日高幌尻岳

2017-08-19

01_無雪期 05_縦走 a_北海道

Date : 2017/8/17-19
Member :まり(L)、わた、Hちゃん(会員外まり友人)
Timeline :
8/17 とよぬか山荘7:00→バス→7:50登山口8:00→林道歩き→10:00取水地点10:10→渡渉開始10:50→12:30幌尻山荘
8/18 幌尻山荘6:00→10:00幌尻岳10:40→11:20肩→11:40七つ沼への分岐→12:30七つ沼(テンバ)
8/19 七つ沼(テンバ)5:45→8:00幌尻岳8:30→11:40幌尻山荘12:05→ 渡渉終了 →林道歩き→16:20登山口17:00→バス→18:00とよぬか山荘
Author :まり

学生時代からずーとあこがれていた日高幌尻岳に行ってきました。七つ沼から見た満天の星空といい、壮大な景色は想像以上で、思いで深い山行になりました。

あこがれの幌尻岳の七つ沼カールに”今年行ってみよう!”とよしみと計画を立てましたが、実行まではいろいろありました。

まず、昨年の台風で北海道の日高方面の林道がぼろぼろだったということ。学生時代の山仲間と飲んでいたときに今回の計画を自慢したら、「日勝峠もまだ開通していないよ」とのこと。なんと!あの札幌と帯広をつなぐ大動脈がまだ復旧していないとは。幌尻岳に登るルートは4つあります。王道は額平川沿いから攻めるルート、新冠方面から登るルート(ただし、林道20km弱を歩く必要あり)、チロロ林道(戸蔦別方面から登る)、伏見・ピパイロ岳を経て向かうルート。友人からのその情報を知る前は、雨の影響を受けにくく、稜線を歩きが楽しそうなチロロ林道を想定していました。しかーし、この林道はもろに昨年の台風の影響を受けており、通行止め。伏見・ピパイロも手間で林道が通行止めとなっており、通常よりも2時間多く歩く必要があります。このコースはただでさえ長い、その上水も不安。ということで、コースは本命を王道の額平コース、どうしても増水したら林道20km歩きの新冠コースにすることにしました

そして、大切なメンバー。当初計画してたよしみに加え、わたとHちゃんが参加予定でした。が、直前になり、よしみが仕事の関係でどうしてもいけないことに、、、なんということでしょう。飛行機のチケットもとっていたのに。残念すぎます

と、前置きが長くなりましたが、天気予報的にもぴーカンではなさそうなものの、大雨にもならなさそうだったため、額平川コースから3人で幌尻岳に向かうことにしました。前日の16日に新千歳空港に集合。そこから寿司を食べ、行動食を買い、温泉に入り、と久しぶりの北海道を満喫しながら、とよぬか山荘へ。とよぬか山荘は廃校をベースにした変わった宿です。幌尻岳から降りてきた人とこれから登る人が混在しており、皆山のことを語っていました。我々はそんな山荘で、さらに身づくろいし、来るべき3日間の山行に備えます。


1日目:登山口→幌尻山荘
朝、予定どおり、7時のバスに乗って、登山口まで。乗客は我々含めて8人位。山のほうはどんよりとした雲に覆われていて、そこに山があることすらも感じさせません。でも、行きます。行くのです。

登山口で、バスの運転手さんからは、最近は例年にないくらい川の水が少ないから、渡渉が楽だよ~と教えてくれました。また、一方、丁度下ってきた方もいらっしゃり、林道が長い、とぼやいていました。我々もそんな林道歩きにびびりながら出発です。歩いていると地味な登り。そして、小雨。。。雨具着たりなんだりしながら、やっぱり遠いねーって言いながら歩き続けます。まだかなーと思っていたら、ようやく取水施設の箇所に。さて、ここからしばらく歩けば渡渉ポイントです。渡渉ポイントまえにも鎖場とかあって、ちょっといやらしい。そして渡渉ポイントにはちゃんと看板があり、ここからは増水に気をつけるようにと書かれています。さて、ここで我々も沢装備です。わたは王道の沢靴。私は軽量化を目的に今回用に調達した簡便フェルト底の靴。そして、なんとHちゃんは自作のわらじ!!なんとビニール紐で自分の足に合わせて作ったとのこと。器用だわ~。ちなみに、渡渉中はこの沢靴の代わりに登山靴を背負う必要があります。重い!!
入渓点。3者3様の足下で川に入る

お手製のわらじ



そして、いざ川に!と、私の第1声”つめたーい!!”。本州の沢だと”冷たくてきもちがいい”になるのですが、ここでは寒かった。アイシングされているような感じ。ただ、その後は慣れてきてそこまで冷たさを感じませんでしたが、でもひんやり。渡渉箇所にはピンクテープがされており、そこを目印に沢を登っていきます。途中に滝もあるし、水はもちろん綺麗だし、イワナらしき魚もたくさん見かけました。素晴らしい。




