阿弥陀岳北稜【積雪期】

2019-12-29

03_積雪期 08_アルパインクライミング i_八ヶ岳

Date : 2019/12/29
Member :みの、U-16、よしみ、よっしー
Timeline :4:18八ヶ岳山荘→5:14赤岳山荘→南沢→7:32行者小屋→8:45行者小屋出発→10:48北稜1P目取付き→13:50阿弥陀岳山頂→14:25中岳のコル→中岳沢→14:55行者小屋→南沢→18:10八ヶ岳山荘
Author :よっしー


今回、チーム・ぼっちとして初めて挑む雪山バリエーション、阿弥陀岳北稜。
1級下のグレードが付けられている、積雪期アルパイン入門として人気の高いルートだ。

低気圧が入り込んでくる影響で天候が危ぶまれる中、好天が見込める29日に、予定より1日前倒しでの決行となった。



八ヶ岳山荘~行者小屋

急遽日程が前倒しとなったため、レンタカーを借りる場所が横浜になってしまったのだが、宿泊地である八ヶ岳山荘まで車をかっ飛ばす。
最新のハイブリッド車に「ボタン多すぎだろ!」と困惑するU-16

前夜の0時頃、無事に八ヶ岳山荘に到着。

八ヶ岳山荘の仮眠室は、1泊2000円(+駐車料金1000円)で宿泊できる。
二段ベッドになっており、毛布付きの布団まであるという嬉しい環境で、寝心地も非常に良い。
初めて泊まったというU-16とよしみにも、好評だった。

3時間ほどの仮眠後、4時過ぎに八ヶ岳山荘を出発。

八ヶ岳山荘から赤岳山荘(美濃戸ゲート)までの道のりは氷結による悪路だ。
本当は赤岳山荘まで車で入りたかったのだが、今回はスタッドレスタイヤのみでチェーンはないため、安全優先で徒歩にて行くことにした。

後方から車が続々と入ってきたが、スリップで行き詰りJAFを呼んだという男性もいた。

僕らも足が滑りやすくなってきたところで、チェーンスパイクを装着。

南沢へ入ると、雪が深くなってくる。
だんだん夜も明けてきて、美しい雪景色が僕らの目を癒してくれる。


白銀の世界に感動

7:30頃、行者小屋に到着。

他の登山者も多数、装備の準備を進めていた。

以前お世話になった都岳連の講師の方がおり、この日はガイド向けの研修で中山尾根へ登りに行くとのことだった。
こちらも阿弥陀北稜へ行くと伝え、お互いにエールを送った。

行者小屋~北稜取付き~阿弥陀岳山頂

行者小屋からは、太陽の光を目いっぱい浴びている阿弥陀岳の姿が見えた。
僕ら登山者を暖かく迎え入れてくれているような絶好のコンディションだが、決して甘く見てはいけない。


装備を整えている最中、指が寒さを通り越して「痛い」という感覚になってくる。
冬の八ヶ岳の朝はこれが辛い。この時の気温はマイナス12度だという声が周りから聞こえてきた。

装備を整えるにも一苦労し、阿弥陀岳へいざ出発。

北稜への取付きミス

行者小屋を出て少し歩くと、阿弥陀岳へ向かう標識が設置されている。

そこから数十メートル先に進んだところに、分岐がある。
本来、ここを右の樹林帯へ進んでいくとジャンクションピークへたどり着く尾根に繋がるのだが、僕らは中岳沢方面へそのまま直進してしまったのだ。
右方向へのトレースがついている

中岳沢を急登していくメンバー(間違えているのだが)。

しばらく登ったところで、沢筋を一本挟んだ向こう側の尾根に複数の人が登っているのが見えた。ここで、北稜の取付きを間違えていたことに気付く。

中岳沢を少し登ってから取付きに入るものだと思い込んでいたのだが・・・
沢筋が急斜面になっていたのもあり、安全策を取って少し下ってからトラバースすることにした。

藪こぎしながらトラバース。

無事尾根に入ると、眩しいくらいの空と雪面が広がる。

急登していき、汗だくになる。

予定していたジャンクションピークは既に通り過ぎていたようで、もう随分下の方に見えた。
真ん中のこんもりしてる所が、ジャンクションピークのようだ

1ピッチ目

ルートミスにより時間をロスしてしまったが、無事1ピッチ目の取付きがある岩場に到着。
既に先行パーティが取付いており、僕らが最後のパーティになりそうだった。

北稜は通常2ピッチなのだが、この取付き部分の数メートルを登ったところにボルトが打っており、そこで切ると3ピッチになる。

ロープを出し、まずはみの(みっくん)がリードで登り始める。
出だしをちょっと登った途中にも、ペツルのボルトで中間支点が取れるようになっていた。

僕とよしみは、その少し奥にある別のルートから登った。
ここの一番下にもボルトが打っていたので、念のため0ピンを取る。

足にはアイゼン、手にはグローブを付けた状態で登るというのは、なかなか難しいものだ。
岩場でのフリークライミングとはまた感覚が違う。
慣れていれば何てことはない箇所なのだろうが、少しランナウトもしていて、ちょっと怖かった。

