Member : テトラオドン、まり、組長
Timeline :ロープウェイ土合口駅0614~0643鉄塔広場~0830ラクダのコブ~1019肩の小屋分岐ケルン~1027トマの耳~1052オキの耳1149~1247熊穴沢避難小屋~雪訓~1440天神平駅
今季は土合発の山行は3回目。でも今までの2回は、それなりに?有意義だったけど、山頂を踏めなかったり、なんとなくやりたいことができなかったりと、何となく不発気味。三度目の正直ということで、青空に映える西黒の美しい雪稜と谷川岳の岩壁群を堪能しようと思っていたけど・・・。
今週は仕事漬けで毎日小一時間しか寝られていない満身創痍のテトラオドンさんと、年度末をやり過ごして羽根を伸ばし始めたまり姉さん、そしてただのアホ一人。毎度のことになった深夜の土合駅に到着~。1時30分くらいだったかな。外は小雪が舞い、少々風も強い。当然のことだけど、3月の初旬に来た時よりは、かなり雪が少ない。道路わきの雪の壁も1mほどだし、駅前の駐車スペースには雪がなく、広さも1.5倍くらいになっている。駅の階段ってこんなに幅広かったんだーと些細なことに驚く。
今日のホテル土合には、先客が10人ほど。皆さんもうすっかり寝静まっている。トイレで寝込んでいるツワモノも・・・。さすがにそこは邪魔ですよー。とにかく、うるさくならんように、こそこそと一杯やってから、日ごろの睡眠不足を取り戻すように、すぐに就寝。
・・・と、大して取り戻せずに2,3時間後に起床・・・。だけども、個人的にはホテル土合は良く寝られる。柄にあっているのかもしれない。
さてさて、普通はここから歩きだすけど、アラサーといっていいか、アラフォーと言っていいか微妙な女性一人の大人の意見を取り入れて、ロープウェイ駅までの20分ほどの歩きを避けて、駅の駐車場に車を停める。わずかだけど帰りの道路歩きはかったるいので、ちょっとくらい駐車料金取られても、まあいい、ということ。
駅を出発し、登山指導センターの裏から最初の急登。天気は微妙。少し小雪が舞い、上空の風も少し強めだ。今日は高気圧前面に入ってくるために、天気が崩れることはないだろうし、気温も低めの予報だったので、雪の状態のいい午前中にささっと上まで上がってしまおうと考えていた。
実際、雪の状態は予想通り良い。前日だかのトレースもしっかり残っており、それを忠実に辿れば、特に大きくハマることもなく、どんどん高度を稼ぐことができる。厳冬期は、たぶんここはどラッセルでシンドイところだろう。ワカンも一応持ってきていたが、今日は一日ただのお荷物となった。
体調も万全、気温も寒くなく暑くなく。快適な季節だ。
指導センターの裏から登り始める |
ほどなくして、鉄塔下の広場に出る。目の前には、この前に立派な雪洞を掘った赤沢山が見える。ホテル赤沢は今頃どうなっているんだろ。
ここからは、西黒尾根をまっすぐと辿るだけ。相変わらず締まった雪の快適な登高。左にドでかい雪庇が張り出していて、かなり崩落気味だけど、夏道も出ているので、特に問題ない。
西黒尾根を辿る。後ろが赤沢山 |
夏道 |
朝のうちにかかっていた雲は、次第に取れると期待していたが、高度を上げるにつれて、むしろ逆にすっかりガスに包まれてしまった。樹林を抜けて、谷川ドカ~ン!!!を期待していたのに、今日は結局、頂上に着くまでしっかりとガスが取れることはなかった。個人的に、次に狙っている東尾根の偵察も兼ねていただけに、非常に残念。
景色もないのであまり印象にも残っていない??短調な樹林帯を抜け、最初の鎖場に到着。鎖もしっかり出ており、特に問題となるところもない。岩には自傷癖のある人の腕みたいに、アイゼンで切り刻まれた後が痛々しい。
最初の鎖 |
ただし、尾根の左右両側に大きなクラックが幾重にも走り、雪庇の崩落や剥離もすさまじい。それらを縫うように左に右によろよろと歩いていく。今日、少なくとも登っている今の時間は、雪の状態はとてもよく、すぐにボロボロと行くような危険な状態ではない。雪崩の音も聞こえない。
一瞬だけ、ガスが張れ、西黒の全貌と谷川岳を拝むことができたが、本当に一瞬だけだった・・・。
ここがちょっと急 |
クラック多数 |
雪庇もだいぶ落ちている |
雪男発見!!!みたいな写真ばっか・・・ |
もう少しでガスが取れるーと思ったけど・・・ |
左が本物の尾根。右は剥離した雪庇。尾根が二つあるように見える。 |
落ちれば奈落の底???・・・でもないけど |
かなり深いのもあるよー |
まあそんなこんなで(ガスであまり印象ないんです・・・)、天神尾根と合流して、人いっぱいの山頂へ。今日の天神尾根は行列のできる尾根だった。西黒はだれも登っていなかったんだけど。
ここへきてようやく、周囲の展望がきき始めた。厚い雲海で近くの低い山は全く見えないけど、遠くの雲海上の山は見渡せた。
ついにガスの(心の)晴れる瞬間が・・・ |
人いっぱいのトマの耳を振り返る |
山頂 |
一の倉と茂倉 |
