Date : 2012/07/28-31
Member : テトラオドン、組長(東鎌組:まりりん、かよ、Jocky)
Timeline :28日: 中房温泉0515~0950燕山荘1030~1304大天井分岐~1349大天井ヒュッテ1401~1423貧乏沢入口~1627天上沢~1650北鎌沢出合
29日: 北鎌沢出合0517~0703北鎌のコル~0802天狗の腰掛~0857独標基部~1005独標頂上~1350北鎌平~1510槍ヶ岳山頂~1700槍ヶ岳山荘テント場
30日: 槍ヶ岳山荘テント場0610~0754水俣乗越~0957西岳山頂~1233大天井ヒュッテ~1502燕山荘
31日: 0410燕山頂~燕山荘0712~0923中房温泉


ついに、憧れの槍ヶ岳・北鎌尾根に行ってきました。
「北鎌尾根」。

日本で登山をする者にとって、やはりこの尾根は特別な存在であると思います。たぶん。少なくとも自分はそうでした。
月並みな紹介になりますが、かの有名な加藤さん家の文太郎君がこの尾根で遭難し、また、『風雪のビバーク』とかいう小説の舞台ともなった伝説??の尾根。基本的にあまのじゃくを気取る拙者でさえも、加藤文太郎や新田次郎の著作を読み、長い間、この尾根に憧れておりました。
もっとも、悲劇の舞台は積雪期の北鎌尾根のこと。そして、積雪期こそこの尾根の本当の価値があるのだと思いますが、まだまだ自分の技術・経験では太刀打ちできそうにありません。
そこで今回は、無雪期の北鎌尾根に挑戦することにしました。近い将来、積雪期に挑戦するための偵察という意味合いもありました。

しかも今回は、槍が初めてのまりりんさんとかよさん、槍はおろか山4回目??くらいの新人のJockyさんのチームが東鎌尾根から槍を目指し、穂先で集中するというオシャレーなプラン。ワクワクで臨みました。「カマ集合」。なんか変な響き♡♡♡

27日の夜、都内でテトラオドンパジェロにそれぞれ乗り込み、中房温泉登山口の駐車場に着いたのは深夜1時頃。去年も同じ頃にここに来ましたが、駐車場が激混みだったのでちょっと心配していましたが、やっぱり車、車、車・・・。駐車場のかなり手前から路肩駐車しており、とりあえず駐車場に行って少し粘ってみましたが、そりゃやっぱりダメ。仕方なく少しばかり下って、有明荘よりさらに下あたりの路肩に何とか駐車。明日のためとかいって誰も酒を飲まないので、明日の事なんててんで考えない(考えなさいと最近怒られた)男一匹ビール飲んで安曇野の夜を楽しんでから、わずかのスペースにテントを2つ張り、仮眠。。空には星がキラキラ。その後も、ひっきりなしに車がやってきていました。


28日朝。
・・・っていうか、さっきから2時間も経っていませんが、ビール効果で睡眠ばっちり。テンション高い(アルコールのせいかも)。他の人は、あまり寝れずにいまいちなテンションでしたが・・。
他の登山者も続々と出発。大阪、名古屋に、新潟ナンバーと日本各地から人が集まっています。さすが人気の燕。

身支度を整え、中房温泉登山口まで少し歩き、人ごみの中、登山開始。
湿気が多く、雲も多め。大気の状態がいまいちそうですが、おおむね晴れています。ただ、暑い。
ところどころ渋滞に巻き込まれながら、のろりと合戦小屋に到着。

合戦小屋では今年も不覚を取りました。またしても名物スイカを食べてしまいました。
質実剛健・男気溢れる山岳会を志向する頂には、あってはならない事態です笑。
スイカが苦手で食べられないのに雰囲気でスイカを買うというかよさんのよく分からない言動もありましたが、ほんのり甘い水分たっぷりのスイカに結果的にまたしてもやられてしまいました・・・。今年も合戦小屋の思惑にはまる。

その後ものんびり稜線を目指す。稜線が見え出すとよく晴れだし、稜線上の燕山荘がヨーロッパの古城のように青空に映えていました。
稜線に乗ると、先に見えるは絶景。右には絵になる燕。立山や剱。裏銀座の山々。そして・・・槍、手前に延びる北鎌尾根です。何度見ていたとしてもうっとりしてしまう景色でした。

