Member :のむら・ひろみん
Timeline :
GWを利用して、なかなか行くことのできない大峰奥駆道(弥山~熊野)を歩いて来ました。
朝7時、高速バスで奈良駅に到着。在来線を乗り継いで下市口駅で、バスに乗り換え天川川合で下車。川合から行者還トンネル西口まではタクシーで約30分。登山口には30~40台ほどの車やバスが止まっていた。13時登山口出発。
下山してくるたくさんの登山者とすれちがいながら16時半頃弥山小屋に到着。弥山山頂の天河奥宮から明日向かう八経ケ岳の方を見ると、沢筋には幾分か雪が残っているのが見えた。夜は寒くなく、夏用シュラフ+インナーシーツ+シュラフカバーで快適だった。
4/30(月)曇のち雨/弥山~釈迦ケ岳~深仙小屋
6時半弥山発。八経ケ岳山頂直下は、雪がやや残っていたけれどアイゼンは必要なし。
八経ケ岳以降は、しばらく平坦な地形が続くものの、あちこちの沢筋で崩落箇所があった。平坦な所では途中間違った踏み跡を辿っていたらしく、気がついた時には踏み跡がなくなる寸前だった。よくよく周囲を見回してみると、しっかりした踏み跡が見つかったものの、ちょうどそこの地名は「七日迷い」。七日も迷い続けることを考えると、ぞっとする…!
登山道上でも2ヶ所崩落しており、1ヶ所目はトラロープがあり問題なし、2ヶ所目は楊子ノ宿にすぐ直前で大きく崩落していました。のむらが先にガレ場を横切り、後からひろみんが上部を巻いた。当然巻いた方がよかった。後から他の人に聞いた話では、横切ろうとして2,3m落ちた人も何人かいたようだけれど大丈夫だったとのこと。
今にも降り出しそうな雨を心配しながら鳥ノ水を過ぎた頃、突然切り立った岩が目の前に現れ、下部の山々がぱっとひらけて見え、それらを見渡すかのように足下に蔵王権現像があった。おもわず、うわぁ!と声をあげてしまった。なぜだかわからないけれどものすごく美しくてドキドキした。
釈迦ケ岳に近づくに連れ雨は強くなった。雨で濡れた馬の背状の岩場を少しイヤ~な気持ちで通過し、山頂に着いた頃には本降りになった。一刻も早く辿り着きたい気持ちで笹で滑りそうになるのをこらえながら、深仙小屋まで約35分の下り。先にお堂が見え、その先に質素なトタンの小屋が見えた。今夜はこの避難小屋にお世話に。夜が更けるにつれ、雨は嵐のようになってきた。
5/1(火)雨/停滞
夜中からずっと強風&豪雨。本当はこの日はこの山行中最も行動時間の長い行仙小屋までの移動の予定だけれど、この雨風では体力を消耗してしまいそう。昨日から一緒の単独のお姉さんと3人、雨と風の音を聞きながら焚き火を始め、何度も話し合った末この日は停滞することにした。
普段はテント泊がほとんどのため、関西・関東・九州など各地からめいめいに集まった知らない人たちと焚き火を囲んでおしゃべりは、旅をしているようでとても楽しかった。明日は今日以上に雨が降ると言うので、明日はどうなることかと思いつつ就寝。
5/2(水)雨/深仙小屋~平治ノ宿
朝起きてもやはりまた強い雨風。でもまたここで2日も停滞しても仕方がないので、一番近いエスケープルートの前鬼(ぜんき)まで下りるか、または平治ノ宿まで進むか、分岐までの約30分間を天気と自分たちの進み具合の様子を見ることにした。風は思ったより強くないように感じたため、前進することにした。
行動中はほぼずっと、和歌山側の沢沿いから吹き上げて来る風に叩き付けられていた。木陰や倒木の根っこでわずかにくつろげるものの、立ち止まってしばらくいるとすぐに体が冷えきってしまうので、休憩もままならない。
持経ノ宿を過ぎた後あたりからようやくなだらかな地形になり、同時に枯木と笹の森のような静かだった植生が、活き活きとした植生に変わり始めた。大きなぶなの木や花が見え始め所々に「新宮山彦ぐるーぷ」と書かれた手作りの看板が現れ始めた。どうやらこの一帯をボランティアで整備されている山岳団体さんのようで、行仙小屋以降の小屋や、草刈りなど登山道の整備されている様子。この方々のおかげで多くの登山者が助けられているのだと思うと、本当に有り難い。
ようやく雨風が落ち着き出した頃、気持ちよく平治ノ宿に到着。先客の停滞おじさんが一人おられ、すぐに濡れた私たちに火をおこしてくれた。とっても嬉しかった!ラジオからは、明日はやっと天気が回復しそうとのこと。
