Member :バード、マリ、ヤマ、ワタ
Author :バード
This is "FREE"!!
今シーズン、最後の小川山は三ツ星のクラシックで。
セレクションを知ったのはいつだったか。
小川山でフリクションクライミングを覚え、トラッドなスタイルも登るようになり、自然と意識し始めたのかもしれない。
ちょうど去年の今頃、チームわんわんで、フリークライミングの目標設定をしようと話をしていた時、ふと思い浮かんだのがセレクションだった。
フリークライミングやってますと言うからにはマストな一本だと思えたし、いつも5峰に向かう道中で真正面に見える姿は、まさに小川山のシンボルだった。
あのラインを登りたい。で、登るからにはオンサイトで登りたい。そこから小川山通いが始まった。
スラブ、フェイス、クラックと5.9前後の名ルートをクリアしよう。単に登るだけじゃなくて、オンサイトトライを積み上げることで自信がつくだろうと、一本一本丁寧に向き合った。
トライの中間目標にピックアップした課題は下記の通り。
●スラブ
ソラマメ、やわらかソラマメ@屋根岩2峰
ツイスト、越境者@水晶スラブ
●フェイス
無名ルート@おむすび山スラブ
小川山物語@父岩
●クラック
龍の子太郎2p@妹岩
小川山レイバック@親指岩
同じ課題にも何度も取り付き、花崗岩の感触にも親しみを感じられるようになってきた。メンバーの都合と、天気の影響もあり、決戦は11月9日に決まった。
5時半に新宿駅に集合、境川で朝食を済まして、いよいよセレクションだ。空は最高に晴れている、いつものように2峰がぶっ立っている。
いつもの朝定食 |
わんわんでニャー! |
いくぜ!5峰! |
※下記はルートの記述があるので、オンサイト狙いの人は閲覧注意です。
寝ぼけた体をストレッチで叩き起こし、いざクライムオン。今回は偶数が僕で、奇数をワタa.k.a.ナメちゃんが担当。
1p 5.7
くの字のクラック。ハンド~フィスト。
ワタはこのピッチ、練習に練習を重ねてのトライ。映画フリーソロで、アレックス・オノルドがムーブをバラしてはプログラム化するように、脳内にルートを叩き込んでいた。
さぁ、いざ本番。左手のジャムを決め、プロテクションをとり、右のフィストをとって、体を上げていく箇所でフォール。El Capitanで、平山ユージが、El Ninoのオンサイトトライを失敗した時くらいの「バカヤロー!」がこだまする。執念持ってトライしたからこその悔しさだ。僕にも気合が入る。その後、無事にやり直してクリア。
クライムオン! |
2p 5.8
ランナウトに耐える小川山的なスラブ。ただ、きちんとスタンスは拾えるので、丁寧に足を上げていく。
いざランナウトの旅へ |
カメラ見ないでという指示からの一枚 |
3p 5.5
チョックストーン下のチムニー。ガリガリと背中のフリクションで登っていく。
木の向こう、チョックストーンの下から |
チムニーの車窓から |
4p 5.8
NP+ボルトのフェースルート。木登りからクラックをあがり、左手に見えるカチに乗り込み、広いクラックの中を登っていく。
木登り→クラック→フェース |
5p 5.7
外から見ていて最も意味不明だったルート。これをトラバース?なにか手がかりはあるのか?リードのワタa.k.a.ナメちゃんが、勇ましく取り付いていく。最初のアンダーをとったワタが濡れてると叫んでいる。ビレイ点からは、何をどうしているか訳がわからない。そして、コーナーの先へ匍匐前進で消えていった。
コーナーの彼方に消えていった |
ザックが核心の1枚 |
6p 5.9
Y字のクラックの左ルート。ハンド~ワイド。徐々にハンドが決まらなくなってくる。膝をぶち込んで、気持ち悪そうな抜け口を全身のフリクションでパスする。
Y字を左。ハンドからワイドへ。 |
頭をあげると目の前には2峰ピーク。一気に緊張感から解放される。振り返ると父母が見渡せる。登った、登れた。青空に風が心地よい。一瞬の悦に浸った後、セカンドを引き上げる。帰りは、左のワイヤー沿いを歩いて下山。
もっともらしい感想はやめだ。目の前にドカンとみえる岩峰を合理的なラインでトップに向かう。心から登りたいと思えるルートを、一撃の緊張感の中で魂込めて登る。一瞬一瞬に集中して、気がつけばピーク。最高だ。
登頂直後にパシャリ |
青空に映えるピーク! |
いいルートを、カッコいいラインをもっと登りたい。岩登りって楽しい。ありがとう、セレクション!その晩は、浴びるように酒とイクラを喰らった。