Member : よっしー(CL)、みの(SL)、U-16
Timeline : 5:00舟山十字路-8:00立場山-8:45青ナギ-10:00無名峰-11:00P3ルンゼ取付き-14:00P4-14:30阿弥陀岳山頂-(御小屋尾根)-18:00舟山十字路
Author : よっしー
2020年はコロナ禍の影響もあり、いわゆる本チャンの山には行けていなかったが、みの、U-16、よっしーの3人で、昨年の北稜に続き阿弥陀岳南稜へチャレンジしてきた。
阿弥陀岳南稜は冬季アルパインを志す登山者にとって、入門的な位置付けとなるルートだ。
行程も長く、ロープワークもあり、入門とはいえ総合的な登山力が試される。
前日のヤマレコ記録を見ると、どうやら雪の量は少ない模様。風は強いようだが、天候は晴れということで、気持ちの良い山行になることが期待できた。
舟山十字路~立場岳~青ナギ
前夜は、いつもの八ヶ岳山荘の仮眠室に泊まり、翌朝3時半に起床。
車で10分ほどのところにある舟山十字路の駐車場に到着した。
この駐車場までの道は、冬になると凍結でスリップするらしく、今回はスタッドレスタイヤのレンタカーを借りて万全を期した。積雪量は少なく、問題なく辿り着けてまずは一安心。
みな、暖かい車の中で朝食を摂る。
みのが前日にコンビニで買った牛丼を楽しみにしていたのだが、米が冷え切っており、かつてないほど不味かったという(しかも、助手席に米をぶちまけていた)
U-16は今シーズン一発目の雪山ということで、やや不安を抱えながら冬山装備の準備を整える。少々のんびりしてしまい、5時ちょうどに出発。
林道をしばらく歩いていき、広河原沢を渡渉する道へ入っていく。渡渉といっても、雪で覆われているので、普通に歩いていけた。
そこから立場山に続く尾根に乗るのだが、そこがまぁまぁの急登だった。
迷いやすいので、GPSで現在地を確かめながら進む。
周りも明るくなってきて、雪山に登っているという感じになってきた。
地形図上の標高は2370mなのだが |
立場山を出て、景色が良いという噂の青ナギか?と思った場所でギアを装着することにした。
※勘違いで、ここはまだ青ナギではなかった |
少し下る |
少し歩くと、すぐに青ナギが出てきた。僕は以前、無雪期に来たことがあったので「あー、こんなところだったな!」」という記憶が蘇る。
阿弥陀岳の全容が見える |
斜面が雪に覆われ、とても綺麗。 |
青ナギを抜けると、ここからはまた急登が始まる。
息を切らしながら登り終えると、稜線に出た。
富士山に向かって用を足す、失敬なU-16(これを富士ションと呼ぶ) |
無名峰~P3ルンゼ取り付き~阿弥陀岳山頂
無名峰のあたりでアイゼンを装着し、登攀に向けた準備をする。
僕は新調したモノポイントアイゼンで、気合いが入る。
無名峰(2564m) |
奥は愛するカラムーチョを頬張るみの(ビレイ器の次に大事らしい) |
おそらくP1 |
おそらくP2 |
P2の左側を回り込む |
P3に向け、少しトラバース |
少し下っていき、P3ルンゼ取付きにあるワイヤーを探す。
そうすると、やはりあったワイヤー。
ここでセルフを取る。決して広くはないが、足場は安定している。
ちなみにこの時点でまだ11時だったので、そこそこ良いペースで進めていると感じていた。
ロープを結び合い、ビレイの準備 |
P3ルンゼ取付きから。やはり雪は少なめだ |
1ピッチ目は僕(よっしー)がリードすることに。
今回僕らが持っていったのは60mシングルロープ。
60mあれば、余裕を持ってグイグイ登れるだろうという算段だ。
3人のシステムなので、1人目がリード、2人目がアッセンダー、3人目はトップロープで登ることにした。
出だしの岩は少し上がりにくいが、モノポイントアイゼンの爪を駆使して登る。
1ピッチ目は途中に2ヶ所リングボルトが打ってあるらしかったので、それらを探しつつダブルアックスで登っていく。
錆びたリングボルト |
雪質は柔らかく、アイスクライミングのように気持ちよくはアックスが刺さらない。
