剱岳 源次郎尾根主稜

2019-08-10

01_無雪期 08_アルパインクライミング l_北アルプス

Date : 2019/8/10-12
Member : みの、よしみ、U-16、よっしー
Timeline :
8/10(1日目)
扇沢7:30→室堂9:00→雷鳥沢キャンプ場9:50→別山乗越(剣御前小屋)11:45→剱沢キャンプ場12:30
8/11(2日目)
剱沢キャンプ場3:15→平蔵谷取付き4:00→Ⅰ峰7:30→Ⅱ峰8:00→剱岳本峰10:30→カニのヨコバイ11:30→剱山荘14:30→剱沢キャンプ場14:50
8/12(3日目)
剱沢キャンプ場6:30→雷鳥沢キャンプ場8:15→室堂9:30→扇沢11:20
Author :よっしー




年秋に結成したチームボッチで挑む、初めての本格的なバリエーション山行。
チームワンワンに引き続き、山岳ガイドの佐藤先生のバリエーション講習を受けた我々。(ブログ投稿をサボっていて、ボッチとしては初投稿です。。)

ちなみにこのチーム名は、某M先輩が「お前ら全員ボッチなんだから、チームボッチでいいよ!」という投げやりな命名によるもの。(拒否権は無し)

本来、7月の海の日連休に前穂高北尾根を予定していたものの、悪天候のため中止に。
今回は夏季休暇でメンバー全員、3日間の日程が確保できたので、1泊2日でも行ける前穂高は別の機会とし、剱岳への遠征となったのであった。

今回の計画当初、剱岳のバリエーションルートとして有名な八ツ峰主稜もしくはⅥ峰Cフェース経由で本峰を目指すルート案が出ていたのだが、行動時間やロープワークの習熟度など総合的に考えると、難易度を下げた源次郎尾根主稜あたりが今の僕らにはちょうど良いのではないか、という結論に至った。

源次郎尾根主稜はリード&フォローでピッチを切って登るような箇所は無いので、アルパイン初心者にとっては手を出しやすく、かつ剱岳本峰までダイレクトに突き上げながら広大な景色を堪能できる好ルート。

核心の2日目の天気予報が怪しかったが、晴れることを祈って、いざ出発!


◆8/10(1日目)

前夜発で深夜2時頃に扇沢駅の駐車場に到着。
数時間の仮眠後、7:30発のバスに乗り、ケーブルカー等を経由して室堂へ。


黒部ダムの放水ではしゃいだ後、室堂に到着。
観光客もごった返す中、気持ちが良すぎるぐらいの快晴。色んな出店があって、賑やかだった。

謎のマスコットと2ショット

眼前に広がる山並みを眺めながら、「あー、やっぱ山っていいな」と、月並みな感想ながら久々の北アルプス感を味わう。整備された道を歩き、とりあえず雷鳥沢キャンプ場まで。

雷鳥沢キャンプ場には色とりどりのテント

フォトジェニックな光景

雷鳥沢キャンプ場を後にし、ここからは登りが続く。

日差しがきつくなっていく

汗をダラダラと流しながら、別山乗越(剱御前小舎)へ到着。U-16はすぐさまコーラ(500円)を購入。

剱御前小舎

ここから剱岳の全景が見え、源次郎尾根や八ツ峰も確認できる。
こんなとこ登るんかー、と不安と期待が入り混じる。

剱岳の全景が見える

剱をバックに自撮りしてみた

ここまで来れば、あとは剱沢キャンプ場まで下るだけ。
キャンプ場には既に沢山のテントが張ってあったが、比較的平坦で良い場所をみのが見つけてくれた。

剱沢キャンプ場

剱沢小屋。テン場からちょっと遠いのが難点。

とりあえず休憩。とてもテントの中で過ごせる気温じゃないので、外でダベる。

この日の行程はここまでなのだが、明日の本番に向け、取付きまで偵察へ向かうことに。

雪渓はやっぱり涼しい!

