Member : A子、組長
Timeline :22日 広河原1004~1215二俣~1253バットレス沢取り付き偵察1328~1413白根御池小屋
23日 白根御池小屋0330~0500bガリー大滝0530~0638第4尾根取り付きテラス0657~0811マッチ箱~0940第4尾根終了点~1025北岳山頂~1054肩の小屋~1229白根御池小屋~1550広河原
バットレス第4尾根から北岳に登頂してきました。素晴らしい天気の中、快適そのもののクライミングでした。
最近の週末は、山ヤにとって不遇そのもの。天気が悪いのだ。とても楽しみにしていた黄蓮谷右俣や会山行の穂高集中で予定していた奥穂南稜や滝谷ドーム中央稜などがつぶれてしまった・・・。
日本の多くの山ヤがストレス溜まりまくっていたことだろう。
そしてやってきた久しぶりの晴天の3連休。
最近の天気予報に疑心暗鬼になっている部分もあるので、つい前日まで晴れマークが雨に変わらんかとやきもきしていたが、なんとか3日間とも大丈夫そう。ただ、ヤマテンによると、日曜日午後の北岳の天気がどうも不安定そう。湿った空気と寒気の流入でガスがでやすく、にわか雨の可能性もあると言っている。慎重派??いやいや、ただのビビりな僕は、そんな些細な状況悪化も気になって、日程を1日後ろにずらすことにした。まあもともと、火曜日まで休みにしていたし。。
ってことで、金曜日夜に朝採りレタスを収穫中の川上村を突っ走って廻り目平に入り、土曜日は小川山で遊ぶ。
さすが、秋の晴天3連休の小川山。昨日の夜遅くに着いて、遅めの朝食をとっていた我々の前をどんどん車が入ってくる。この日、中央道は一時45キロの渋滞だったらしい。前夜発でよかった。。。
すぐに駐車場はいっぱいになった。
今日はどこの岩場も混むだろうってことで、少し遠い屋根岩5峰へ。キノコいっぱいのアプローチ。先週いらっしゃったキノコの王様はどこかに行ってしまわれた。案の定、5峰には人はいなかった。後から来たけど。「皆サマの春10b」やコミネッチフェース新ルートの10aと「柴犬みね10b」、4峰の「スラカン10d」なんかを登る。「スラカン」はスラブとカンテのミックスルートで2本指アンダーポケットやカチ、スローパーなど、なかなか面白い。が、終了点がリングボルト2本でしかもスリングタイオフ・・・。もうひとつ怪しげなアンカーもあったけど、誰か打ちかえてー、って、人任せですいません。途中もアンカーが錆びてます。
本当は、「風姿花伝11b」や「私の傾斜11d」をやりたかったけど、登り始めが遅かったので、今度にしとこう。。見た感じ、面白そう。。
その日は廻り目平で酔っ払って、翌朝、芦安へ移動。予想はしていたけど、芦安駐車場はとにかく激混み!!!ここは何回も来ているが、こんなに車があったのは初めて。当然本来の駐車場はすでに満車で芦安中の臨時駐車場もすでにいっぱい。でも、たまたま行った時に、団地の駐車場???(もはや人ん家。空家だったけどね。芦安村総動員だ!!)に駐車できた。そんでもってたまたま来たジャンボタクシーに乗り込むことができた。バスを待たなくてラッキー。芦安はスペースというスペースすべてに車が止まっていた・・・。富士山の次は第2の高峰北岳へ!!って雰囲気がどうもあるらしいっすね。いずれにしてもここ5,6年で人気の山域の登山者が激増している気がする。山で人に紛れるなら街で紛れた方がましだ。
ま、そんなで意外と順調に広河原に到着。相変わらず南アルプス林道はすごいところを通っているもんだ。自然への冒涜を非難すべきか、人間の土木技術の素晴らしさに敬意を表すべきか、迷う。
今日は、バットレス沢の取り付きの偵察と白根御池までにアプローチだけ。
涼しそうでちょっと暑い登山道をてくてく歩いていくと、二俣手前のでっかいボルダーにパンツーの知り合いがいて(谷川の万太郎谷に行った時もあってしまった人、笑)、クライマーの本能か、ちょっと難しそうなラインを登っていた。3級くらい??
今までそういった目で見てこなかったけど、大樺沢は大きなボルダーが点在していて、ここまでボルダーをやりに来る強い気持ちがあれば??なかなか開拓し甲斐がありそう。それとも、もう登られているのかな???
