伊藤新道(噴湯丘手前まで)

2025-08-15

01_無雪期 06_沢登り l_北アルプス

Date : 2025/8/15-16 
Member : みずき、masashi、えりな、ハート様、J
Timeline : 
15日 10:00高瀬ダム湯俣登山口ー13:30晴嵐荘ー14:30パンナコッタ
16日 7:00晴嵐荘ー7:15湯俣9:30ー10:00晴嵐荘ー13:00高瀬ダム湯俣登口
Author : J



3年ほど前から何度も計画しては天候で流れていた伊藤新道。
個人的に、歴史や謂れがある路に惹かれるきらいがありますが、
伊藤新道はそういった理由で気になっていたわけではなく、ほんとに、なんとなく。笑

とりあえずまず、伊藤新道についてご紹介。
  • ご存知の方も多いと思いますが、伊藤新道は「黒部の山賊」の著者としても知られる故・伊藤正一さんが、所有していた三俣蓮華の山荘への物資を運び込むため、あるいは日本最後の秘境と呼ばれていた雲ノ平へ人を呼び込むために開いた道です。
  • 伊藤新道が開かれる以前は、三俣蓮華まで最短でも2日かかっていたところを、伊藤新道が開かれてからは1日でプローチできるようになり、登山者の数は格段に増えたそうです。
  • 伊藤正一さんは10年かけて1956年に伊藤新道を開通後、湯俣山荘、雲の平山荘も建造してます。
  • ですが、1979年に湯俣川の下流に高瀬ダムができると、周囲の地下水位が変動し、湯俣川周辺の岩盤が緩みはじめ、吊り橋等が次々に崩落。もともと脆い岩質であったことによる道の崩壊、硫黄を含む噴出ガスによる金属の腐食も?あり、1983年ぐらいにはついに廃道に。40年ほど前のことですね。
  • そして2023年に伊藤新道復活!みたいな感じになってましたが、もろい岩質が変わるわけはなく、毎年崩壊がニュースになってます。

まあそんなとこに、行こうということで、5人のメンバーが集まりました。

day1

前日夜〜深夜にかけて、社畜や西穂山荘の診療所スタッフをしていたメンバーを拾いあつめ、2台の車が都内を出発。
グレーゾーンの技を駆使して車をとめ、無事に七倉からの連絡タクシーに乗車。
10時には高瀬ダムに到着、湯俣に向けてダム湖沿いにひたすら水平移動のアプローチ。

ダム湖の水は、なんか濁っていて、流木の数がすごい。
なんか嫌な予感。
高瀬ダム
というのも、数日前に累積117mmもの大豪雨があり、その増水が引くや引かないやの瀬戸際だったからである。
途中から、ダムの水も澄んではきたが・・
沢沿いの崖からも、普段は流れていなさそうな滝が出現している。
たぶんまぼろしの滝
水量多くね・・
と思っていたら、強そうな沢装備のパーティーとすれ違う。
うろ覚えだが、こんな会話をした

我々「どこに行ってきたんですか?」
沢ヤ「弥助沢遡行して、ワリモ沢下降してこようかと思ってましたが、水量すごすぎて、撤退してきました」
我々「伊藤新道に行こうと思ってたのですが・・」
沢ヤ「上ノ廊下より全然難しいです。6級沢が普通に行ける人なら、いけるんじゃないでしょうか」
我々「・・・」
沢ヤ「湯俣の最初のへつりで、上からおじさんが流れてきたので、拾いました」
我々「・・・」

なるほど。アプローチの途上で、撤退を確信させてくれてありがとうございます。
情報ってだいじ。我々は、秒で流される。
でもとりあえず、行ってみよう精神で、湯俣まで向かう。

