Date : 2013/01/26-27
Member : テトラオドン、組長
Timeline :26日: 赤岳山荘1247~1527行者小屋
27日: 行者小屋0743~0835主稜取り付き0945~1300上部岩壁基部(6P目取り付き)~1509北峰頂上~1512赤岳頂上~1619行者小屋1719~1820赤岳山荘

赤岳西壁のバリエーションで最も人気の高い主稜に行ってきました。酷寒の中、思っていたよりも厳しいクライミングになりました。
今回は、26日に阿弥陀北稜、27日に赤岳主稜を楽しむ予定でした。しかし、信頼性抜群のヤマテン予報では、26日の赤岳山頂の天気は、気温-22℃風速20m・・・。ダブル20☆です(そんな言い方誰もしてませんよ)。天気図を見ても、日本列島上に縦じまの等圧線が9本もギューっと列島を締め付けています。5本あれば強い冬型とよく言われているから、とにかくやばそうだという事が一目でわかる。さらにさらに上空には-36℃のヤバい寒気が流入予定・・・。

しかし、アホな僕は、ダブル20という厳しい環境にちょっとワクワク。撤退も覚悟で体験したいなーなんて思って、一応、テトラオドンさんの意見を伺う。しかしさすがはテトラオドンさん。しっかりと身を固め守るべきものがある責任のある大人の意見は、フラフラ根なし草の意見とは違って現実的。。「今回みたいなアルパインで、わざわざそれ(ダブル20)を体験することもないんじゃない」。はい、その通りです。やめましょう。
実は、前日の25日夜に、ヤマテンでお馴染みの猪熊さんの講演会に行ったんですが、猪熊さんも「明日はヤバいです」(こんなザックリした言い方ではありませんでしたが・・)、とおっしゃっていました。神様、仏様、猪熊様がおっしゃっているのだから、やっぱり26日は全然ダメなんでしょう。阿弥陀北稜は、日帰りでいつでも行けることだし、まあいーか、ということで、赤岳主稜1本に絞り、26日はのんびり出発することにしました。27日は、気温は朝を中心に低いものの日中は晴れるようだし、風も収まるようなので、問題なさそう。予想天気図を見ても等圧線間隔が一時的に広がり、冬型は緩むよう。

ちなみに、25日夜の猪熊さんの講演は大盛況でした。300席は満員御礼で立ち見の人もいました。内容は、個人的には、概ねこれまでの復習が多かったですが、いろいろ面白いことも新たに教わって充実したものでした。天気って面白い。


26日朝。
9時前にゆっくりとテトラオドンさん宅をお馴染みパジェロで出発。パジェロには以前いなかったリラっくまが乗車していました♡♡♡
対面通行中の笹子トンネルはペースメーカー車も入っていて案の定渋滞でした。あの仕事退屈そ。
甲府付近まで来ると南アルプスや周辺の山が見えますが、やはり天気はかなり悪そう。市街地はかろうじて晴れ間が見えますが、1500m以上の山岳では厚い雪雲がかかっています。八ヶ岳も中腹以上は雲の中で、稜線を抜ける雲が異常な速さで動いています。今日はやっぱりやめて正解。
小淵沢くらいから雪も降り始めました。

いつも通りの感覚で美濃戸口まではノーマルタイヤで行けるだろうと思っていたら、かなり考えが甘かった。諏訪南を下りてすぐのファミマを越えたあたりからもう雪道。少しいったところでチェーンを着けました。4駆パジェロ4輪チェーン!!この安心感はたまりません。もちろん、美濃戸口を通過して、赤岳山荘までレッツゴー!!なんなら、硫黄岳くらいまでは登れそうです笑。美濃戸口から赤岳山荘まで歩いている人たちを「こっちは上まで行けるもんねー」と優越感に浸りながら次々抜いていく。。ま、テトラオドンさんのパジェロだけどね・・・。
ちなみに赤岳山荘まではいつも以上にボコボコで、車高の低い普通車はもう無理です。
君にはかなわんよ・・・