しばらく景色を堪能した後、表銀座をぶらぶら歩き始めます。白い砂礫の中に凛と輝くコマクサ。ちょうど見頃でした。途中ライチョウも現れました。

途中、先頭を行く自分のすぐ後ろにJockyさんが追い付いてきました。しかし、しばらく上り下りが続くと次第に離され、少し先で待っていると、「くそー、ついていけねー」と悔しがっていました。登山は競争ではなく自分のペースで歩けばいいのだと思いますが、Jockyさんみたいな純粋なスポーツマン気質は素晴らしいことだと自分は思います。自分もそう感じることがよくあるし、そう思うからこそ強くなっていくんだと思います。山はまだ初心者でも、もともとスポーツマンのJockyさんのことだから、すぐに強く歩けるようになって、逆に自分の方がおいていかれるようになるんでしょう。

まあそんなこともありつつ、途中の切通岩の鎖場でビビるかよさんにウケつつ笑、東鎌組との今生の?!お別れとなる大天井前の分岐にたどり着きました。ここで、もし死んだ場合の北鎌の岩に埋め込むレリーフのデザインを相談してから笑、東鎌組は大天荘方向、我々北鎌組は大天井ヒュッテ方向に進みました。

大天井トラバース中にまたライチョウ発見。結局、今回の山行中、5,6回ライチョウに出会いました。北アルプスに来ると必ずライチョウを見るので個人的にはライチョウの希少性はゼロです・・・。
大天井ヒュッテで誘惑に勝てずになっちゃんを買って飲む・・。うますぎる。登山終了後のビールといい勝負でした。

大天井ヒュッテから喜作新道を2.30分ほど進むと、「貧乏沢入口」と書かれた看板がありました。

ここからが一般ルートを外れて、北鎌尾根へのバリエーションルートとなります。少し気合を入れてから、尾根をまたいで貧乏沢の下降を開始します。最初少しハイマツを漕ぐと明瞭な踏み跡が続き、落石注意のゴーロ帯、灌木帯、と続きます。ゴーロ帯で自分で起こした落石に自分であたるというミラクルを起こしながらも、明瞭過ぎる踏み跡をガンガン下ります。赤布もそこかしこに有ります。迷うはずもありません。
2260mあたりから雪渓が現れます。貧乏沢の雪渓は、この上部の雪渓とより大きい下部の雪渓に分かれていました。上部雪渓は、流芯沿いがかなり薄くなっており、不安定な印象を受けました。比較的安全かつ歩きやすいルートを探りながらバイルを持って下降します。雪渓は急とはいえないですが、軽アイゼンがあった方が楽だと思います。自分の登山靴は軽量でやわらかいタイプのためか、キックステップがスムーズに決まらず、ちょっと緊張しつつズリズリ滑りながら下りて行きました。
下部雪渓は一部ズタズタになっているところがあり、状態は不安定なように感じました。夏が進み雪渓の解け具合が微妙になると、貧乏沢の下降は難しくなるのかもしれません。
つい足元ばかりに目が行きがちでしたが、正面には黒々とした北鎌尾根が威圧的に屹立していました。なお、貧乏沢の下降はすべて左岸を下ります。1か所フィックス有り。
貧乏沢の下降には思ったよりも苦戦しましたが、無事、天上沢に到着。右岸を北鎌沢出合まで歩きますが、すぐに前方に赤いテントが見え、ああ、あそこが北鎌沢出合なんだなと、すぐに分かりました。

北鎌沢出合には、単独さんが2名、たき火で盛り上がるおっさんおばさん3人組と夫婦2人の先客がいました。明日は皆、同じルートをたどることになります。
北鎌沢出合は良いテント場でした。沢で体は洗えるし、整地された場所もたくさんあります。夜、まさかのドシャ降りでテントのベンチレーションから浸水してテトラオドンさんのシュラフがびしょ濡れになるというハプニングがありつつも、とてもよく寝られました。



