黒又川日向沢

2016-09-15

06_沢登り d_上信越

Date : 2016/9/15
Member : あーさ、組長
Timeline :十字峡登山センター1012~1041日向沢出合~1220大滝~1520稜線登山道~1708十字峡登山センター
Author :組長


沢ヤにとって一番大事なこと。


 
 
天気。
 
8月中旬から9月という沢ヤにとってのゴールデンタイムにこれほどまでに天気が悪い週末が続くとは・・・。もはや僕は生きている意味さえ疑っていた・・・。
 
こうまで渓には入れない日が続くとさすがの僕もモチベーションが下がってくる。
僕はサラリーマンにしては?そこそこ渓に入っている方だと思う。別の言い方をすれば遊び呆けている方だと思う。山自体ももう20年くらいやっている。モチベーションが続く理由を尋ねてくれる人が時々いるが(本当にときどき)、それは続けているからだ。答えになっていない?でも、続けているからこそ体力が持続し、続けるからこそ気力が持続し、続けるからこそ渓で過ごす時間の素晴らしさを感じる心が持続するのだ。下山し、温泉に浸かりながら、遡った渓を思い出す。そうすると、早くも次の渓への思いがふつふつと湧いてくるのだ。
 
まあとにかく、そろそろ渓に行かないと、ハゲてしまいそうだったので、とにかく越後に向かった。
 
そして関越トンネルを抜けると・・・雨。
・・・からの、スピード違反摘発(不徳の致すところです)。天も人も全て向かい風の中、寂しい雨の降る十字峡登山センターについた。
予報をあれこれ見て、空を見て、雨はじきに止むだろうと思った。しばらく待って、なんとなく小雨になったところで出発。
登山道はすぐに中ノ岳への道と黒又川への道に分かれる。黒又川へと進むと、堰堤のバックウォーターを左手に見ながら少しヤブっぽい仕事道を進み、適当なところから黒又川の川原に降りる。朝からの雨の影響はなく、流れは滔々と穏やかで青くきれいだ。
 

十字峡登山センター

黒又川をゆく
しばしで日向沢出合。
出合はガレていてパッとしない。黒又川本流を渡渉して入渓する。新しい沢に初めて入るときの、キリリとした緊張感は、いつまでたっても変わらない。
赤い岩の小滝をいくつか越えていくと、最初に見栄えのする8m滝。左壁を快適に越える。

日向沢出合

8m滝



左壁を快適に登る

ところによりぬめりがある
 ガイドブックには、小粒ながら越後の渓の雰囲気が味わえる、とある。この渓は数多ある越後の難渓に比べれば、優しさに溢れた穏やかな渓であるが、豪雪に磨かれた両岸の岩壁と高巻きの困難そうな草付きが越後の渓の片鱗を見せる。しかし、越後にあってこの渓を容易ならしめているのは、すべての滝に弱点があり、直登が容易であるからだ。
全体的に高巻きは厳しい

しかし容易に直登できる
 周囲には、小沢にしては、迫力のある広大はスラブ壁が広がり開放感があるが、今日は雨は上がったもののどんよりと低く垂れこめた雲がなかなか取れずに気分も晴れない。
 そしてカラダも重かった。どうでもいいけど、最近、責任感ゼロの人間にやたら仕事上の責任を重くのしかけてきやがる。渓に入る時間はなんとか死守しないと・・・笑。給料増やしてくれてもボクは山道具にしか使わないからね。
とにかく最近はあろうことか体調も崩してたから、どうも足取りが重かった。
岩の感触、水の冷たさ、草の匂い土の匂いを、忘れないように、しっかりと感じるように努めた。
やがて、20m×40m大滝が現れる。
周囲は開けたスラブの大伽藍となっており、なかなか爽快だ。空がもっと高かったら、と思う。
ここはロープを出して左壁を登る。傾斜は緩く、難しいところはないが高さがあるのと、ところによりぬめりがあるので、万が一を考えてロープを付ける方が良いだろう。まあ、万が一を考えたら、渓には来ないほうがいい気がする。
岩の性質上、摂理に乏しくプロテクションはとりづらいが、要所でカムやナッツを決められる。あーさも慎重に時間をかけて登ってきた。沢ではフォローであっても落ないことが一番大事だ。世界的な アルパインクライマーのマルコ・プレゼりの「10年ぶりに落ちた」という言葉を思い出す。落ちることを前提にし、落ちる恐怖を克服するからこそフリークライミングは上達するが、山での岩登りは、落ちることを前提としてはいけない。ジムの安心感や強固なケミカルボルトに守られたルートばかりに親しんでいると、落ちることへの抵抗感が薄くなる。フリークライマーとして、がんがんトライして、がんがん落ちることは大事だ。ただ、山ヤとしては、マルコ・プレゼりのようなメンタリティーを常に持ち続けることも忘れてはいけないと思う。
大滝

十字峡

大滝を越えてもいくつか小滝が出てくるが、急にぬめりもひどくなってくる。990付近から、本流を離れ、左岸からの枝沢に入り、滑りやすい滝を越えてしばしで水が涸れ、あとは少しばかりのヤブの茂った斜面をひたすら登山道まで登っていく。明瞭な尾根や沢などの地形的特徴に乏しく現在位置の把握はしづらいが、方角さえあっていれば問題はない。40分ほど登ると、しっかりした登山道に出た。

雪渓の影響が少なく何年かに一度の沢の当たり年と胸膨らませたのも今何処。
沢ヤと百姓は、天気が全てだ。

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