そんなことより、大事な偵察。二俣でザックをデポし、テクテクとバットレス沢出合いまで歩く。
下調べでよく目にしたバットレス沢出合いの大岩はとても分かりやすく、間違いようがない。中間尾根の取り付きにはいくつか踏み跡があるが、どこを辿ってもいずれ一つの踏み跡に収斂されるような感じだ。ただ、「bud・・・」と書かれた岩のすぐ左から上がる踏み跡を辿ると、登山道と見まがうほどのしっかりした道が続いている。
バットレス沢出合いの大岩 |
なんて書いてあるの??この岩のすぐ左から踏み跡を辿る |
バットレス沢出合いからみたbガリー大滝 |
ヤマテン予報通り、山頂付近はガスが多い。
今回、アプローチに使うのはb沢とc沢の中間尾根。ここを上がって、下部岩壁帯のbガリー大滝を登る予定。バットレス4尾根に取り付くには、この下部岩壁帯をどこからか登らなければならないわけだけど、白根御池小屋のおやじの話だと、最近は、左端の第5尾根支稜を登って、第4尾根までトラバースするパーティーが多いらしい。bガリー大滝がたぶん時間的には早いけど、2010年のバットレス崩壊部分が落ちてくるcガリーのトラバースが危険であること、いやそれよりはむしろ、bガリー大滝自体の悪さで敬遠するガイドさんも多いそうだ。悪さといってもクライミングが難しいんじゃなくて、脆さの点。最近も事故が起きたらしい。バットレスは2010年に枯れ木テラスの上が大崩壊したことで有名だが、3年たったとはいえ山の年齢に比べれば、3年なんてほんの一瞬にすぎない。まだまだ崩壊中と言って差し支えないんだろう。
なんてことよりも、曇天を劈くピラミッドフェースの頭を見上げると、頭の直下に4,5人のクライマーが登っている。今の時点、13時過ぎにまだ4尾根の1,2P目??そもそも登っているというよりも、正確には、渋滞してとまっている笑。ピラミッドフェースの頭の上には別パーティーらしきクライマーの姿もみえる。予想はしていたが、ひどい渋滞だ。この後、テント場で聞いた話だが、この日の4尾根はとにかく大渋滞で朝3時出発のパーティーでも2、3番手。その後はもう延々とクライマーが数珠つなぎだったらしく、2,3パーティーはしびれを切らして途中撤退したらしい。バットレス崩壊後、クライマーの数はかなり減ったらしいが、今年あたりから以前にも増してクライマーが増えてきたようだ。
バットレス4尾根のような日本の名クラシックルートの一番の核心は他パーティーの存在・・・。ま、ハイシーズンのエベレストでも同じ状況のようだけどね。
今日の仕事を無事終了し、ベースとなる白根御池へ。縦走する時はいつも大樺沢を通るからここに来たのは初めて。池のほとりにあるとても綺麗な小屋だ。トイレもなんと水洗!!小屋番さんも感じのいい方ばかりですっかり気に入ってしまった。その上、南アルプスの天然水が好きなだけ使える。
ふんわりやわらかい草の上に快適な寝床を得られた。
白根御池 |
混ぜご飯とみそ汁。混ぜご飯はホントうまかった |
最近はすっかりA子さんに胃袋ガッチリ鷲掴みにされ、ワンワンとシッポを振ってなついてしまっている。情けない。って、まあいいじゃない。だって、うまいんだもの。人間だもの。
夜になっても、疲れて帰ってくるクライマーのヘッドライトが草滑りの急斜面にちらちら光っていた。
翌朝。
出発は3時30分。3連休最終日でもあるから、さすがに昨日の様には混まないだろう。
予報では朝の冷え込みがきついということだったが、それほど寒くはなかった。ひんやり冷たい朝の空気をたっぷり吸いこんで、ヘッドライトの光を頼りにバットレス沢まで歩く。途中、4人組のクライマーを追い越したが、彼らも今日は4尾根。昨日はDガリー奥壁だったらしいが、一様に昨日の4尾根はひどかったと言っている。さらに上部のd沢付近にもヘッドライトが見えたが、この後、城塞で合流したT大学パーティーだったんだろう。
昨日しっかり偵察しておいた踏み跡をサクサク登る。踏み跡は相変わらず明瞭で、ところどころテープもある。
こんな岩もあったり・・・ |
のんびりとガチャを準備し、太陽が顔を出すのを待つ。天気は最高。静かな朝だ。これから楽しいクライミングが始まる。緊張感の中に、何とも言ったらいいのか、、満たされた気分。クソみたいな人生の中に久しぶりに味わう希望に溢れた気分、笑。。。