2日目。
少し雲はありますが、晴れています。他のパーティーもどんどん出発していき、北鎌のコルや北鎌沢右俣の中間あたりにはヘッドライトの明かりが見えます。昨日のうちにコルまで上がっていたパーティーもいたようです。我々は5時20分頃に出発し、殿をつとめました。
北鎌沢右俣は、北鎌のコルに向けて少し右にまがりながらも一直線に突き上げています。

10分ほどで二股に着きます。右俣に入るのが正解です。水流のある本流は左俣ですが、左俣は上部がとても急峻で危険。残念ながら、左俣で遭難された方もいらっしゃいました。北鎌のコル目がけて進めば間違えることはなさそうですが、右俣入口には木が生え岩が堆積しているので先が見えず、また涸れているため、見落とす可能性がなきにしもあらず、といった感じです。事前情報では、右俣上部で給水できるとのことでしたが、万全を期してここで給水しました。結局、右俣はところどころ水流があり、上部にも細くも汲めるくらいの水流がありましたが、年によって、また季節によって変わってくるため、この二俣で給水するのが無難かもしれません。

木の右を行く

沢登りのくせか、何となく水流沿いの難しい岩を楽しく登りつつ、ぐんぐん高度を上げていきます。

右俣上部に行くにつれて、虫がかなりうるさくなります。何の虫かわかりませんが、なぜかおデコばかり刺しやがって、二人ともおデコがボコボコになりました。右俣は基本的に進路は右ですが、1か所、×のペンキマークがあるところは右に行くと危険な場所に行ってしまうそうです。このペンキマークは大天井ヒュッテの方が安全のために付けたそうですが、バリエーションルートにこういったものがあると少し冷めます。上部の綺麗なお花畑を越える頃には、先行パーティー全てに先に行かさせてもらい、テント2張り分くらいのスペースの北鎌のコルに着きました。
ここでガチャ類をつけ、槍に向かって出発。天狗の腰掛あたりまでは、樹林帯が続き、まるで裏妙義のような木の枝、木の根を掴んでの泥臭い登攀が続きます。途中に興ざめの赤いフィックスがありますが、こんなの使わなくても登れます。後ろを振り返れば、北鎌尾根の下半分が見えました。
やがて独標が姿を現します。表銀座から見た時はそれほど存在感を感じませんでしたが、北鎌尾根上で見ると、北鎌に独標あり、という感じでものすごく大きく立ちはだかっていました。テントスペースのある天狗の腰掛でしばらく腰かけて独標に見入りました。
ここで単独の兄さんに先に行ってもらいます。栃木から来られたそうで、以下、栃兄と呼びます。栃兄は、今年の1月頃に赤岳天狗尾根に行って大天狗直登途中でフォールし残置ピンが次々抜けて最後の1つで止まって助かった(だから4月に行ったときに残置があまりなかったんっすね)とか、赤岳主稜で凍傷になって指1つないとか、なんとなく頂と共通項が多く、山岳会を探しているとの事だったので、お誘いしたかったんですが、栃木じゃね~・・・。残念です。

しばらく岩稜を歩くと、独標の基部に着きました。

独標に登るには、いくつかのルートがあるようです。基部の大岩を左側(天上沢側)に少し回り込んでから直上するルート(これが一般的な直登ルートらしい)、基部を右側(千丈沢側)にトラバースし、すぐの残置ロープのあるチムニーを上がるかその先のルンゼを上がるルート、大きくトラバースしてから戻るように独標に登るルート(無雪期はこれが一般的らしい)。直登できそうなら直登しようと思っていたので、探り探り独標に近づきましたが、最初の直登の取り付きは良く分からずパス、右に回ってすぐのチムニーも見た目悪そうなのでパス(ザックがなければ問題なさそう。なお、後からここを登ったパーティーに聞いたところ、実際は全然難しくないとのこと)、独標北壁の中間部までトラバースして真上に延びる凹角かルンゼを登ることにしました。
基部の緑のフィックスがあるところからトラバースを開始し、途中のザレをから2,3メートルのフェイスを登ると、左の綺麗な凹角と右のルンゼに分かれます。ステミングで楽しく登れそうな左の綺麗な凹角を登りたかったんですが、すでに栃兄が取り付いていました。落石の危険があるので、右側のルンゼを登ることにしました。
左凹角に取り付く栃兄

