硫黄岳・横岳・赤岳

2012-12-15

03_積雪期 i_八ヶ岳

Date : 2012/12/15‐16
Member : のり、まり、つーく、組長
Timeline :12/15 美濃戸口1203~1247赤岳山荘~1455赤岳鉱泉
12/16 赤岳鉱泉0551~0800硫黄岳頂上~0942横岳奥の院~1049地蔵の頭~1146赤岳頂上1215~1318行者小屋~1341赤岳鉱泉


これから本格的に始まる岩と雪のシーズンに向けての足慣らしとして、硫黄岳・横岳・赤岳を縦走してきました。全ての状況が良い方に転び、とってもゴキゲンな山行になりました。
12/15、今日の予報は朝から昼ごろまで相当荒れるとのこと。それも南風が入って気温が高いので、雨。雪ならまだしも雨はテンション下がりまくる。まあでも今日は鉱泉までの樹林歩きだし、今日我慢すれば、明日は晴れ予報だから、ご褒美が待っていると期待して出発。

今日は、車。先週、八ヶ岳に行った時は中央道通行止めを気にして電車で行ったけど、やっぱり電車はどうも好かん。そんで車。大月から勝沼まで甲州街道を使うことになるけど、まあある程度の渋滞は覚悟していました。
しかし、、、それほど早くない出発にもかかわらず、中央道はガラガラ!!甲州街道は少しだけ詰まった程度。勝沼から先もガラガラ!!なんて快適なんでしょう。。通行止めになる前と同じ時間で諏訪南ICまで着くことができました。
天気は予報通りの曇天。時折、晴れたり小雨が降ったり。高速でもいくつも虹がかかる。しかし、虹が見えないと言い出す、のり姉さん。そうか、姉さんもついに虹が見えなくなってしまわれたか。。でも大丈夫、逆に僕ら若輩者には見えない何かが見えているはずですよ。。なんて、相変わらずデリカシーにかける発言を連発し、姉さま方にどつかれながらも、サクッと美濃戸口に到着。
ここから先は、ホンダシビックでは進めないので歩きです。外は小雨。予報では12時頃から雨はやむらしいし、空もそんな感じだったので、しばらく車内でラジオから流れるクリスマスソングを聞きながら、待機。大型バスで乗り付けていた、たぶん硫黄岳登頂ツアーの団体さんは、しばらくすればやむはずの雨の中をわざわざザックカバーやら傘やら雨対策を施して、足取り重く出発していました。ツアーだから、スケジュール通り行かなきゃアカンのでしょう。かわいそ。

我々は、雨も上がった正午前に出発。時折、足を滑らせながら、北沢を赤岳鉱泉までテクテク歩く。今シーズンは何度この道を通ることになるのでしょう。昨日からの雨と高温で氷結しているところはなく、アイゼンなんかはもちろん要らない。ただ、山久しぶり、雪山初のつーくさんが早くもバテる。明日からは空気椅子でデスクワークしましょう。つーくさんは雪山初なので、横縦走はちょっと心配ということで、今回は赤岳鉱泉前進キャンプまでの荷揚げ隊!?いやそれもあながち冗談でもなく、つーくさんは明日は鉱泉で、酒飲んだり読書したり散歩したりして一日を過ごす予定。御苦労さまです。
美濃戸口を出発



今日の赤岳鉱泉は、そこそこの混み具合。アイスキャンディーはほぼ完成しているようです。今日もたくさんのカマキリが氷壁にぶら下がっていました。
ぬくぬくの小屋内でおやつ&赤岳鉱泉特製ラーメンを食べながらしばし歓談。
今日のアイスキャンディー
そして、テント内でつーくさんが担ぎあげたビンの!!ウォッカと日本酒、焼酎。そして、まり姉さんがひれ酒用のふぐひれとふぐの粕漬けを持ってきてくれましたー。なんて贅沢。鉱泉でふぐひれ酒!!
ふぐひれ酒の香ばしい香りに酔いつつ、のり姉さんのホントに美味い鳥団子鍋に下鼓を打って、全然冷えない鉱泉の夜は更けていきました・・・。
ウォッカとハイネケンとふぐひれ