次第に太陽が顔を出し始めた。さあ登ろう。。
その頃になってようやく後続4人組が到着した。
bガリー大滝1P目のクラック |
bガリー大滝1P目はクラックに沿ってのフェースクライミング。Ⅲくらいで簡単だ。この後一度ロープをしまうことになるし、ラインが直線的なのでシングルロープで。足回りはアプローチシューズで十分だ。脆いという話を聞いていたので慎重に登ったが、岩は比較的堅く安定しているように感じた。ちょっともろくてもアルパインなんだから許容範囲。A子さんも余裕のクライミングで25mくらい伸ばして切った。
朝日に染まるbガリー大滝。右上のテラスでピッチを切る。 |
簡単なⅢ程度のフェースを登る。支点はあまり多くないが、特に気にならない。左に踏み跡が伸びる緩傾斜帯に入って終了。45m。
bガリー大滝2P目。雪渓があるのが大樺沢。左の支沢がバットレス沢、右がc沢だ。その間の中間尾根を上がってきた。 |
爽快な秋晴れ。紅葉。空の青さと木々の黄色が美しい。
一度ロープをしまって、踏み跡を追って2,30mほどbガリーを登り、向かって左にある第2尾根についたトラバースの踏み跡を辿ると、第4尾根が見えた。意外とあっさり着いた。
第2尾根上から第4尾根を見る。手前のガレがcガリー |
ただ、4尾根に乗るには、その前のcガリーをトラバースしなければならない。このcガリーの上部には崩壊箇所があるわけで、その岩屑がこのcガリーに流れ込んでいるわけだ。
早速その岩屑の中に突っ込んでみると、入った途端、自分の周囲1,2mほどの岩屑全体が自分の体もろとも動き出す。傾斜はそれほどないので、どこまでも止まらないわけではないが、進めない。
cガリー左岸の比較的岩が安定しているところから回り込んで4尾根にたどり着いた。この様子だと、この下部にあるcガリー大滝はまさしく落石の巣窟であって、ここをアプローチにとることは考えられない。cガリー右岸の4尾根取り付きには「4」の赤文字がある。そこから尾根上に上がる顕著な凹角を登り少し踏み跡を歩けば、4尾根取り付きテラスに出る。ヒドゥンスラブといわれるこの凹角は、ガイドブックではⅣと書かれているが、実際はⅢの範疇を出るものではなくロープは要らない。
ヒドゥンスラブ |
4尾根取り付き。とんがりがピラミッドフェースの頭 |
八ヶ岳 |
富士山に感動するニッポン人 |
1P目は自分がリード。キャメ2、3番くらいのクラックを登り、その後はスラビーなフェースをどんどん登る。ここもガイドブックにはⅤ-とあるが、そんなに難しくはなく、実際はⅣ。ただ、4尾根全体にいえることだが、ここの岩質はフリクションが悪く、ツルツルしている。今まで何千何万??というクライマーが登り磨き上げられた結果というのもあるのかな・・・。
1P目は50mほぼいっぱい伸ばして、ピラミッドフェースを見上げる灌木のあるテラスまで。
雲下の広河原と雲上の鳳凰三山 |
1P目上部のスラビーなフェース |
ピラミッドフェースの頭を右から回り込み、白い岩のフェースを登って尾根上へ。Ⅲ+。少しロープの流れが悪いし、コールが聞こえづらい。40m。
2P目 |
2P目終了点から。気持ちーねー |
3P目は自分がリード。尾根上を少し歩くと、4尾根核心といわれる三角形の垂壁4m。ここもつるりとしていて多少スタンスが小さいが、それほど難しくはない。Ⅴとあるが、実際はⅣ+程度だろう。クラックにはピトンが連打されており、右のカンテを使えば簡単だ。ここを越えた後は、超~楽しい馬の背リッジ。景色を楽しみながらのリッジ登攀。快適そのもの。アルパインクライミングって楽しいーと思える瞬間だ。
3P目はマッチ箱の懸垂ポイントまで伸ばした。45mほど。目の前には城塞が立ちふさがり、その左手には北岳頂上がでーんと聳立している。
天気は相変わらず最高で、風もない。気温も暑くなく寒くなく。僕の日ごろの行いが奏功して、こんな良いクライミングをさせてくれるのだろうか。。ってそんなわけないことは分かっている。
白い垂壁が城塞。右奥のでっかいのが北岳頂上 |
