大倉川笹木沢

2016-07-23

06_沢登り b_東北

Date : 2016/7/22-23
Member : フジ、ガッキー、組長
Timeline :22日 林道終点0935~1002粟畑~1035金吹沢下降点~1305大倉川出合~1510BP
23日 BP0810~0845笹木沢出合~1229鎧滝~1501仙台カゴ下登山道~1535林道終点
Author :組長


週末は、東北に行っています。





安達太良山、二口に引き続き、今週も東北です。
名渓と名高い船形連峰は大倉川笹木沢を目指します。

前夜、保険的に運転ができないことをいいことに後部座席で安眠を貪り、気づいたら山形・宮城の県境、黒伏高原の柳沢小屋にたどり着いておりました。フジ兄、運転あーざーっす。
柳沢小屋がまた素晴らしいところで、囲炉裏や座卓、快適な畳。トイレもよく掃除が行き届いています。夏のあいだはしばらくここにいます、と言いたくなるくらいの快適な山小屋でした。管理されている東根市に感謝。
古民家風

柳沢小屋
柳沢小屋からさらに車で林道を10分弱ほど進むと林道終点の登山口に着きます。林道も未舗装ではあるものの、しっかりと砂利が敷き詰められ手が入っています。
ブナの森が美しい登山道を進み、粟畑を過ぎ、楠峰方向に向かいます。今回のルートは、トマの会の本にも紹介されている金吹沢下降~笹木沢遡行による周回ルートです。大倉川のさらに上部から下降する記録も多いですが、遠い山形・宮城県境までのアプローチを考えると、山形県側の笹木沢へのアプローチでは最も近い金吹沢の下降が良いかもしれません。

楠峰を前方に見て、登山道が楠峰の北側をトラバースし出す手前のコル付近から尾根の右側のヤブに突入し、楠峰と1194峰とのコルを目指してヤブを漕いでいきます。踏み跡はありませんがヤブ自体はそれほど手ごわいものではありません。地形的にもそれほど複雑ではなく、地図が読めていれば金吹沢に入るのはそれほど難しくはありません。
遠い東北の静かな山懐で、大地の僅かな窪みを流れる小さな水流を発見し、嬉々としている我ら。冷静になってみると、随分とマニアックな世界にいるような気がしてきました。いまさらながら。
こんな小さな窪みを発見するよりもレアポケモンでも発見して喜んでいるほうが普通かもしれません。

金吹沢は下降向きの沢でフリクションの良いナメと小滝で構成されており、ぐんぐんと高度を下げます。
巻くくらいなら飛び込むのが男だ
大倉川出合に近づくと10×20m滝と8m滝が現れ、これをそれぞれ懸垂下降します。
8m滝

8m滝
大倉川とは4mナメ滝で出合ます。ここで一息入れるとともに早速フジ兄が竿を出します。
大倉川はしばらくは緩やかな流れが続き、昔の木材運び出し用なのか、ところどころ朽ち果てた軌道が歴史の遺産のように転がっていました。
フジ兄は餌、私とガッキーさんはテンカラで攻めます。ガッキーさんはテンカラ教室に通うほどの力の入れよう。私は相変わらず、金もかけずにネットでテンカラ達人の技術をつまみ食いし、我流で毛鉤を打ち込みます。
さすがのフジ兄は早速数尾釣り上げますが、私の方は、1尾掛けるも足元でバラしてしまいました。

早く幕営地を決め、釣りに専念しようと思い、今日は大倉沢で泊まることにしました。
今回はノーテント、タープのみです。私自身はどちらかというとテント派ですが、たまには大自然との境界ゼロのタープ泊も楽しいと思いました。

右岸の河原にタープ
幕営地の目の前の小さな落ち込みには数分後に私の毛鉤を咥えてくれるだろうイワナたちがひかえていました。
・・・が、結局、ボウズ。
餌釣りのフジ兄は、7~8尾の大漁。それは実力の差なのか、単にテンカラの難しさなのかわかりませんが、釣りはスタイルどうこうよりも釣れなければ仕方がないと、当たり前ですが痛感しました。
あまり大きなヤツはいませんでした。