剣沢雪渓を下るため、チェーンスパイクを装着。
計画時点では皆12本爪アイゼン、ピッケル装備で行こうとしていのたが、よしみの事前情報によるとそこまでの装備は必要なさそうな状態だったため、急遽チェーンスパイクに変更。
おかげで荷が減って楽になり良かった。実際、チェーンスパイクで全然大丈夫だった。

偵察のため軽荷で行ったのだが、U-16だけ何故か頭にヘルメット、片手にハイドレーションという装備。
すれ違った人に、「水汲みに行くんですか?」と聞かれたらしいのだが、キャンプ場からそんな遠くまで水汲みに行かないよなw

雪渓を下り、平蔵谷(読みは「へいぞうたに」ではなく「へいぞうたん」)の取付きへ。大岩のあるところが目印になるとのことだったので、それを目標に下る。

正面の大岩が目印

情報通り大岩を発見し、取付きを探る。

平蔵谷。右側の茂みの辺りが取付き。

細い道ができていた

取付きが確認できたところで、キャンプ場へ戻る。
夕食にはU-16お手製のプデチゲを囲み、それぞれ持ってきたウイスキー、ワイン、焼酎といった酒も、明日に備えほどほどに。

翌日のヤマテン予報によると、午後から霧雨の可能性があるため、遅くとも正午には本峰に着けるよう、AM3時出発にしようということになった。

AM2時起きとなるため、この日は19時過ぎには就寝。

◆8/11(2日目)

AM2時起床。
前日早く寝たため、こんな時間でもまあまあ寝た感覚。
4人用のテントに4人で寄り添って寝たため、夜中は結構暑かった。
みのはビバーク用のシュラフカバーで十分だったらしい。というか、夏はいつもシュラフカバーだけとのこと。さすがマッチョの体温維持力だ。

朝食の雑炊を食べ終え、身支度を整える。
3時過ぎには出発。ヘッデンを付け、雪渓まで下っていった。

雪渓でチェーンスパイクを装着する

取付き付近に着いたのが、AM4時頃。
まだ暗く、前日に偵察に来ていなかったら取付きで迷っていたことだろう。



僕ら以外にも数パーティ準備をしており、バリエーションとはいえ、結構な人が入る人気ルートなのだと改めて感じた。

ここでハーネスなどギアを装着し、出発。

5分くらい急登していくと早速、最初の小核心。
写真を撮っていなかったのだが、出だしの岩を乗り越えるのが少し難しい箇所。前のパーティはロープを出していた。

そこを越えると、ジャングルクルーズのような道をずんずん登っていく。



暫く進むと、2つ目の小核心。



自分はフリーで登ったのだが、見た目以上に登りづらく、結構怖かった。
ほんの3~4mほどの高さなのだが、ここで落ちたら怪我は免れない。

ハーケンも打ってあったが、後のパーティも詰まっているのでフリーで慎重に登り、なんとか登りきった。不安のあるよしみは、最後にロープを出して登ってもらった。

その後も岩登りの箇所が続く。

スラブ気味の岩

ここはスタンスも沢山あるが、足を滑らせると当然危ないので慎重に登る。左側に巻いた方が簡単だった。

ちなみに自分はこの辺りで耳をブヨか何かに刺されたらしく、その後マギー審司の「でっかくなっちゃった!」のギャグばりに耳がパンパンに腫れる事態に。
虫除けスプレーはしてたが、もっと強力に対策しておけばよかった。。

AM6時も過ぎると日差しが出てきて暑さが増してくるが、まずはⅠ峰ピークに向け高度を上げていく。






途中、八ツ峰の全景が見える箇所へ。


当初登ろうとしていた八ツ峰Ⅵ峰フェースの方から、クライマーたちのコールが聞こえてくる。ここを登りに来るクライマーは、すぐそばの「熊の岩」という所にテントを張るそうだ。この日も10張近くはあっただろうか。
来年は八ツ峰に来れるよう、経験を積んでいこう。

我々は、再びⅠ峰に向け登る。



そして7:30頃、Ⅰ峰に到着!


