Member : ちえ蔵 フジ、組長
Timeline :26日:楢俣林道入口ゲート0658~1002楢俣本流入渓~1116前深沢出合~1414大滝~1530幕営地
27日:幕営地0615~0812至仏山山頂~小至仏~笠ヶ岳~1401楢俣林道ゲート
憧れの奥利根の源流を辿ってきました。
エメラルドグリーンの釜。
舞台装置のような景観。
足元を行き交う岩魚。
そして、焚き火とうたた寝・・・。
奥利根は、憧れの流域だ。コツコツとやってきて、ようやくここまでいけるようになった。
前夜は仕事も早々に切り上げ(ちゃんと終わらせてね笑)、日付の変わる頃、東京を出発し(早々に切り上げられてないね)、楢俣湖の湖畔まで。資料館みたいなところのトイレの近くで車中泊したかったが、なぜだかわからんが、変なオヤジが車の外に大音量のラジオをおきっぱで、うるさくて寝られないので、もう少し行った路肩でやむなく車中泊。なんだあのオヤジは・・・。
翌朝。
楢俣湖の湖畔で今日の遡行に胸膨らませながら、静かに朝食を食べる。湖には早くもカヌーで漕ぎ出す人達がいる。
いい天気だ。今日は楽しくなりそうだ。
今日は憧れの奥利根だ。
楢俣林道入口にはゲートがあり、ゲート前に10台くらいは駐車できるスペースがある。
楢俣林道は通行止めで、ちょっと入るとすぐにその理由がわかる。
スタントマンとジャンプ台が必要だ |
結婚の話とか、まあそんなことを有り余る時間を使って、気ままに話す。紆余曲折のあった人もいるが、みんな独り身??笑。
結婚??たぶん奥利根くらい懐の深い人じゃないと、自分みたいなクソッタレはダメでしょうね・・・笑。
楢俣湖の湖畔で結婚を語る・・・笑 |
炎天下で早く沢に入りたい。
ヘイズル沢を越え、道が狩小屋沢へ向かい始める手前に左の方向に登り踏み跡がある。ぼけっとしていると見落としてしまう。狩小屋沢の渡渉は簡単だ。水量も少ないし、フィックスも設置してある。
渡ってしばしで楢俣川本流に降り立つ。
少し先から入渓する記録が多いが、こちとらもう待っちゃいられないので、ここから入渓することにした。
緑が綺麗だ。
緑は新緑の緑であり、また水の緑でもある。この沢の水は美しいエメラルドグリーン色をしている。
これは楽しくなりそうだ。
奥利根だー |
なぜか、ピンク |
早速、活用。 |
早速、元を取る |
とにかく、森の緑が溶け込んだようなエメラルドグリーンの流れが印象的だ。
本流は水量が豊富で、時折、深い釜を持った幅広の滝が迎えてくれる。
夏本番⇒深い釜⇒飛び込み!!
この方程式は、いくつになっても変わらない。
定番のスライダーもしっかり決めて、真夏の沢を満喫する。
ゴーグル正解!! |
少年少女に戻る・・・ |
マスト!! |
暑中見舞い申し上げます・・・。 |
深い森と、 |
悠久の流れ。 |
奥利根の源流に来たのだ |
前方に釣り師が見えたが、楢俣の本流に入っていったようだ。本流の方が当然ながら水量豊富で明るい。気分的には本流に誘われるが、右の深沢に入る。
水量はぐっと減る。
出合いでしっかり確認。左が本流。右が前深沢。 |
前深沢の最初の5m程の滝は、快適に登れる。
背後に中深沢の滝 |
少し倒木があり、少々だれるパートでもある。美しいが、多分ぼくらの基準がすでに結構上がってしまっているのだ。
今回は、源流のイワナを求め、フジ兄が竿を持ってきている。しかし、下流部中流部には、魚影はなかった。たぶん、先ほどの釣り師がすでに入っていて、警戒してしまったのだろう。
少し、だれた後に登場する12m滝。
コイツで気分は一気にハイテンションになる。いやハイテンションにしないと越えられない。なぜなら・・・
いってきまーす・・・って |
もろ浴びて、左上ランペをたどって・・・ |
なんとか抜ける。 |
滝の裏だから、なんて思っていたが、水圧半端ない。否応無しにテンション上がっちゃうね。 |
早速、10m滝が現れる。
左右どちらからも登れそうだが、右は少し脆そうなので、左から登る。
この沢は思ったよりもぬめりがある部分が多いので、慎重に。Ⅲ。
10m滝。左から登る。 |
だんだんと水量は少なくなるが、前方に岩岩した至仏山の稜線が見えてくる。美しいナメと快適な滝登りを交え、ぐんぐんと高度を上げる。
日程的に今日は大滝上まで登りたい。次第に魚影が濃くなり始めたが、イマイチ竿を出してゆっくりやる感じではない。
トイ状の滝の連瀑帯は、最後の滝が少し悪い。ぬめりもあるので、先に登ってロープをフィックスした。岩は硬いので、プロテクションの効きはいい。
トイ状滝の連瀑帯 |
フィックスを張る |
14位の壁をフリーソロする蛙くん |
そろそろ主役の登場だ。
40m大滝 |
自然が掘り込んだ彫刻。岩の圧倒的な質量を感じる。すごいな。自然って。
