Member : A子、組長
Timeline :赤岳鉱泉0706~0812下部岩壁取り付き0833~1150上部岩壁取り付き~1320石尊峰~地蔵の頭~赤岳鉱泉
冬バリ、始めました。
前日21日は、今季初アイスで乗鞍は善五郎の滝へ。本滝の左側はドバドバ・・・右側は氷結いまいちだけど登れます。最近、岳人で紹介されたらしく、混雑かぁーと思っていったら、誰もいないので貸切状態。ムーブ、スクリューセット、アバラコフ、ビレイポイント作成などなど、とにかく一通りやって、今季のアイスも準備万端!!!
いつもクライミングでお世話になっているKさんとさちさんから譲り受けたモノポイントとアックス。ありがとうございます。大切に使います。今度、ボッカアルバイトします。
この日、一緒に行った方に、A子さん、上級者!!と褒め殺しで有頂天。はいはい、うまいねうまいね・・・。
ワタクシ、打ちこみがリード向きと、ちょっとだけ面目躍如。それって、ただのパワー馬鹿って言われてるだけ・・・。アイスクライミングはパワーだーーー!!!笑
最後はヘッデン下山で今年もアイスモード突入・・・
善五郎の滝。観光名所。。 |
今年も自然の贈り物に感謝 |
スクリュー、くりくり、腕、パンパン |
そんなこんなで今年もやって参りました、八ヶ岳。今年は何度来るんでしょ。
夜行の時はいつも道の駅車中泊が定番だったけど、快眠にこだわる人に合わせて、美濃戸口の八ヶ岳山荘の仮眠室でお寝んね。着いたのが遅かったのもあるけど、すでに人いっぱいで隙間にもぐり込む。蒲団の束で雪崩を起こして、大わらわ。2000円は高いけど、確かに車中よりは寝られる。でも2000円は高い。贅沢は敵だ。でも贅沢って時にはいい。でもいずれにしろ、仮眠室で贅沢とかいってる自分が貧乏くさくて恥ずかしい。
翌朝起きたら問題発生。ワタクシの財布に金がないのはいつもの事だが、今日はどっちの財布にも現ナマが少ない。しょうがないから麓のコンビニまで車を走らせる。なにやってんだ。。
まあいいや。今日は何だかのんびりやりたい。みんな出てってからのんびり歩きだす。久しぶりの山。久しぶりの重荷。アイス用装備にテント、登攀具、酒、その他。最近は毎週のようにフリーだったから、本格的な山登りは9末の湯檜曽本谷以来???あれ、先週どっか言ったような気もするが、ただの忘年会だったような気もする・・・。
まあとにかく、久しぶりに肩にザックが食い込む。気持ちええー。でもさすがにちょっとボッカ力が落ちた気がする。もう少し歩けば元に戻るだろう。
まだ12月だというのに今年の八ヶ岳は雪が多い。赤岳山荘まではちょうどいいあんばいに雪が積もっていて、まだ道もあれていない。まあいずれにしても2駆はだめだけど。そういえば、昨年の12末にいった阿弥陀南稜のときは、雪も少なく、カチンカチンのツルンツルンだったなぁ。。ちえ蔵さんが死ぬほどこけて、半べそかいてたなぁ。オレもトリプルアクセル5回は決めたっけ。
・・・なんて回想しながら、大汗かいて、ようやく赤岳鉱泉に到着。美濃戸口の車の多さからは想像がついたが、お客さんいっぱい。とりあえず、小屋内で一息・・・のつもりが二息、三息、四息・・・。キャンディーで遊ぶつもりが何となくめんどくさくなって、ぼぉーっと過ごす。明日の偵察ぐらいはしなきゃと、根の張りかけた重い腰を持ち上げる。
今年のキャンディーは立体的。そして、横岳西壁は全体的に白い。 |
週末までの大雪で中山乗越付近で雪崩があったらしい。小屋内に張り紙があった。偵察で間違って入った沢筋がどうやらそれらしかった。登山道からは離れているものの、くらったらひとたまりもない。雪崩で死ぬなんて絶対にヤダ。
石尊稜の取り付きは、鉱泉から歩いて10分ほど、樹林から開けた沢筋に出て赤い橋の袂からロープをくぐって入って行く。週末であれば大抵踏み跡があるはず。今回もトレースはあった。ただ、翌日知ったが、そのトレースもどうやら誰かの偵察トレースだったらしく、石尊稜末端付近からはトレースなし、3連休の初日と2日目は誰も入っていなかったようだ。石尊稜末端は雪崩危険地帯だから、みんな雪の落ち着かない初日と2日目を避けたのかもしれない。
まあとにかく、偵察はやったし、おそらく日本で一番八ヶ岳に詳しいであろう有名ガイドKさんに情報ももらったし、後は食って飲んで寝るだけだ。夕食は餃子鍋。うますぎるよコレ。まぶしたホアジャオがこれまた絶妙。あんた、やっぱ天才ですよ。2013年最後に新しい言葉を覚えた。「ホアジャオ」。
同じテントばっかで酔っ払って人の家に入っちゃいそうだ・・・ |
餃子鍋 |
翌朝。
八ヶ岳は寒い。でもいい天気。いや最高の天気。風がない!赤い実をつけた木。その上にちょこっと乗った白い雪。おとぎ話のような風景。目の前に迫る圧倒的な壁。青くて白くて黒い。今年も雪山に来たなぁと思った。アイゼンを軋ませ、石尊稜に入ってく。二俣は全部右へ。
下部岩壁が見えるところまでくると、先行3人組Pが1P目をリード中。まあ着く頃には先に行ってるだろう。末端は、日の岳ルンゼ側から左上して尾根に取り付くが、確かに雪崩れそうな斜面。実際、過去何度も雪崩事故が起きている。でも今日の雪質には自信があった。つってもまあ雪崩れる時は雪崩れるんだけどね・・・。埋まったら最新ビーコンで探してね。僕のはシングルアンテナだけど。。のんびりやっていたら、後続Pがきた。
