Member :Tom、マッキー
Timeline :14日11:00新穂高~13:50撤退・デポ地点~15:00新穂高
15日11:00新穂高~14:00四ノ沢出合~15:00二俣~18:00テンバ2230m
16日8:00テンバ~8:45五月晴れ~15:00ピナクルの頭~18:00テンバ
17日8:00テンバ~9:45二俣~10:50四ノ沢出合~13:30新穂高
Author :マッキー
世間より少し早い4連休に、北アルプスのアルパインに行ってきた。
14日は、アプローチ。
途中で水を確保しようと考えていたが、穴毛谷に入って三ノ沢出合手前あたりまで来たが水が一滴も流れていない。
この先水がなさそうだったので、Tomと相談し、ロープとヘルメットをデポし一時下山することにした。
下山後は、KenKenで飛騨牛ホルモン鉄板焼き定食を食べた。
1300円で、ホルモンとお刺身が付いてくるお手頃で美味しい定食だった。
この日は栃尾温泉の富久の湯に素泊まり。
良い温泉の宿だった。
奥飛騨の温泉街に来ることなんてそうそうないので、宿の周りを散歩したり、近くのスーパーへ行ったりのんびり過ごした。
15日
再びのアプローチ
三ノ沢手前でデポしたものを回収し、三ノ沢出合に来ると三ノ沢から水が流れている! さらに登ると穴毛谷本谷も水がジャンジャン流れている。
この状況に、ここまで担いできた7リットルの水と回収した2本の60mロープで、私は一気に疲れを感じた(笑)
標高1800mを越えたあたりから、傾斜も急になり、足元は基本浮石しかない状態でどれもぐらぐら動く、そしてたまに崩れる。
一歩一歩気を使うので、気力、体力、時間が削られる。
二俣を左に入ってからは、浮石が多いとかではなく、足を置くと必ず足元の地面が崩れるといった状態になった。
アプローチの段階で既に、「帰りどうしよう」、という思いが湧いてきた。
二俣に入り二本目の沢を詰めた。
この沢は、傾斜がきつく、浮石の上に薄い土壌があり、この土壌から草が生えている状態だった。
足元は草で見えないうえに、地面に体重をかけると土壌の下の浮石が崩れる。
ここまでの状態だと、登山でよく使う「ワルイ」という表現より、「危険で、難しい」という表現の方が合う気がする。
再び、「下山どうしよう」という思いが湧いてきた。
日没直前、心が折れかけたころに、どうにかテンバについた。
テンバは狭く、2テンが1張ギリ張れるくらいのひろさだった。
16日
テントを開けると外は真っ白だったが、とりあえず出発。
登攀ライン
黄色線が登攀ライン、赤バツがピッチの区切り |
1P マッキー
1Pの登攀は、草付きと岩のミックスといった感じ。
取付き直後は草付きを登り、ほぼ垂直の岩壁、またはほぼ垂直な草付きまで来たら、自分がプロテクションを取りながら登れるラインを探りながら登る。
自分は、弱点を探し、彷徨った結果、壁を左から右へトラバースした後、カンテを回り込み、85度位の壁に、前傾したカチがある、凹角を5m登り1P目終了点がある草付きに抜けた。
カンテの手前から草付きまでは約10mランナウトしたので緊張した。
2P Tom
カンテ沿いに登っていくピッチ。
登るラインはわかりやすく、岩もこの岩場では割と安定していたが、クラックが少なく、プロテクションを取る場所探しに難儀しているようだった。
3P マッキー
肩まで入るくらいのワイドクラックを登り、コーナークラックの真下まで来たら終わり。
10m位の短いピッチ。
ワイドを抜けたところから |
アルパインとしては非常にキレイなコーナークラック
Tomが、登る様子を見ていると、ランナウトしたり、難しいムーブがあったりと緊張感のある登りだった。
フォローで登ったが、それでも難しかった。
このピッチの最後は、スリリングなトラバースで終わる。
濃いピッチです。
5P マッキー
また、ワイドです。
ワイドを抜けたら後は、浮石の多い岩稜登り。
3Pとこのワイドは、キャメロット6番でも、足りないくらいの広さなので、プロテクションを取ることは諦めて、落ちないように登りましょう。
どちらのワイドも傾斜は緩いので、楽しく登れるはず。
6P Tom
最終ピッチ。
10m位で終わる長さ。
乗越す瞬間が難しい。
6時間かかったが、無事完登!
難しい、ワルイところもあったが、これも含め、カムとナッツをフル活用し、オールナチュプロで登る、楽しいルートだった。
雲のかかった穂高連峰 |
テントに戻ってからは2人とも疲れ切っていたので、あっという間に眠った。
17日 朝
この景色がみたかったー!
朝、テントを出た瞬間が、この山行で一番テンションが上がった。
東には穂高連峰、西にはピナクル東南壁と最高のロケーション。
ずっとここに居たいが、ハードな下山が待っているので下山準備。
下山前に記念撮影
昨日、五月晴れ登りながら、沢の様子を見て、下山は、二俣から数えて、三本目の沢から下山する事にした。
②二本目の沢、③三本目の沢 |
三本目の沢は、草が生えていないうえに、浮石も少なく快適に下りることができた。
四ノ沢第一岩稜 |
左俣に合流しさらに下りていると、自分達の進路の約150m先に親子のクマがいる。
足元は、動けば必ず崩れ、自由に身動きが取れないような状況。
襲われたらひとたまりもない。
「下山どうしよう」という思いが別の意味になってきた。
しかし、こんな場所に回り道なんてないので、大声で叫びながらゆっくりクマに向かって進む。
ときどきクマが死角に入るうちにクマを見失った。
自分は、草付き対策で手に持っていたハンマーを握る力が強くなった(笑)
その後、クマと戦うことなく二俣まで下りることができた。
ただでは帰らせてもらえない、四ノ沢。
気分的には、穴毛谷本谷に合流してしまえば下山は、実質終わり。
それだけ、四ノ沢から先が悪かった。
穴毛谷 |
下山後は、茅野にある梅蔵でTomと「五月晴れ」お疲れ様会をして山行は終わりました。
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マッキーの感想
ピナクル東南壁「五月晴れ」は、自分にとってはこれまでにない位内容の濃い山行だった。
五月晴れのクライミング自体、非常におもしろかった。
また、これまでに行ったアルパインルートももちろん面白かったが、アプローチには踏み跡、赤布があり、壁に取付けば、ボルトやハーケンがあるといった具合でアルパインと言えど整備されていたが、
今回はアプローチは踏み跡、赤布は一切なく、壁に取付けば残置物はほとんど何もない、自分達でルートを考えながら、整備されていないところを登るため、
「今、自分で山登ってんなー」と感じるような山行だった。
そのため、これまでより濃く、面白いルートだと感じた。
今回の山行で自身は、「一皮むけた」、というより「一皮剥ぎ取られた」、そんな感覚になるくらい強烈で刺激的な山行だった。
自分としては、五月晴れの登攀は四ノ沢に入ったところから、はじまっている感覚。
五月晴れは、良い、面白ルートであるが、アプローチ、登攀ともに難しく、危険であるため、安易におすすめできないそんなルートだ。
こんなルートだが、今回はよく一緒に岩に行くTomと登った為、安心して登ることができた。
Tomさん、ありがとうございました。これからも岩や山に行きましょう。