鳥団子鍋
翌日。
今日は晴れの予報ですが、稜線では昼ごろまで風速20メートル前後の暴風が吹き荒れるそうです。その上、昨日の雨と気温上昇により天気傾向が大きく変化したことで、以前、大きな雪崩事故のあった赤岩の頭付近の雪の状態が心配です。しかも今年は雪が多くなるのが早い。昨日鉱泉のお兄さんから情報を集めていましたが、見解は一緒で雪崩には注意してください、ということでした。場合によっては素早くロープも出せるようにしっかり準備し、においプンプンのとんこつラーメンを食らい、テントの外に出ると、満点の星空。風は覚悟するにしても行かない理由がありません。
テントキーパー(笑)のつーくさんを残して、まだ暗いうちに出発。気温も高く、すぐに暑くなります。もちろんトレースはバッチリで、積雪は去年のクリスマス頃と同じくらい。凍ったところもないので、アイゼンなしでぐんぐん高度を上げます。心配していた雪の状態でしたが、固く落ち着いていてあまり問題ないようです。風もあまり強くないようです。
次第に木々の間から赤岳や阿弥陀岳、そして横岳のごつごつとした白い稜線がほのかに朱に染まって姿を現すと、いよいよテンションが上がり始めます。樹林を抜ける手前でアイゼンを着け、雪崩事故のあった赤岩の頭直下の雪面へ。一応ピッケルを刺してみたりして、雪の状態を確認してみましたが、積雪自体もそれほど多くないし、特に心配は要らなさそうでした。。ただ一応、一人ずつ通過。
赤と阿弥陀

赤岩の頭からは、360度の大パノラマ。南八ヶ岳の岩と雪の稜線はもちろん、その先には南アルプスや中央アルプス、御岳や北アルプス、一転、北八ヶ岳のたおやかな山並み。最高でした。これ以上にない景色でした。そして何しろ心配していた風がない!!いやあるにはありますが、ある内には入らない程度です。しばらく景色に見入ってしまいました。
稜線から日が昇る

見入る。。
ただ、硫黄の頂上からケルンに導かれて硫黄岳山荘のコルに向けて歩きだすと、さすがに風が強くなってくる。風速15メートル前後でしょうか。自分は、かなりよろめきながらも1歩2歩と進める程度でしたが、のりさんは暴風に弄ばれしばらく身動きが取れないようでした。耐風姿勢一歩手前といった感じですが、今年の2月の宝永山のような、あと20m先の頂上まで進むのも危険でやめたような恐ろしい風ではありません。のりさんはサングラスがどこかにブッ飛ばされ意気消沈。
大ダルミ

暴風に弄ばれるのりさん

風のよけられる硫黄岳山荘で一応念のためハーネスを着け、爆風吹き荒れる中、エビのしっぽが張りつく稜線に乗ると、開けた東側に富士山が・・・!!その美しさは、やはり他の山々とは比べることができない、別次元のものでした。まりさん、つい「ハッピーニューイヤー!!」と叫ぶ。ニッポン人やね。
これから歩く赤岳までの稜線も白く美しく輝いています。幸せな時間でした。
右手にそそり立つ大同心を見ながら、横岳・奥の院に向かう。手前でカニの横ばいと言われる鎖場があります。鎖を雪の中からかき出しながら、慎重にトラバース。皆さん特に問題なし。
カニの横ばい
雲ひとつない晴天の中、横岳主峰奥の院へ。頂上では、反対側から稜線を辿ってきたカモの会のパーティーと遭遇。頂の例会にも一度顔を出したこともあり、Pump2でもよくお会いするYさんとがっちり握手して写真を取りました。そう言えばこの前の城山でもお見かけしました。山ヤの行動パターンは同じ!?
 

