Date : 2023/03/11-12
Member :まり、U16、バード
Timeline :
【3月11日】0728駐車場〜0813北西尾根取り付き〜1351幕営地(1500m地点)
【3月12日】0548幕営地〜0616岩稜帯取り付き(1560m)〜0731ナイフリッジ(1650m)〜0943茂倉岳ピーク〜1405茂倉新道登山口〜1430駐車場
Author :バード
Spring has come!!
谷川連峰は茂倉岳には、積雪期限定のバリエーションルートから。
記録も少ない藪山はMINOR BUT GOLDだった。
右側の尾根が一般登山道にもなっている茂倉新道。そして向かって左が今回我々が取り付いた北西尾根である。
雪が降る季節になると白いデカイ山に登りたくなる。暖かい城ヶ崎でのクライミングも、岩稜メインの厳しいアルパインも好きだ。
だが、なぜだか人影もトレースもない雪稜。自分の息しか聞こえないような静かな山。深い山のなかで見上げる星と月。そんな登山に惹かれてしまう。
そんな話をしていたら、まりがどこからか、この茂倉岳北西尾根を見つけてきた。
このルート、これまで聞いたこともなければ、調べてみても記録も多くない。
ただ、このルートは普段は藪に囲われているがために、冬季にしか登攀できない、積雪期のみ開かれたルートとのこと。
積雪期限定という売り文句と、過去に会山行で登頂できずにいた茂倉岳に、バリエーションルートから登攀できると聞いて、我々の進路は決定した。
谷川方面へと向かう道中、「いつもなら関越トンネルを抜けると、そこは雪国だった」という展開な訳なのだ、おや!?トンネルをくぐったとて、目に入る景色には雪が少ない。
そうなると北西尾根への取り付きが心配である。北西尾根には、茂倉谷を渡渉しなければならないわけなのだが、これが渡れないとなると初手敗退である。
そんな不安を抱えながら土樽の駐車場から取り付きに向かう。
茂倉新道登山口に向かい途中を左に折れると茂倉谷に突き当たる。ビクビクしながら川沿いを歩いていると、なんと僅かにスノーブリッジが繋がっているではないか!
嬉々としながらスノーブリッジを渡り、我々の北西尾根は無事にスタートした。
北西尾根は、積雪期のみに開かれたルートである。普段は藪に囲われいる尾根が、雪がつくことによって登攀できるようになる。
と思いきや、我々の眼前にある尾根は全然藪に囲まれている。
普段は登れない藪山に雪が乗っていないならば、それは登れないのでは?とツッコミをしながら、とりあえず沢登り的なノリで上部に詰めていく。
履いていたワカンは早々にザックのお守りとなった。
ヤマテンによれば本日は晴天である。これはよし、日頃の行いのお陰だ!と喜んだのも束の間、今日は暑い、暑すぎる。
せっかく出てきた雪面もグズグズに腐っている。たび重なる踏み抜きを繰り返しながらも高度を上げていくと、1350mあたりで岩稜に突き当たった。
他の記録だと右に巻いたという記録もあったが、右側のルートにはクレパスが大きな口を開けている。
ということで、左巻きを選択。しかしながら、ここも雪がグズついていて、ホールドになるような灌木も乏しい。
これも沢登りのツメのような感覚で、登り返し尾根に復帰する。
尾根に復帰して振り返ると、どうやらこの岩稜は、直登でもルート選択できそうである。
事前情報によれば、北西尾根には二つの核心がある。一つ目が1560m付近の岩稜帯の登攀と、もう一つがナイフリッジである。
今日の予定ではこの二つの核心パートを超えて、1750mあたりの幕営地にテントを張る。
そんな予定だったのだが、時間もそこそこだし、雪もグズグズだし、なにより踏み抜き続きで疲れたので、目の前に突如として現れた1500m地点のパノラマ物件にテントを張ることに。
水作りも早々に宴会スタート。沈んでいく太陽を眺めながら、U16が持参してくれた日本酒の四合瓶が空になっていく。
今晩はまりお手製のキムチ鍋!疲れた身体に程よい酸味が染み渡る。ご馳走様でした!
翌朝、日の出とともに核心パートに取り着こうということで、3時半に起床。まりのサッポロ一番をかき込みながら、朝の支度を済ませる。
満点の星空に綺麗な月が印象的だった。
さっそく第一核心となる岩稜パートに取りつく。
雪稜という噂だったが、灌木にそったモンキークライミングというような内容。
下部から中間部までを灌木づてに登り、右から巻きながら上部に抜けた。体感としてはⅡくらいか。下部から上部まで50mでいっぱいくらい。
その後すぐに1650m地点のナイフリッジパート。先頭を歩いていたまりが振り返る。
トレースもなく、左右が切れ落ちていて高度感もヤバい。
「まりさん、ロープ出しますか!?」
と後ろの野郎2人は、トップを変わる素振りは一切出さない。
U16はスノーバーまで叩き込み、ビレイの準備をしている。
やはりトップを変わる気はない。
無事にまりがナイフリッジを突破していく。
どうやら大丈夫そうとのことで、後続はフリーで続く。
核心パートを超えても、そこからも美しい雪稜が続く。1900m手前に現れた岩稜帯は左巻きで回避。
それを越えればお椀状の茂倉岳のピークはもうすぐだ。
無風快晴のピークに到着。四方を山々に囲まれたグラビア展望である。正面の万太郎に、後ろには勇ましい武能岳。不気味な雰囲気を漂わせている荒沢山。仙ノ倉、平標の稜線も美しい。
こんなにピークでゆっくりできるのも久しぶりである。存分にマウンテンビューを堪能して、茂倉新道を降って帰路に着いた。
帰り道、日が昇ってくると雪が腐ってきたので、お守りになっていたワカンを呼び戻し、アイゼンワカンで下山。
マイナーなルートだが、岩に雪にスノーブリッジ、そして藪漕ぎと表情豊かな好ルートだった。
なにより周囲全体を山々に囲まれた眺望が素晴らしい。
当初の予定だと1700-1750m付近で幕営予定だったが、日帰りならまだしも、その後の核心パートの雪の状況も鑑みると、今回の幕営地が自然に感じた。ロケーションも最高だし。
ルートを見つけてくれたまり、超朝発というスケジュールのなか、みんなをピックしてくれたU16、楽しい春山をありがとうございました!