Date : 2021/09/11-13
Member :わた、まり
Timeline :
9/11 上高地バスターミナル630-横尾930-1050槍沢ロッヂ1115-水俣乗越分岐12201330水俣乗越1340-北鎌沢出合1615
9/12 北鎌沢出合0330-0600北鎌沢コル0620-8:30独標基部-独標0920-北鎌平1330-1515槍ヶ岳-1700殺生ヒュッテ
9/13 殺生ヒュッテ0500-1200上高地
Author :まり

北鎌尾根に行ってきました!行けました!頑張りました!
山をやっていて知らない人はいないのではないかというほど、言わずと知れた名クラシックルート。
私も他聞にもれず憧れ、2年ほど前に計画したものの、天気が悪く行けなかったため、行きたい山リストに入ったままになっていた。
そんな時、今年当初目論んでいた夏山計画が色々と崩れ、これは「北鎌だ!」と企画した。
今年も天気に恵まれず2回ほど延期したが、ようやくこの時を迎えた。
メンバーは、ワタと私。二人は似たような体力、登攀力。
そのため、荷物は出来る限り最小限に(3日目はフリーズドライを多用するなど)徹底した。

1日目
金曜夜に車を飛ばし、沢渡の駐車場へ。寝たんだか寝てないんだかよくわからない状態で始発のバスに乗り込む。そして、久しぶりに上高地に到着。が、、雨。聞いていない。急ぎ雨雲レーダーを見ると、雨雲がまさに通過中。ずぶ濡れにもなりたくなかったので、1時間ほどまって小雨になってから出発。かったるい感じで横尾まで歩き、そこから、水俣乗越分岐に向かう。雨があがり、気温も上がったせいか、休憩ポイントでは水を飲みまくっていた。水俣乗越からようやく登り。久しぶりに泊まり装備をかついで標高をあげる。ぜえぜえ言いながら登り上げる。こんなんで北鎌に言って大丈夫だろうか、、と疑問に思いつつも、ここからバリエーションルートに突入する。

すでに目の前で1組の人が入っており分かったつもりになっていた。にしてもすごい崖を降りらせるな、、怖いし危ないじゃないか、、バードが言っていたずり落ちるしかない、といっていたのはこのことか、アルプスのバリエーションはスケールが違うなぁ、、とか言い聞かせながら恐る恐る降りていたら、ふと横から優しい声で「こっちに踏み跡の道あるから。ヘルメット被ってこっちにおいで」という声が!ちょうど横を通ったガイドさんだった。天の声!ヘルメット被っていないことを反省し、声の方向を見ると立派な道が。。。ありがたい。ほんと感謝。良かったと胸をなでおろし、気を取り直して北鎌沢出合に向けて歩く。

間違っているルートです

長い。。急斜面を下ってももごーろ帯をずっと歩く。なかなか出合につかない。。。まだかなーまだかなーと思いながら歩き、ようやく到着。
例のガイドさん達含め、すでに4張のテントがあった。バードからかりた2人用の軽いテントを設営し、ワタのうまいビビンバを食べ、疲れていた私は即効眠りに落ちた。
北鎌沢の出合。バードから借りたテント

2日目
自分たちが後半戦はスピード遅くなることを見越し3:30に出発する。昨日の暑さと北鎌平でのビバークの可能性を考えて、水は3Lずつ持った。ずっしりとした重みを背中に感じながら、暗い中、ヘッデンつけて、北鎌沢を沢登りのごとく登る。まちがえず分岐では右俣に進路を取り、ボルダーチックの場所なども超えながら登る。途中、ソロの女性が身軽な格好で怖い怖い、といいながらすごい速さで追い越して言った。大槍ヒュッテを2時に出たとのことで、ものすごいスピードである。。唖然としながら見送り、自分たちは自分たちのペースで淡々と高度を上げ、北鎌沢コルに辿りついた。コルでハーネス等ガチャを装着。コルにある慰霊のテンプレートをみながら北鎌に来たことを改めて実感しつつ、ここから独標に向かう

コル
天狗の腰掛までははっきりとした踏み跡があり、至極快適。

天狗の腰掛からは目の前に独標が現れた。すごい存在感である。そして、私たちより先をのぼっている2人組がみえ、独標基部でうろうろと迷っているのが見えた。あの辺が迷うポイントなんだな、とあたりをつけとりあえず独標基部に向けて歩く。確かに、基部手前にはトラバースの踏み跡などもありなんだかいやらしい。でも稜線通しを意識して、稜線からはずれないようにルートどりをする。
独標。存在感がはんぱない
そうすると、記録で見たトラバースのフィックスロープ発見。おー、ここか、と。
フィックスロープを使いながら、トラバースを進む。確かに嫌らしい。下を見たら足が竦みそうだったので、目の前の足元だけをみて進む。

ザックの後ろには途中で拾った太陽光発電するランタン。ルート上に色々とものが落ちてた
          

そして、よく話題にのぼるコの字。自分がチビなのか、あまり気にならずちょっと屈んで通過した。言われないとコの字の場所だと分からなかった位だ。
さらにその先の壁によく見る残置スリングを確認。ここを登るのね、と気合いを入れて登るとザックが挟まる。「うにー」と言いながら登り上げる。重いザックと在宅太りの自分の体重が恨めしかった。
で、登った直後の正面を登る。トラバースルートも続いてるようだったが、稜線通しを意識
登れそうな岩場を登り、独標稜線に出た。ほっと一息である。

