Date : 2013/03/23
Member : もとき、組長
Timeline :菅の台BC0812~千畳敷出発0937~1011サギダル尾根上部岩稜帯1040~1150サギダルの頭1220~1342宝剣山頂~1415乗越浄土~1442千畳敷1455


中央アルプスまでソースかつ丼を食いに行ってきましたー。・・・じゃなくて、宝剣サギダル尾根を登ってきましたー。

宝剣サギダルは、ちょうど1か月前の2月末に予定していましたが、なんと大雪でロープウェイが壊れたらしく、運休・・・。さすがにテクテク歩いていくわけにもいかず、自宅??敗退。。ま、その週は湯川でアイスが楽しめたので良かったんですが、何とか今回リベンジを果たそうと、あらためて計画。厳冬期登攀とはなりませんでしたが、まあ春の方が快適でしょ、っていうことで、レッツ駒ヶ根!!!

もときさんのかわいいフィアットで頑張って走って、深夜1時頃に菅の台BCに到着。他にも数台駐車していました。「コーヒー」を「コーシー」と言ってしまう江戸っ子の自分は(ウソ)、イタリア車のシートはどうも肌に合わず、なかなか寝付けず、ほぼ寝られず・・・。

朝起きて、まあ、ずっと起きてたんだけど、スマホで千畳敷のライブカメラをチェック。天気は晴れ、風弱い、らしいけど、どうも山にはガスがかかっている。それにしても麓にいながら山の様子が見られるとは便利な時代になったものだ。

睡眠なしでもしっかり飯は食う。食う・寝る、どっちも大事。どっちとも欠けたらだめだけど、どっちか欠けたらどっちかはしっかり取る。そうすりゃ、なんとかOKなのだ。計1600キロカロリーの朝食を平らげ、出すもの出して笑、ちゃっかりモンベル割引使ってバス&ロープウェイ往復チケット買って、一気に2612mまでドカーン。

着いたら、やっぱりまっ白。小雪も舞ってる。まあ取りあえず行こうか、と、小雪似のもときさん。
ホテルのおばちゃんが言うには昨日の夜も降雪があったらしい。確かにホテル周辺には2,30cmほど新雪が積もっている。もし、固いクラスト面に新雪がたっぷりのっているのなら、結構、危険なんじゃないかと心配になったが、その心配も歩き始めると杞憂に終わる。新雪はほんのわずか、クラスト面にサッとまぶした程度。概ねしっかりと締まった雪だ。ホテル周辺が少し吹きだまっているだけのようだった。
神社の後ろがサギダル尾根。最初はあまり見えなかった。


気を取り直して、登り始める。
サギダル尾根は、千畳敷駅を出て左手にある神社の裏に伸びる尾根。最初のうちは、ガスがかかって、すぐ近くにある岩峰しか見えなかったが、10分ほど登っていくと次第にガスは取れ始め、サギダル尾根の全貌が露わになってきた。そして、カッコいい宝剣岳の稜線もバッチリ見えてきた。いい気分だ、テンションが上がってきた。体温も上がってきた。ていうか、暑い。
ともかく、尾根の左側の雪面をどんどん上がっていく。雪はとてもしまっており、どんどん歩が進む。
一般ルートの方を見てみると、ちっぽけな人間どもがわらわらと宝剣様に詣で始めている。先頭パーティーはガスでルートを見誤ったのか、宝剣方向にまっすぐ進んでいる。雪崩危険地帯にまっすぐ。あそこはルート違うんじゃ・・・って話をしていたら、やっぱりホテルの人が下から拡声器で、「そこは雪崩危険地帯なのですぐに引き返してくださーい」と言われていた。
宝剣

蟻の行列

前づめでダッシュ!!
サギダルは下部はちょこちょこと岩が出ていて、なぜだかわからないけど、ワイヤーが張ってある。絶対ロープ出さないよねーっていう感じの、その下部のそのちょこちょこ岩にも立派なペツルが光っていた。
さらに高度を上げ、だいぶ上部の岩稜帯に近づいてきた。全体的なスケールはそれほどではない。阿弥陀北稜と大して変わらないスケールだ。岩稜帯に近づくにつれ、次第に傾斜もきつくなる。灌木が出てくるあたりで左右2通りのルートが取れそうだが、他の人の記録等を見た限りでは、右側のリッジに取り付くのが、普通だろうと思う。左はかなりスラビーで悪そうだ。
そろそろ岩稜帯

サギダル下部の雪尾根

とんがった岩が右手にくるあたりでロープを準備する。ビレイ点は太めの灌木。傾斜きつくあまり広くないのでそれほど落ち着くところではない。
ここからスタカット

1P目を見上げる
1P目は自分がリードする。ランナーは灌木、岩角、残置ハーケン2つ。25mほど延ばして、次の灌木帯に入る手前のリッジ状の岩まで。最初の方はどうってことないが、最後の方、10mほどが少し悪い。たぶん、Ⅳはあると思う。少なくともⅢではない。少々、スラビーな感じで、ホールド・スタンスは少なめ。といっても、安定した大岩があるので、そいつで思い切って体を上げれば、どうってことない。それよりも、なぜだか知らないが、左手にワイヤーが走っている。そんなものは使わなかったけど、何か興ざめだ。
今日は風もなく穏やかなので声もよく届く。気分がいいので、いつものように写真を取りまくる。
もときさんがフォローしてくる。もときさんは今季初のアルパイン。なんか見るからに動きが悪い。ぎこちない。そしてそして、ワイヤー掴んでるやん。剱の源次郎尾根からの帰り、カニの横ばいで「鎖なんかいらねーよ」といって鎖無しでクライムダウンしていた男が、あれれ、ワイヤーを使ってるやんか。
1P目終了点から下を見る

