Date : 2019/9/8
Member : まゆ、Aさん、まり、(Zero)
Timeline :コードックウィキルリッジ
    登山口9:45-11:00取りつき(準備&待ち)登り始め12:00-17:40懸垂下降終了-19:00登山口
Author :まり

”インスボン”という東洋のヨセミテと言われる韓国の岩場でマルチピッチクライミングをしてきました。クライミングだけでなく、韓国人クライマーとの交流という得難い、思い出深い一本というか、旅になりました。
インスボン。異形

事の起こりは、Zeroの「インスボンに行きたい、行かない?」という何気ない誘い。その時はインスボンを全く知らず、見せてもらった写真の山容に惹かれて「行きたい」と即答。そんな春の会話が9月に実現することに。直前になってしまったが、一緒に小川山やジムに行ったりして、ばたばたと準備。

なお、メンバーはZero、まゆ、そしてZeroのクライミング仲間であるAさん。Aさんは昨年同じルートを登っているとのこと。Zeroは「これで死亡率が下がった」と、Aさんの参加を心から喜んでいました。

【前日:9/7土曜】
さて、場所は韓国なので、飛行機でビューンと飛びます。が、ちょうど韓国に向かう土曜(登る前の日)は朝鮮半島に台風直撃!!飛行機飛ぶのか核心だったのですが、国際線は強い!ものともせず予定どおりに到着。よかった。

韓国が初めての私は、当初はハングル語の洪水にびっくり、戸惑いまくり。先に韓国入りしていたZeroと合流。台風直撃とあり、風は強いものの、登山用品のアウトレットや、登山用品店街に繰り出す。途中ソウル駅前でデモに出会う。残念ながら日韓関係が悪い時。日本人であることがどうなるか良くわからなかったので、遠巻きで見ていたら、デモ隊の一人からは「俺は日本が好きだ」と近寄ってきて握手を求められた。おー、人それぞれなのね、と報道の偏りを実感。ちなみに、登山用品店街には韓国独自の山ブランドショップもあり、面白い。基本的にはクライミングが盛んらしく、クライミングシューズをはじめ、クライミング道具が充実している感じ。そして、近くには屋台街もあって、なかなかいい味だしている。

1日目の昼は「タッカンマリ(鳥一羽)」

ソウル駅前のデモ

屋台街
夕飯はZeroお勧めのお店で焼肉を食らう。う、うまい!!なんかしらないが、肉の下味と焼き方が絶妙なのである。これは日本とは違う!うー、と舌鼓をうち、明日のクライミングに備える。

うま!!!
さて、ここで残念なお知らせ。
今回の首謀者のZeroは、、、、、なんと、、、登ってません。なぜなら、土曜実施予定だった息子さん運動会が日曜に順延。しかも、リレーアンカーという大役。お父さんとしては、絶対に外せないのです。申し訳ない、と思いつつも、残りの3名でアタックすることに。ごめん


【当日:9月8日日曜】
インスボンはソウル市内から地下鉄で約1時間、そこからタクシーで5分で登山口という非常にアクセスのよい場所にある。前夜夜遅くソウルしたAさんと最寄駅である「北漢山牛耳駅」で合流し、まずは取りつきを目指す。前日の台風の影響で道が濡れまくり。私たちはダメなら、取りつきだけ見て帰ろう、と腹をくくり、まずはレンジャーセンターらしきところまで整備された登山道をとことこ歩く。途中レンジャーの方々が台風で倒れたと思われる倒木を整備している。全般的に非常に整備されてて、愛されている山、って感じ。
レンジャーセンタ(だったかな)までは約40分くらい。そこからは登山道を離れ、取りつきを目指す。ここから先はAさんの昨年の記憶を頼りに歩く。結構踏み跡はあるので、方向さえ間違わなければ付くかと。そしてドーンと目の前に一面の大きなスラブ壁が現れる。

登山口



登山道はこんな風に整備されています


きたー!インスボンのざ・スラブ。シュナイダーBとかこの辺りか

アンカーはほぼない
 すごい!圧巻。こんな岩場は見たことがない。そして、そこに何組も韓国人クライマーたちが取りついている。スラブの一部は前日の台風の影響で川のように水が流れているにも関わらず、だ。すごい。軍隊経験者は違うのか!ちなみに、我々の目指す「コードックウィキルリッジ」はさらにその脇にあるので、もう少し歩く。一番簡単なグレードで5,4-5.6位とのこと。

