Date : 2013/03/06
Member : ちえ蔵、組長
Timeline :美濃戸口0532~0803行者小屋0852~0911北稜取り付き~0940ジャンクションピーク~0959第2岩稜~1135終了点~1200阿弥陀山頂1235~1325行者1345~1443美濃戸山荘~1530美濃戸口



八ヶ岳はもう春。暖かな日差しと締まった雪の中、快適な阿弥陀北稜を楽しんできました。



八ヶ岳冬季バリエーションの中で、最も取り付きやすく人気が高い阿弥陀北稜。1月の末に、赤岳主稜とセットでテトラオドンさんとやるつもりでしたが、初日が大寒波で中止になった。まあ北稜ならワンデイでできるので、いつでもいいっすねーと話していたところ、たまたまちえ蔵さんと平日休みが合い、ちえ蔵さんが北稜に行きたいということだったので、じゃあサクっと行きますか、ということで贅沢な平日山登り決定。。阿弥陀北稜はある意味、渋滞核心??だから、やっぱり週末よりもできれば平日行きたい。

そしてそして、いつもの格安レンタカーで前泊地の道の駅小淵沢を目指す。今回のお車は、75000㎞も走っているご老体で、踏み込みながらセルを回さないとエンジンがかからない・・・。ま、走りゃ何でもOK!!
ちょいと安酒を呷って、ちえ蔵さんのお仕事の話やら、結婚の話やら、をしながら、2人には十分の広さの車内で気持ちよく就寝。それにしてもちえ蔵さんは世の中のために頑張っているなあ。。自分なんて、もうただの路傍の石。人の躓きの原因にこそなれ、それ以外は何にも役に立たたずに道端に転がっているだけだ。

4時頃起床。夜はよく晴れ、起きた時も満点の星空。放射冷却の影響もあるのか、暖かくなった最近にしては、少々気温が低く感じた。たぶん-10℃前後だろう。
調子の悪いエンジンに鞭うって、美濃戸口へ。途中、シカの群れが並走してきて、さながらサファリパーク状態。最近、八ヶ岳山麓のシカの数が相当増えているらしい。シカ害??も相当な規模になっているという。八ヶ岳には、とてもお世話になっているので、そういったことにも関心を持っていきたい。
1月末とは大違いで、美濃戸口までは何とかノーマルタイヤで行けるような路面状況だった。いずれにしても、美濃戸口から先は今回のおじいちゃんカーでは行けないので、暗い美濃戸口をとぼとぼと歩き出す。平日にもかかわらず、美濃戸口の駐車場にはそこそこ車がいた。

なにはともあれ、天気が良い。赤岳山荘からも阿弥陀がばっちり。そして、いつもこのアプローチでは幕営装備で重たいザックを背負っているが、今日はワンデイ装備のアルパインスタイルなので荷が軽い。その上、スピードアップのために極力軽量化を図っているため、もうウサギ跳びで行者まで行きたいくらいだ(ウソ)。

こっちよりもさらに身の軽そうなトレラン装備のおっちゃんとワンちゃんに抜かれながらも、アイゼンなしで十分な南沢を通って、行者に到着。見上げる横岳や赤岳は、何とも黒い。この前(1月末)に見たときよりも岩が出ているのだ。この前は風雪強い西壁にはびっしりのエビのしっぽが張りつき、黒の余地がなかったが、今回は全体的に黒い。
行者でカロリー満点のアップルパイを食べ、ガチャをつけ、出発。天気は良いが稜線では西風が強いらしく雪煙が舞っている。
確かに、だいぶ岩は出ているけども、今は最も積雪の多い時期だし、今年は雪が多いので樹林帯は相当な積雪量。中岳沢の道標が完全に雪の下で、どこにあるのかさえ分からなかった。
ここを右折して中岳沢方向へ

北稜方向へは、ちゃんとトレースがある。先週末のトレースもあったと思うが、今日は第2岩稜で追いついた先行3人パーティーのトレースがついている。楽チン。
北稜取り付きは、いくつもルートが取れる。つまるところ、ジャンクションピークまでの間ならどっからでも乗れる。ただし上の方は樹林がまばらになるので、雪の状態によっては雪崩に注意。顕著なトレースは2か所についており、赤テープもついてるので迷いようがない。もう一般ルート・・・。
しばらく樹林帯を歩き、尾根の形状がはっきりしてくると、次第に北稜の全容が明らかになってくる。
樹林帯

北稜や~

素晴らしい天気。素晴らしい景色。今頃、都会では満員電車に息苦しそうに揺られている人がいるんだろう。。お疲れ様でーす!!
北稜はジャンクションピークからいくつかの支尾根に分かれている。自分の右側に見える大きめの尾根との合流点がジャンクションピークだ。ジャンクションピークへの最後の登りは、結構急になっている。風で先行パーティーのトレースもすでに消えてる。膝くらいのラッセル。
JPから見下ろすとこんな感じ。右が中岳沢。


JPへの急登。少々風が出てきた。

JPは抜群のロケーション


左のこんもりが第1岩稜。岩が出ているのが第2岩稜

北稜はなにしろ景色がよい。南八の西面では最高のロケーションだと思う。
第1岩稜は灌木を掴みながらの急登。アイゼンもよく効き、快適に高度を稼ぐ。最後の方は傾斜がきつくなるが、まあ問題なし。
第1岩稜から下を見る


第2岩稜

そして、核心??らしい第2岩稜がバーンっと目の前に。いや、バーンっていうかなんというか、思っていたよりもずいぶん小さめ。うーん、入門だからまあこんなもんかな。迫力はゼロでした。先行のお三人さんが取り付いてました。
富士山