さてさて、どう登ろうかな。
傾斜はそれほどないし、乾いた硬い岩のクライミングなので、どこからでも快適に登れそうだ。
ほかの人の記録によると、そうやら最後が悪いらしい。
上部に十分な広さのテラスがある。とりあえずそこまで行ってみようかと、ヒモをつけて登り出す。
基本的にスラブ登攀なのでドガバはない。まあ、小川山とかでスラブを登り込んでいれば、それもうガバです、って言いたくはなるけども・・・。
フリクションを効かしてぐんぐん登る。岩は乾いているし、とても硬い。次第に高度感が出てくる。超快適だ。登ったラインには、上部テラスまではひとつしかプロテクションを取らなかったが、簡単なのでそれほど気にならない。探せばあるかもしれないが、スラブなので、いまいちプロテクションは取りにくいが、ひとつ残置ピトンがあった。
とにかく登っていて楽しい |
上部の外傾テラスにつくと、いまいち良さそうなビレイ点が作れなさそうだったし、もうちょっと登ったらお終いなので、最後まで登ることにする。
他の人の記録では、最後が難しい、らしい。ガイドブックにも空身で登ったほうがいい、なんて書いてある。
でもどう見ても難しそうには見えない。
で、登ってみたけど、やっぱり簡単だ。ホールドがない、っていう人もいるけど、たぶんこれガバって言うんですよねって感じ。
まあ簡単だけど、とにかく楽しい。
結局、2本しかプロテクション取らず、超ランナウトしてるけど、ね。全体的にⅢ~Ⅲ+。高さはあるのでヒモは付けたほうが良い。ラバーソールの方が快適だ。ロープは50mあれば、1ピッチで上まで行ける。
難しくないのでどう登ってもいい |
でも良い物件はあまり多くない。大滝から20分ほど遡ると、多分先週あたりに入居者がいたであろう良い物件があった。4人用テントがしっかり張れるし、焚き火スペースも完備。背後に谷川連峰が控え、前方には至仏山の岩稜が見える。今夜はここでいい夢みよう。
薪はあまり多くない。でも頑張ってかき集めた。陽があるうちは、まだ随分と暑い。でも虫もいないので、しばらくうたた寝をする。幸せだー。
とりあえず、ビール。
最近は、飲むとすぐに眠くなる・・・。またうたた寝。
まあ時間はいっぱいある。何をしなくてもいい。時々、ゆらりとした炎を眺めながらゆっくりした時間の流れに身を任せればいい。
夕食のカレーがとてもうまかった。
ウィスキーのボトルを学生みたいなテンションで回し飲む・・・。
そうやって、何も考えずに、過ごした。
観賞用サラミ・・笑 |
谷川方面にはすでに積乱雲が発生している。今日は午後から天気が心配だが、まだまだここら辺はバッチリの天気で気持ちがいい。
茶色の特徴的な岩がそこかしこに林立している。
水量はまだ十分で硬い岩の快適な滝登りが続く。
この場所好き、を連発するフジ兄 |
雄大な景色 |
水量は明らかに左のほうが多いので本流筋。
周囲には優しい草原が広がり、紫や黄色の高山植物が迎えてくれる。
次第に源頭に雰囲気だ |
水が枯れる手前の最奥の二股を右に進むと、頂上に直接つめることができそうだ。
最後の方は、ガレとなったが、ふいに岩塔の上に人が見えた。どうやら予想通り、直接山頂にたどり着いたようだ。最後もあえて、山頂に抜ける岩場を登って(少し悪い、Ⅳくらい。でも巻けます)、頂上にひょっこり顔を出すと・・・
さすが百名山・・・人、人、人。。
沢では誰にも合わなかったので、なんとなく違和感を覚える。
いつもように直接頂上へ。。。 |
頂上までもう一歩のフジ兄 |
尾瀬沼と燧 |
下山方法は幾つか考えられるが、今回は至仏山から笠ヶ岳を縦走して、車のところまで戻ることにした。
山には尾根と沢がある。表の顔と裏の顔。どちらが表なのかどうかの議論は置いといて、あくまで個人的な好みだけど、沢登ったあとは、尾根を、稜線を縦走するのが気持ちがいい。沢から沢へも楽しいが、沢も尾根も楽しめるルートがいい。
しかも天気は持ちそうだ。
でもハイカー多すぎ。
稜線のハイキングも楽しいねー |
渋滞は嫌だけど・・・ |
天気は一時的に崩れたが、しばらくすると、雨は止み、晴れ間ものぞきだした。空気が涼しくなって、尾根道のハイキングにはちょうど良くなった。
小さなアップダウンを繰り返していくと、昨日歩いた楢俣林道にたどり着いた。
下山後の温泉は、オープンしたばっかの小さな温泉へ。店のオヤジとかが、店の前でBBQしてビール飲んでる。商売っ気ゼロ。これで飯食うって気概でやっていたら、多分この温泉は潰れるだろう。多分これは趣味だ・・・笑。
まあ、ちょっとこだわった家の風呂くらいかな・・・。
初めての奥利根だった。
こういう沢にこれからも通いたい。
次は、利根川本谷を目指したい。
今度はイワナも釣りたい。
良い沢に行こう。
大きな沢に。
そこには想像以上の景色が待っている。
(組長)