赤岳山荘Pにも結構車が。。のらりくらり準備して出発。気温は-8℃。雪が降り続いています。
南沢の登山道は、年末とは大違い。深い雪に覆われています。まるで上越のよう。こんなに雪が多いのは初めてです。ただ、おかげでいつもはツルツルの道がアイゼンなしで問題なく歩けました。
よさげなボルダー

ここは新潟か!?
足の故障でしばらく戦線離脱していたテトラオドンさんは、まだまだ本調子ではないらしく、少し遅れてマイペースで歩く。途中、下山してきたおっさんに、今日の稜線の様子を伺ったところ、手元の温度計で-20℃、稜線は爆風でその上、中岳~阿弥陀の稜線は胸ラッセルだったそう。八ヶ岳で胸ラッセルって・・・。疲労感がにじみ出ているおっさんの口のあたりには、ツララができていました。わかりやすいなーおっさん。明日は家族サービスだというおっさん。お疲れ様です。
それにしてもやはり今日阿弥陀北稜に行かなくて良かった。下手に突っ込んだら、本当に死んでしまう。
行者に近づいてくると風雪はさらに強まってきた。樹林の上ではゴォーゴォーと恐ろしい声で風が喚き散らしている。
行者小屋はすっかり雪に埋まっていた。
年末年始ではないから、もちろん営業していない・・・と思いきや、なぜか人の出入りがある。なんでも長野県の山岳会が合同で小屋を貸し切っているらしい。玄関にはストーブの暖かい灯が煌々と光っている。小屋があるっていいなー。あんだけ厳しい環境にワクワクすると言っていたヤツが、一転、目先の安らぎに浸る。人間は易きに流れやすいもんです。
そんなことはいいとして、とりあえずテントを立てる。しかし、整地のためにシャベルで頑張っていたら、どうやら右手の先の様子がおかしい。特に薬指と小指の感覚が全くなくなっている。痛いを通り越してしまっている。そう言えば、先ほどから周囲は吹雪始め、体も震えるほどに冷え切っていた。思わず手袋を取って手先を確認してみると、なんだか青紫っぽくなっている。やばいんじゃないか、これ。。触ってみると、テーピングでガッチガチに固めた上から触っているようで、全く触っている感覚がない。さすがに少し焦り、急いでテントに荷物を放り込み、保温するため小屋内のストーブの前に駆け込む。10数分ほどしっかり暖めて揉みほぐしていると、ようやく指先は赤みを帯び始め、本来の感覚が戻ってきた。
どこまでいったら凍傷なのかよく分からないが、今まで経験したことがないほど、本来の手の感覚から遠ざかっていたので少々焦った。もうしばらく放っておいたら、本当に凍傷になっていたかもしれなかった。テント場に着いた安心感も油断を生んだのかもしれない。その時すでに-15℃まで気温が下がっていたのに、オーバーグローブも着けずに金属であるシャベルを握りしめていた。
自分はまだ冬山の恐さが全く分かっていないのだ。暖かいストーブの前で柿の種をつまみながら、内心、猛省していた。

小屋では相変わらず、長野の山岳会の人が賑やかにやっている。こちとら、意を決して吹雪の中、テントに戻った。
テント内で夕食を取り、いつも通りの日本酒。テトラ兄さんは、いつものようにこのロクデナシの将来を心配してくれる。。ありがたい。。。
外気温はぐんぐん下がり、テントの外に出していた温度計は、20時頃-18度になっていた。
寝てる時は、そりゃもう寒かった。3,4回は寒さで目が覚めた。自分は比較的寒さに強い方だと思うけど、そんな些細な人間の個体差など、-20℃の寒気はお構いなしだった。テトラオドンさんが上下のダウン+テントシューズでしっかり防寒しているのに、こちとらほかほか物語(ホッカイロのパクリ品)を申し訳程度に2枚足裏に張っているだけである。寒いの当然。