もときさん、フォロー中
気を取り直して、つるべでそのままもときさんが2P目へ。2,3mの両側が切れたところをちょこっと歩いて、灌木ジャングルに突入。木登りの後にハイマツがちょこっと顔を出しているリッジ上を左上し、最後に一段乗っ越して、スノーリッジに上がる。そこはもうサギダルの頭だ。リッジ上は雪が良くしまっていてバイルが気持ちよく決まる。ランナーは灌木。40m弱。特に問題となるところはない。
少し狭いリッジから灌木帯に突入

ジャングル探検中

リッジを左上

サギダルの頭に到着

サギダルの頭からは、中央アルプスの山並み、南アルプス、富士山、八ヶ岳や御嶽等が一望できる。天気は晴れといえるが、どうも雲が多い。いまいちスカッと晴れてはいない。でも、風なく、手元の温度計で0.2度。快適。
わずか2Pというのもあるが、あれだけのらりくらりとやっていたのに、サギダル終了点でまだまだ時間十分だったので、グダグダと下らない話をした後、コンテの練習がてら、ロープつけて宝剣行きますか、ということで、仲良くロープに繋がる。宝剣の南稜と北稜は、一般登山道であるが、なかなか侮れない。ただ、鎖はバッチリ出ているので、わざわざストイックに「俺は鎖は使わない主義だ」なんて心の中で決め込まない限り、概ね容易に通過できるだろうと思う。ただ、細いリッジや傾斜のあるトラバースが続くので、初心者はちょっと難しいかもしれない。というよりも、1か所結構悪いところがある。宝剣頂上への最後の登りの手前で10mほど下りるところ。ここだけ鎖がない。岩角に懸垂支点があり残置のビナもあったが、ここは慎重にクライムダウンした。落ちたらアウトの場所。ベルグラになっていて、結構、肝を冷やす。もときさんは安全第一でラッペルした。
鎖バッチリある

サギダルを振り返る

ところどころ細いリッジ

ここは無難にラッペルの方がいい

その後は簡単な岩場を抜け、宝剣山頂へ。雪が多いので頂上の岩にも簡単に立てた。
奥が空木岳



頂上の岩

頂上をしばし堪能した後、北稜を下る。岩場のトラバースのあと、短くも綺麗な雪稜になっていて、楽しめる。
鎖使わない主義者でいくと、なかなか手ごたえがあった

かっこいいです


乗越浄土までランナーを取りながらコンテで進んだが、いろいろ課題も見えた。コンテは実は奥が深く、高度な技術だといわれる。下手にロープをつないで、どっちか落ちたら一蓮托生なんてこともよくある。一緒にロープを結びあう仲間同士で経験を積み、より良い方法、スピーディーで合理的な方法を探っていくべきだと思う。

乗越浄土からは千畳敷駅まではシリセードやダッシュ??を交え、一気に下降。今日の雪の状態なら、雪崩の恐れはあまりないだろう。
登ったサギダル

宝剣

恐ろしや

サギダル尾根
駅に着いたら、もう10分後にはロープウェイの改札が始まるというので、慌ただしく片づけをして、慌ただしくロープウェイに乗りこんでまたまたドカーンと下界へ・・・。

腰が痛いもときお爺さんは、温泉入って湯治したいとおっしゃっていたが、腹が減ったので、とにかく先に飯。ここは定石通り、ソースかつ丼。。明治亭へ。大奮発して、信州産ロースカツ大盛りで。。。自分は、普段は少食(ていうか少「金」・・・)だけど、食おうと思えばいくらでも食える方だ。
それにしても大盛りはご飯が多かった。もときさんは全部食べられず。後回しになったけど、味もバッチリ。山行のあとはやっぱりガッツリ系ですね。

そんなこんなで、今回は春の快適なアルパインクライミングになりました。宝剣周辺のバリエーションはまだいくつかあるけど、バス&ロープウェイですぐに取り付けるので、近くて良いエリア。ただ、往復3800円の交通費を考えると、貧乏人にはかなり遠い山域・・・。でも、今度行くとしたら、中央稜とかかな。
サギダルは、といえば、短いながらも、そこそこ歯ごたえのある岩場(核心は1P目だと思う)、そして、何より抜群のロケーションとアプローチの容易さ。良いルートだと思う。他のバリエーションと合わせて、1泊とかで計画すればより楽しめそう。

満開の桜咲く世田谷に帰ったもときお爺さん。家帰ったら、環8沿いの天然?温泉でも行って湯治しようかなとおっしゃってました。。今年も春山アルパイン、宜しくお願いします。

(組長)

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