Member : すぐりん、組長
Timeline :城山南壁
Author :組長
Alone on the wall.
平日の誰もいない城山南壁を独り占めして縦横無尽にマルチを楽しむ予定だったが、バランス命のスラビーフェイスでバランスを崩される強風が縦横無尽に吹き荒れる。
その上、なんだこの寒さは・・・。ビレイ中に寒さで凍え、なかなかハングを越えようとしないパートナーに悪態をつく自分が容易に想像できたので、早々に、マルチは今度来たとき、と諦め、週末はクライマーだらけでなかなか登れない南壁の主要なショートルートを片っ端から片付けてみた。
がっちり埋め込まれたぶっといケミカルアンカー。なんて安心感たっぷりなんだろう。ここでは、外れるかも知れないマイクロカムに身を委ねることもないし、プロテクションがとれなくなって進退窮まることもない。クライミングスタイルに厳格な主義主張をもたないちゃらんぽらんな僕はこれはこれでまたとても楽しいと思う。
風に翻弄されながら、岩を読み、体のバランスを崩さぬよう、無心に、一歩一歩高みを目指す。
人の世で抱えるいろいろな面倒くさいことを綺麗さっぱり忘れ、無心に攀じる。
ああ、僕は本来この自由さを岩に山に沢に求めていたのだ。