暑くてたまらないみの

「あれがⅥ峰Cフェースっすね」と、通っぽい感じを出したいU-16

Ⅱ峰はすぐそこに見えるのだが、結構下った後、また結構登らないとならないように見える。



Ⅱ峰の登りはかなり険しそうに見えたが、意外と手足を使ってぐいぐい岩場を快適に登っていく感じで、割と簡単に標高を稼ぐことができた。

ほどなくしてⅡ峰に到着。
ここで懸垂下降するのだが、前のパーティの順番待ちのため、日陰を探してしばし休憩。

この辺りから暑さのあまり、みのが「暑いから動くの嫌だ」「ロープ出すのめんどくさい」と、まさかの幼児化。
新キャラ「みっくん(7歳)」の登場である。

日陰でダラダラする男共。みっくん(右側)は完全にやる気ゼロに。

駄々をこねるみっくんを引きずりながら、懸垂下降地点へ。
U-16から順番に、下降を始める。

単なる懸垂下降ではあるのだが、ここが源次郎尾根主稜のポイントとなるところでもある。
高さは30mで、僕らは50mのダブルロープ2本を連結して下降した。

よしみは最初の一歩、身を投げ出すのが怖かったようで四苦八苦していたが、無事下降に成功。

よしみの懸垂下降

下からの図

こうして見ると結構な高さだ

ここからは本峰までひと踏ん張り。
日差しが強くなっていくにつれ、体力も奪われていく。



懸垂が終わった順に先に進んでいたため、他メンバーとの距離が離れてしまった。
最後の自分は少しの間一人で歩いていたのだが、軽い岩場のところでルーファイをミスし、「絶対ここ違うよな」というような難しいところを進んでしまった。ルーファイ力も鍛えねば・・・

源次郎尾根を振り返る

途中、雷鳥を発見!しかも親子3羽。可愛かった。

分かりづらいけど、右側中央辺りにもヒナが1羽いる


そして、、10:30頃ついに本峰到着!

ようこそ剱岳へ

源次郎尾根をバックに、メンズ3人で

剱のポーズ

よしみと自分は剱岳初登頂。初剱がバリエーションルートからの登頂になるとは。
U-16は3回目とのことだが、今回が一番楽しかったという感想。
みんなここまで良く頑張った!

ちなみに、山頂付近で落石により怪我をした人がいたようで、ヘリが救助に来ていた。ずっとホバリングしていたが、無事運ばれたようで何より。



この日は山の日ということもあってか山頂には人が沢山いたので、渋滞する前に早く降りようと出発したのだが、その目論見は後ほど打ち砕かれることに・・・

下山中

一般道の難所であるカニのヨコバイ辺りまで来ると、何やら渋滞が起きている模様。。

大渋滞が発生

ここは多少、渋滞が起きても仕方がないところではあるのだが、いつまで経っても進まない。ゆうに一時間以上は待ったのではないか?炎天下の中、ジリジリと肌が焼かれていく・・・
みっくん(7歳)も我慢ならず、なんとかして小さな日陰に入り込もうとする。

どうやらカニのヨコバイ以降、ガイドツアーのパーティがおり、なかなか前に進めないでいたようだ。これが原因で大渋滞を引き起こしていた。

後ろの方からも男性が、「何が起こってるんですかー!?」と声を上げイライラしている様子。
そう言いたくなるのも無理ないよなと思いつつ、待ち続けてようやく渋滞解消。

そこから下り、前剱、一服剱の登り返しでひいこら言いながら剣山荘を経由し、我が家のある剱沢キャンプ場へ無事帰還。

そして、祝杯のビールで乾杯。
サイダーを飲みたかったみっくん(7歳)は、途中の剣山荘でも買わずに我慢していたのだが、なんと剣沢小屋はサイダー売切れ
拗ねて、スマホゲームを始める始末・・・
「決して見てはいけませんよ」という鶴の恩返し的なセリフを残し、水浴びするU-16

渋滞等もあったが、この日の行動は11時間かかったので、みんなクタクタ。
夜はよしみが用意してくれた、みんな大好きカレーライスを頬張り、腹も満たされた。
大変お疲れ様でした。


◆8/12(3日目)

3日目はもう下山だけなので、朝はまったり。
コーヒー飲んだりゆっくりしてから、下山の準備をする。

我がテント跡

剣沢キャンプ場ではラジオ体操を流しており、遠くの方のテントの人も割とやっていた。
なんだか微笑ましい光景だった。

この日も天気が良く、下るだけだが暑い暑い。
前日の軽荷とは違い、全ての荷物がずっしり重く感じる。

雷鳥沢キャンプ場まで戻り、川遊び

暑さと戦いながら、室堂まで到着。
黒部ダムの放水に再びテンション上がりながら、行きと同じくバスを乗り継ぎ扇沢の駐車場まで戻ったのであった。


********


今回、初めてのバリエーション山行となり、心配していた天気の崩れもなく無事終えることができた。
懸垂下降以外でロープを使うことはほぼ無かったが、自分たちの力でバリエーションルートを登り切ったことは自信に繋がった。

次の目標は、9月の前穂高北尾根リベンジ!


P.S.
温泉寄ってから早めに高速に乗れそうだったため、飯が旨いと評判の境川PAでランチしていこうというU-16の名案だったのだが、その運転手本人がうっかり通り過ごし(笑)
その先の初刈PAでランチとなりました。でもここも旨かったので、皆様もお立ち寄りの際は是非。

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