Member :ハート様、いちた、みずき
Timeline :
Author :みずき
■ どんな山だった?
六百山〜霞沢岳
(2450) (2645)
「激薮」。
両手両足で藪に縋りつくようなところもあって、上高地の猿に仲間入りした気分になる。
藪を抜けピークを超え、岩の露出したコルで一休み。これが数セット、霞沢岳まで続く。
子供の頃に雲梯とか登り棒が好きな人は楽しめそう。
小休止のたびに穂高連峰がずらっと並んでいるのが見えてとても嬉しい。
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■ そもそもの計画
六百山から霞沢岳まで直線距離で約2キロ。
普通の道なら30分あれば充分の距離。
しかしネット上の記録では激薮のため突破に2時間〜4時間は要するという。
⚪︎ざっくりスケジュール。
六百山まで3時間30分
薮から出たら霞沢岳まで往復1時間
徳本峠まで2時間
上高地まで2時間
薮で4時間掛かっても1日で上高地までは降りられるかな。
基本、1日で降りるつもり。しかしビバークも視野に入れておく。
⚪︎対藪装備
自分の服装は破れても悔いのない長袖長ズボン。軍手。意外にいい仕事をしたのがゲイターで、枝の突き刺し傷や靴紐が解けるのを防いでくれた。
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■ 想像以上の薮
六百山山頂からさっそく薮が始まる。
初めてだから漕ぎ方なんてよく分からない。
とりあえず枝を押したり引いたりしていると、パイセンからストップが掛かった。
薮に突入して10分くらい経ったらしい。
「このペースで行けると思いますか?」
おそらく10メートルも進んでいない。
単純計算で霞沢岳の登山道に出るまで8時間は掛かる。
本当に行くのか、ここで引き返すのか今ここで腹を決めなければいけない。
正直とってもたじろいだが、今回は藪漕ぎとビバークを経験したいという目標でやってきて、明日の天気も良く装備も揃っていたので続行!
(のちに六百山直下の薮が最高濃度であったことが分かった)
■ ビバーク
16時ごろ。
疲れと眠気で集中力も切れる頃。
薮を漕ぎ始めて5時間ほど経ったがなんと行程の半分しか進んでない。びっくり!
無理をしてもしょうがないし危険なので、近場でパイセンが見繕ってくれた藪の中を寝床に決めた。霞沢の手前、標高2435メートル付近。藪の中は風を避けられるし、地面が落ち葉で覆われていて思っていたより底冷えしなかった。
⚪︎私のビバーク装備(冷え性南国民)
ツェルト、シュラフカバー、エマージェンシーシート(ヴィヴィのマミー型)、レインウェア上下、ダウン上下(冬季小屋泊で使ってるもの)、薄手のメリノ長袖Tシャツ(予備の着替え)
全て行動着の上から着るなり巻くなりして保温と断熱を頑張る。
マットは100均のレジャーシート。
足先は藪漕ぎ用の軍手を靴下の上からむりやり履く。
それでもあちこちヒンヤリしてて熟睡とはいかず、夜中に2回プラティパス湯たんぽを作った。
それでも寝付けなかったが「暖かいって安心」という原始的な幸せが感じられた。
■ 翌朝
6時になったらちゃんと2人とも起きてきて安心した。
槍穂高の小屋では朝方は水面に薄氷が張りハイマツに霜が降りるようになったとインスタに上がっていたが、こちらの稜線はまだそこまで冷え込まないようで助かった。
明るくならないと薮は通れないので山の上にしては遅い時間に行動開始。
残りの薮に3時間を費やし無事に一般登山道へ合流した。
薮突入前の計算通り、8時間掛かった。
この間に、いちたはストック(レキ)を失い、パイセンはズボンのお尻に穴が開いた。
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■ 下山後
あらゆる服のシワ、ザックの隙間、そして身体中から松の葉や小枝、よく分からない小さい実がコンニチハしてくる。
藪漕ぎ後は温泉に入る前に外で念入りにお洋服をパタパタするのをおすすめします。
両足には薮とのプロレスの跡が刻まれていて、アシタカの右腕のようなカラーリングに。
浴場ではお姉さん達の視線を欲しいままにしてしまった。
そして、帰宅しても薮の存在感は消えない。
洗濯しても松脂が全然落ちないのだ。
どうしたらいいんすかね…。
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■ 行きたい!と思った人へ
慣れてくるとバネ系のアスレチックみたいで楽しいよ!
(慣れる=薮は蹴倒し薙ぎ倒すものと覚悟すること)
今回は全員メガネのため問題なかったが、コンタクト民・裸眼族は藪に目をしばかれると辛いと思うのでサングラスか何かあるといいんじゃないかなと思った。
■ 温泉
梓湖畔の湯
■ ごはん
だいなモ