このコンディションであれば、シングルアックスでも問題なかっただろう。
傾斜はそこまできつくないが、アイゼンとアックスを使って登るのは結構体力が要るもので、息が切れる。
ルンゼを登っていき、後ろを振り返ると気持ちの良い景色が広がっていた。
もうしばらく登っていくと、ボルトの打ってある大岩が見えた。60mロープなのでもっと行けたとは思うが、念のためここでピッチを切ることにした。
大岩のリングボルトでセルフ
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あまり長く滞在していると、寒さで凍えそうだ。
P3ルンゼは、途中から姿が見えなくなるのと、風で声が聞こえないことが想定されたため、ロープをゆっくり3回引いたら「登っていいよ」の合図というルールを決めておいた。
案の定、声は届きそうになかったので、3回ロープを引く。
その合図も伝わっていなかったようなのだが、なんとかセカンドのU-16がアッセンダーで登ってくる。このルートはトランシーバー必携だ、、
極寒のためダウンを着込むU-16
3人目の、みのも余裕でガシガシ登ってくる。
そうこうしてると、僕らの後からソロの男性がフリーで登ってくる。お待たせしてしまったので、先をお譲りすることにした。
2ピッチ目は、みのがリード。
15mほど登ったところの岩にボルトが打ってあるようで、そこに中間支点を取っていたが、そこから方向転換し、みのの姿が見えなくなる。
続くU-16も、再びアッセンダーで登っていく。
が、この辺りで先ほどソロで登っていた男性がなぜか降りてくる。
さらに、パートナーと思しき別の男性(恐らくガイドさん?)も降りてくるではないか。
我々のロープと交錯してしまい、ここで時間を食ってしまった。
まさか上から降りてくるパーティがいるとは思わなかったが、このような事で時間的リスクがあることも想定しておかねばならない。
僕が1ピッチ目をリードした後、2ピッチ目を登り始めるまで2時間近くかかっていた。
僕はずっとビレイポイントに留まっていたため、手足の指先がもげそうになるぐらい冷え、感覚がなくなり始めていた。
晴れていたからまだ良かったが、これで吹雪いていたりしたら、結構ヤバかったかもしれない。
そしてようやく僕の順番になり、無我夢中で登った(写真を撮る余裕がなかった。。)
2P終了点の岩角で、みのがビレイしてくれているところまで辿り着く。
ガシガシ登ったおかげで、少しばかり身体は温まったが、指先の冷えはしばらく続いた。
本道からややズレていたので、終了点のギアを回収した後、軌道修正しつつ歩みを進める。
山頂付近の稜線まで出ると、雪も少し深くなってくる |
最後の難所、P4のトラバース。
P3よりも怖いと書いてある記録もあったが、雪は少なかったので、足元に気を付けながら岩壁のホールドをしっかり持てば大丈夫だった(ただ、滑落すればどこまで落ちていくか分からない)
山頂直下をやや急登していくと、もうすぐピークだ。
雄叫びをあげるU-16 |
強風で雪が顔を打ち付ける中、記念写真 |
阿弥陀岳山頂~舟山十字路
昼食もロクにとっていなかったので、少しばかりモグモグタイム。日が暮れてしまうことが予想されたので、急ぎ足で一般道の御小屋尾根経由で下山する。
西の肩(摩利支天) |
夕日が差してきた |
辺りも暗くなってきたので、ヘッデン下山。無事、18時頃に元の舟山十字路へ到着した。
結局、13時間行動となりみんなクタクタになった。
久々の山行となったU-16も、最後までなんとかついてきてくれた。
前半の歩きは比較的良いペースで来ていたが、P3ルンゼでのロープワークに時間がかかってしまったのが反省点。
下山後は、もみの湯で冷え切った身体を温め帰路に着いた。
今回、2020年の最後に目標となるアルパインルートを制覇でき、とても達成感があった。
2021年も安全第一で山を楽しみつつ、次なる目標に向けてステップアップしていきたいと感じた良い山行であった。
おわり