水無川本谷・源次郎沢

2013-04-19

06_沢登り g_丹沢

Date : 2013/04/17
Member : ちえ蔵、組長
Timeline :本谷入渓点0830~1025書策新道渡渉点~1131F8~1230登山道~1243塔ノ岳山頂~
源次郎沢下降開始1330~1515F5(ロープワーク練習)1610~1647入渓点



一度くらいは行っておきたいなと思っていた超メジャーな表丹沢は水無川本谷を遡行し、源次郎沢を下降してきました。


今回も平日休みをちえ蔵さんと合わせての贅沢平日山行。。
まだ行ったことはなかったけど、盛夏の週末には人いっぱいで全く行く気がしない水無川本谷。いくならいつか、今でしょ!!(あ~あ言っちゃった)。

渋沢駅でちえ蔵さんを乗せ、2ケツで単コロバイクをトコトコと転がし、戸沢の駐車場へ。林道はバイク2ケツではなかなかの悪路で、途中、よろめきながらも何とか到着。そういやバイクの免許を取ろうと思ったきっかけは、女子を後ろに乗っけることだったなぁと・・・、大学生の頃の純朴な自分を何となく振り返ってました。。。今、女子、乗っけてるぜ!!オレ!!ちえ蔵さん5人目だけど・・・。

なんてことはいいとして、早速、沢支度を済ませ、書策新道に入ります。
出発する頃に、中高年リタイヤ??3人組が駐車場に到着しました。このお3人も本谷を遡行してきました。この日はさすがに春の平日ということもあって、他のパーティーの入渓はありませんでした。

書策新道を少し進み、源次郎沢の看板が出てきたあたりで右の本谷に下りて入渓ー!!
本谷らしく、沢幅広く、水量も十分。開けていて明るい印象です。新芽もだいぶ出始めさわやかな色合いに気分も爽快です。が、今日は天気が薄曇りでイマイチ。ただ、湿度高く、歩いているうちに暑くなり、早く水に浸かりたくなります。入渓後すぐに堰堤に先をふさがれます。左に少しぼろいアブミがあり、そいつを使って越えます。
アブミをよっこらせと上がる
なんかとても楽しいので、どうでもいい小滝や岩をボルダリングしながら越えていくと、F1の10mが現れます。2条の直瀑で水無川なのに水量多く(しょうもない・・・)、あたりも開けて明るく、しばし見入ってしまう綺麗な滝です。
F1

F1
左壁を小さく巻くように錆びた鎖がついてます。この沢はこの後も鎖や残置物など、人工物がたくさんあり、この沢の本来持つ美しさ楽しさを残念ながら減損させています。
ここは鎖を使わず、水流すぐ左を直上しました。Ⅲ。ロープは出しませんでしたが、抜け口にペツル+ハーケンと残置スリングのビレイ点がありました。
わらじ初めのちえ蔵さんも最初は緊張した面持ちでしたが、難なく登ってきます。
F1。左壁を登る

今シーズン初の滝登り中のちえ蔵さん
F1上はすぐのセドノ沢との分岐です。看板があり(はぁー)、間違うことはありません。左に入ってすぐにF2。
F2

左壁に鎖がありますが、いかにもヌメっていそうだし、使う気も元々ないので、乾いた右壁を登ります。抜け口に残置スリングが垂れており、使いませんでしたが、そいつを使えば簡単です。ちえ蔵さんは慎重にA0してきました。
F2の右壁を登る
残置スリングでA0できる

今季2回目の沢で段々と調子が出てきました。沢靴のフリクションの感覚も取り戻し始め、足さばきも何となく軽快になってきました。今季の沢の夢や希望??が膨らみます。。ちゃんと仕事しろ、オレ。。

続いて、両岸に大岩が見えてきます。特に左岸のハングした大岩は大迫力です。どこかの誰かの記録で見ましたが、この岩は昔、人工登攀の練習に使われたそうで、左側に走るクラックには古い腐ったハーケンやスリングやらがいっぱい詰まっていました。今の強いボルダラーなら、ハイボルダーとして登れるんじゃないかと思いました。

昔の山ヤはこういう丹沢の沢で鍛え、つづら岩や三つ峠に通い、そして谷川の本チャンに向かったのでしょう。そういう日本的??なクラシックなステップアップは一つの良い方法だとは思いますが、あまのじゃくの自分にはどうも馴染まない考え方です。ステップの一つではなく、水無川には水無川にしかない美しさ素晴らしさを感じたいものです。何て言いながら、谷川には今年行くつもりです・・・笑。