マッチ箱の懸垂ポイントは2つある。どちらもしっかりしていて、残置ビナもある。
左のDガリー奥壁には、ピオレドール受賞者の先輩をもつT大学山岳部P。彼らもいずれ世界に羽ばたいていくんだろか。一緒に連れてってー笑。
マッチ箱からDガリー側に10mのラッペル。すぐ下に上部フランケを登ってくるパーティーがいたので落石に気を使う。
続いて、懸垂ピッチ含めての5P目。自分がリード。尾根上のスラブ状のカンテラインを登る。左の凹角に入った方が簡単なようだが、大した差じゃない。此処もガイドブックにはⅤ-とあるが、Ⅳ+。50mほぼいっぱい伸ばして、かの有名な「枯れ木」手前の小テラスで切る。出だしのスラブはマッチ箱を右足でステミングしながら進んだ。マッチ箱は尾根上に乗っかっているだけで不安定、という話を聞いたことがある。この右足で蹴り落としてしまったらどうしよう・・・笑。バットレスの伝説の男になれるだろう。お相撲さんは懸垂できないね。マッチ箱取れちゃうよ。
マッチ箱から懸垂する後続P |
5P目。少々細かい。 |
崩壊部分は、まるでかさぶたを無理にはがしてしまったようなヒリヒリした感じの岩肌。思わず、おぉーっと言ってしまうような、すさまじい崩壊部。
手が切れそうなエッジを掴んで城塞下までトラバース。Ⅲ。
崩壊後の最終ピッチは、Dガリー奥壁と共通になる。城塞には3つルートがあるようで、右のチムニーが一番優しい。左の白い垂壁にはジャックさんが作ったⅥのフリールートがあるらしいけど、そんなとこ登るわけないじゃん。
このチムニーも登れない人は城塞を左から巻いていくことも出来るそうだが、猛烈なハイマツ漕ぎになるだろう。
城塞右の影になっている部分が崩壊部。トラバース中のA子さん。城塞チムニー下にはT大学P。 |
「枯れ木」下の小テラスにいる後続P |
城塞のチムニーは崩壊後は4尾根、Dガリー、上部フランケルートが合流することになり、小仏トンネル化する。昨日はこのチムニーでうまいこと登れない人がアブミを出したりしていて大渋滞となったらしい。ガイドブックにはⅣと書いてある。そんな悪いはずがないと登り始めてみたら、そんな悪いはずがなかった。傾斜はあってもガバガバでⅣの範疇を越えるものではない。左右左とピトンも残置されており、フリーが難しくてもA0できる。Ⅴくらいあるならまだしも、この程度をアブミなんか出してもたもたしているのはどうなのか。アブミ出した方が逆に難しくないか??入門の4尾根といえども、本チャンに変わりはないのだからもう少し練習してから挑戦すべきだと思う。
終了点には年代物のトマトジュースの缶があった。ハイマツでA子さんをビレイして、ちょっと歩いて終了。ガチャ解除。
ここから頂上までは、明瞭な踏み跡を辿る。そうすると、頂上より50mほど下の左肩の登山道に出る。
そして、北岳の頂上へ。3回目の登頂。A子さんは初の北岳登頂。前穂北尾根もそうだったけど、初が名クラシックというのはなんとも羨ましい。
のんびり写真を撮りながらやってきたけど、終始1番手で渋滞にもならなかったので、順調に来れた。この時点でまだ10時30分だったので、今日白根御池に泊まることもないねー・・・。あれ、小川山行っちゃう???行けちゃうね・・・。うん、行っちゃおう。。。
紅葉綺麗な登山道を下り、最近儲かっているのか増築中の肩ノ小屋を通り過ぎ、白根御池まで下山。またまた超美味い味噌ラーメンを頂いて、のんびーりしてから、樹林帯の急坂を下った。
芦安はすでに多くの車が帰京していて、普段の顔に戻りつつあった。
日本で2番目にアルカリ性が強い??とかいう美肌の湯に入って、僕らは廻り目平へ帰京した笑。
翌日は、朝からまさかの雨で出鼻をくじかれるも、早々に秋晴れになり、乾きの早そうな水晶スラブへ向かう。まずは手前のひょっとこ岩の「精神カンテ10a」。星二つルートなだけあって、10aながらもなかなかバランシーで面白い。
そして、久しぶりのどスラブへ。水晶スラブの「ツイスト10a」「越境者10a」「アバタもえくぼ10c」。
超絶ランナウトと、とまるか止まらないか分からないスメアリング。精神とラバーソールがすり減り続ける。さすが小川のスラブ。楽しいんだが楽しくないんだかよく分からないが笑、とにかく燃える!!
