Member : もとき(CL、報告)、組長(SL)、テトラオドン
Timeline : 13日 大谷原(7:45) - 冷尾根取り付き(9:00) - 1971峰(12:00) - 2150m付近幕営(14:30) 14日 幕営地(6:30) - 北稜(11:00) - 爺ヶ岳北峰(12:15) - 東尾根 - 鹿島集落(16:30)
白馬主稜のトレーニングとして、爺ヶ岳冷尾根に行ってきた。冷尾根を選んだ理由は、雪稜であることと、人が少なそうなこと。
朝7時、大谷原の駐車場。快晴で、10台くらいの車で賑わっている。鹿島槍東尾根に行くパーティか?男女ペアの「さあ冒険に行くよ!」みたいな、子どものようなノリと笑顔がまぶしい。自分も楽しまなきゃという気になり、カロリーメイトをかじって体を起こす。
【大谷原 駐車スペース】 |
冷尾根を目指すのは我々を含む2P。小冷沢の右岸を1時間歩く。大きな堰堤の手前を徒渉して、冷尾根に取り付いた。
【堰堤】 |
ラッセルでたらたら登る。途中から、一本右の尾根伝いに合流した某会4人Pが先行。彼らのトレースを辿った。
登山口から4時間、いよいよ冷尾根のお姿を望む。おお、ほんとに尾根が消えている!北稜に吸い込まれるように消える末端。北稜への登りは急な雪壁のように見える。トラバース手前まではソフトクリームのような雪稜だ!
【中央が冷尾根 左が北稜】 |
先行Pに追いつこうとするが、なかなかペースが上がらない。後で分かったことだが、テトラオドンは足底腱膜炎が完治しておらず、登ると痛みがあるとのこと。。そんなことも知らず、ロープ持たせて申し訳ないことした…。
2150m上のテン場で、先行Pに追いつく。共通の友人の話で自己紹介とさせてもらい、あすの出発時間を尋ねた。ここまでトレースを歩かせてもらって、美味しいとこだけ先行するわけにいかない。
あすは、彼らから遅れて5時半ころ出発に決定。天気図を見る限り風は強そうだが、気温は高いので気にならないと予想。西風であれば、核心部は無風だろう。
夜、お約束の満天の星空。恥ずかしくてとても書けないような願い事をぜずにはいられない。やっぱり自分の意志で登る山はいい。仕事とは違う。
翌朝は寝坊して6時半に出発。先行Pはすでにソフトクリームの中をフワフワ漂っている。
核心部に到着したころには、彼らは1P目のトラバースを終えようとしていた。組長に「違うラインにしよう」と持ちかける。といっても、冷静に考えると安全そうなのはあそこしかない。
【先行P】 |
トラバースだけでも一段下の灌木を目指すこととし、ロープを伸ばす。傾斜は緩い。上部の雪が落ちてできた溝に入る。まるでルンゼのようで、先行Pが落とす雪がスノーシャワーとなって気分を盛り上げてくれる。セカンドのテトラオドンはアッセンダーで登ってきた。
【スノーシャワー。。】 |
2P目、組長リード。先行Pのラインをダイレクトに登れば北稜に抜けたはずが、他のルートを探って断念、1段上の灌木で切る。リードを替わって、トレース伝いに短い雪壁を登って北稜に出た。立派なハイマツで支点をとり、2人を上げる。
【北稜に乗り見下ろす】 |
3P目、組長リード。トレースのない場所を選んで、60度強の雪壁を10mほど登る。雪がグサグサで、少し恐そうだ。慎重に登っている。
もう1ピッチ、トラバースから緩斜面までの乗っこしもスタカット。腰絡みで2人を上げてロープをしまい、爺ヶ岳の稜線までトレースを辿った。
稜線から見る劔、立山にしびれる。まだまだ冬だぜとも言いたげの、すごいオーラに打ちのめされた。爺ヶ岳中峰への稜線も、雪屁が張り出して圧巻だ。
【劔岳】 |
【爺ヶ岳中峰】 |
下りは、東尾根へ。爺ヶ岳の北稜がとても立派に見えて、取り付きから登ってみたいと思った。東尾根はとにかく長い。特に下部、雪のない急な尾根の下りはちょっと大変だった。赤岩尾根にしとけばよかった。。
【北稜】 |
冷尾根は、雪稜ルートとしては入門なのだろうが、バリエーション豊かで飽きることがなく、後立山のスケール感も味わえて楽しかった。あれでトレースがなければ…と思わずにいられないが、我々の実力では相当な時間がかかっただろう。素直に感謝した方がいいのかもしれない。