上の写真の赤いラインが今回登ったラインです。地形上しかたがないのですが、落石が多く、下にいるとヘルメットに小石がこつんこつん当たりながら、一人ずつ上がりました。左の方からは姿は見えませんが、栃兄の「ラクー!!」との大声が響きわたっていました。おおむねⅢ程度に感じましたが、一部Ⅳくらいあると思います。残置ハーケンが2,3枚ありましたが、どれもグラグラで使えません。自分でプロテクションを設置する必要があります。また、ザックが重い上に、岩は多少不安定、高度感抜群なので緊張感あふれるクライミングになりました。背後には、赤茶けた刃のような硫黄尾根が見えます。

ルンゼは上部で左右に分かれています。右側の方が楽しそうでしたが、曲がっていて抜け口が見えないので、より安全確実な左に進みました。左はすぐ上から灌木帯、ハイマツ帯になりますが、抜け口まで見通せます。しかし、このハイマツ帯が大苦戦でした。たぶん15mほどなんだとは思いますが、急傾斜の上、顔の高さまである堅いハイマツがこっちに覆いかぶさるように密生していて、2,3メートル進むにもやっとでした。
また、ハイマツ手前で2,3メートル下にいたテトラオドンさんに子供の頭くらいある岩を落としてしまいました。落ちていく岩を見ながら、ああっ、今までたくさんの山の思い出をありがとうございました、と、これまでの記憶が走馬灯のように駆け巡り、思わず手を合わせかけました(笑・・・すいません笑いごとじゃないっすね)。でもテトラオドンさんはなんとか手を犠牲にして岩を回避。ホッとしました・・・が、腕が結構腫れてしまったようです。本当に申し訳ありませんでした。
ハイマツ帯を抜けた先は、頂上よりも少し左の草地でした。この壮絶なハイマツ漕ぎで時間を食ったこともあって、取り付きから頂上まで1時間くらいかかってしまいました。ちょうど同じ時間にさらに左から栃兄がひょっこり顔を出しました。いつの間にかフラットソールを履いていました。左の凹角は、最後の草つきが少し悪いそうです。
独標の直登ルートについては、他の人の記録等も勘案すると、尾根上をそのまま登るルート(上の写真の青線)が一番面白いのかもしれません。
独標頂上からの槍の景色に期待していましたが、なんとなーくガスがかかり続けていました。。
ちなみに、独標頂上には良いテント場があります。
ここから先(P11~14)は、槍の穂先を視界にとらえながら、次々現れる岩峰群を好きな所を登りながら越えていく楽しいところです。槍も徐々に近づき、ますます迫力を増してきます。周囲には360度、素晴らしい山々が見えます。
ルートは原則、直登といわれています。実際に歩いた印象としては、大きな岩峰は直登し、小さい岩峰は千丈沢側を小さく巻く、といった感じです。天上沢側に行くことはほとんどなく、2か所ほど天上沢側に体が出ましたが、千丈沢側のもっと下に歩きやすそうなところがありました。





でっかいのは登る

小さいのは巻く
時々、振りかえーる
今回は、東鎌組と槍の穂先で集中という乙な計画。12時に連絡しあうことにしていたので、携帯を確認すると(北鎌はdocomo入ります)、東鎌組はそれほどペースが上がっていない様子(後から聞いたら、バテバテだったようで)。天気もいいし、時間もあるしで槍の景色を十分に堪能しながら、ゆっくり歩きました。途中の良いテント場で残置??のザックが2個ありました。なんでも5月頃からあるそうで、持ち主の運命は・・・??いろいろ勝手な想像が膨らみました。まあ、ザックはしっかりハーケンでビレイされていたので、無事ヘリで救助されてザックは置いて行ったんでしょう。
『諸君、頑張れ』のレリーフがあるピークで、ゆーっくり休み、槍の穂先をうっとりと眺め続けました。もう槍はすぐそこ。頂上には人影が見えます。彼ら彼女らも我々を見下ろしていることでしょう。
ここのピークから下りるところに懸垂下降の支点があります。岩にスリングが5,6本巻きつけてあります。クライムダウンも十分可能ですが、時間もあったし、なんとなく懸垂したい気分だったので、懸垂しました。ずーっと歩いている中でハーネスに体重を預けて壁にぶら下がると、心地よい脱力感に包まれて、そのままお昼寝したくなりました。懸垂お昼寝。新しいお昼寝のスタイルです。

