双六・三俣・鷲羽・水晶~読売新道

2014-09-13

01_無雪期 05_縦走 l_北アルプス

Date : 2014/09/13-17
Member : あーさ、みもん、ちえ蔵
9/13 新穂高温泉(7:00)~鏡平~双六キャンプ場
9/14 キャンプ場(5:00)~双六岳(6:15)~三俣蓮華岳(7:50)~鷲羽岳(10:10)~岩苔乗越から高天原山荘(13:10)
9/15 山荘(5:00)~雲ノ平を経て祖父岳(10:10)~水晶小屋(13:05) 水晶岳ピストン
9/16 山荘(5:35)~水晶岳(6:20)~赤牛岳(9:25)~読売新道~奥黒部ヒュッテ(14:20)
9/17 テン場(7:25)~平ノ渡場(9:05)~10:20の船にて黒部湖横断~黒部ダム(13:40)
 
 三俣蓮華、鷲羽、水晶・・・、その漢字を見ているだけで、かっこよくてドキドキしてしまう山々。悠々とそびえる赤牛岳。大山脈にはさまれ、目指す先には満々と蒼い水を湛えた黒部湖へと繋がる読売新道。ここまで来たら、高天原の温泉に寄り道もしてしまう、贅沢なロングトレイルへ行って来た、よ。

水晶岳と赤牛岳


9/13 毎日アルペン号にて、早朝の新穂高温泉に到着。9月の3連休、天気予報は良好。
この夏は、土日に天候不良のことも多かったため、山に行けなかった分を取り返すように、多くの登山者が山へ向かう。
自分は初の4泊5日にわたる縦走。たくさんの行動食を詰め込んだザックを背負い、登山道を歩く。
 

新穂高ロープウェイ
















いざ、出発
















鏡平に着くと、槍・穂高連峰を美しく映しこんだ鏡池が出迎えてくれる。
多くの登山者が絶景を見ながら、思い思いに休憩中。
鏡平山荘前では、昼食にカレーとビールを平らげる人も。・・・羨ましい。  

鏡平。槍ヶ岳も見える。
















弓折乗越への急登を登る。吹き上げてくる風が時折冷たく、山は秋の気配。
双六山荘へ続く木道を歩きながら、前日の夜行バスの睡眠不足でへばり気味の3人は、双六キャンプ場に到着。
小屋もキャンプ場も大盛況。小屋の前には、どっしりと鷲羽岳が横たわっている。肩越しに水晶岳の姿も見える。
 

双六キャンプ場
 
鷲羽岳と水晶岳
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

この日の夕飯は、あーさのラタトゥユ風パスタ。ロングトレイルながら、軽量化や日持ちする食材等を工夫してくれて、美味しいゴハンを頂いた。
ラタトゥユ風パスタ

 















9/14 翌日、深夜の冷え込みが強く、フライには霜が降りていた。
寒さで睡眠不足のあーさは、軽く高山病気味。
無理せず行こうと、ゆっくり双六岳の山頂を目指す。
途中、朝日が昇り、空気も温かくなりだした。
少しずつだが、あーさの体調も回復しだし、ひと安心。
モルゲンローテの双六岳


 
双六山頂


 本日は素晴らしい稜線歩き。
鷲羽岳や黒部五郎岳に目を奪われ、振り返れば、いつまでも槍・穂高はその姿を現していた。
そんな目の前に雷鳥も出現。鳥類大好きなみもんのテンションが上がる!(この山行で、みもんの生き物好きを目の当たりにする!)  
雷鳥出現!
















三俣蓮華岳の山頂を経て、九十九折りを繰り返しながら、鷲羽岳の山頂に到着。
黒部五郎や薬師が大きい。
見下ろせば、鷲羽池の青と硫黄尾根の赤がかっこいい。ステキな山頂。
雲の平からきたと云う、お揃いの「雲ノ平山荘」Tシャツを着たお兄さんたちは、背中に「雲」の一字を背負っていた。  

三俣蓮華岳の山頂















鷲羽岳の山頂
鷲羽池
































この後、水晶を経て赤牛、読売新道へ至るなら、このまま水晶小屋へ行き、三泊四日の行程で計画すればいいのだけれど、・・・休みが取れて五日間が手に入ったのだ。
それならば、もう一日山の中をふらつきたい!とのことで、高天原へ寄り道をする。
 

高天原はすんなりとは行けない、奥黒部の真ん中にある、秘境の温泉。
五日間山中を歩くのだから、温泉に入って疲れを癒し、小奇麗にしたいもの。
ワレモ北分岐から、水晶小屋へは背を向け、岩苔小谷と共に、水晶池を経て高天原へ。
先ほどまでは、開放感満載の乾いた稜線を歩いていたが、今度は木々に囲まれ、少々ぬかるんだ道を行く。トリカブトの青い花がとてもきれい。  