ちなみに、アイスの人気ルートの三叉峰ルンゼは完全に雪に埋まっている。
いざ石尊 |
雪壁を左上して石尊稜に取り付く。雪崩の多いところだ。 |
1P目に着いたらまだ先行Pのセカンドも登っていない。この寝た壁にどんだけかかってんねん!!と思ったが、後で自分が登ったら・・・ですよね~って、ね。
とりあえず、立派なビレイ点が二つあるので手前のを使って登り始める。3,4m上にハンガーボルトがあるのが分かる。でもその最初がなかなか悪い。石尊稜は出だし核心とよく言われる。ただ、簡単という人もいれば、難しかったという人もいる。簡単という人が登った状態は岩が出ている状態であることが多いような気がする。今日は、雪が多く、岩のホールドを掘り出しながら、そして、雪の下からぴろぴろーって出ている草付きにダブルアックスを決めながらのバランスクライミング。自分がへたくそなのもあるし、今季初ということもあるのか、超怖い・・・。上部はボルトが適度にあるが、ひぃーひぃー言ってようやくリッジ上の灌木へたどり着く。ここは2通りのラインがあるらしいが、もっと右寄りの方が簡単らしい。でも空いてなかったから、直上から左上した。雪がすくなければ簡単なのかもしれないけど、今回は難しいと思った。後続Pも苦戦したようだった。
見た目は簡単そうなんだけどね・・・ |
1P目フォロー中のA子さん |
草付きにダブルアックスで |
2P目は簡単なリッジ。灌木でビレイ。3、4P目は肩がらみとかで簡単なビレイ。その後は、上部岩壁まで本当に綺麗な雪稜。踏み跡がなければ最高だろうと思った。スタコラとコンテで進む。目の前に立ちふさがる石尊峰はクッパ城のように邪悪でいかつい。これ登れんのかい!って臆病風に吹かれる。
4P目 |
中間部の綺麗な雪稜 |
トレースなければ最高 |
右上のギザギザが石尊峰 |
雪稜てくてく |
相変わらず最高の天気。風も弱い。上部岩壁で渋滞。とりあえず、カムで体を岩につないで、ランチタイム。楽しーなー気持ちーな。後ろからは続々と後続Pがやってくる。先行3人はなんでかフォローが一人ずつ登るので遅い。。二人同時に行ってケロ。
下部岩壁は頂いたので、上部岩壁はA子さんに譲ろうとしたが、なぜか弱気。どうした笑。
しょうがないから上部岩壁も頂く。
上部岩壁は、下部ほど悪くはなかったが、超ランナウトするので落ちたらお終い、という怖さがある。リッジ上の岩角まで40m。中間支点1つ。意味ないね。ちなみに残置はありません。また、ビレイ点は、錆びてひんまがったピトン。セルフ取るのも気が引ける。カムで取った。
登った後、先の様子がまだ分からなかったのでそのままスタカットで。でも結局最後は簡単なのでビレイは不要。氷化した斜面をダッシュで駈け上ると石尊峰より少し右肩の稜線に出る。山の反対側には富士山が待っていた。多少びびったクライミングだったので、稜線に出て一安心。A子さん曰く「石尊稜、初級じゃねーよ!!」確かに今日の感じだとそうかもしれない。八ヶ岳バリで初級といわれる赤岳主稜とか阿弥陀北稜とかよりは難しい。落ちたガイドもいたらしい。まあ状態にもよるんだろうけど。それにしても自分が頼んだガイドが落ちてきたら、シャレにならん。客に救助されるガイドとかカッコ悪いなぁ。
ご褒美の景色 |
お疲れ様でしたー |
下山は地蔵尾根から。途中からアイゼンを外して滑り降りる。鉱泉に帰って、テントをたたむ。3連休の喧騒はすっかり消え去って、鉱泉にはつかの間の静寂が訪れていた。豪華なクリスマスツリーには、夕方まで頑張るアイスクライマーが武器をぶんぶん振り回している。
グッバイ&ハロー赤岳鉱泉。。今年もお世話になります。まあ泊るつもりはないけどね。
結局この日も最後はヘッデン下山。途中スタックした車を救助しながら、すっかり車のいなくなった美濃戸口へ。赤岳山荘では、こっこちゃんに今年もよろしくってご挨拶したら、噛まれそうになった。いつかはナデナデさせてねー。
帰り際、これまた前から気になっていたレストラン・ペチカ。こっちはA子さんも満足してくれたようだ。よかった。ライスお代わりできないのが玉に瑕。まあ、自分みたいに量さえあれば満足ってヤツに味云々語るい資格はないんだけどね。
とうことで、今年も冬バリ始めました。
足慣らしのつもりだった石尊稜だったけど、なかなかしょっぱかったです。アルパインクライミングをやるといつも自分の弱さにぶち当たる。山が壁が、否応なく、ホレどうしたって問うてくる。怖いし、寒いし、しんどいこともあるけど、またこうやって攀じ登りたくなってしまう。石尊稜を登りながら、次の目標、中山尾根から目が離せなかった。見た感じ難しそうだ。あんなところ自分みたいなヘッポコクライマーがいけるのか。そんなことの答えがつかぬまま、家に帰ったら計画し始め、気づけば岩を掴み、雪にアックスを打ちこんでいるんだろう。写真でしか見たことのないルート目指してどこまでも進んでいくよ。山とクライミングが何よりも好きだから。
(組長)