※「新宮山彦ぐるーぷ」について。 http:///wiki/%E6%96%B0%E5%AE%AE%E5%B1%B1%E5%BD%A6%E3%81%90%E3%82%8B%E3%83%BC%E3%81%B7
5/3(木)晴れ/平治ノ宿~行仙岳~玉置山~本宮辻
朝起きると雨は上がっていて曇り空。6時30分小屋発。二日前に変更した予定では今日は塔ノ谷のテン場まで行き、明日玉置神社からエスケープする予定。けれども歩いているうちに、本当に本宮まで行かなくていいのか?という気持ちになり、歩きながら何度も何度も二人で話し合った。結局この一日くらい頑張ろう!という結論に至り、計画書では前日のテン場としていた本宮辻まで行くことに。
そう決まると後は急ぐのみ!笠捨山はピークまでの偽ピーク含むアップダウンが厳しくぜーぜーと息切れ、鎖場が何度も続く槍ヶ岳~地蔵岳では一度道間違い、香精山以降はこれでもかというほど急な植林地の下りで膝が笑いそうになる。花折塚辺りまで来ると、すぐ隣に林道が走っているためか植林地の中の山道を歩くのもマンネリ化してくる。最後の登り玉置山山頂直下のカツエ坂ではもうバテバテ。最後の追い込みと言わんばかりに頑張った!ようやく玉置神社が見えた頃はもう19時前。薄暗い中参拝し水を汲ませてもらい、ヘッデンを着けて約30分。19:15にようやく本日のテン場本宮辻に到着。行動時間13時間。もうへとへと〜!
5/4(金)晴れ/本宮辻~本宮
4時過ぎ出発。林道を少し歩くと山道の入口に壊れた梯子があり、梯子の脇のガレ場をやや慎重に通過。よかれと思って急いで出発したものの、まだ夜も明け切らず薄暗い。もう少しゆっくりすればよかった。歩いているうちに朝日が昇り始める。久々に見た濃いオレンジ色の太陽が美しかった。
大峰奥駆道の最後は植林地を抜けると急に緑地公園に出て、林道と公園をかいくぐりながら熊野川に突きあたる。初めて熊野大社の鳥居が見えた時の感動と言ったらなかった。熊野本宮までの国道を歩きながら、この数日間天候と自分たちの体力と日数を照らし合わせながら本宮を諦めかけたこと、その度に二人で何度も何度も話し合ったことを思い出し、じーんっときた。もう少し、もう少し、まだかなまだかな、ようやく着いた熊野本宮への参道で、前を歩いていたひろみんが振り返った時なみだ目になっていて私もまたつられそうになった。
個人的には1月に怪我をして以来、久々に何日も山に行けること自体がとても嬉しく、わくわくしていた。また、3年前に歩いた時とても気に入った山域だったので、今回本宮まで抜けられたのはとても嬉しかった。北(吉野)~南部(本宮)にかけて植生が大きく変わっていく様子が本当に面白いし、天然林の美しさと背後にある物語性や神秘性、人の少なさといい、本当に良い山域だと改めて思った。苔は前回の11月頭に行った時の方が美しかったけれど、この時期は緑がきれいだった。あぁ、楽しかった!一緒に行ってくれたひろみん、ほんとにどうもありがとう!
【小屋・テン場・水場メモ】
○弥山小屋
テント15張ほど可/水は小屋で買える
○楊子ノ宿
広くてきれい・2階建て・15~20名近く寝られそう
テント5張りほどか/水場まで4分(他の方曰く水量豊富とのこと)
○鳥ノ水
深仁小屋で泊まる場合、ここで水をくんで行った方がいいとのことを人づてに聞いた。
5月時点はやや出ていたが、晴天が続く夏〜秋は涸れるかも。
○深仙小屋
小屋7名ほど+お堂3名ほど泊まり可/焚き火可
小屋前はしばらく広く平らな地形のため、小さいテントならどこかしらに張れそう
水は岩壁に溜まった雨水がこぼれ落ちるのを集める程度のため、晴天が続くと涸れるかも。
○持経ノ宿
広い・20名ほど・トイレ有り・焚き火可・小屋協力費千円以上/水場まで400m
○平治ノ宿
7名ほど・トイレ有り・焚き火可/水場まで10分ほど、ややガレ(らしい)
○行仙小屋
広い・15名ほど可?・焚き火可・トイレもありそう
水場は今回は利用しなかったが地図では10分下るとのこと
○葛川辻テン場
杉林の中で2~3張りほど可/水場はそう遠くないとのこと
○塔ノ谷テン場
杉林の中/水場なし
○玉置神社
宿坊・5日前までにファックスで要予約
○玉置辻
車3台分の駐車場+未使用の林道があるため、テントは多く張れそう
水は玉置神社で頂戴した