F3手前は倒木が多く、残念な感じです。見えてきたF3も少し倒木が邪魔していて、美しさ20%OFF。
ここはロープを出します。
右壁をトラバース気味に登ります。ご丁寧に「滑落事故多発地点」の看板があり、滑落しないように登ります笑。途中、残置スリングが2,3本垂れており、そいつでランニングを取りながら登りました。フリーで簡単に越えられます。抜け口にリングボルト×2と残置スリングのあるビレイ点あり。
ちえ蔵さん、少し緊張した面持ちでしたが、問題なく登ってきました。Ⅲ。
F3

F3
その後、いくつか滝が続きます。右上に新しい鎖がありますが、そいつらは使わずに水流すぐ右をどんどん越えていきます。そうすると、奥になかなか立派な2条の滝が見えてきます。F5です。
F5

こちらの滝もすっきりしていて綺麗な滝です。
右壁の落ち口付近に錆びた鎖が垂れ下がっていますが、そこまでは残置ハーケンのみで鎖はありませんでした。ガイドブックには鎖があると書いてありますが、途中で切れたのでしょう。どうせなら全部取っ払ってほしいです。
ここもロープを出し、右壁をこれまたトラバース気味に上がっていきますが、岩が少々脆い印象です。その上、ホールドスタンスが少々外傾スローパー気味。特に難しいところはありませんが、高さもあるので慎重に登ります。Ⅲ+。右壁のルンゼ状を直上し、小さく巻くこともできます。後続のおっさんたちはそちらから登っていました。
水流をそばに感じながら、手先足先に神経を集中させ、岩と戯れる瞬間が何ともたまりません。岩にキスしたくなります。なんてね。誰か救って~。
ビレイは落ち口のぶっとい鎖で。
F5の落ち口から
F5を過ぎると、すぐ先で書策新道が横切ります。書策新道は入口に昨年なかった「立ち入り禁止」テープがあり、だいぶ荒廃が進んでいるようです。
書策新道の看板
ここで一本入れてから、先に進みます。相変わらずの曇天。沢が右折する地点で右から木ノ又大日沢が入ってきます。ご丁寧に右岸に道路標識みたいな「→」看板があります。そういうのやめてー。

本谷に入ってすぐにCSのある6mが現れます。中段で弾ける水流の美しい滝です。
F6
右のCSの右に残置スリングが垂れ下がっていて、そいつでA0すれば簡単です。しかし、簡単に越えてから、安易に残置スリングに頼ったことに深く後悔しました。最近は一丁前に笑、登るスタイルにもこだわり始めました。残置でランニングを取るのはできる限りの自然へのローインパクトを考慮して、まあしょうがないとしても、残置スリングでA0するのは、他人の力で登ったことになってしまいます。なんでもありの沢では、そんなことは気にしなくていいのかもしれませんが、その中でもやはり自分の美学なりポリシーなりを持っている沢ヤはやっぱりカッコいいと思いますし、そうなりたいと思います。だから、安易にスリングを掴んだことに深く後悔しました。そんなに難しくないのだから、面倒がらずにロープを出せばよかった。そんな逡巡つゆ知らず、ちえ蔵さんが残置スリング鷲掴みで豪快に上がってきました・・・。
残置はいっぱいあります
その後、沢は開け、下界の町が見渡せるようになります。晴れていれば気持ちがいいことでしょう。左岸は大きく崩壊していますが、その中に1本の桜が可憐な花を咲かせていました。


続くF7は看板だけ??滝らしいものはありません。崩壊してしまったのでしょうか。すぐ先の金冷し沢との分岐にも残念ながらしっかり看板があり、迷うことはありません。少し狭くなった沢をくねくね行くと、遠くに一筋の滝が見えてきました。3段30mもある大滝F8です。
F8
脆く繊細な岩肌を優しく癒すような水流が飛沫をあげています。「崩れやすく危険なので登らないでください」との看板がいうように、滝周辺は大きく崩壊しており、ガレた岩屑だらけで、あまり生命を感じない寂寥感漂う場所でした。昔は登っている人もいたそうで、右壁は登れそうですが、ボロボロ過ぎて登る気がしません。ここは定石通り、左岸を大きく巻きます。巻き道はずっとフィックスがあります。
一応、300円の三脚で記念撮影・・・

F8の巻き
最後のボロボロのガレをトラバースするところが、もう本当にボロボロで掴む岩全て落ちるような感じです。フィックスを頼りに土雪崩を起こしながら這い上がりました。
踏み跡伝いに滝の落ち口に下り、しばらく進むと、1220付近の二俣。地形的に見てまっすぐが本谷の様な気がしますが、ここはガイドブックの道を進むことにしました。右の小滝を登ります。次第に水は涸れ始め、右側に大崩壊地が広がります。トポにあるF9は良く分かりませんでした。適当な所で左の尾根に上がり、左上気味に塔ノ岳目指してつめました。シカの足跡を追いながら、人間もシカも考えることは同じだなーなんて考えながら、どこか物淋しい荒涼とした斜面をとぼとぼと登りました。左手に塔ノ岳の山頂と山小屋が見え、登山道に上がりました。そして、丹沢名物??ハイカーとの遭遇!!おっさんがジロジロみてました。
詰め