27日朝。
温度計はついに-20℃の大台を越える。でも、なんだかちょっと嬉しくなった。昨日はずっと雪が降っていたから、文三郎はラッセルになりそうだ。今日は「快適な登攀」を主たる目的できていたので、いつもと違ってラッセルは気分が乗らない。今日は日曜だし、昨日美濃戸にいっぱいいた登山者が、文三郎にトレースをつけてくれるだろうと、軟弱な作戦を立て、出発は結構遅めの7時40分頃。もちろんラッセルしたくないという理由だけで時間を遅らせたわけではない。ヤマテン予報で早朝は酷寒・強風だけど、日中に向かって穏やかになると言っていたので、遅く出発した方がいいのだ。
行者を出発。酷寒。
中岳沢の分岐の看板は埋まっている。阿弥陀北稜へは腰ラッセル。

まあとにかく出発。くそ寒い。なんなんだこの寒さは。そして雪が深い。2,3人分のトレースがついてあったけど、今日一番の人は膝までのラッセル。天気は良くなるはずだけど、一向に濃霧は取れない。階段が完全に雪で埋まった文三郎をどんどん登っていき、主稜取り付きにもう少しというところで、ようやく霧がはれ始め、美しい山々にやっと朝の挨拶ができた。
赤も横も阿弥陀も、まっ白。いや、白を通り越して少し青い。稜線では爆風で飛ばされた雪が雪煙となって虚空に投げ出されている。なんて神々しく美しいんでしょ。心底感動していました。
だけども、あの爆風はやばそう。今、稜線に行ったら、体一つで鳥人間コンテスト優勝間違いなしだ。でも、ヤマテンの猪熊様は昼までにはあの爆風は止むとおっしゃっている。信じましょう。
雪深い文三郎

行者を見下ろす

ついに出たー

横も出たー、けど、爆風中。

阿弥陀も出たー

白い要塞
主稜取り付きへのトラバース地点に着く。
ここから見上げる主稜はかなり険しく見えた。気温・風ともに厳しい状態だったし、雪も大量についている。
相変わらずテトラオドンさんは少し遅れ気味。その上、霧が取れた途端にシャッターを切りまくっている。先にここまで到着していたヘルメットをかぶった2人組に「今日は主稜ですか」と声をかけると、「そうだけど、今日は状態が悪そうだから、やめることにした」とのこと。確かにこの寒さと風。良い状態とはいえない。でも晴れている。
主稜にはまだ誰も取り付いていない。遅く出たはずなのに、意外と一番乗りだった。
テトラオドンさんがようやく上がってきて、ハーネスを着けたりいろいろ準備をしている。自分は出る時にハーネスは着けていたし、準備は済んでいる。そうして待っている間がまたくそ寒い。手を振り回したり、足踏みしたり、と、しきりに体を動かしていないとやっていられない。
ようやく準備が整って、トラバースにかかる。このトラバースは重大な事故も起きているし、慎重にというアドバイスも受けていた。また、昨日はずっと雪が降っていたので、雪崩の心配もあった。ここは、死んでも当面問題のない自分が一番で突っ込む。ところどころやわらかい新雪でハマるけど、雪面は案外しっかりと固い。強い風と超低温で表面に厚い板状のスラブ面ができているのかもしれない。人一人の重さでは破断の原因になるようには思えないので、ひとまず雪崩の心配はいらないように感じた。一応ロープを着けて行ったが、トラバース自体も全く問題はなかった。途中の岩に新しいペツルが打ってあって、ランニングも取れる。
取り付きへのトラバース

