Date : 2012/02/04
Member : テトラオドン、組長(記録)
Timeline :城山南壁で主にマルチピッチのクライミング
寒風吹きすさぶ2月の城山で頑張ってマルチピッチクライミングをしてきました。
今週末は中央アルプスやら何やらいろいろと検討していましたが、最近の豪雪でどうも厳しそう。ということで、先週も悟空スラブで練習したし、どこかマルチで簡単な所ないかなーと検討した結果、城山西南カンテがヒット!
トポを見ても5.9が一つ出てくるレベルなので、まあ何とかなるし楽しめるだろうと思って、日曜の宝永山でセットでRocka&Snowな週末を送ることに決定。
毎度お馴染みテトラオドンさんのイケイケパジェロで伊豆に。
東名から見える明日登る富士山・宝永山の白銀のスカイラインが、山バカのテンションを急上昇させます。
天気もよさそう。今日は快適なクライミングができそう・・・だと思っていましたが。。
城山は初めてなのでどこかなーって探しながら、何となく城山登山口を発見。登山口付近には既に10数台が駐車していました。いかにもクライマーな人達が準備しています。
いつかは行きたい上高地の屏風岩のようなのっぺりのした巨大な岩壁が乾いた朝日を浴びて輝いていました。山バカのテンションは否応なく上がり気味。ハイカーのおじいさんとお話ししながら、南壁に向かいます。途中、ハイキングルートとクライミングルートの分岐の看板があります。なんか公認感があって気分がいいっすね。クライマーの心得なる看板もあって、暗いなーと言われたことはあっても、クライマーと言われたことはないので何か恥ずかし。
聳える南壁を見上げながら、基部に到着。朝10時頃、すでに数パーティー10数人が取り付いていて、何本かロープが垂れ下がっていました。
朝からこんな岩壁に張り付いて、ズリズリと這い上がっている人達を見て、人間とは不思議な生き物だなーと、天高く飛ぶ鳥が呟いていました。たぶん。
山に登るとはどういうことなのか。暇な自分は時々そんなしょうもないことを考えますが、山に登る・岩に登る・高みを目指すというのは、説明する言葉のない、むしろ言葉で表現すれば陳腐なものになってしまうような極めて純粋無垢な精神であって行為であるようによく思います。生きることに何にも関係ない、極めて人間的で無償な行為であるように思います。
とまあ、そんな下らん哲学論議をしていたら登る場所を取られてしまうので、さっさと準備を開始。
忘年会だったか新年会だったかのくじ引きでオビワンさんから頂いたキャラバンのサブザックに昼飯詰め込んで、クライミング開始。
西南カンテについて事前に調べた結果、1P目は南壁基部からどこか適当なルートを斜状バンドまで登って、それから歩いて西南カンテ取り付きまで行く、という記録があったので、それにならって誰も取り付いていない一番左のルートを登ることにしました。『ラーニングトゥクロール』か『スタートマイアップ』かなと思いつつ、まあどちらにしても5.9だから大丈夫だろうと安易に登り始めます。
下から眺めて、中間の小ハング越えが難しそうだなーっていう感じです。
結局は、ここが本日のミス1発目。。
どうやらここは5.9のルートではなく、『エキスカーション』の1P目5.10aでした。そんなことはつゆ知らず、意気揚々と登り始めます。最初は自分がリードします。
登り始めると、おやっ、何か難しいぞ。小ハングまで来ると、おやおやっ、どうやって乗っ越すんだ。
こんなはずじゃないと四苦八苦しながらどうにかこうにか小ハングを乗っ越します。おやおやおやっ、その先のスラブも何か悪いぞ、結構ランナウトしてなんか恐いぞ。左の方に浅いポケットがいくつかありますが、汚れていてあまり使いたくない。リングボルトでつないでいたところもあった上、スラブなので落ちたら痛そうなのでビクビクしながらジリジリ這い上がりました。
あるクライマーの本に「スラブの凹凸を読んで岩と対話しているうちに、やがて岩が『ここを登りな』と導いてくれる」と書いてありましたが、その時自分に聞こえたのは、腹の虫がキュゥーって鳴く音だけでした。岩クン、何か言ってよ。。。
城山の5.9はこのレベルなのか、それとも小川山『ブラック&ホワイト』で苦戦したようにスラブは経験不足なのか、あれこれ考えながら、アップのつもりが結構必死になってようやくビレイ点に到着。
振り返れば、狩野川を望む良い景色。必死で振り返る余裕がありませんでした。
ほどなくテトラオドンさんがフォローで登ってきます。余裕な感じでした。
この終了点付近には大きな浮石があって危険です。下手したら下にいる人、一人や二人殺してしまうかもしれません。
ここから左に伸びる斜状バンドを歩いていきます。
向かって左に終了点が一つ。今思えば、ここが勘違いした5.9の終了点だったのかもしれません。
向かって右側の南壁上部にも難しそうなルートが伸びています。ちょっと怖いバンドを登っていくと、
行き止まり。その上にピカピカのケミカルアンカーがあったので、これが西南カンテだと思い、準備開始。
カンテっぽくないねーなんて言いながらテトラオドンさんがリードします。カンテっぽくないねーっていうかここはそもそも西南カンテじゃありませんでした。かえって調べた結果、どうやら『黎明ルート』かどこかのルートに取り付いてしまったようです。本日2つ目のミス。