登山道に到着


稜線はかなりの強風です。山頂でゆっくり日向ぼっこしようと思っていましたが、強風で小石は飛んでくるわ、砂埃は舞うわ、で、全く落ち着けず、そそくさと下山開始。塔ノ岳山頂は、平日だというのに相変わらずの盛況ぶり。さすがにこの強風では外でカップラーメンをすする人はいませんでしたが、尊仏山荘内は何やら賑わっていました。こんな日に大倉尾根をハイクして何が楽しいんでしょう。なんてね。人それぞれの山があるのだ。

今まで何度通ったか・・・大倉尾根をすたこら下ります。相変わらずヒドイ道です。すっかり踏み固められコンクリート化した尾根道には、自然の匂いは微塵も感じられません。聞いた話ですが、ある世界的に有名なアルパインクライマーがこの大倉尾根を初めて歩き、「この尾根は死んでいる。2度と来たくない」といったそうです。確かにその通りだと思いました。かく言う自分も、そういやボッカトレで35キロのザックで超踏み固めてました。ごめんね、大倉尾根。

若い男子4人組パーティーを追い抜かし、花立山荘が見えてきたあたりで左に伸びる源次郎尾根に入っていきます。突然、登山道を外れ、道なき道に踏み込んだ変な人達がいるぞ目線を感じながら・・・本来、土が持つ自然な柔らかい感触をこれまた足裏に感じながら、源次郎尾根を少し下り、源次郎沢の下降を開始します。

源次郎沢は昨年の春に遡行しましたが、今年は少し倒木が増えていて、少し荒れてしまった印象を受けました。それもこれも自然の意思で仕方ないことですが、残念です。。
F10(トポではF9)は、右岸から小さく巻き、F9とF6(同じくF8とF5)は懸垂下降。
F9

F6

今回の山行の一つの趣旨として、ちえ蔵さんに沢のリードで必要なロープワークを覚えてもらう、ということがあったので、下降中もいろいろなコツやら何やらを偉そうにアレコレ垂れながら、下りて行き、F5まで下ったところで滝のリードで使うロープワークを練習しました。沢登りでは状況が多彩ですのでロープワークも臨機応変。状況に合わせて最も速く安全な方法を考え手早くセットすることが必要です。それを考えるのも沢の楽しさの一つであると思います。自分が今まで先輩から習ったことや経験から工夫したことをあーだこーだ言ってから、実際に源次郎F5をちえ蔵さんにリード練習してもらいました。簡単な滝なので、クライミングは全く問題なく、ランニングの取り方やセカンドビレイのセットなんかもスムーズにできているようでした。さすがです。家で練習しますと、熱心で真面目なちえ蔵さん。一人占め講習会だ、と、満足していただけたようです。講習料は5000円になります、よろしく笑。とにかく今年はバンバン沢でリードしてください。ていうか、一緒に行きましょう。
練習中

源次郎F5をリード練習

残りの滝は適当にクライムダウンして行きます。登るのは簡単でもクライムダウンはまた一味違います。ちえ蔵さんも少々苦戦しながらも、無難に突破。
F2

F1

沢が開け、左手に書策新道が入ってきた地点で終了。
駐車場に戻ると、バイクの下に置いていた靴の入ったビニール袋がズタズタになっていました。少し離れたところには、シカが神経質そうにこちらを見ています。たぶん食いもんだと思ってつついていたんでしょう。そしたら、くっさい汚いスニーカーで・・・。ただで飯にありつけるほど人生甘くないぞ、シカちゃん。その白いかわいいお尻に言ってやりました。


ということで、水無川本谷と源次郎沢。
ガイドブックにある通り丹沢を代表するメジャールートで、とにかく人工物が多く、沢登りの最大の魅力が野性味にあるとすれば、面白みに欠ける沢、という評価になるでしょう。ただし、それら人工物に目をつむれば、個々の滝の登攀はスリリングかつ楽しく、水量多く開けて明るい渓相は、沢登りの面白さに溢れている、という、やはり一般的な能書きは、これまた妥当なように思います。
だからこそ、丹沢を代表する沢として、皆さんやってくるのでしょう。やはり一度くらいは遡行したい沢です。
ちなみに、ガイドブックには1級上のグレーディングがされていますが、今回のように鎖等を使わないで行けば、全体的に見て、2級の沢という印象でした。
源次郎の下降は特に問題となるところはありません。

それにしても、やっぱり沢は楽しいなぁ。

(組長)










このブログを検索

人気の投稿

最近の投稿

Archive

QooQ