Member : バード、ワタ、マッキー
Timeline :
1日目(28日):美しの森駐車場1050~1352出合小屋
2日目(29日):出合小屋0321~0620 2470m地点(稜線手前)〜0653カニのハサミ~0928大天狗~1044稜線登山道~1255ツルネ東稜~1507出合小屋~1758美しの森駐車場
Author : バード
今シーズンの冬季アルパインはじめ、ならびに2020年の登り納めは、赤岳天狗尾根に。
星降る夜。モルゲンロートに照らし出される岩峰。「山登りしててよかった」そんな瞬間に出会えた、冬の八ヶ岳だった。
せっかくの年末年始だし、どこか行きたいね。
そんな話をしているときにあがったのが赤岳 天狗尾根だった。
今年のあたまに、赤岳東稜を狙っていたとき。反対の尾根からクライマーの声が聞こえた。
「すごいかっこいいシルエットだなぁ」それが天狗尾根の印象だった。
そして、雪がなくても岩稜帯の岩登りは楽しめそうである。
そうであるならと、行き先は決まった。
オンラインになった例会で計画を聞きつけ、マッキーが合流。今回のメンバーに固まった。
レンタカーの都合でゆっくりのスタート。
2100,2400m付近で幕営するパーティーもいるそうだが、泊まり装備を背負っての長時間行動は気が重いということで、出合小屋ベースに。
となると、1日目は3時間ほどのアプローチだけである。
晴れかと思いきやの曇り |
ちょっとずつ晴れてきた |
出合小屋までには渡渉が2箇所ある。
この道はじめての私たちは涸れた沢を勘違いして「楽勝〜!」とか言っていた矢先、出合小屋の直前に渡渉現場に遭遇。
「危うくドボン、即時撤退か!?」とも思われたが無事に小屋に到着。
ここが渡渉なはずもなく |
こっちが本番でした |
雷の呼吸、壱ノ型@出合小屋 |
目当ての出会い小屋にはすでに先客が陣取っている。明日も早いし、こんなご時世なので外でテントを張らせてもらうことに。
明日の天狗尾根の取り付き地点の下見を済ませて、早めの夕食にありつく。美味しいチベット料理をワタが振る舞ってくれました。ごちさそうさまでした!
しかし、我々の明日は早い。飲み足りなそうなワタを横目に早めの就寝。
ご丁寧にありがとうございます |
あなたたちも好きだねぇ〜 |
【2日目】
この天狗尾根、山中で幕営するにしても2日目が長い。可能ならヘッデンをつける前に帰りたい。ということで、AM1時半に起床することに。
朝(というか深夜)、外に出てみると思ったより寒くない。それにしてもコールドムーン前の月明かりが神々しい。
ワタ手製のありがたい豚汁をすすり、3時半前に行動開始。
ヘッデンでの尾根歩きということで、道を見失わないかという心配もあったが、ヘンゼルとグレーテルばりにピンクテープが張り巡らされている。ただ贅沢なことにトレースはない。
煌々とした星空の下で、僕たちの足音がだけが響いている。
「あー冬の山にきたな」
そんな物思いに耽りながら尾根筋をつたっていくと2500m手前まで登りあげた。
雪の量次第ではナイフリッジな場所 |
稜線にあがってからは岩稜帯での登りになる。
ここでガチャをつける。そうこう準備をしていると白みはじめていた空に光が差してきた。
ふりかえると峰々の向こう側から、生命を象徴するかのような太陽が滲んでいる。
山が好きな人なら、一度は見たことがあるようなプリミティブな朝焼けの風景。
ただあまりに突然な副産物に「山やっててよかったぁ」と恥ずかしげもなく口に出してしまった。
美しい風景に後ろ髪を引かれながらも、我々は先を急がなくてはならない。
モルゲンロートとカニのハサミ |
グッドモーニング!! |
日差しを浴びたカニのハサミを右に見ながらパスすると、最初の岩峰に差し掛かる。
ここはフリーで突破。ただ、久しぶりのアイゼンでの岩登りは緊張感がある。
そこからしばらくすると、岩壁をトラバースしてのルンゼのエリアに入る。これが最初の核心となる。
フィックスロープが張られているが、自分たちでロープをリードしながらルンゼ上部まで登りあげる。
ルンゼ前のトラバースは、上からも下からも行けそうだが、手足も細かくいやらしい。
途中のプロテクションもちょうどいい場所がなく、ちょっとしたランナウトを味わえる。
細かい、怖い |
そこからは大天狗を思わせるニセ天狗を横切りながら、大天狗の基部に取り付く。
これを直登するのもかっこいいな、、と思いながら次のリードをマッキーに任せる。
このピッチは純粋な岩登りに近い。ところどころ抜けそうなハーケンでプロテクションもとれる。
終了点にはアイボルトが3発ほど打ち込まれている。
大天狗、近づくとデカい |
マッキーのナイスリード |
終了点でござい |
これが終わると、小天狗というネーミングがなんとも残念なカッコいい岩峰を横に見ながら登山道に出る。時間の都合で赤岳ピークはお預けに。
小天狗という名前だけが残念な奇岩 |
ヤマへのオマージュ写真 |
ツルネまでの道のりは登山道といえどガレガレしていて気持ち悪い。それにそこそこ長い(笑)
キレット小屋で一休みすると、ツルネ東陵の取り付き地点に。
ここから出合小屋までの下山が道迷いしやすいという記録を多く見かけたが、最近整備されたのだろうか。ピンクテープがこれでもかと張り巡らされている。
登山道といえど怖い |
ご丁寧にありがとうございます |
道迷いへの執念を感じます |
パタゴニア風なシルエット |
戻ってまいりました |
ざっくざくと出合小屋に戻り、美し森までの道を急ぐ。最終的には、月明かりの下で18時前に下山。
行動時間は約14.5時間。アルパインはどこまでいっても歩荷力だなと痛感した。
歩き、歩き、歩きだ。
帰りの車中。本日のハイライトは?という話題になり、
「自分がリードしたピッチ」
「全体を通して冬季アルパインができてよかった」
という話がでるなか、個人的には「ご来光」がとくに印象的だった。
アルパインのメインがご来光?いいのだ、山登りの楽しさなんて、きっと多彩だ。
2020年、なかなか山に入れない日々が続いた年になった。
個人的にも指の怪我などもあり、満足に自身の課題に取り組めた年とは言えなかったかもしれない。
ただ、山登りをやっていてよかった。そう感じることができる山行だった。
Have a nice day!
みなさまの山人生が来年も素晴らしいものでありますように。