくてもトコトコ歩いて登れます。
逆さくの字滝

水流の右側を登る
 天気は非常に良く、日が当たりだすと随分と暖かくなってきます。これで今年の沢は最後にしようと臨んだ今回の遡行でしたが、あれまだ行けるかも、なんて少し思ったり・・・。
 花崗岩のナメの多い鶏冠谷は、基本的にラバーソールが有効ですが、ところによりぬめりがひどいところがあるので、スタンスをよく選ぶ必要があります。
 右俣を分けると、渓はますます明るくなります。
当初は、豆焼沢で苦労したように、倒木が心配されました。しかし、釜の沢もそうでしたが、東沢ではあまり大雪の影響が少ないようです。明るく開放的なナメは健在です。

核心と言われるスライダー状10mナメ滝は、中央のリッジ状を登ります。滑りやすいので要注意。フジ兄は見事にスライダーを決めて、釜にドボン。濡れたくない時期なのに、好きだなぁ・・・フジ兄は。
本には右隅を登れって書いてあります。でもなんか汚い・・・。
 3段15mの大滝は、右から巻きます。左壁のクラックシステムを使って登れそうですが、最後はブッシュに突っ込むか、落ち口付近でキワどいトラバースを強いられるでしょう。
1830の二俣を左に進むと、渓は一気に源頭の雰囲気を漂わせ、一直線に2177峰の南側稜線に抜けます。
最後は少しだれて、会話の品がさらに落ちます笑。
とにかく何かこういろいろあって、それでもこうやって沢に来て・・・。

山の神様は、僕ら汚れた人間をどう思っているのか知りませんが、日差しは暖かで天気はとても良い日でした。

最後は、少しのシャクナゲ漕ぎで稜線へ。鶏冠の上にたちました。鬱蒼と樹木が生い茂っているので高度感はありませんが、とても細い尾根です。
鶏冠尾根
 鶏冠山の山頂までは、割としっかりとした踏み跡があります。わかりづらいところもありますが、少し行けばすぐに明瞭になります。両脇のシャクナゲが鬱陶しく、稜線に上がったら、ひっかりやすいスリング類はザックにしまった方が良いでしょう。
鶏冠山の山頂までは特にイベントもなく、少々だれたところで鶏冠山の山頂に出ます。
山梨百名山の山頂には、意外と多くの人が。
意外とモノ好きも多いもんだと思っていると、実は多くが地元の山岳救助隊の方と消防士の方々でした。下山中に新しいトラロープが設置されていたので、道を整備されていたのでしょう。ご苦労様でございます。
鶏冠尾根は、西上州を彷彿とさせるような樹林に覆われた岩尾根。
難易度の高い登山道、バリエーションルート入門。捉え方としては、こういった感じでしょうか。
意外と鎖はしっかり設置されており、ロープは使いませんでした。
 時折、高度感抜群の岩峰の先っちょに飛び出します。
足元には西沢渓谷や広瀬ダム、周囲には奥秩父の山並みが広がり、遠くに富士山が見えます。とても爽快な気分です。
紅葉はもう1週先くらいが見頃でしょうか。

一番高いところが鶏冠山の山頂

眼下に西沢渓谷

懸垂したほうが楽なところもあります

鶏冠尾根の下降は、テープがいっぱいな上、道が比較的しっかりしているからいいものの、踏み跡・テープなしで地図だけだったら、結構苦戦しそうです。鶏冠谷出合いに伸びる尾根に乗るため、少々複雑なラインを辿ります。

下山後は、笛吹の湯へ。
大変イマイチなお風呂でした。今年は、お風呂選びでもいい勉強をさせていただきました笑。
そして、帰りはアホみたいな渋滞にはまりましたとさ・・・。

今シーズン16本目の沢でした。
よく行ったといえば行ったような気がするし、なんか物足りないといえば、そんな気もします。
沢登りというスタイルが好きでやっていますが、別にいつも楽しくて仕方がないわけじゃありません。正直、今年の沢でも、遡行中になんか飽きてしまったり、はやく帰りたくなったりしたことがありました。しかし、素晴らしい沢と信頼し信頼されている(少なくとも自分はそう思っていますが・・・笑)仲間と行ったいくつかの沢は、本当に心から充実し山行でした。

飯豊や奥利根など、新しいエリアにも足を伸ばすことができました。そして、まだまだ無限の可能性を感じました。
その上でさらに、もう少し上を目指したいと思いました。別に難しいことをすることが偉いわけではありませんし、本当に難しいことをしている人に比べれば、所詮はお遊びみたいなものです。
でももっと力を試したい。この計画が終わったら少しだけでも山を休もう、と思えるような山行ができたら素晴らしいと思います。

より困難で刺激的なルートへ。
自分の本当の力が試されるルートへ。

それは、憧れなのか、夢の実現なのか、自己顕示なのか、負けず嫌いなのか、現実逃避なのか、ストレス解消なのか・・・。

僕はあまり頭が良くないので、よくわかりませんが、もう一歩先へ、壁を突破したいと最近特に強く感じています。

なんてことはどうでもよくて、鶏冠谷の振り返り。
前半は、魚止めの滝や逆さくの字滝など、美しい滝が続き、左俣に入ってからは、明るく開放的なナメがどこまでも続きます。それほど困難な箇所はなく、初級者の目標として良い沢だと思います。ロープは使用しませんでした。
また、鶏冠山の岩稜歩きとセットにすれば、歩きの強さや岩場での安定した動きも問われ、山ヤとしての総合力がつく好ルートだと思います。劔の源次郎尾根や北鎌尾根のいい練習になると思います。
我々は8時間ほどで行って帰ってきていますが、これは比較的早い方だと思います。初心者や大人数で行く時は、10時間くらいは見ておいたほうが無難です。

来年は、どんな沢が待っているんだろう。
フジ兄、ちえ蔵さん、今年はありがとうございました。
来年の開幕が早くも待ち遠しい・・・。

(組長)



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