高天原に向かう。この時はまだ元気。

樹林帯を進む。なかなか高天原につかず、疲労感が漂う。。


































疲れが出てきて、高天原はまだかまだかと思っていると、急に視界が開け、オオシラビソに囲まれた湿原についた。
木道をたどっていくと、やっと高天原山荘に到着。山荘前には、温泉帰りのお姉さんが湿原を眺めながら涼んでいた。
高天原周辺の湿原


高天原山荘。やっと着いた~。






























小屋で泊りの手続きを済ませたあとは、お目当ての温泉へ。温泉沢まで10分ほどの山道を歩く。沢沿いに二つの露天風呂と男女それぞれのお風呂。湯の花が舞う硫黄満点の温泉は、とても気持ちがいい。ここまで自らの足で来た、その満足感がさらにいい湯にしてくれる。黒部の奥座敷「高天原の秘湯」自らの足で歩いて来た者しか味わえないお湯だ。

開放感たっぷりの野天風呂。
女子用のお風呂は、右側の囲いの中に。

女子風呂の中!


 




























露天風呂も魅力的だが、開放感あり過ぎなので、今回は断念。火照った体を冷やしながら、温泉沢の冷たい沢水で豪快に洗顔し頭も洗っちゃう3人。
いつまでも沢べりでのんびりしていたら、露天風呂に入っていた、お兄さんが出るタイミングを逃していた。これは失礼。

再度汗をかかないように、のんびり小屋に戻ったあとは、小屋の前のテーブルで夕飯。
みもん作のチャプチェで、ビールと白米が進む。
隣では、2週間の休みを奪還したというお姉さんが、このあとは薬師~五色~劔へ行くとのこと。そのルートも羨ましい。


9/15 本日は、まりさんおススメの雲ノ平を経由して水晶小屋へ向かう。
昨日下った岩苔小谷を眼下に見下ろす溶岩台地の雲ノ平。
薬師岳が間近に見え、ほんのりと緩やかな木道の周りにはハイマツ帯と草原。
朝からひとっ風呂浴びてくるよ!と高天原へ下る人々とすれ違ったりして、皆さん思い思いに、のんびりと楽しんでいた。
北アルプス最深部の雲ノ平。奥スイス庭園周辺。

雲ノ平山荘に向かう。






























 天気は薄曇りで少々肌寒かったが、雲ノ平山荘前のベンチを借りてのんびりお茶。
その後、祖父岳山頂を経由して水晶小屋へ。
祖父岳山頂は、360°山・山・山。南を見れば、歩いてきた双六~三俣蓮華の稜線と黒部五郎岳、西を見れば、国の特別天然記念物だという圏谷群のカールを広げた薬師岳が堂々とそびえている。東には、鷲羽岳と、これから目指す水晶~赤牛の稜線が広がり、どこを向いてひと休憩とろうか迷ってしまう。写真撮影も360°ぐるーっと大忙し。
雲ノ平山荘前


撮影中

 









































水晶小屋は水が貴重で、購入にも制限があるため、岩苔乗越の水場で水を汲み、小屋へ向かう。翌日は、朝からガスが広がる予報だったため、小屋にザックを置いたら、重くなりかけた腰をあげ、水晶の山頂を目指す。
水晶の山頂からは、裏銀座の稜線、どっしりと赤牛、この縦走のゴールの黒部ダムなど、こちらも四方に絶景が広がっている。
「街ではケンカしちゃうけど、山では仲良しなの(ケンカして山中に置いていかれると困るから、奥さんが旦那さんをたてているらしい・笑)」というご夫婦と、山頂でしばしこの感動を共有。
山々がとても近い。この日は、曇りがちだが、午後になってもガスがあがってくることはなく、遥か槍・穂高の姿も、立山・劔も見える。5人で大満足だ。
 
水晶小屋

槍が岳

水晶岳頂上



 











読売新道!












































水晶小屋に戻って夕飯は、みもんのオイルサーディンパスタ。オリーブも入って美味しい~。
水晶小屋はキレイで、のれんがかわいく、快適だ。
水晶と鳥の模様ののれん
















9/16 天気予報は残念ながら、しっかり当たり、朝からガスガスの中、水晶小屋を出発。
水晶岳は昨日のうちにピークを踏んでおいて良かった。
山頂でのんびりすることなく、赤牛岳を目指す。
赤牛岳は、北アルプスの黒部川源流近くに悠々と横たわる大きな山。
裏銀座や薬師~五色ヶ原の主稜線から外れているため、水晶岳まで訪れた人も、赤牛岳まで足を延ばすことは少ないそうだ。
赤くザレた砂礫を踏みしめながら、その名の通りの赤い山体を登り、山頂を目指す。
「ここが山頂?いやあちらが山頂?」と何度も期待を裏切られるほど、赤牛の稜線は北西に長い。時折ガスが晴れ、日ごろの行いが良いからだ~とテンションも上がるが・・・、到着した山頂はガスの中で肌寒い。
天気が良ければ、赤牛岳の頂上からは、山また山の大パノラマが展開するらしい・・・、が残念ながら、すっかり真っ白。
それでも、この遠い山の頂上を踏んだ満足感で、満面の笑み!
水晶岳を過ぎたあたり。ガスガス。。
砂礫の道を進む



 
 











赤牛山頂!
