その先の北鎌平へは右から回り込むように上がりました。北鎌平はテント3,4張りはいけそうです。
東鎌組から槍の穂先にとりつきましたーとの連絡があったので、こちらも穂先に取り付きました。
ふいに、「やったー!!!」との雄たけびが。。先に穂先に上がっていた栃兄が無事登頂したようでした。
槍の穂先は、左に伸びているリッジを上がってから、後はテキトーに??なんとなく登れそうなところを登ります。何となく踏み跡もあります。下の方と上の方に有名なチムニーがあります。左上に有名なカニのハサミがあります。途中に、錆びた看板(「実工」って書かれている)みたいのがありました。
下のチムニーの左
下のチムニーは、脆そうなので左側に回り込んで階段状のフェイスを登ります。上のチムニーとの中間にもうひとつチムニー状の場所があってこれを登りましたが、これは登らなくても右から簡単に巻けました。
いたる所にハーケンやらスリングが垂れ下がっています。何度も美しい北鎌尾根を振り返りました。
上のチムニーは、チムニーを登るというより、左壁を蹴りながら、右壁を登る、といった感じでした。右手のホールドが少々脆い印象でした。
上のチムニー

左上に木の杭が見える辺りから上を見上げると、頂上にいる人が見えました。そして、まりりんさんとJockyさん、かよさんの姿が見えました。頂上にいる人たちからは、拍手や歓声が上がっています。北鎌から上がると頂上で拍手喝采を受ける、という話はきいていましたが、でも実際はそんなことはないだろうと思ってました。でもまさかの拍手喝采でした。頂上のまりりんさんが我々が上がってくるあたりをしきりに見つめていた時に、頂上にいた団体さんの一人が理由を尋ね、それじゃあ無事上がって来るのを見届けようということになったらしく、我々が岩の間からひょっこり顔を出した時に大いに盛り上がったということだそうです。自分のアンダーグラウンドな人生の中でこれほどに人様から歓声を浴びたことはありません。恥ずかしくも最高の気分でした。

頂上への最後の登りを北鎌の景色を振り返り名残惜しむように登ります。
拍手喝采、多くの視線、そして北鎌に憧れつづけていた頃の過去の自分の視線を頂上にいる人たちの中に感じながら、ゆっくりと頂上の祠の右側から上がり、無事、槍ヶ岳に登頂できました。なぜか知らない人の写真に一緒にいっぱい写ってしまいました。

歓喜の後は、人ごみの中の下山です。梯子の順番待ちにテンション急下降でした。小屋前で栃兄と健闘をたたえ合い、ガッチリ握手して別れました。

そして、ビーーール!!!、とまりりんさんの角煮丼半熟玉子のせ!!!
最高の時間でした。



耳を虫に刺されサルっぽいテトラオドンさん

3日目。
今日中に槍沢から上高地に下山するかよさんとJockyさんと別れ、自分とテトラオドンさん、まりりんさんは東鎌から燕山荘まで戻ります。昨日のビールで乳酸もすっかり分解され!?、疲労感はゼロ。天気も最高。雲上の散歩道をルンルンで歩きました。

今回のルートの素晴らしいところは、自分が登ってきた北鎌尾根の全貌を見ながら気持ちのいい稜線を歩ける所です。あそこの岩峰は気持ちよかったなーとか、あそこで落石でテトラオドンさんを殺しかけたなーとか、あそこらへんではウンコ漏れそうだったなーとか・・・。
北鎌尾根の素晴らしい思い出を振り返りながらのウイニングランです。自分の頭の中には、ゆずの『栄光の架け橋』がリピートし続けました・・・。あれ、今年はロンドンか???