1P目の取り付きには新しめのペツルが2つ。ただこれも、最初着いたときには完全に雪の中にあり、すぐには見つけられなかった。
1P目は、自分がリード。ガイドブック等ではⅣ級のピッチとなっている。チョックストーン乗っ越す部分が少し傾斜がきつい。体が震えるほど冷えていたのもあったかもしれないが、最初は少し悪いんじゃないかと感じた。ただ、CSを上下から抱えるようにして持ち、両足をステミングしてズリズリ上がっていけばよいと分かると、それほど難しくはなかった。CSに乗りこんだあとは、これまた雪の詰まったチムニー状を4,5mほど上がり、まっすぐ上がったところにあるテラスの岩角でピッチを切る。
CS手前の右壁とCSを越えた後の左壁に残置ピトンあり。ただ、2つ目は効きが甘い。CSにはお助けスリングがかかっているが、体重をかけられるような代物ではない。
1P目のCSとチムニー
テトラオドンさんも楽々と上がってくる。今日もでっかいカメラをぶら下げて・・・。
上から見ると結構傾斜がある
2P目はテトラオドンさんリード。少し右上してリッジを回り込んでから左手に見える2,3mほどの小フェイスを登って、リッジ上に戻る。かなり時間がかかっているようだ。なかなか解除のコールがない。こっちはもう寒さで震えが止まらない。早くしてくれーと思いながら、ジタバタと体を動かしまくる。チムニーの下には後続パーティーがやってきていた。
このピッチ、ガイドブックや他の人の記録を読むかぎり、小フェイスはホールドスタンスともに豊富で簡単ということだけど、雪が詰まりまくっていて、ホールドスタンスは多くない。リードしたテトラオドンさんが時間がかかっていたのも除雪作業に追われていたからだそう。事前情報では、手ごろなクラックもあってカムも使えるということなので、3つほどカムを持ってきていたが、やはりクラックにもびっしり雪が詰まっているのか、カムが使えそうなところは見当たらなかった。テトラオドンさんが掘り出したと思われるホールドを使って登る。岩はかなり脆く、体重をかける前に十分注意が必要。結構、しょっぱい。後続パーティーはここで一人落ちたようだった。ビレイ点は、リッジ上の岩角。残置ピトン類は見当たらなかった。たぶん雪の中だろう。
2P目
 
3P目は自分がリード。簡単な岩稜(といってもほぼ雪)から雪稜上に上がったところでピッチを切る。ロープは特に要らない。手ごろな支点が見当たらなかったので、雪稜上にスノーバー2本を打ちこんでビレイ点にした。ウインドクラストした雪は非常に硬く、バイルでスノーバーをたたき込むと非常によく効いた。後続パーティーは雪上にちょっとだけ出ている怪しげな灌木でビレイしていた。
すぐ先にある階段状の岩場までは簡単なので、コンテ・・・というか、ロープを持って歩く。
3P目

 
3P目ビレイ点

 
4P目は階段状の岩場を上がってから、長い雪壁が始まる手前のリッジ上まで。階段状の岩場の手前の雪上にスノーバーを打ち込み、テトラオドンさんをビレイ。このピッチもやはり雪がいっぱい詰まっているが、難しくはない。残置ピトン1つ。
4P目
 
5P目は左手にピラミダルな岩壁を見上げながら、45度くらいの雪壁を登る。右上していき、リッジ状になっているところに小テラスがあるのでそこでビレイ。
アックスがサクサク決まって、リズミカルに気持ち良く登れる。超楽しい。3往復くらいしたくなる。
文三郎にはたくさんの登山者が見えた。彼らと同じように文三郎からは何度も赤岳主稜を登っているクライマーを見ている。だから、彼らの見ているであろう景色を知っている。その画の中のクライマーなのだ、今の自分は。白く険しい岩壁の中をアックスと前ヅメでガシガシ登っているクライマー。それが今の自分。アックスを不必要なほど振りかぶってみる・・・。まさにナルシシズムの極み笑。まあ勘弁ください。とにかく、今、自分はやりたかったことができているとしっかりと実感できていて、ゴキゲンなわけです。
このピッチは、プロテクションこそ取りづらいが、簡単なので問題なし。このピッチで主稜は尾根の形状をいったん失い、段違いの尾根が左手にせり上がっている。次はこれに乗る。

