槍ケ岳西稜(アルプス一万尺、小槍の上で~♪)

2025-08-17

01_無雪期 08_アルパインクライミング l_北アルプス

Date : 2020/mm/dd-dd
Member :こう(L)、まるひ
Timeline :2025/08/15-17
Author :こう
アルプス一万尺、小槍の上で~♪(後ろは大槍)


3年越しの願いが叶い、アルプス一万尺、小槍(3,030m)の上で、アルペン踊りを....
じゃなくて、槍ヶ岳西稜のアルパインクライミングに行ってきた。

●8/15
午前1時半に新穂高温泉に到着したが、無料駐車場どころか有料駐車場も空きがない。
お盆休みだから、当然か。
仕方なく、登山指導センター前にまるひと荷物を降ろし、少し離れた鍋平駐車場に駐車。
車を鍋平に移動する間、登山指導センターの前に荷物を置かせてもらった

無料なので文句は言えないが、駐車場からは、空荷で歩いても片道30分くらいかかる。

ヘッデンを点けて、午前2時半に登山指導センターを出発し、飛騨沢経由で槍ヶ岳山荘を目指した。心配していた滝谷出会いの渡渉は、水量は減っていたが、まだ仮設橋は架かっておらず、偶然に流れてきた丸太が2本、並行に川を横切るように横たわっていて、その上を歩いて渡れた。
滝谷出会いから見える滝谷ドーム
                      
槍平小屋までは順調で、3時間半で到着。その後、こうの足がつり気味(おやじ?)になり、ペースが上がらず、槍ヶ岳山荘には10時弱に到着した。
槍ケ岳(左側にとんがって見えるのが、孫槍)

槍ヶ岳山荘のテント場は先着順で39張までとなり、いっぱいの場合は移動して殺生ヒュッテになるが、なんとかそれは避ける事が出来た。
テントを設営し、翌朝の登攀に向けてアプローチの確認を行った。


事前に入手した情報を参考にヘリポート脇をトラバースしてガレ場を下るとあったが、正確にはヘリポート脇の硬い岩を登って、そこからトラバースするのが正解だった。

時折、白いガスに覆われるが、小屋付近から見える小槍とは、全く異なり、その大きさに感動させられた。曽孫槍、孫槍を登攀中のパーティーが見える。明日、我々もあそこにいるのかと思うと、身が引き締まる思いだ。
ヘリポートから踏み後をたどり、偵察。小槍(左)、と曽孫槍(右)

左から曽孫槍、孫槍、大槍。曽孫槍と孫槍のコルに登攀中のバーディーが見える

偵察を終えて、昼食は山荘でカレーとビール(※まだ登攀を終えていないのに...)をいただく。
昼食の際に翌朝の打合せをして、山荘前を4時半出発に決めた。
その後はテントに戻って昼寝をしたり、風景写真を撮ったりして、3,000mのテント場を満喫して、早めの夕食をとり、寝た。

●8/16
深夜にテントをたたく雨音に目が覚め、雨は予報にはなかった( ;∀;)
天気予報を見ると、6時ごろから晴れ。
まるひと3時前に打合せして、テント撤収リミットの8時前にテントを撤収し、お昼をリミットに岩が乾くのを待ち、登攀が難しい様であれば、諦めて歩荷トレに変更して下山することにして、二度寝した。

雨で濡れた山荘前のテーブル

雨で濡れた草

天気は急速に回復しているので、岩が乾くのを期待して待った

当然、誰も登ってない


西稜取りつきから

9時半過ぎに、ガレ場を下り、西稜の取りつきまで、岩の乾き具合の確認の為、偵察を行い、登攀に問題無い為、決行とした。

3人組のパーティーが、装備を整えて、我々より先に西稜のアプローチに入っていたので、2番目のスタートかと思ったが、取りつきにも登攀ルートにもその姿を見る事は無かったので
一般登山道に戻ったようだ。
我々より先にも後にもパーティーはおらず、貸し切りだった。

まるひとは、事前に打ち合わせし、残置無視、オールナチプロ、ノーコールでの拘った登攀を行った。(小槍、孫槍からの懸垂下降のみ残置の懸垂ポイントを使用)
〇機材(プロテクションのみ記載)
カム(#0.0-#4+#0.3-#3) 
ボールナッツ(#1-#3)
ナッツ(#1-#4+#4-#8)
ハーケン数枚


〇小槍(取付き) 
 10時半スタート


 1ピッチ目  まるひリード 
岩は乾いているが、草やコケは湿っていて、避けるように丁寧に足を置く

 2ピッチ目  こうリード  
  くの字ジェードル 
  オフィズスサイズ。
  クラック付近はかなり水が滴っていて、プロテクションをとれる箇所も少ない為
        ランナウトする。
  カム#6を持って来れば良かった。
核心の“くの字ジェードル”のオフィズス

 3ピッチ目  まるひリード 
小槍のピークで / 後ろは大槍

 →懸垂下降
このルートの核心ということもあり、3時間を要した。
ピークに小槍の山頂表は見当たらなかった。

〇曽孫槍
 1ピッチ目  こうリード
曽孫槍のピークから、小槍とのコル方面を見下ろす


小槍はデカい岩峰だ

左から大槍、孫槍


〇孫槍
孫槍の基部に、カムでパワーポイントを作成中


 1ピッチ目  まるひリード
 2ピッチ目  こうリード
孫槍のピークから懸垂下降中のまるひ
 →懸垂下降
 
〇大槍(槍ヶ岳)
 1ピッチ目  こうリード
大槍のピーク手前でピッチを切り、登ってきた孫槍、曽孫槍、小槍を見下ろす

 2ピッチ目  まるひリード
当然、一般登山客からは注目される

 16時45分終了
大槍(槍ヶ岳山頂/3,180m)にて

オールナチプロで、岩がもろい箇所も多く、岩を叩いたり、ゆすったりしてテストを行いながら、落ちそうな石や岩は横にずらしたしして慎重に進めたので、6時間15分を要した。

山頂で登攀装備の整理を行い、居合わせた登山者に依頼し、山頂表の前で写真撮影。

登攀終了後、ヘッデンで槍平まで下りる事を予定していたが、奇跡的に空いていたテン場に申込み、体を休めで17日に下山することにした。
3,000mの山の上なので仕方ないが、高級ビールで祝杯
テント設営後、おでんとビールで登攀成功の祝杯をあげる。

●8/17
17日はお盆休み最終日ということも有り、高速道路の大渋滞が予想される為、1時半起床、3時出発。予報に無い雨により岩が濡れていて、歩き辛かったが、予定よりも早い8時24分に登山者指導センターに下山した。
その後、車を回収し、温泉、食事を済ませ、大した渋滞もなく、まるひを送り届けて、17時前に自宅に帰り着いた。

温泉:竜島おんせん せせらぎの湯(松本市波田)
食事:境川食堂(中央自動車道境川パーキングエリア上り線)

◆あとがき
まだクライミングなど知らない5年前にソロで槍ヶ岳の山頂に登った際に、ロープをつけて槍ケ岳西稜から登攀してくるクライマーを見て、自分もやってみたいと思ったことが、クライミングを始め、この山岳会(頂山の会)に入るきっきけとなった。
その思い入れのあるルートへの登攀を3年前に初めて計画したが、天候等の理由により中止となり、今回、ようやく実現出来た。ブログを作成していて、実現出来た事への実感が改めてわいてきて、目頭が熱くなった。

最後に登攀実現に向けて、必要な技術や考えを身につける為にお世話になった方々、そして、パートナーである“まるひ”に、本当に感謝したい。

こう
















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