稜線歩きの途中、ヘルメットをぶら下げている自分を見て、おばちゃんたちが「どこから来たのー?」と言ってきました。まだ自分が一般の縦走路ばかり歩きまわっていた頃、槍でガチャをつけて颯爽と歩くかっこいいお兄さんに目が釘付けになって、つい話しかけたくなり、「どこから来られたんですかー?」と聞いたことがありました。お兄さんは、クールに「北鎌・・」とだけボソっと答え、自分の前を颯爽と通り過ぎて行きました。そのかっこよさに痺れました。
だから(?)、自分もおばちゃんたちに向かってクールにボソっと「北鎌・・」と言ってやりました。。
槍ヶ岳や周囲の山々の大きさ、北鎌尾根のカッコよさに比べ、つまらない見栄を張っている自分のなんちゅー矮小さ・・・。いやーオレ小っさい!!
まあ、それだけこの尾根に思い入れがあったということで、やれやれという感じに思ってもらえれば幸いです。

燕山荘までは気分上々のゆるゆる山歩き。西岳によったり、大天井ヒュッテでまたなっちゃん飲んだり、お花撮ったり、お猿を見たり(北アルプスの稜線では初めてみました)、テトラオドンさんとまりりんさんがいちゃついていたり・・・。なんとなーく自分は一人先をあるくようになり、先に燕山荘についてテント場を確保し、ベンチでぼーっとしてたら、1時間30分くらい遅れてお二人が到着しました。なんかオレ寂し。。。いや基本的には一人で歩く方が好きなんですよ。


お二人が到着した後、またしても不覚・・・。なんと!!燕山荘前で、ケーキ&コーヒーを頂いてしまいました。まさか自分が燕山荘前でケーキに下鼓をうつとは・・・。お父さん、お母さん、こんな息子になってしまってスイマセン。
Rock&Snowのイメージを目指す頂にとってもケーキ食ってる画は、もはやPeaks・・・いやむしろランドネよりです・・・。こりゃいかん。
とはいいつつも、ほんのり甘いチーズケーキとおいしいコーヒーを頂きながら、変わるゆく雲や山々の表情を何も考えずに眺めつづける時間は、極上の安らぎの時でした。こんなのもありだなーと、思いました・・・・いや、ますますいかん。


4日目。
朝飯前に、燕山頂で朝日を見ました。今回の山行のフィナーレを飾る素晴らしい朝でした。
自分も300円の三脚で試行錯誤して絶景を取ろうとしましたが、固定したと思ったら倒れ・・・って感じで、やっぱり高い三脚じゃなきゃダメっすね。当たり前ですが。




下りは、いい大人3人、大いにはしゃぎました。つーか、去年とあまり変わらないことやってる・・・。成長なし。


絶景を名残惜しみながら、登り返しのない楽な合戦尾根を次々上がってくる登山者をよけながら、颯爽と下山しました。合戦小屋ではスイカなんかには目もくれず、バッチリ締めて行きました。


無雪期の北鎌尾根は、グレードや困難度という意味では、それほどではないのかもしれません。実際に登ってみると、やはり想定通りの難易度であって、技術的にも体力的にも十分余裕があるように感じました。
しかし、やはりこの尾根の価値は、グレードなんかではなくそのルート自体の素晴らしさにあります。この尾根にまつわる歴史的な価値ももちろんありますが、北アルプスのシンボルとしての槍の穂先目がけて直線的に延びる美しく険しい岩稜を歩き攀じることは、登山者に極上の時間を与えてくれます。個人的に見ても憧れつづけ思い入れが強かった尾根だったので、格別でした。そして、いつか雪化粧したこの尾根にぜひ訪れたいと思いました。
なお、今回の北鎌ルートは4日間かけて歩きましたが、実際は3日で十分です。出来るだけ長く山にいたい性分なので、予備日にした4日目も山ライフを楽しんだまでです。

ただ、残念なこともありました。ルート上にゴミが多いことです。よいテントサイトには必ずといっていいほど、ゴミが放置されていました。キジ打ちの跡くらいは仕方がないと思いますが(これについてもすべて持ち帰るという文化が早急に根付くべきだと思います)、この美しく調和のとれた自然の中にゴミを捨てる神経がよくわかりません。

とにかく、今回の山行は、最近の中でもベストでした。
テトラオドンさん、まりりんさん、かよさん、Jockyさん、ありがとうございました。
そしてブログ長すぎてスイマセン。

(組長)








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