そんな感じで、小雨の中きゃっきゃ歩いていたら、山荘に到着。小屋管さんにザックは小屋下にしまい、小屋には必要なものだけ持ってくるように、といわれました。が、ほぼ必要なもの。それなりの量の荷物を持って入ります。中ではストーブがたかれていて、暖かい。濡れた衣服を乾かします。昼にはついていたので、何するーっていいながらごろごろしていたら、なんと18人の団体さんが到着。ツアーだそうです。渡渉というハードルがあるせいか、ここはツアーでくる方も多いそうです(下山後に聞いたら、町も誘致しているらしい)というわけで、のびのびしていた小屋も満員御礼状態。寝返りできるスペースはあるものの、早くテントに泊まりたいです。

ちなみに、我々は幌尻岳を目指すルートを悩んでいました。右回りでいくか、左回りか。明日も天気はよくない。良いのは3日目。天気のよい日に私は七つ沼カールを稜線から見たい。七つ沼カールが綺麗に見えるのは幌尻岳の肩と聞いている。左回りだと、ちょうど3日目に肩にいけるけど、急だし、沢靴も持っていく必要もある、、、どうしよう!と思い、小屋管さんに聞いてみました。答えは「左回りで登ると急だよ~戸蔦別行きたいの?戸蔦別岳に行っていいこと?うーん・・・・・」これで決まりました。右回りで行こうと。夜はワタの作ってくれた美味しいグリーンカレー。うまーい!!

2日目:幌尻山荘→幌尻岳→七つ沼
朝、アラームに起こされて目覚めると、なんと私たち以外の登山者がいない(ように見えた)。あせって、「みんないない」と言って二人を起こしますが、二人とも夢の中。通常、自分の方が一般的な登山客より早いことが多いのでびっくりしたのですが、よくみたら、ツアーの方はまだ2階で寝ていました。朝ごはんはわたの生米雑炊。生米、うまい!!

朝から小雨。雨具着るか迷いますが、暑いと思い、着ない選択で出発。最初はひたすら登り。途中木のまるたをくぐったりしながら、登ります。テンバの七つ沼には水がのぞめないので、水も大目に担ぎます。重い荷物とは裏腹に、憧れの幌尻に向けて心は軽やかです。2時間もすぎれば、稜線に。でも展望はなく、どこがピークが分かりません。でも、足元にはお花が咲き乱れていました。美しい。お花にみとれながら進みます。








そして、思い出しました。そうだ、北海道の山はハイマツだらけだったと。そう、ハイマツでびちょびちょに濡れるのです。足元だけではんく、ひざぐらいまで。。雨具着ればよかったーと思うものの、後の祭り。そんなことを思いながら、緩やかな稜線を登ると頂上に!わーい!!でも真っ白!!後ろからツアーの方も到着し、口々にねぎらっていました。

山頂でゆっくりして、さて、我々は七つ沼を目指します。そして、そこからのルートはおそらく人がいない。そして、日高は熊が怖い。
といわけで、笛出動。私は時々笛をならしながら歩きます。そして面白いことに、わたしが「ぴー」って笛をならすと、わたがなぜか「わー」と声をだします。「ぴー」「わー」という組み合わせで音を出しながら、心の中で熊にこないで~と願いながら進みます。当初ガスだった雨も立派な小雨に。視界もないし、結構ブルーです。どうする?と話しながらも、やはり七つ沼を目指そうということで合意し、進みます。ハイマツも段々濃くなってきて、膝丈ではなく背丈です。ハイマツとの格闘です。そして、七つ沼へのくだり道は明瞭ではなく、その降り口もわずかなピンクテープという記録だっため、目をこらしてすすみます。「ぴー(私の笛)」「わー(わたの声)」の組み合わせで進むとほんとにわずかなピンクテープ発見!ここだ!と叫んでくだり始めます。なお、残念ながら七つ沼の多くは枯れており、一つ沼くらいでした

右下に見えるわずかなピンクテープが降り口の目印(翌日の写真)

さて、ここからが、急斜です。カールにおりるので、当然なのでしょうが、急。しかも雨で濡れているし。。慎重に足をおきなががら、踏み跡をたどっております。ひざががくがくしてきたところで、ようやく到着。






上から見ていた時に見えていたように、草原の中にけもの道がはりめぐされています。これまた、どこへ行けばいいんだーといいながら、テンバ適地を探します。探していると、過去にテント張っただろう場所がいくつか確認できたので、その中でよさそうな場所をテンバにします。どうやら、今日は私たち以外の登山者は居なさそうです。テントを張る前に、明日、戸蔦別方面にいくための登りのルートを探しに探検に行きました。がここも草や樹木がすごい。選んだけものみちが適切ではなかったらしく、すぐい行き止まり。あえなく探検は中止。テント張ることにします


 夕方、雨は上がってくれました。テントの周りを探検していると、しかの足跡がくっきり。熊の足跡はみあたりず、ちょっとほっとします。そして残念ながら七つ沼の多くは枯れており、我々がテントを張った場所は枯れた沼のそばのようでした。また、途中でナキウサギらしき動物の鳴き声も。そして、テントの裏には小さな小川が流れていました!!水とれましたが、結果論です。
干上がっている沼