 
5P目
5P目を上がってくる後続パーティー
 
5P目が終わったところで小休憩。後続2人組は結構早いので、のんびり楽しみたいこちらとしては、ここで先に行ってもらうことにする。シャリバテ気味だったので、阿弥陀の美しい景色を眺めながらいろいろ食らう。アミノバイタルはかちかちに凍っていた・・・。ただ、ここまで来ると、何となくキラキラした小雪が舞っているものの、風も穏やかになり、気温も上がってきたのでだいぶ落ち着ける。猪熊様の「お告げ」通りの天気だ。だけど、まだ手足のしびれは残っていた。
さらに下から5人組の後続パーティーが上がってきた。結局、今日主稜に入っていたのは我々含めて3パーティー。他のパーティーは何度も登っていると思われるベテランさんだった。さすがにルートの状況がよく分かっていて、我々は5P目の終了点は岩角で取っていたが、あとから来たおっさんは、とことこ登ってくると躊躇なく岩にびっしりついたエビのしっぽをはがして、綺麗なペツル2つを掘り出していた。そんなところにあったんだ。オンサイトじゃ絶対に見つけられない。このおっさん、いつ買ったんですかと聞きたくなるくらい年代物のトンボのようなサングラスをかけ、下北の古着屋さんで売っているようなヤッケをはおり、おまけにつぎはぎだらけの派手なオーバーパンツを履いていた。オールドスクールな感じのおっさんだった。さぞベテランさんなんでしょう。
吸っても出ません
 
まっ白なお隣の南峰リッジ
 
6P目はテトラオドンさんリード。上部の核心である。実は内心、下部と上部ともに自分がリードして、核心ドロボーしてしまおうと考えていた。でも何を勘違いしたか、上部は2ピッチ目が核心だと思い込んでいたが、この6P目が核心だった。
最初の2mほどの岩を上がり、凹角状を登る。先行パーティーは苦戦していたが、それほど悪くはない。
6P目の最初の段差。先行パーティー。
 
凹角状のあとは、左手のリッジに上がるために3mほどの壁を登る。ここが結構悪かった。1P目のCSよりも明らかに悪い。今日の岩の状態では、体感的にⅣ+~Ⅴくらいに感じた。やはり雪がびっしり詰まっていて、ホールドスタンスは乏しい。掘り出したホールドを全てスタンスで使えるわけではないので、何となく怪しいアイゼンスメアで切り抜ける。・・・と思ったら、ロープが足下の岩角でスタックしている。しょうがないから、足下までクライムダウンするが、このクライムダウンはかなりヤバかった。ロープがついているから、奈落の底に落ちることはないけど、2,3mは落ちるし、その高さかアイゼンで岩の上に着地したら、ポキっといっちゃうかもしれない。
・・・・みたいなメンタル面の葛藤が、何だか面白い。楽しんでいる。なんでだろ。自分、変態かもしれない。。。
何とか落ちずにクライムダウンしてから、もう一度登り返す。テトラオドンさんは岩角でビレイしていた。すでに、かなりお疲れな感じだった。確かに、この時点で結構疲労感はあった。朝から寒さでずっとバタバタと体を動かしていたし、岩角で時折スタックするロープはかなり重い。上腕に結構乳酸がたまっていた。
6P目は、残置ピトンがいくつかあったが、どれもかなり怪しい。
 
7P目は自分がリード。40度くらいの雪壁を10mほど登り、ルンゼの中に入っていく。最後少しだけ傾斜が出るが、問題はない。ルンゼを抜ける手前でロープいっぱいとなったため、岩角でピッチを切る。野良仕事(ロープワークのこと)が疲れる。
ここら辺はイマイチ尾根の形状がはっきりしないが、まっすぐ岩と岩の間を登っていけば問題ない。
7P目
 