10数メートルでピッチを切って、フォローで登ります。5.7~8くらいで簡単です。ただ、岩が脆い。
ここらへんからやけに風が強くなってきます。コールも大声を張り上げないと聞こえません。
次のピッチは自分がリード。しかし、ここから先のルートがイマイチ分からない。リングやRCCボルトがいくつもあってどっち見進むのか分からない。ようやく右上にケミカルアンカーを見つけ、どうやらここが事前に他の人の記録で見たいやらしいトラバースなんだと解釈。ますます強まる風に、時々体を持って行かれそうになりながら、恐る恐るトラバース。
・・・っと、急に右足がすっぽ抜ける!!左手でアンダーを持ちながら大きめのフットホールドにのっていたはずの右足が思いもかけずはずれ、咄嗟に右手であれこれ掴みますが、左手アンダーだけでは保持できずズリズリの後ストーンってフォール・・・。トラバースなので横に大きく振られて派手に落ちてしまいました。かなりの高度感のある場所の上、途中錆びたRCCボルトでつないだ部分もあったため、あまり落ちたくなかったのですが、落ちてしまいました。なんで足が外れたのかわからないまま、登り返すのに四苦八苦。ほとんどホールドがない所にぶら下がってしまったので、最後はロープをつかんで腕力だけで復帰。
岩を見たら、右足を乗っけていた部分がガッツリ剥がれていました。こりゃ落ちます。リードビレイ中もボロボロと剥がれた小石が落ちてくるほど脆い岩です。
何とかビレイ点を発見。ただ、やたらロープが重い。岩に引っ掛かっているのかとかいろいろ考えましたが、よく分からない。後からテトラオドンさんに聞いたところ、フォールの衝撃で束ねていたロープが落下し、その上きつく絡まってしまい解きほどくのにてこずっていたようです。しかしそんな状況は自分は全く分かりません。テトラオドンさんの姿は見えないし、できる限りの大声で呼びかけても風が強すぎて声は届くも何を言っているのか分かりません。
とりあえず、セルフをセットしてロープを引き上げようとしますが、全く引けません。また声を張り上げてみますが、やっぱり風の音でかき消されます。
さすがにちょっと焦ります。インカムかなんかあれば便利なのにと思いながら、とりあえずしばらく待ってみることに。それにしても寒い。この強風の中、動かないでいるととにかく寒い。焦りもあって余計寒い。
しばらくするとようやく、ロープが軽くなり、どうにか引き上げることができました。「登っていいよ」「登ります」がなんとか通じて、テトラオドンさんがやっと登ってきました。一安心。
テトラオドンさんがロープを解くので疲れてしまったので、次のピッチも引き続き自分がリード。
ただ、またここから先もルートがわからない。周辺に錆びたリング・RCCボルトはありますが、これはさすがに使えない。
よくよく探すと、左上の小ハング上にピカピカのケミカルアンカー発見。これだと思って登り始めるも、その小ハングが越えられない。仕方なくA0で行こうとしてもその先のアンカーが見当たらない。お腹は減ったし、無理は良くないので帰りましょっかーってことになりました。
まさかの西南カンテ敗退。ショックでした。っていうか、そもそもここは本来の西南カンテじゃありません。「黎明ルート」かどこかのルートに間違って取り付いて、西南カンテのトラバースと勘違いして、またさらに別のルートのビレイ点にたどり着いてしまったようです。
まあでもその時は、ここが西南カンテだと思ってましたから、このレベルのマルチもこなせないのか、と、すっかり意気消沈。
もっと上から見るはずだった景色を振り返って、「景色最高っすねー!!」と言ってみる。そして、とりあえず笑っておきました。
そこから懸垂2回で南壁基部へ。朝いた人たちは一人もいなくなっていました。寒くて風が強いので帰ってしまったんでしょうか。右奥の難しいエリアにはまだ人がいましたが。
途中、投げたロープが木に引っ掛かる。下にいたおばさんに「あぁーあ!」とか言われる。ため息がでる。まだまだ未熟者です。
下に降りて、ようやく腹ごしらえ。
何か難しそうなルートにトライしている人たちを横目に誰もいない簡単そうなルートを物色。これならいけそうと思って「グラシアス」(たぶん)に挑戦。登れない・・。西南カンテ敗退による下がり気味のテンションとかじかんだ指を言い訳に、本日は終了としました。
南壁に最後までいたのは自分たちだけで、暗くなり始めたハイキングコース下山。
またいつかリベンジするぞ!と城山を見上げながら、撤収。
傷ついた心を癒しに、三島市の極楽湯に入りました。日替り風呂はショウガ湯でした。どうでもいいけど。やっぱりどーでもいいけど、14日ははチョコレート風呂だそうです。
そのまま、宝永山でご一緒するマリ姉さんをピックアップするために御殿場に向かいました。
初の城山は見事に跳ね返されました。初めての岩場は、よく知っている人と行くのが一番ですね。
まあいろいろ経験できたし、ある意味充実していたかなと思います。
いざ、宝永山へ!
To be continued・・・・
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