Member :ちえ蔵、あーさ、組長
Timeline :6日:美しの森駐車場1110~1329出合小屋
7日:出合小屋0415~0707カニのハサミ~1013大天狗~1141稜線登山道~1325ツルネ東稜~1551出合小屋~1801美しの森駐車場
Author :組長
越後の山に見放された週末。穴埋めは冬の定番八ヶ岳で決まり。
朝はのんびりゆっくり出発。年末は雪が少なかった八ヶ岳もこの前の降雪で一気に冬らしくなった。美しの森駐車場からの林道もしっかり雪が有り、出合小屋までのアプローチも渡渉なしで楽々。
出合小屋には、先行Pがいて、カンプロックスターが似合いまくっている、いぶし銀のクライマーが薪ストーブをつけてくれた。あまりに山慣れたその立ち居振る舞い。往年のクライマーなのだろうと思っていたが、実は池田壮彦さんだった。誰それ??
いやいや結構すごいオッサンで、ナンガパルバットとかK2とかヒマラヤのジャイアンツをいくつも登っている登山家です・・・。70歳過ぎても初心者引き連れて旭東稜いくっつーんだから、まあそりゃ半端ない。
出合小屋での素敵な出会いはそれだけではなかった。あとから小屋に入ってきた顔がなんとも見覚えのある顔。あーりさんだった。それにしてもあーりさんとはいろんなところで会う。谷川の一の倉でも会ったし、八ヶ岳の西面のアルパインでも会った。やっているレベルが似通ってくるとまあだいたい同じようなところに興味が行くもんだろう。
壊れた薪ストーブは、池田さんの連れの薪ストーブ職人が直してくれて無事着火。ビール工場長というおっさんの地ビールの差し入れと悪い酒が次から次へと出てきて、まあとにかく賑やかな夜だった。
いい小屋だ。あらためて、管理している高根山岳会に感謝。
翌朝。
凍てつく空気の中、ヘッドライトに照らされたきらめく雪面を眺めながら、天狗尾根に取り付く。気温は低い。体感で-15℃ってところだろう。先日の雨で雪がところどころモナカになっていて踏み抜くのが鬱陶しい。
天狗尾根は4年ぶりだ。初めてじゃない、という意味ではプレッシャーは少ないが、暗い中、期待と緊張の入り混じった気持ちで一歩一歩高みを目指していくこの感覚はやはりたまらない。アルパインならではの引き締まった空気感。山の美しさも星の輝きも違って見える。
振り返れば、旭東稜チームのヘッドライトが一歩一歩、旭の険しいリッジに近づいているのが見て取れた。
美しい三日月からの日の出。
朝日と富士。何百ぺんと見ても、ああきれいだ、と思う。
カニのハサミに昨日ここで幕営した先行Pに追いついた。
ここで一休みして、ガチャガチャしたものを身に付ける。カニのハサミを左トラバースし、続く草付きをよっこらせと乗り越えると30m壁に行き着く。
ここは定石通り、右トラバースからのルンゼ登高。足元は、100mくらいは落ちていて、落ちれば多分死んじゃうだろう。ランニングはとりづらい。4年前には見当たらなかったフィックスロープがあったが、途中で終わっている。いずれにしてもボロいのでそれを頼りに登るのはよくない。ルンゼに入る前の岩のところは、そんなに簡単じゃない。
ルンゼは先行2人のトレースしかなく、そのトレースも特に使わずに崩れやすい雪壁をガシガシ登る。
悪いっていうか、怖い |
最初の難所を越えると次はニセ天狗のトラバース。雪のバンドを弱点をつきながら登る。
ニセ天狗のトラバース |
旭と権現 |
左がニセもので右がホンモノ |
本物はやっぱでかい |
核心 |
あれはセロトーレか!? |
あれはデビット・ラマか!? |
振り返ってみる。 |
さあ、帰りましょう。 |
阿弥陀さんと赤岳さんとあーささん |
天狗尾根。魅惑のスカイライン。 |
なんか変な一体感出して、みんなで無事小屋に帰着。
最後はぎりぎりヘッデンなしで駐車場につきましたとさ。
まだまだ経験浅かった4年前。しかし技術的にも体力的にもそんなに変わったわけではないだろう。今回もそれなりに難しいと感じたし怖さも感じた。冬のアルパインをなめたらあかん。
でも何か変わったかといえば、登攀するにしてもロープワークをするにしても、やるべきことが全てわかっていたということ。山は一歩一歩の積み重ね。ふと気づけば、憧れていた景色の中に自分がいる。
いい山行でした。ありがとうございます。ちえ蔵さん、あーささん。
(組長)