Member : A子、組長
Timeline :7日:八ヶ岳山荘0430~赤岳鉱泉0758~0904大同心基部~0931小同心クラック取付1002~1155小同心の頭~1258横岳山頂~1515赤岳鉱泉
8日:赤岳鉱泉~八ヶ岳山荘
会山行で八ヶ岳西面に集中してきました。
今年も八ヶ岳西面で雪山集中開催です。
僕らは、人気の小同心クラックを登ることにしました。
日曜日は天気が悪そうなので、前夜発して登山日和の土曜日に登ります。
硫黄組の皆さんに6テンを担ぎ上げていただきました。本当に助かりました。ありがとうございます。
まだ日の出ぬうちに八ヶ岳山荘を出発し、赤岳鉱泉を目指します。今年は雪が多く、鉱泉までの道のりは非常に歩きやすいです。
順調に鉱泉に到着し、荷物をデポして、大同心稜に向かいます。トレースはばっちりで、快適に高度を稼ぎます。
天気よく風もなく、最高のコンディションです。土曜日最高、日曜日ダメ、という昨年の会山行と似たようなパターンなので、中山尾根の悪夢が蘇ります・・・笑。同じ過ちは繰返しませぬ。
大同心稜を登っていくと、行く手に大同心がどーんと見えてきます。うーんかっこいい。次はコイツかな。
振り返れば、アルプスの山々が延々と連なり、圧倒的な開放感。
小同心へは大同心の基部を右にトラバースしていき、大同心沢を横切って、岩場の淵を小同心に向かって登って行きます。雪の状態が悪いと少し肝を冷やしそうです。雪崩の危険性も高いそうです。
小同心。右のスカイラインが小同心クラックです。 |
大同心稜は景色が素晴らしい |
大同心のトラバース |
大同心は横から見ると厳ついです。 |
取り付きで紐をつけます。 |
階段状の岩場を左上してから傾斜のきつい凹角を真上に登ります。グレードはⅣ+とのことです。プロテクションはところどころに錆びてひん曲がったピトンがあります。
いつか誰かの命を救ったであろうそのピトンは、今となってはもはやクライマーにとって「気休め」という鎮痛剤にしか過ぎません。八ヶ岳の中では比較的岩が硬いと言われる小同心クラックですが、溶岩が固まったような特有の岩質は、全体重をかけるのはどうも気が引け、プッシュやステミングを多用して、岩が剥がれても落ちないようにじりじりと登ります。ガバは多いですが、ガバッと剥がれそう・・・。沢ヤの登りです笑。
1P目は結構悪いと思いました。少しかぶり気味のところもあり、最初だったこともあって、ヒヤヒヤでした。全体を通して、1P目が核心ピッチだと思います。
2PはそのままツルベでA子さん。
簡単な凹角から最後は小同心クラック名物のチムニー登りになります。残置は比較的多く、最後のチムニーは垂直ではありますが、ツッパリで安定して登れるので怖くありません。股の間から、逆さ阿弥陀が見えました・・・。
1P目終了点から |
有名なチムニー登り |
そしたら、ザックが引っかかってカッコ悪い態勢に・・・。リードの登りはこれでいいんだ!!自分に言い聞かせます・・・笑。僕はフランス人ではなくニッポン人だ!!!という意味のわからない決意を下に、泥臭く登ります。
フォローのA子さんは、華麗なボルダームーブで軽やかに切り抜けたとか切り抜けなかったとか。誰も見ていないので、真相は定かではありません。
3P目のオフィズスを抜けたところ。 |
横岳頂上 |
赤岳さんと阿弥陀君。後ろに南アルプスの皆さん。 |
3P目終了点から振り返るとこんな感じ。 |
最高に気持ちがいいビレイ点 |
上の写真はこの先っちょです。 |
最後の岩場はまっすぐに登ります。右の方にトラバースして肩に出ることもできそうです。
プロテクションが取りにくいので、結構緊張します。ワンポイントがバランシーで難しい。目の前にカムを決めてから慎重にジリジリと登りました。Ⅲ+くらいはありそうです。
そして、大展望の頂上へ。
頂上標をビレイ点にさせてもらいます。
お疲れ様でした。 |
登ってきたところ。小同心から横岳本峰。 |
酒も入って、ガッキーさんにアルパインクライミングの何たるかを語る僕。語ったら語ったで、無責任に眠りだす僕。未熟者ゆえ、今後とも温かく見守っていただければ幸いです・・・。
翌朝は、特にやることございません笑。
一度起きて、あれまだ寝ていいんだと思ってまた寝ます。これ以上の贅沢はありません・・・。
いつもの3日分くらい、眠るだけ寝たら、 みもんさんのクリームリゾット??が待ってました。しかもクオリティー超高し。小同心クラックよりも満足しました。
のんびりしてから、あーささんとA子さんと3人でキャンデーで遊びました。会の他の皆さんは、この風雪の中、ジョウゴ沢で雪訓です。さすがです。
ちょうど、A子さんの友達がいたので、素晴らしいラインにセットされたロープをお借りできました。さすがA子さん、知り合いいっぱいでいろんな人に声をかけられます。おかげさまで、こうやって労なくキャンデーで遊べます。社交性ゼロ、友達ゼロの僕にはこんな芸当できません・・・。
楽しく遊びましたが、やっぱりどうもこうやって人いっぱいで賑やかにやっているところは苦手です。氷であっても岩であっても雪であっても、仲間とまたは一人で、静かに向き合える環境がいいな。
アックスのメーカーに売りつけられそうな写真。かっこいいっす。 |
小同心クラックは、純粋に岩のルートでした。雪稜とかはありません。小同心の真ん中に伸びたそのクラックは、ここ以外どこを登るんだというくらい自然が示した合理的で美しいラインです。ここ以外のラインは無意味だとさえ感じます。これがもっと何ピッチもあったら・・・。
人気のルートでたくさんの人が登っていますが、僕ら程度のレベルでは、決して易しいルートではありませんでした。しっかりアイゼントレをして、天気と岩のコンディションがいい時に登りたいものです。
八ヶ岳は天候核心とよく言います。
日曜日、若い大学生のお二人が遭難され、最悪の結果となってしまいました。確かに、日曜日の天気は悪かった。この週末、山に登るなら、土曜日か日曜日の夜明け頃しかなかったと思います。
山は逃げないといいます。僕は、山は逃げないけれどもチャンスは確実に逃げると思っています。
でも八ヶ岳くらいなら、というと少し語弊がありますが、東京周辺にいれば、いつでも行けます。ワンデイでも行けます。だから、わざわざ悪天をおしていくことはないと思います。天気のいい日に最高の景色を楽しみながら登ればいいと思います。
山を目指す純粋な若者ふたりがお亡くなりになったことが本当に残念でなりません。
今年の雪山集中も無事に終了。
皆様、お疲れ様でした。
来年は、もっとチャレンジングな計画がいっぱい出ればいいと思います。山の素晴らしさに、困難に打ち勝った達成感が加わったら、本当に素晴らしい山行になると思いますから・・・。
(組長)