湯俣山荘に到着すると、おいしそうなカフェの看板が。
パンナコッタ大好きmasashiのテンションが爆上がる。
とりあえずアプローチは終了
しかし一旦晴嵐荘にテントを張りに行くため、高瀬川を渡渉。
普段は、登山靴でも渡渉できるらしい。
水は澄んでるんだけどね・・
明らかに死亡事故の予感しかしないため、おとなしくジップラインを使用。
このジップラインも最初はなかなかびびる。
何回も往復してるうちに慣れた
素早くテントを張り、爆速で湯俣山荘へ戻る。
今日噴湯丘まで様子を観に行こうという声もあったが、一瞬でかき消されていた。

各自ビーフシチューやらなんやらを食べ、デザートに全員で噴湯丘パンナコッタ。
なかなか再現性が高い。
もう沢登りする気なんて誰にもないようである。
今回の山行の主役、パンナコッタ
晴嵐荘に戻って、明日以降の作戦を立てるという名目でメロンと神戸牛ポテトチップで宴会。
怠惰すぎるメンバーたち
主役の座を奪われたメロン
せっかくなので、明日噴湯丘までは見に行こうということで話がまとまる。
徐々に水位は下がってきているみたいなので、明日はすこしマシになっていると信じることにした。
食担の才能が爆発するみずき
みずきのチーズリゾット(激うま)と、masashiのザクザクわかめを堪能して、
寝る。

day2

7時出発。噴湯丘まではすぐ(のはず)なので、手ぶらで向かう。
ジップラインを渡り、高瀬川の右岸からアプローチ
水俣川の出会い。左に行けば槍ヶ岳(北鎌)
湯俣川の最初のへつり部分。
ここがおじさんが流れてきたという場所か・・
右岸(写真左側)をへつる
以前きたときは、噴湯丘までビーサンで行ったというみずき。
無理じゃね?
奥には噴湯丘も見える
3〜4パーティが行くに行けず、悩んでいる。
しかし、この日最初にこのへつりを突破した人物は、この人です。
ハート様
ハート様に続いて、我々も行くか行かないか、考える。
行けたとして、戻れないんじゃ?という不安。
ちょっとトライしてみては、引き返す、を繰り返していた。
かなりの水圧である。やっぱり我々にはむりなのでは・・
そう思っていたら、なんか見たことある顔が、素通りしていこうとした。

K野である。
あまりにもそっけなく素通りしていこうとするので、
K野にそっくりな他人かと一瞬戸惑ったが、明らかにK野。
みんながあれだけ苦戦していたへつりを、平常運転で突破していった。
なんやそれ。
ソロできていたK野と、K野かどうか確信がもてないえりな
ここからなんか空気が変わり、別パーティも突破。
我々も意を決して突入、なんとか全員突破!

へつりを突破した先には、いたるところで野湯が噴出している。
向こう岸に、パンナコッタが見える。
湧き出る野湯
かなり熱い
パンナコッタ
噴湯丘までは行けるだろう、とか思っていたが、
ぜんぜん渡渉できる気がしない。
みんなで渡渉ポイントをさがしてしばらくうろうろしてみるが、
ロープも1本、登攀具も持ってきていないため、諦める。
呆然と立ち尽くすメンバーたち
せっかくなので、セルフ露天風呂を設営し、のんびり浸かる。
適温に調節するのがなかなか難しい
ここから帰るのも一苦労。
流れに逆らっていく遡行より、下降側の方が水圧に流されそうで怖い。
アヒルの兄弟
テント撤収して、帰る途中、湯俣山荘でおなじく撤退してきたK野に合流。
素通りしようとしたことを詫びさせる


水量によって難易度の変わる沢の難しさを体感できた。
ライブカメラを見るに、水位は平常時より1m以上は多かったようだ。
ライブカメラの画像。一番左が我々の遡行日、一番右が2週間後。徐々に平水に戻っている

そして来年は、水位の低い時にリベンジしようと強く心に誓ったメンバーたちであった。


●カロリー
胡蝶庵

ドンキホーテ


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