独標からはようやく槍の穂先が見えた。が、遠い。
ここから先がさらにルーファイが重要になると気を引き締める。実際私たちの後ろにいたソロの方が独標トラバース後、そのままトラバースしてしまったのか、稜線より下の方で右往左往しているようにも見えた。

ポイントは稜線通し。巻くときは右に小さく。ただ一部左もあった。が、必ず稜線に復帰することが目に見えてる時のみ左も良しとした。ただ、稜線通しと言っても、登れても降りれるのか!という方が自信持てず、うろちょろ動き回ってルーファイしてた


P12では、一度踏み跡に従い千丈側(右)に下るが、私から見るとその先がクライムダウンで降りれる感じがせず、もとに戻る。しかし左も見るが違う。再度今度はワタが私同様右側を降り、私が戻ってきた下りの岩場をのぞき込み、クライムダウンで降りれそう!、ということを発見してくれ、ようやく降りられた。
どこかのピーク
どこかのピーク
P14は白いザレ場。ザレ場が一番嫌らしい。一歩一歩慎重に登る
そして当たり前なのだが、ピークをいくつも超えるということは、登って降りての繰り返し。しかも名のあるピーク以外にもポコポコとピークがある。
遠目で二人で、あのラインから行けばいいのか、などと話をしながら近づき、近づくと、時にこれは楽勝ということもあれば、え、これどうやって登るんだ、と面食らうこともある。これは詰んだのか??いや、行ける、そんな繰り返し。たまに後ろからワタから右行って、左行ってと操作されながら登る(たまに無理な指示も含まれるので、そこは自己判断で取捨選択する)



P15へはトラバースの誘惑もあったが、迷う可能性の方が多いと見て、岩場を登る。正面から登りづらそうなときは、少し右側にずらして登る。岩の状況からみて誰も登ってないのでは、というラインもあったが、なにもが正しい。間違いは自分の身に何かあったときだ。

ずっと集中。気は抜けない
しかも稜線上は風が吹き、寒い。途中でバラクラバ出した。

P15もいくつかピークがある。登って降りてを繰り返しても北鎌平にたどり着かない。むきっ。そして、ようやくたどり着く。”諸君頑張れ”のプレートと懸垂用の残置を確認。懸垂箇所はクライムダウンにした。むしろ、ここよろも嫌らしいクライムダウンは他にもあった



休憩中

P15のプレート
北鎌平にようやく到着。
さて、ここから穂先。頂の他の人の記録では一時間で行ってるが、行ける気はしない。(実際行けなかった)
穂先までもうすぐなのか?!
ここからは大きな岩を登る。ゼエゼエ言いながら登ってるとカニのハサミが見えてきた!
人が取り付いている。でも、目の前に登りやすそうなライン発見。ここ登りたい、と言い、そこから登る。気が付けば、後から北鎌沢出合を出発しただろう他の人たちも私たちに追いついており、同じ場所に4パーティが団子になっていた。

カニのはさみ
下部のチムニーに到着した。が、すでに他のパーティが登っていたため、チムニーにこだわりない私達は脇の別の箇所から登る

上部のチムニー箇所は垂壁使って登った。先に行っていたガイドさんはロープ使ってたが、私たちは問題ないと判断してノーロープで登った。

チムニーの脇をのぼる

チムニー登り中

ピーク直下

後ろの人達。こんな風にピークに登りあげる
そこからちょっと回り込むと、、、、ついにピーク!!

まじで嬉しかった。泣きそうだった。
二人でやり遂げたかぁと思うと感慨深かった
感無量。その言葉に尽きる。

正直余裕はなかった。
体力ないし、時間にも常に気を配っていた。
風は冷たく、休憩してても回復するより体力持っていかれる感じだった。
個人的には足指を数週間前に打撲してクライミングシューズすら履けない状態。
そんな中、来た道を振り返ると、、、来れたんだな、と。
北鎌尾根
青空ではなかったが、富士山を始めすべての山が見える。前穂北尾根も、鷲羽も三俣蓮華も。過去に訪れたすべての山々が愛おしかった。
途中から一緒になったガイドさんともなぜか握手(その後、私も知ってる有名な方とわかり、写真取ればよかったと悔しがる)
前穂北尾根

ピークの人の多さにびっくりし、そそくさと下る。が、緊張の糸が切れたのと疲れから、えっちらおっちらと下っていた私。だれも私が北鎌から来た人だとは思うまい、という体たらくであった。

槍ヶ岳山荘のテンバはいっぱいだったので、殺生ヒュッテまで下る。
軽量化で準備した夕飯のフリーズドライの牛丼がまじでうまかった。

なお、水は全然飲んでおらず、2Lほどが重りとなっていった。。
ーーーーー
槍の穂先まで続く綺麗なラインの大きな尾根を自分の頭で考え自分でルートを取る。
なんて贅沢な山行なんだろう。
すべてがサイコーだった。

北鎌尾根は多くの方に行ってほしいルート。
が、ルーファイ、体力、クライミングのすべてが必要なルートでもる。
特に重要だと思ったのはルーファイ。危険察知能力。これは山で鍛えるしかない、と思う。私は沢での経験が役に立った。
そして、このルートに踏み込むと撤退も容易ではない。行くしかなくなるのだ。安易に踏み込む場所ではない。ただ、この点もこのルートのある意味魅力になっていると思う。

日程変更しまくったが、執念が実って本当によかった。執着した甲斐のあるルートだった。

上高地への下りで佐藤先生に偶然出会う。先生はこれから北鎌とのこと



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