ここからは、いよいよ読売新道の長い下り。赤牛をあとにしてしばらくすると、ガスも晴れ、眼下には目指す黒部湖が見える。その末端には黒部ダム。
「あそこまで行くのか~、遠いな~」と言いながらも、憧れの読売新道に足を踏み入れたことで、気分が高揚。ポーズキメキメで記念写真を撮る。
キメポーズのあーささん

キメポーズのちえ蔵さん


 

 









キメポーズのみもん
































読売新道は、全体が8等分されていて、これがペース配分に役にたった。ロボット雨量計のある「5/8」の標識あたりは開けていて眺めがよく気持ち良い。
烏帽子岳と青い屋根の烏帽子小屋も見える。

「5/8」の標識。展望が望めるのはここまで。
標識間の距離はバラバラでした。。

 


















黒部湖を望む
















その後は、急傾斜の樹林帯に突入していく。
湿った土と木の根で少々滑りやすい道だが、きちんと整備されている。
地図等には、長大で標高差のある難路と書かれているが、かなり整備されており、それほど難儀するところはなかった。
それでも長い下りに辟易しながらの道のりかと思っていたが、森の主みたいな大きな広葉樹に感心したり、様々な種類のきのこを発見するたび、きのこを激写したり、みもんの「クマムシ生物最強説」を聞きながらの、愉しい道中。
気が付くと沢の音が近くに聞こえ、思いのほか、あっという間に奥黒部ヒュッテに到着した。

整備された樹林帯を進む。

ちえ蔵さんの激写したキノコの数々(笑)
 
奥黒部ヒュッテ




 












奥黒部ヒュッテ前の東沢キャンプ場は、白い砂がひかれた快適なテン場。
天気もいいので、テントの外で、缶ビール片手に夕飯準備。
最終日は、お疲れの体にお酢が美味しいちらし寿司とお吸い物。
この5日間、みもんとあーさが2人で食事当番を担当してくれ、美味しいご飯を頂いた。本当にありがとー、ごちそう様。

お料理中
















9/17 最終日。この日は船で黒部湖を渡る。
平ノ渡場の船は、午前中は6時20分と10時20分の2本。
なぜ、8時とかのちょうどいい時間がないのだろう・・・と泣き言を言いながら、無いものは仕方ないので、この日は10時20分を目指す。
テン場から平ノ渡場へは、黒部川右岸を辿るが、長い木製のハシゴを登り下りする道のり。
しかしよくこれだけ整備したなと感心するほど、しっかりと道が作られている。
長い木製のハシゴ


よそ見をしてると踏み外して落ちそう。。


 



























平ノ渡場へは少々早く到着。ボートを待ちながら、黒部の深部に集まった他の登山者さんとしばし談笑。
あるお兄さんは昨日上高地を出発し、今日はこのまま室堂へ、そして愛知の家に帰るという健脚。また別のおじさまは、金曜塩見岳、土曜仙丈ヶ岳、日曜移動で、月・火・水は裏銀座~読売新道~扇沢、いつ働いてるのかな。という感じの濃ーい面々。

会話と食事を楽しみながらボート待ちます




 











そのうちボートが到着。ずっと稜線や樹林帯を歩いていたから、ボートで水上を移動することが新鮮でとても愉しい。空も黒部湖も青くて爽快だ。
ボートで西岸についてからは、トロリーバスの時間を目指して一目散に湖岸の道を進む。
湖岸って、こんなにも入り組んでいるのね・・・と、くねくねした道は長い。
少々飽きてしまうと時もあったけど、気温も快適、対岸の針ノ木岳やスバリ岳もきれいに見え、ブナの木々から差し込む日差しが気持ち良い道だった。

対岸まで運んでくれるボート















西岸は明るい林の中を進む
















ロッジくろよんの青い屋根を対岸に見つけ一度テンションが上がるが、実はなかなか遠い。それでも歩き通し、カンバ谷吊り橋を渡り、トンネルを抜けると、この山行のゴールとなる黒部ダムに到着した。ダムは放水中で、豪快な水飛沫がフィナーレを飾る。ダムの真ん中あたりにくると、黒部湖の先に、遠く赤牛岳が横たわっていた。
カンバ谷吊り橋




ダム放水中~


























最後に赤牛岳(左上)と一緒にパチリ
満喫の5日間でした。


















薬師の湯で、街に帰れるように小奇麗にして、信濃大町駅近くのスーパーで富山湾で捕れた魚も使われているはず?!と思われる寿司と、ビールやから揚げを買い込み高速バスに乗る。
 新穂高温泉から始まった今回の山行ルートを地図で見返して、充実感と満足感にひたりながら、他の乗客さんのご迷惑にならないよう、静かに、でも晴れ晴れと3人で乾杯した。
(文:ちえ蔵、写真コメント:みもん)

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