今日も良い焚き火でした
翌日。
少し下降していくと、次第に両岸切り立つゴルジュ地形となり、15m滝となって落ち込んでいきます。両岸は、潅木帯までも高さがあり、下降は容易ではありません。
あらためて地形図を眺めてみると、右岸を少し登ると640付近から平坦地があるように見られ、そのままその平坦地の淵を笹木沢方面にトラバースしていけば、容易に笹木沢に入渓できそうだったので、少し戻って右岸の斜面を潅木をつかみながら登ります。そうすると予想通り平坦地が現れます。そこはあきらかに人の手が加えられたような針葉樹の森でした。こんな山深い場所からどうやって木材を運び出したのでしょうか。
前方には笹木沢の空が見えます。そこに向かって進んでいくと、左手下方に笹木沢の流れが見えました。こちらも予想通り、笹木沢までは比較的傾斜の緩い潅木帯で何ら悪いところなく笹木沢に入渓できました。トマの本では左岸を懸垂下降すると記載されていますが、こちらの巻ルートの方が安全で早いかもしれません。
最後に現れるゴルジュ


最後の15m滝。少し戻って右岸を巻く。
笹木沢に入渓すると、次第に滝とナメ床が現れ、美しい癒しの渓相となります。魚影も見られるようになったので懲りずにまた竿を出します。
ナメ



しかし、やっぱりダメでした。

釣りには見切りをつけ先に進みます。
途中の8m滝は直登は困難なため右岸を巻きます。潅木をつかみながら上がり適当なところでトラバースを始めますが、沢床に復帰する適当なポイントがありません。ここいらで懸垂しようかなと思っていたところ、やはり先人も同じ気持ちだったのか、露出した木の根にスリングがいくつか巻かれている懸垂支点がありました。10mの懸垂で沢に復帰します。

その先で2段の美瀑を越えると、鎧滝の前衛となる8m滝。右壁のデリケートな岩場をロープを付けて攀じります。Ⅲ。



登りきった先に思わず歓声を上げてしまう立派な30m鎧滝。段々にせり出した岩が確かに鎧のように見えなくもありません。
鎧滝

鎧滝は中断までは左壁を容易に登ることができます。
上段は、ホールドの豊富そうな水流沿いを登るのか、水流を避けて左側の草付きとのコンタクトラインを登るのか迷いましたが、水流沿いが簡単なのかどうかイマイチ見通しがつかなかったので、目の前の草付きとのコンタクトラインを直上することにしました。
しかし、ここがまたそこそこ悪く、ホールドは脆くて細かいカチ、足はほぼスメア。不意に足が滑ったらどうしようという恐怖感と戦いながら慎重に一手一手進みます。プロテクションは取れません。ピトンを打ってもたぶん岩が砕けるだけでしょう。
落ちたら確実に重大な事故になる高さです。もっといけないのは、レッジで待っているガッキーさんを道連れにしてしまう可能性があることでした。
とにかく慎重に登りきり、二人にロープを垂らします。なかなか痺れました。Ⅳ-。
あとでほかの記録を見たら、やはり水流沿いがホールド豊富で簡単とのことでした。

 



上段の核心。思っていたよりも悪かった。
鎧滝を過ぎてからも小滝とナメが続き、あたりは美しいブナの森が広がっていました。少しペースを上げ詰めていきます。どこまで行っても魚影が見られました。
最後は窪状の分岐がいくつか現れ、少しのヤブを漕ぐと、昨日、あすはここらへんから上がってくるのかなぁと話していた登山道にたどり着きました。
林道終点までもほんの一投足なので楽チンです。

 
東北にはまだまだたくさん行きたい沢があります。
しばらくは週末は東北にいます。

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