で、取りつきに着くと、そこも韓国人クライマーの団体さんがわさわさ登っている。皆、岩が濡れているのが見えていないのか?!。一度我々もどうするか作戦会議。岩はところどころ濡れているが、ここまで皆が登っているのを目の前にすると、登るしかない!
というわけで、Zeroごめん!といいながら、準備。なお、私たちはこの団体さんの後になったので、結構待ちが生じました。


1P目の取りつき

というわけで、いざクライムオン!1ピッチ目はがばホールドのやさしいルート。でも緊張している私はどきどき。2ピッチ目はグレード的には低いが切れたったところをアンダーもってトラバースする場所があり、怖い。そのあともビレーポイントまで結構パワープレイ。3ピッチ目はまゆさんリード。岩の脇を登り、最後は岩が濡れているので、木を使って登る。4ピッチ目がクラック。世界の佐藤祐介にクラックのセンスをべた褒めされたAさんにリードしていただく。フットジャム効かせながら快適?に登る。5ピッチ目は高さはあるが、がばホールドたくさんのルート。私がリードする。ボルトはないので、カムをきめながら登る。が、やはり岩が所々濡れててやらしい。そして少し恐怖心。ちなみに、その上には耳岩、という大きな被っている岩があり、そのルーフを他のチームは登っていました。ひえーーーすごい高度感だよ!



1P目のビレイ点

2P目

2P目

4P目。クラック

5P目。登り上げるところ

耳岩のルーフを登る韓国人クライマー
この辺りで、我々と前後して登っていた韓国人2人クライマーと仲良くなる。彼らはアプローチシューズで登っている強者。片言の日本語、英語、韓国語を交えながら、途中途中会話。うち一人はお姉さん?が上野に住んでいるとかで、日本人に好意的である。

さて、その5ピッチ登り終えたところで事件は起きる。

事件その1:6ピッチ目はチムニーなのだが、仲良くなった韓国人クライマーの方が脇にあるフェースのルートを登ろう、と。俺がリードするから、私たちフォローで登ってこい、と。Aさんは目をキラキラさせて、ぜひ!と。まゆさんと私は簡単な方でいい、と思うも、うまく意思疎通できず、とりあえずおじさんの行動を見守る。フェースも少し濡れている。おじさんはアプローチシューズですたすたと登り、1ピン目をカムで取る。そして、レイバック風に登り上げようとしたその瞬間、足を滑らせて落ちたのです。しかも、1ピン目のカムが外れる。ゼロビンの下も切れ落ちているところだったので、グラウンドにはならなかったが、でも10mくらい落ちる。私たち3人は悲鳴である。ビレイヤーが非常に冷静で、おじさんは大丈夫そう、という。とりあえず、おじさんザックをこっちに上げてくれ、と伝えて、ザックだけが上に上がってきた。そして、そのザックには血がべったり。。再度悲鳴である。Aさんは助けに行こうと懸垂下降の準備。その時、おじさんが戻ってきた。笑顔で「大丈夫(日本語で)」といいながら。いやいや、この血は大丈夫なはずがない。頭と背中は無事そうだったが、腕には血がべったり。Aさんが救急セットを出して、かーぜをまく。嬉しそう。何度も大丈夫、とご本人は言っていたが、こっちはまだ心臓のばくばくが止まらない。そして、私たちの心はここで折れたのである。

おじさんのケガの処置を終え、難しいほうではなく、元々のルートであるチムニー行こう、と言い、戦意喪失した我々は彼らのフォローで登ることに。ちなみに、このチムニーも濡れてて、私は途中でプルプルしてた。。

赤いザックの方が落ちた方。元気

6P目のチムニー

6P目のチムニー

事件その2:さて、このチムニー韓国人クライマー2人、Aさんが登った後、下でまゆさんと私が登る順番を待っていたら、「Shit!」とビレイポイントから声がする。なんと、ロープにリアル「Shit(糞)」がついた!と。人糞っぽい。言われてみれば、かぐわしい臭いが漂っている。Aさん曰く、韓国人はところかまわず野糞をする、とのことだったが、そこは明らかにビレイ点であり、しかも、岩に囲まれている場所。なぜ、そんなところで!!疑問は尽きないが、全員登り終えたあと、水で洗い流す。しかも素手で!それは、それは、衛生上大丈夫なのか??と色々疑問が頭をよぎったが、皆で大爆笑