ひとしきり山頂で過ごしたけど、劇的に展望が良くなるというようなイベントも特になく、そろそろ帰りますかと下山開始。。。
トマの耳に戻る |
肩の小屋 |
相変わらず天神尾根を延々と人が上がってくる。みんな特に使わないピッケルをお決まりのように握りしめて・・・。
帰りはやっぱりこれでしょ |
きつそうに登る人たちをおちょくるように滑降するテトラオドンさん。 登る人いれば下る人いる |
熊穴沢避難小屋はまだ雪の中で使えない |
天神尾根も当然に問題となるところはない。スキー場についた時点でまだまだ時間にも余裕があったので、せっかくだからということで、雪訓開始。雪稜で使いそうな、試してみたかったことをいくつかやってみた。
まず、ピッケルを使った懸垂下降。
2本のピッケルを支点として使い、その上、下降後にピッケルを回収できるシステムを試してみた。今日のようなしっかりと重い雪質の場合、ピッケル埋め込みの支点は非常によく効き、ピッケル2本でクロスさせる方法を使えば、相当な強度が出せた。墜落にも十分耐えられそうで、しっかりと体重を預けた懸垂下降も容易にできた。
しかし、逆にあまりにもピッケルが効きすぎており、手で引っこ抜くのも力がいる状態で懸垂下降後に下からスリングをつけたロープを引っ張る程度では、まったくビクともせず、回収は無理だった。懸垂下降に十分耐えられる強度と回収可能な強度のバランスをよく考え、雪質を見極めて練習に練習を重ねれば使える技術なのかもしれないが、実際のところ、あまり実用的な技術でないように感じた。最悪、ピッケルが回収できなくてもいいというような切羽詰まった状況でなければ使わないだろう。
続いて、スノボラードを支点とした懸垂下降。
こいつはなかなか調子が良い。今日のような雪質ではかなり有効で使えそう。モノの本によると、よく効いたスノーボラードは10kNくらいの強度があるらしいが、それに近いくらいの安定感を感じた。
確保支点として使うならば、ピッケル等と組み合わせて使えばより安心になるし、懸垂下降支点として使うならば、木枝があればそれを添木として使えばよい。確かに、最初にこれだけで下降を始めるには勇気がいるけど、効き具合を見極められるようになれば、重宝する技術であるように思った。GWの北アルプスでも十分使えそうだ。
完全に体重を預けても、結構、安心 |
スノーボラード |
昼下がりをのんびり過ごす?!要救助者・・・ |
1/3はやっぱりそこそこ力がいる・・・ |
ブロッカーとプーリー、あとはフリクションヒッチで |
谷川岳 |
温泉は、いつもの湯テルメではなく、この前に行こうと思ったけど開館時間前で行けなかったNTTの??温泉へ。700円。こじんまりとしていて、アメニティーも充実しており、綺麗。露天もあり湯加減もちょうどいい(室内の風呂は個人的には熱すぎで入れない・・・)。週末の良い時間でもあまりひとがいないのでのんびりできるのがいいところ。ただ、湯テルメより200円高い。貧乏人にとってはただそれだけで、湯テルメに軍配・・・。。
お食事は、初めて行くカフェレストラン亜詩麻。水上ICまでの帰路の途中にあるのでアクセスもよい。名物は焼きカレー!!1050 円。カレードリアみたいな感じ。カレーが結構スパイシーだったけど、腹の減った山帰りには満足できるボリューム感。味もバッチリ。ピザも美味い。今日一番会話が弾む。結婚の話とか、何かいろいろ語る。
関越、環8の渋滞はひどかった・・・。おかげ様で、それぞれの登山観やら行きたい山、夢や目標の山など、大いに語ってしまった。。。ついでに、テトラオドンさんパジェロがついに10万キロの大台を越えた。最後の数万キロのラストスパートには自分もかなりお付き合いさせていただいた。今年度からはますます保険料も上がる。その上乗せ分くらいは自分も払おうかなと。・・・なんて、全く心にも思っていない。
ということで、3末の西黒。思っていたよりも簡単すぎて、正直な所、拍子抜け、手ごたえのない、スノーハイキングだった。特に悪い岩場もなく、急峻なリッジや雪壁もなかった。アイゼン・ピッケルも使わなかった(初心者はもちろんあった方がいいと思いますが)。ロープももちろん使わない。もっとも、雪の状態が良かったということによるところが大きいと思うが。
今回も含め、最近、力いっぱいの登山をしていない。自分のペースで力の限り山を歩き回り、充実した疲労感を覚えるような登山をしていない。それは、山岳会で、仲間と山に行く以上仕方のないことかもしれない。しかし、長い間単独行を繰り返してきた頃の独特の充実感をまた感じたいと少し思うようになってきた。また、もっともチャレンジングな登山をしたいし、困難な登攀もしてみたい。所詮、素人が休日にやる趣味としての登山??なのだから、楽しくて気持ちが良ければそれでいいのかもしれない。でもそれでは自分はやっぱり満足できない。力の限りの登山をして、絞り切ったスポンジが水を吸い込むように、体全体で山を感じ吸収したい。
あれ・・・ついてこれてないですか?!最近ますます頭がおかしくなってきたんです。春ですね。
悪しからず。
(組長)