Date : 2020/03/07
Member :まり(CL) 、ヤマ、ワタ、バード
Timeline :0859山頂駅→(途中道間違い)0956七色平避難小屋1018→1220東稜基部→1428日光白根山山頂→途中休憩→1624山頂駅→1713丸沼高原スキー場
※日光白根山ピークから山頂駅までは、実質70分程度

Author :バード

強いってなんだろうか。澄み渡る青空に、白銀の世界。ただ、怒りなのか寂しさなのか、足取りはひどく乱れていた。

ストレスの多い週だったのかもしれない。本命で狙っていた谷川東尾根は、アタック直前に登攀禁止に。そこにニュースが飛び込んできた。

杉野保さんが亡くなった。
別に僕は会ったこともない他人だ。ただ出発前夜、その訃報を聞いて、なんとも言えない喪失感を感じた。いつか講習でお会いしてみたいと思っていた。城ヶ崎に行くたびに眺めていた「魅惑のトラッド」。平山ユージさんのエル・キャピタン/エルニーニョの動画は繰り返し見ていた。その中に映る杉野さんはすごくクールだった。

そんな気持ちの中で、急遽決定した日光白根・東陵の準備を進める。朝4時に新宿バードベースを出発。8:30開始のロープウェイを目指し、進路を丸沼高原スキー場へ。初めての日光白根山。ロープウェイから見える姿は、まさに山という漢字を地で行くような様だ。二荒山神社の鳥居をくぐり登山開始。
ヤマはボード持参
山はヤマの”やま”だね!
二荒からの”にっこう”とのこと

あんなに強いクライマーだって亡くなってしまう。山は危険だ。強いってなんだろうか。久しぶりにワンワン揃っての山行。いつもなら唄でも歌いながら揚々と歩くような天気にも、足取りは乱れている。

そんな物思いにふけっていたら、道を間違えていることに気づく。七色避難小屋に続く分岐で道を間違えた。道が無かったので、トレースに引っ張られてしまった。つまり、ここから先はトレース無しだ。

定点観測地点
七色平避難小屋より、ラッセル体制を整える
沢地形の深いラッセルが一つの醍醐味

沢地形の深いラッセルが続く。雪も重い。弥陀ケ池が見下ろせる鞍部まで登り上げると、そこには真っ白な世界。そして、見上げると日光白根の岩稜が。
「カッコいい!登りたい」一気にスイッチが入った。やっぱり、実際にそのラインを見ると心が躍る。

ヤラセ感ある一枚
深いラッセルのトラバース
荒々しい岩稜のライン、登りたい!

2249m地点までトラバースし、東陵の尾根に取り付く。おや?ここからトレースがある。途中で追いつくと湯元側から上がってきたパーティとのこと。尾根にあがると雪質も変わってきた。ここでガチャとアイゼンを付ける。

ラッセル終了、ガチャを装備する
核心部が見えてきた
レディーファースト、ナイフリッジファースト

ピークから声も聞こえてきた。そして、山頂直下に本日の核心がある。前回の赤岳主稜に参加できなかったワタがリードを買って出る。岩は脆いが、枝やピナクルで中間支点は取れる。登り上げたピナクルでアンカーをセット。グレードはⅢとのこと。まぁ、そんなものか。

核心部の全容、先行パーティーが取り付いている
ナベによるリード
途中は同時登攀で
なんかアルパインらしい一枚

登頂、初の日光白根山。ゆっくりと景色を楽しんで、と息をつく暇もなく15:30の最終ロープウェイの時間が迫っている。そそくさと鳥居の前を通り登山道を下る。が、タイムアップ。しょんぼりとスキー場を申し訳なく下りる。ヤマは、自慢げに担ぎ上げ、デポしていたスノーボードで、スイスイと滑降していく。うらめしや。

登頂!そして絶景の青空
最終ロープウェイは行ってしまった・・・
そして、ボーダーは行ってしまった・・・

振り返ってみれば、ルーファイあり、ラッセル、登攀あり。そして岩と雪。コンパクトにアルパインの要素が詰まった好ルートだった。
山は厳しい。そこには怪我をしたり、命を落とすリスクがあることは確かだ。ただ、この登りたいという気持ちを大切に。良い仲間と良い山と。いま目の前の山を全力で楽しみたい。

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