テンバの後ろには小川がながれいました

無数にある鹿の足跡





さて、夜は夜で獣が怖い。Hちゃんが蚊取り線香を用意してくれたものの、雨で湿っていてつかない。。。一応わたの頭の上に熊鈴をおいておき、必要に応じてならすことにしました。そして、ここからの星空を見てみたかったので、3時に目覚ましをかけました。

3日目 七つ沼→幌尻岳→登山口
3時。テントから恐る恐る外を見ると、なんと、、、満点の星空。天の川が綺麗にくっきり見えます。また、反対方向には綺麗な三日月も!!3人で歓喜の雄叫びをあげながら、空を見上げます。そして、3人とも一眼レフを持っていたので、ここからは撮影大会。思い思いにシャッターを切ります。本当に美しい。。。

そして、雨のせいで夕方にはなかった川が出来ており、そこに3日月が写っていて、それもとても綺麗でした。こんな凄い景色を前にしているのが自分達だけなんて、なんという贅沢なんでしょうか。(朝になってそれが違うことが分かるのですが)

三日月とオリオン座

綺麗に写っていないけど、ここに天の川がくっきりあった!

日がのぼって改めて景色を見ます。昨日までは見えなかった景色が目の前にどーんと突然現れて、もう感激です。Hちゃんは「壮大すぎてカメラに収まりきらない~」と叫んでいます。本当にすごい。カールの底にいる自分というのにもしびれました。


七つ沼の底から稜線を見上げる
さて、これだけ天気がいいので、幌尻岳の肩から七つ沼をみたい、ということで戸蔦別岳のほうには行かず、幌尻岳に戻ることにしました。素晴らしい景色の中、昨日の道を戻ります。急斜を降りた、ということは、急斜を登る、ということ。場所によっては手も使って登ります。と、七つ沼から戸蔦別側への向かう斜面に人が!!お互い「おーい!!」と叫びます。我々とは異なる七つ沼の場所でテントを張っていたのでしょう。なぜか妙な連帯感です。勝手に我々なりにそのパーティの行動を妄想して楽しみました。
 

急なので手も使って登る
 
さて、稜線にあがると、昨日とはウって変わった景色が広がっていました。憧れの七つ沼も見れます。また、遠くに高そうな山も見えます。凄い。興奮のまま肩、幌尻岳に向かいますが、また途中からガスに覆われてしまいました。でも、ガスは昨日よりは薄く、時々きれます。そして、その切れ間から、東カール、北カールと、七つ沼カール以外のカールの姿も見せてくれました。美しい。


七沼カール




 
気付けば幌尻岳2回目。昨日歩いた登山道の全容が見えます。美しいね~と30分以上休憩。その間に山頂に人が登ってきます。幌尻岳は行きにくい百名山ということもあって、百名山ハンターの方も多く、「○○座目だ!」と叫んでいる人を多く見かけました。そして「ナインティーンシックスティーン」だ!と叫んでいるおじ様がいらっしゃいました。が、おじさんはたぶん96座といいたかったんでしょうが、大きく間違えています。面白すぎる。私は隠れて爆笑していました。

そんな楽しい山頂ですが、帰りのバスが時間があるので、そうそうにお暇。山荘に向かいます。が、その途中も景色が素晴らしい。3人ともちょいちょいカメラをとりながら、進みます。本当に昨日とは違う景色です。後ろ髪を引かれながらも、山荘に到着

北カール
小屋管さんに、「どこ行ったの?」と聞かれたので「肩から七つ沼みたかったから、七つ沼往復してきた」と答えたら「えー!戸蔦別岳から七つ沼みたほうがいいのに」と。我々は「ええーーーーーーー!!」「1日目に話した時に戸蔦別岳に行って良いことない、みたいなこと言ってたのに!」なぜそこでその話をしてくれない? と思いながら苦笑い。思わず「また来ます。沼に水があるときに、よしみと一緒に来ます」と答えました

帰りも渡渉。やはり渡渉は楽しい。そして帰りもたくさんの魚が。
楽しかった渡渉の後は、林道。ただ、途中でソロの方と一緒になり、いろんな話をしながら歩いたので、思ったより早くつきました。ふー、疲れた。




日高の山は山深い。そして、その近づき難さが私には魅力です。
一方で、バスの運転手さんと話していたら、地元としてはいかに登山客を増やすか、ということが目下の課題だそうです。だからツアーも斡旋すると。
地元の方の思いと通りすがりの登山者の思い。このギャップもひしひしと感じた山行でした。

最終日は、アイスクリームに、スープカレーを食べとことん、北海道を堪能しました。


幌尻が100名山のせいか、山頂に到着するだけで満足する方もいるようでしたが、七つ沼は肩まで行かないと見えません。そして、その肩以降の景色こそが、この山の大きな魅力だと思いました。価値観は人それぞれですが、山頂にタッチして帰るだけではもったいなさすぎる山だと思いました。

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