Member :まり(CL)、ワタ、バード
Timeline :0920駐車場→0933入渓点→1020くの字2段8m→1215日向山北東尾根→1414林道→1430駐車場
Author :バード
2022年のGW、当初の目標だった鹿島槍東尾根の計画はあっけなく悪天に消し飛んだ。
そして、我々の望みは連休中日の30日に託された。
チームで日本地図と睨めっこしているとき、誰かが言った。
「北杜市の方が都内よりもあたたかい予報だぞ!」
花崗岩シティ、北杜市。
白州ボルダーの横を流れる神宮川は沢登りの対象でもある。
雪山登山のサブプランが沢登りとは、なんとも奇妙である。しかもまだ4月である。
「雪から沢へ」
落差が凄まじいなと思いながらも、久しぶりの沢の支度に心が踊る。
当日。曇り空の都内におさらばし、高速を降りたころには青空が広がっていた。
アプローチは至極簡単で、サントリー白州工場の脇道を入り、駐車スペースから10分そこらで入渓。
白い砂浜のような見た目が美しい。
まるで白浜のビーチスポット |
「最後に南アルプスの沢を登ったのは、組長たちといったシレイ沢以来かぁ。あのときは寒かったなあ」
と思い出に浸かるのも束の間、「寒っ!冷たっ!」と皆が悲鳴をあげる。
大丈夫、今回も十分に寒い。
なぜならまだ4月だからだ。こんな時期の記録はひとつも見つからなかったのだ。
沢はじめのはじめのはじめ |
濡れたくないので慎重に |
とはいえ、久しぶりの沢である。
そしてこの渓は、小滝が連続して現れるルートで、しかもほとんどが登れるのだ。
登りに夢中になっていると、後方からマリが叫ぶ。
「止まれ!このペースじゃ午前中に終っちまう!!」
なるほど、たしかにせっかくの沢はじめ。
味わうことなく、終わらせてしまうのも勿体ない。
ということで、簡単に巻くこともできそうだが、目の前に現れた「くの字、2段8m」の滝を登ることに。
クラックに#2を突っ込み、水を被りながら、上部の垂直気味に立ったパートに入っていく。
ツタをピンチしながらプロテクションをとっていると、足元がグラついているのがわかる。
沢のなかのホールドも不明瞭なので、ほぼ木登りのようなかたちで登っていく。
とはいえ上部の細い木も、覗き込んでみると根が浮いている。
グラつく足元、浮いた木のホールド。
どこか1点に加重できるのでもなく、両手足に不確実さを感じながら、最後は全身のフリクションを使いながら、ずり上がった。
「沢に帰ってきた」そんな気がした。
水をかぶる |
ぞくぞく登る |
最近のGoogleはすごい |
沢には沢の登攀スタイルがある。
使えるものは全部つかいながら、不確実性に耐えながら、登ったもん勝ちである。
グレードはⅢ。
こういうクライミングはグレードじゃない。
どんなグレードにだって充実感がある。
高度が上がるごとに視界も開けて、気温も上がってきた。
振り返ると、目の前には八ヶ岳が広がる。
振り返ると八ヶ岳 |
2条6m 時期も早いのでヌメヌメ |
沢が枯れ始めると、明瞭な踏み跡が見える。
詰めも一瞬だ。
その後は慎重に尾根を見失わないようにルーファイしながら下山。
景色もいいので休憩 |
林道に到着 |
トータルで5時間程度。
「コンパクトにまとまったいい沢」
と言ってしまうとなんとも教科書的な表現だが、
それでも、自分次第でいくらでも楽しさを広げられるのが沢登りのいいところだ。
つぎはボルダーマットも背負って来よう。