第2岩稜の基部から

第2岩稜はまあどこからでも登れそうです。左から巻くのも簡単。一応、少し左よりからピカピカのペツル目指して右上するように登るのがもっとも一般的。階段状で傾斜もなく簡単。
せっかくなのでちえ蔵さんにリードをしてもらう。1m上がればピカピカのペツルにランナーを取れるし、ガバガバなので、ちえ蔵さんのムーブも全く問題ない。40m伸ばして、次の小フェイス基部でピッチを切る。ランナーはペツル2個と灌木や岩角で取れるが、まあそんなに取るようなところじゃない。1P目のビレイ点には、これまたピカピカのペツル2つ。ぶっとい残置ロープもかかっている。
1P目

1P目のビレイ点へ

ビレイ点

景色最高
スピード重視のクライミングのつもりだったけど、後続もいないし、天気・景色も抜群なので、写真撮りまくりでのんびりやる。クライミングこそ物足りないけど、まさに快適そのもの。

つるべでそのまま2P目へ。
2P目は簡単な小フェイスを抜けて、ミニマム級のナイフリッジをとことこ歩いて平らになったところでお終い。残置ピンは見当たらなかったけど、岩角や灌木でランナーを取れるが、そもそもロープもいらないんじゃねーかっていう感じ。40m弱ロープを伸ばす。ナイフリッジというってもほんの5mほどでそもそもそんなに狭くない。ナイフじゃない・・・。。2P目の終了点らしいところの雪面からちょこっとスリングが出ていたけど、少し傾斜があって写真撮りにくいので笑、平らになった雪面にスノーバーを打ってビレイ。今日は雪が閉まっているのでスノーアンカーの強度は抜群。
2P目の出だしの小フェイス


ナイフリッジ???



富士山も見える最高のビレイ点。スノーバーで

ここでロープをしまい、ちょこっと歩いたらもう山頂。山頂からは360度の絶景だ。南アルプス、中央アルプス、御嶽、北アルプス、上越の山々、浅間山、八ヶ岳、奥秩父、そして富士山。お腹一杯だ。くらくらする。
しばらくすると、誰もいなかった山頂に南稜方向から、ガイドパーティー4人組が上がってきた。ちえ蔵さん曰く、有名なガイドさんらしい。年末はカッチカチの南稜だったが、今の時期は雪も多く落ち着いていて登りやすいだろう。山頂は少々風があるものの、気にならない程度だ。ゆっくりと本日2個目のアップルパイを食べ、写真を取りまくり、3,40分くらいのんびり過ごす。ちえ蔵さんは、今日は日焼けがヤバそうと必死で日焼け止めを塗りたくっている。
それにしても山頂も雪が多い。阿弥陀山頂の道標がすっかり雪に埋まり、もうどこの山頂なのか証明できない・・・。
年末、南稜から上がったときはこんなに出ていた道標が・・・


今はこんな感じ。もはやイス。座ってアップルパイを食う。


ゆっくりのんびりしてから、下山開始。左側からの風と飛雪で顔が痛い。一般ルートも雪たっぷりで、鎖やハシゴは完全に雪の下。少し傾斜のある雪壁になっていて、初心者の人は、登りはともかく下りはちょっと恐いかもしれない。バックステップにするかしないか・・・くらいの感じ。

ちえ蔵さん、慎重にバックステップで

今日は雪の状態がいいので、おそらく雪崩の心配はないだろう。吹き上げの強い中岳沢を一気に下降。行者についたころには風もおさまり、ぽかぽか陽気で春を感じる。
中岳沢

行者でガチャを外していると、雪の中から小さなモグラが顔をだした。雪の中にもぐったり出たり、目の見えない彼は右往左往している。どうやって越冬しているんだろ。そして、この多い積雪の中、彼はいつ雪の下の地面に戻れるんだろ。ガンバ。
帰りの南沢はもうべちゃべちゃ。アイゼンは要らなくて楽チンだけど、こけたらずぶぬれになる・・・。深い轍は川になっていた。


下山後はいつものもみの湯へ。
地元のジイ様たちがわいわいといっぱいいる。「もう、おまえんとこは播いたか」「いや今年は雪が多くてまだ播いてね」
ジイ様たちの話は、原村の政策にまで及ぶ。あの補助金は最高だとか、あの村長はダメだとか、富士見の村のほうはどうだっぺよ、とか。まさにデモクラシー。最後に、一番親しげに議論しあっていてご近所さんなのかなと思っていた2人のジイ様のうちの一人が、「オラ、白内障で最近めっきり目が見えん。ところでお宅さんは、どなたさんだったっけ??」
・・・もう落語の世界。
いいねーなんか。すっかり血色がよくなって上機嫌のジイ様たちをみていると、なんかホンワカした。

帰りの中央道は、平日なんでもちろん渋滞なし。

いわゆる厳冬期はもうおしまい。八ヶ岳ももう春だ。今季は6回目の八ヶ岳。正直、来季までもういい笑。阿弥陀も残すところは北西稜か。こちらは北稜や南稜のように簡単にはいかない。大同心雲稜とともに八ヶ岳バリの卒業課題だと思っている。来季あたりには挑戦したい。
北稜に関しては、想像通りの、いや、想像以上の入門課題だった。短いし。山友会のaoさんたちが北稜やったあとに赤岳主稜にも行ったというのもうなづける。カロリー満点アップルパイもまだ半分くらいしかカロリー消費していない・・・。
まあ、シーズン初めのアップ、というかロープワークの確認には良いかもしれない。でも、クライミングはともかく、景色は最高だ。阿弥陀登頂最短ルートでもある。渋滞は嫌だけど、ゆっくりのんびり登山を楽しむには良いルート。
来季は是非赤岳主稜と意気込むちえ蔵さん。今回はお疲れさまでした。

(組長)




 

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