Member :ワタ(CL)、まり 、バード
Timeline :
23日(1日目):0644ガンジャロ登山口駐車場→0703湯ノ又沢右俣(ガニ沢分岐)→0837登山道1135m地点→赤湯又沢右俣下降→1126赤湯又沢二俣→1214オンドル(1
時間休憩)→1549赤湯又沢、虎毛沢出合→1624幕営地点(548m)
24日(2日目):0600幕営地点(548m)→0643虎毛沢二俣(560m地点)→0930枝沢(680m地点)→1143登山道(途中80分道迷い&休憩)→1635登山道1135m地点手前の分岐→1806ガンジャロ登山口駐車場
Author :バード
ロマンチック沢街道。
みちのくの森を巡るデート沢。風呂あり、酒あり、イワナあり。そう今夜はTORAGE NIGHTだ。
秋田県は遠い。どこにあるかって、青森の下、山形の上だ。もう少し丁寧に言えば岩手の左だ。片道7時間。小川山を往復できる。
4連休、あらゆる事態を想定して日本各地に散りばめた計画書。ヤマテンの最終予報で、目的地は北東北に定まった。我々の願いは、沢のなかでの一泊二食付きの温泉ツアーだ。
が、4連休といえど天気がもちそうなのは、木金しかない。ということで弾丸ツアー決行の判断が下された。
カーナビが示す到着予想時刻は6:00。6時!?我々の行動開始は7時予定だ。まぁいい、我々は兎にも角にも北に向かうのだ。
ガンジャロ登山口に5:15に到着。45分の仮眠、というか瞑想を経て、我々の沢旅がはじまった。
眠いというか、さっき到着したばかりだ |
ここの分岐を右に |
赤湯又沢左俣に下降するルートも見られるが、我々が目指すは右俣への下降である。1135m地点の南あたり、分岐点のさらに南側の藪に突撃すると枯れた沢を発見。そこから、沢下りを開始する。
1135下部の分岐 |
枯れたちょろ沢を下降する |
せっかく東北までやってきたのに、天候は曇り。いや自分の目に狂いがなければ、天から水が滴っている。そんな馬鹿な。寝不足に濡れ鼠のような姿で、気分も上がらない。
赤湯又沢に入ると虎ロープもちらほら見えるようになってくる。釣り師の方々のものだろうか。そして、むわっと硫黄の香りもしてくる。
そうこうしているうちに、待望のお天道様が顔を出す。キラキラとした渓相に早変わり。そうだ、ここはデート沢だ。初恋相手に声でも掛けられたかのようなテンションで沢をキャッキャと下降する。
晴れたら気分はウキウキだね |
本日の目当ての一つが沢のなかでの温泉だ。焚き火に酒に風呂。それらがまとめて一つになっているなんて。ベーコンレタスエッグつくねライスバーガーみたいなものである。
湯けむりの上がる沢沿いに温泉スポットを発見。無邪気に手を突っ込んだまりが叫び声を上げている。
ダメだこれは熱すぎる。しかし、想定していたような石に囲まれたような露天風呂は現れない。しかたなく、ほどよい足湯に浸かって横になってみる。
しかも地熱によるオンドルがなんとも心地よい。ちょっと休憩と3人がバッタリと倒れる…と、気がつくと30分爆睡していた。いやいや、ここがゴールという訳にはいかない。温泉に浸かって酒三昧という夢絶たれたいま、イワナでも揃わないと眠りにもつけない。
温泉源を発見。 |
硫黄臭と寝不足によるカラ元気 |
見つかった唯一の足湯… |
赤湯又沢には硫黄の影響なのかイワナがいない。虎毛沢に入らなければ、釣りはできないのだ。この持参した釣り道具たちに、どう成仏しろというのだ。「もうここで寝たい」と呟く2人を叩き起こし、沢を下る。
しばらくダラダラとしたゴーロ帯を進むと虎毛沢との出合いにぶつかる。うっかりそのまま下降しそうになるが、ここからは虎毛沢の「沢登り」だ。
ここから「沢登り」のはじまり。虎毛沢左岸を高巻き |
本日のテンバ。ロケーションも素晴らしい |
出合からすぐの場所に素敵なテンバを発見。オスはさっさと釣竿片手に狩に出る。
ガッキーさんが言っていた。イワナは流れの緩やかな場所を好むから、アブクが溜まっているような場所を狙えばいいと。師の教えの通りに竿を振るとなんと一投目から釣れたではないか!神に感謝!いやガッキーさんに感謝である。
今宵はワタお手製のカオマンガイと、イワナの塩焼きに骨酒である。心配していたアブもいない。みちのくのデート沢、最高である。
焚き火を見つめていると、SEKAI NO OWARIの「Dragon Night」が「TORAGE NIGHT」ヴァージョンで頭のなかを駆け巡る。そう、ここは秋田県。今夜は「TORAGE NIGHT」だ。
一匹は骨酒に。ガッキーさんに感謝である |
ビールで乾杯。いざ「TORAGE NIGHT」 |
こんばんはカオマンガイ |
0400起床。泥のような眠りから目覚め、まりお手製のラーメンで体を温める。
2日目。弘田さんブログで極上のテンバと評されていた二俣(560m地点)あたりから渓相が変わってくる。このテンバ、釣り師の定宿なのか、トラロープに鍋まで残置してある。なんだか人工物が味気ないねと、先のテンバでよかったねと振り返ってみる。
先を進むと25mくらいの見事な滝が右岸に現れる。こうすれば登れるんじゃないか。クライミングシューズがあればと、妄想話に花が咲く。
おはようラーメン。ごちそうさまでした! |
どデカいスラブ。とりあえず取り付いてみる |
クライミングシューズがあれば登れるとか妄想してみる |
この沢旅には遡行図がない。地形図とブログなどの情報はあるものの、あまり写真も見当たらないので、行く先々は未知なる冒険だ。
2段滝。上段でロープを出す。繊細なフットワークで5m滝を通過。その他にも、もう一箇所、ゴルジュの突破でロープを出す。この山行でロープを出したのはこの2回。
2段滝。上段でロープを出す |
へつったり。ミニゴルジュがあらわれたり |
きらびやかな渓相。ミルキーウェイみたいな道が続く |
名物の亀甲模様だそうです |
ただただきれいな沢に癒やされます |
枝沢から登山道までツメはじめる。まぁ、これで後は藪漕ぎしてお終いかなと思いきや、永遠につづくガマスラブのような道が続く。
灌木沿いに高度を上げていく。650m付近のガリーマーク上部から灌木をつたって、詰めていく。最後は、ツルやらササやらの藪漕ぎをすると登山道の尾根に到着する。
今回はガリーマークの上部からツメていってが、下のガリーマークの通過は困難らしい。道迷いや休憩を経て、4-5時間の帰路へ。だいぶ奥深くまで入り込んできたなと歩きながら実感する。
この枝沢から登山道をめざす |
永遠につづくガマスラブ、ラバーソール万歳である。 |
今回のツメのルート。上部ガリーマークからツメたが、下の赤丸のガリーは通過困難とのこと |
森の中をめぐる沢旅を振り返る |
ながいながい帰路の終わり |
東北には東北のスタイルがある。大滝登攀などのイベントごとがコンパクトに詰まっているルートではないが、それとこの沢の良さとは関係がない。
深い深い森の中で、ゆっくりとした時間を味わいながら沢に溶け込んでいく。東北の沢は深い。沢を上り下りしながら自由なルート取りが出来るなんて、いろいろな計画の妄想が膨らんでいく。
つぎはそんなスタイルファーストな沢も味わってみたいものである。