登り切ると、強固なボルトが打ってある。
先行パーティがまだ居たこともあり、短いがここでピッチを切ることに。
ペツルのボルト
ちなみにこのボルトには残置スリングが掛かっていることもあり、カラビナを一つ掛けると他のカラビナを掛けるスペースが無くなってしまう。
そのため、先行パーティで詰まっている場合は待機せねばならない。

映画のワンシーンに出てきそうなU-16の登攀。

しかしU-16は、ハードシェルのパンツがずり落ちて半ケツ状態になりそうだと終始嘆いていた。

ビレイするみの(みっくん)

ぎゅうぎゅう詰めになりながら、ビレイ点で記念写真

2ピッチ目

本来は1ピッチ目の途中ではあるが、2ピッチ目として今度はよしみがリードで先陣を切る。
出だしは右方向へ少しトラバースし、ピッケルを使いながら着実に登っていく。

途中にピナクル(小岩塔)があり、ここで180cmスリングを用いて2ピッチ目の終了点をとった。

が、そのすぐ先の岩場に立派なボルトが打っていたので、こちらでビレイした方が賢明なのだろう。

3ピッチ目

2番目に出てくる岩場が、今回の3ピッチ目となる。
オブザベーション(下見)すると、途中にボルトなどの人工的な支点は無さそうな様子。

3ピッチ目は僕が最初にリードで登った。
慎重に登りながら、途中の少し突き出た岩にスリングを巻き付け、支点を取る。

この岩場を越え、アックスを雪面に突き刺しながら登り進めていくと、事前情報で得ていたナイフリッジにたどり着く。

幅は1メートル弱、長さは5メートルほどだろうか。
ナイフリッジの手前にボルトも打っていたし、足場もしっかりしているので慎重に進めば必要以上に恐れることはないと思う。

よしみもフォローで登る

ナイフリッジを渡るU-16

写真を撮り忘れたが、3ピッチ目の終了点は木の枝で取った(残置スリングもあり)。

ロープを出す箇所はここで終了。
この場所からは、雲の上から突き出る富士山の姿がくっきりと見えた。

U-16が、
「クリームの上に富士山がのっかってるみたい♪」
と、スイーツ好き女子のような面白発言で皆を笑わせた後、山頂まで歩みを進めた。

阿弥陀岳山頂~行者小屋~八ヶ岳山荘

程なくして、ついに阿弥陀岳山頂へ到着!
センターU-16ver.
センターみっくんver.

メンズver.
初めての雪山バリエーションルートからの登頂は、感慨深いものがあった。

しばし眺望を堪能した後、すでに14時を回っていたため足早に下山を始めた。

一般道ではあるものの、中岳のコルまで慎重に下る。

積雪期の中岳沢は雪崩の恐れがあるため避けた方が良いとされているが、この日はコンディション的にも問題なさそうだった。
時間短縮のため、文三郎尾根までは行かず中岳沢を使うことにした。(他の登山者の多くも中岳沢を下っていた)

行者小屋に到着すると、翌日に同じく北稜を登る予定のひがし、マッキーに会うことが出来た。
翌日は悪天の予報が出ているため、安全を祈りつつ別れを告げる。
頂メンバーで記念写真

みの(みっくん)はそのまま八ヶ岳で年越しする予定のため、U-16、よしみと僕の3人で下山。

ヘッデン歩きで八ヶ岳山荘に着いたのは18時過ぎ。
この日の行動時間は14時間かかったので、みんな本当にクタクタになった。

そして麓の温泉で疲れを癒し、無事帰路に着いたのであった。

阿弥陀岳北稜の振り返り


積雪期の阿弥陀岳北稜を登頂してみて感じた反省点は、主に次のようなところ。

  • アイゼントレを事前にもう少しやっておくべきった
  • 取付きを間違えないために、地形図やGPSをもっと活用すべきだった
  • 行程的に、行者小屋で一泊しても良かった(慣れていれば1DAYでも良いが…)

積雪期は特にリスクが増すため、今後の課題として改善向上に努めていきたいと思う。

ただ、今回の山行で一つステップアップが出来たことは多少なりとも自信に繋がったのは間違いない。

僕らのレベルではまだまだ冬に行けるバリエーションルートは限られるが、少しずつ経験を積んで登山者として成長していきたい、そんなことを感じた2019年の登り納めとなった。

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