「ツイスト」と「越境者」はどうにか片付いたが、「アバタもえくぼ」には弾き返された。2ピン目上が核心でしょう。アンダー取ってからの左足右足のスメアリング。まるでパターゴルフのように岩の凹凸を読んで一歩一歩。でも結局、登れず。恐るべき小川の10cスラブ。おとなり「ノイズ11a」狙いだったが、全くもって戦意喪失。場所移動しましょう!
フェース&ハング好きのA子さんは当然本場のどスラブに大苦戦。先週は「スラブが分かった」なんてぬかしていたが、全然登れず。ばっとれすよりも難しいね。当たり前か。
そんでもって、初の岩場の純情岩へ。「純情太平のかかってきなさい10b/c」。カンテを使いながらフェースを右上するすっきりとしたライン。こいつをサクッと落として、気持ちよく連休を終える予定だったが・・・。。リーチが足らんのか、足使いがへたっぴなのか分からんが、あーだこーだやっている間にパンプして落ちる。。。4日間の疲れかなーなんて自分を誤魔化して終了。最近小川の11台がいくつか登れるようになり、少し調子に乗っていたが、10台にまた弾き返される。クライミングって難しいですね。
それにしても、この課題はムーブもあってなかなか楽しい。なにより登ったとの景色が素晴らしい。純情岩はルートは少ないけど、是非また来たい岩場。
ということでこの連休は、岩岩岩でした。
北岳バットレスはずっと憧れていたクラシックルート。最近、穂高とか谷川とか行くといつもこの調子で「ハイカー時代からずっと憧れていたルートだった」とかつまらんこというくせがついてしまったけど、今回も言っちゃう。つい数年前まで大樺沢から「いいなーかっこいいなー」とクライマーを見上げていた鼻たれ小僧だったんだしね。
バットレス4尾根はアルパインクライミングの入門ルート。崩壊後は少し難しくなった(というよりも面白くなった)ようだけど、全体的に傾斜は緩く、難しいところはない。谷川の入門ルートよりは簡単。バットレス全体の入門ルートであるとともにアルパインクライミング全体のの入門ルートという位置づけは変わらないだろう。困難さという点では少し物足りなさはあった。来年は、ピラミッドフェースや下部上部フランケ、Dガリー奥壁の継続登攀なんかをやってみようと思う。
まあ難易度どうこうよりも、国内第2の高峰のど真ん中のリッジを登る爽快感はたまらない。今回みたいな気候なら本当に快適で楽しいクライミングになる。何度来てもいいと思った。ただ、やはり3連休などの混雑が予想される日程は注意が必要。我々は白根御池から9時間ほどで登って帰ってこれたが、渋滞にはまれば壁の途中でビバークの可能性もある。
何より今回思ったのは、「超楽しー」「超快適ー」の中に、一抹の物足りなさ、というか「これでいいのか」という感じを持ったことだ。それはさっき言った「難易度」の問題ではない。
今回も事前によく下調べし、ガイドブックや他人の記録をよく読みこんで挑戦した。どこに何があって、どこをどう登るかということがすべて頭に入っていたのだ。だから初見であってもこうやってスムーズに登れた。でもそれでいいのか。ガイドブック片手に登るのが本当にアルパインクライミングなんだろうか。
来年は人口の練習をして屏風の雲稜をやろうと思っている。今シーズン逃した滝谷にも行くだろう。そしてたぶん、それなりに登れてしまうだろう。自分の能力を過信しているわけではないけど・・・。各岩場の初級ルートが終われば中級ルートへ。そして、上級ルートへ。中上級になれば、なかなか能力的に難しいところも出てくるだろう。
でもそうやってグラビアルートを登り続けることにどれだけの「価値」があるんだろうか。それが一般登山者の限界ということはわかってはいるものの・・・。
・・・って、まあそんなこと疑問に感じるほど経験積んでませんよね、あなた。はいその通り。
人が右むきゃ左向く。基本、あまのじゃくなんですよ。人のトレースを追うのが好きじゃない。びくびくしながらもね。
(組長)