ロープについて〇〇を洗い流す!
7ピッチ目。少しクラックぽいところで、最後はちょっとしたスラブ。ここも心折れた私たちはフォローで登らせてもらう。


8ピッチ目。これがラスト。たぬきの腹という、6mほどのスラブなのだが、途中なにもアンカーがない。これが核心。ここは負傷したおじさんがリードする、という。しかも、おじさんは良いところをみせようとしてくれているのか、なぜか難しいルート取りで行こうとする。無理しないで―というものの、おじさんはそのルートを踏破。さすが。このたぬきの腹、チッピングされているものの、滑りやすい感じには変わらず、私は怖かった。

あえて難しいルート取りをするおじさん

途中アンカーなしです。こわ!
で、これを登り終えるとピーク!!
正面には、白雲台に登った登山者が雲の合間から見える。幻想的!






不思議

白雲台
さて、ここから懸垂。懸垂ポイントがすこし離れたところにあり、おじさんたちに着いていく。結構切れ落ちてるところをノーザイルでとことこと歩き、到達(Aさんは昨年はロープを出した、と言っていた。)そこから、60mの懸垂。空中懸垂あり、の長い長い懸垂。

懸垂下降地点に向かって歩く

懸垂準備

 


ようやく到着!

ギアをしまい、登山口に向かう。その時はおじさんたちの仲間のクライマー3人も加わり、合計5人の韓国人と3人の日本人で下山。かれらが登山道までのルート取りもしてくれたのだが、なぜか花崗岩のスラブ歩きをすべきところが多く、私がビビっていると、手を惹いてくれました。やさしい。

いろんな事件があって、気づけば暗くなりつつある中、ようやく登山口に到着。

途中の沢で顔を洗う

到着!
韓国人クライマーたちから夕飯一緒に、と言われ、喜んで一緒させていただくことに。
駅まではタクシーで、そこからは皆さんの車に乗せていただき、彼らの行きつけ?と思われる韓国料理屋に。焼肉、焼魚あり、とお腹いっぱい食べて1000円でした!そのあともコーヒー飲むか、と誘ってくれ、そこもお言葉に甘えてコーヒーを頂く。
その間はみなで山の写真を見せ合う。彼らは日本の雪山、沢登りに興味深々。そして、韓国ではアイスが盛んらしく、アイスをしに来い、と。嬉しい&楽しく時間が過ぎました。
ちなみに、落ちたおじさんは仲間から労われるのかと思いきや、「お前、あの一番簡単なルートで落ちたのか!」といじられてた(笑)

もりもりなのであります

コーヒータイム!
【3日目:9月9日】
私とまゆさんは帰国する日。でも日中時間があるので、ジムに行くことに。色々調べるとソウル市内には野外の大きなリード壁を備えた公園が6か所もあることが判明。行ってみたい、と比較的に市内中心の近いところに。スピード壁が2つあるなど、立派である。高さは17mくらい。しかも、無料。なので、近所?のおじさん、おばさんが来ている。みなムキムキである。みな、日本人と分かると、「槍ヶ岳行ったよ」とか「平山ユージと友達だ」と色々と親近感を持って話してくれる。Zeroが韓国語ぺらぺらだからかもしれないが。
興味深かったのは「俺らはみなクライマーで、それに国も何も関係ない。このクライミングをみなで楽しもう」的なことを言われたこと。じーん。

さて、17mの壁なんて登ったことがない私は、2本登ってぐったり。
でも韓国のムキムキのおじさんはアップだ、と5本連続で10a-dを登り続けてた(ちなみに、なぜかZeroがビレーさせれてた)そして、昨日仲良くなった韓国人クライマーの一人がわざわざ自転車でそのジムまで会いに来てくれて、ビレーしてくれました!嬉しいですね。


野外のクライミング壁。無料!こんなのが市内に5-6か所ある

韓国人クライマーをビレイしるZERO


私とまゆさんは飛行機があるので昼で退散。

という、思い出深いインスボン3日間でした。
韓国は、近いし、美味しいし、優しいし、クライミングに積極的な国。トポがないのがたまに傷だけど、また行きたい&登りたい、と強く思いました。
皆さんもぜひ!
つーか、ZEROが登っていないんだった。再度行かねばなりませぬ
冷麺💛

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