ここから先はロープ1本でいいかなと思ったけど、少し行ったらむしろロープなんて要らない優しいピッチだったので、ロープはしまう。左手には赤岳のショルダー。主稜線の一般登山道が見えている。傾斜も落ち、安心感と達成感に包まれながら、北峰頂上に立った。赤岳頂上である南峰リッジに向かう途中、綺麗な富士山が見えた。感動して思わず声をあげた。
頂上ではいつものがっちり握手ではなく、ハグ♡♡♡
山頂には誰もいない。というか、後続パーティー以外は周辺の道に人が全く見当たらなかった。日曜なのに静かな赤岳だった。
風は強くありません笑
 
思っていたよりもかなろい時間がかかってしまった。取り付きから5時間30分もかかっている。帰りが遅くなるのであまり長居はできない。そそくさと文三郎を下山。ただ、景色はすばらしいのでテトラオドンさんは写真撮りまくり。。
今日の赤岳
 
主稜への取り付きに向かうトラバース地点まで戻って、改めて主稜を見上げて感慨に耽る。
昨日行くはずだった阿弥陀北稜には朝にはなかったトレースがあるのが見える。しかしここから見ても北稜のジャンクションピークまではかなり深いラッセルのようだ。
「岳」!!
行者に戻ってテント撤収。日が陰りだすと、一気に冷え込みがきつくなる。今日夜から明日にかけて、-36℃の寒気がまたまた流入するらしい。その走りがすでにやってきているようだ。さっきまでは暖かだったのに、急激の気温が下がり、-16℃・・・。外していたオーバーはガチガチに凍り、つけ直すと油の切れたロボットの手のように動きが悪い。ザックはバリバリと紙袋のような感触になっている。
 
あまり遅くなると心配する人がいるので(自分じゃなくてテトラオドンさんを・・・)南沢を一気に下山。途中からヘッテンを点ける。1時間ほどで美濃戸山荘までついた。相変わらず雪が多い。年末、阿弥陀南稜から下山で南沢を下った時は、カチカチで転びまくったのでアイゼンをつけ直したが、今日は全く問題ない。
すっかり暗くなった頃、パジェロに到着。凍りついたドアがなかなか開かない。フルパワーで引っ張るとようやくバリっと開いた。車内の飲み物はカッチカチに凍っていたが、リラッくまはふんわりやわらかだった。ちょっと、ツネってやった。
パジェロが、長い冬眠から醒めたような元気のないエンジン音を立てた。
 
赤岳山荘近くにカモシカ。人一人や二人では全く動じない彼らだったが、パジェロの迫力に尻尾を巻いて逃げだす。あれ、そういやシッポあったっけ・・・。
 
下山後は、うれしい300円の時間帯に入った樅の湯へ。露天、走るな滑る、の看板。寒過ぎてつい走って、滑る。
 
帰りは案の定渋滞。八王子付近では雪が降っていた。
 
 
八ヶ岳にはやりたい課題、やらなければならない課題がまだいっぱいある。アルパインやってますというためには、赤岳主稜は絶対外せない課題の一つだと思う。一般的には初中級者向きらしい。ただ、今回のような状態では、岩登りに慣れない初級者では相当厳しいように感じた。
八ヶ岳の主峰赤岳の頂上に向かって一直線に引かれるラインはとても素直で美しいと思うけど、少し短いし、全体的に岩がかなり脆い。今日ほど凍りついた環境でも、落石は結構多かった。
ルーファイは概ね問題ないと思う。段違いに走る尾根の特徴と頂上への方向が分かっていれば、自ずとラインは読める。
 
まあ、そんなことはどうでもいい!?
なにはともあれ、テトラオドンさん、まりりんさん、ご結婚おめでとうございます。
いつもテキトーなことばっかり言っているので狼少年みたいに信じてもらえないかもしれませんが、なんと・・・心からうれしく思っているし、心からお祝いしたいと思っているんです。ただし、山に行く金がなくなるので、ご祝儀は出せません笑。
 
(組長)
 
 

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