風は次第に弱まり、まさに快適な稜線歩き。ただ、気温が高いので、風のない東面に出ると少々暑い。

三叉峰や石尊峰の岩稜帯を越え、少し心配していた鉾岳のトラバース。クサリは雪で埋まり使えませんが、傾斜も緩く雪の状態も悪くないので緊張するようなところはありません。難なく通過。


次第に赤岳が迫る

鉾岳のトラバース

鉾岳のトラバース

鉾岳のトラバース
一度、稜線上に戻ってから、今度は左に周って日ノ岳のトラバース。ここも少し心配していましたが、やっぱり全く問題なし。今日はどうやらロープはお荷物だったようです。
日ノ岳のトラバース

後ろが日ノ岳
それにしても、あまりにも空は青く、雪は白く、のり姉さんのウェアは赤い・・・。最後のはどうでもいいとして、全てのものが純粋に見える。これだから雪山はやめられない。

クッパ城のような荒々しい横岳を振り返りながら、右手から上がってくる地蔵尾根に出合う。お地蔵さんの顔にはエビのしっぽがびっしりと張りつき、かわいそうなことになっていました。
横岳を振り返る

お地蔵さん
赤岳展望荘でしばらく休憩を取ってから、赤岳頂上への最後の急登へ。風は再び強くなりましたが、雪の状態は良く、とても登りやすい。のりさん、まりさん、少し離されながらも頑張って登る。
右手から赤岳西壁主稜を登ってきたガイドパーティーと合流して、頂上に向かいます。ガイドさんはかの有名な岡田さんでした。自分とは別次元の人ですが、尊敬し憧れるクライマーです。
そして、快晴無風の赤岳山頂へ。
これ以上は望めない景色でした。

旭・権現・編笠、そして南アルプス。
贅沢にも世界の岡田さんに写真を取ってもらう・・・

しばらく山頂からの景色を堪能してから、文三郎尾根を下る。途中、1月下旬ごろに予定している赤岳西壁主稜の取り付きと、ルートを確認。今日は好条件のため、たくさんのパーティーが入っているようでした。多くがガイドパーティーのようでした。貧乏人の自分にとっては、ガイド登山は金銭的に難しい。ガイド登山では、自分のレベルでは行けないルートにより安全にトライできるというメリットはあると思いますが、やはり結局は自分の力で行かなければ、思い出も充実感も50%オフな気がします。赤岳西壁主稜をガイド山行するよりも、横縦走を自分の力で成し遂げる方が、より価値のあることだと思いました。
文三郎へ


赤岳西壁主稜の取り付き

赤岳西壁

雪山の下山はやっぱり早い。すたこらと行者小屋を通り過ぎて、つーくさんが待つ赤岳鉱泉へ。つーくさんはテントの前で日向ぼっこして昼寝中でした。その雪山らしくないあまりにも優雅な雰囲気に、「ここはセーヌ川のほとりか!?」と突っ込みを入れました。つーくさんは、今日一日読書をしたり、行者小屋まで散歩したりビール飲んだりお昼寝したりで過ごしたそうです。御苦労さまです。

さっさとテントを撤収して、あとは下山だけ。今日はいつまでたっても雲ひとつない晴天。下山後は、近くの温泉、もみの湯へ。17時から300円でしたが、ちょうどあと20分前。ここは世間体を気にして、20分待たずに500円払って入浴。いやいやワイルド。。ま、言っても500円ですが。。自分にとっては英断でした。とてもいい温泉なので、オススメ。

そして、渋滞覚悟の中央道とした道の甲州街道もまさかのガラガラ!!高速はやっぱり高速で走れなきゃ意味がない。快適に東京まで帰れました。みんな中央道を回避しているから、逆に中央道は今、狙い目!?

という感じで、天気も道路も全ていい方に転がり、とってもゴキゲンな山行でした。
横縦走は、初級者のステップアップにうってつけだと思いました。風の強さや雪の状態等に大きく左右される部分はあると思いますが、今回のような条件ではとりわけ緊張を強いられるようなところはなく、アイゼン・ピッケルワークがある程度慣れており、体力があれば、全く問題ないです。そして何より、素晴らしい展望。逆ルートも考えられますが、やはり南八ヶ岳の主峰赤岳に向かって、岩と雪の稜線を歩いて行く硫黄岳からのルートの方が満足度が高い気がします。富士山も常に視界に入り、「ハッピーニューイヤー!!」と、つい叫びたくなる景色が続きます。

今年も八ヶ岳にはたくさんお世話になりそうです。よろしく、八ヶ岳。

(組長)





このブログを検索

人気の投稿

最近の投稿

Archive

QooQ