ウルシガ谷沢

2013-04-07

06_沢登り f_奥多摩・高尾


 
Date : 2013/04/06
Member : テトラオドン、組長
Timeline :ウルシガ谷沢出合い0739~0746入渓点~(間違って左俣遡行後、5m滝手前で引き返し、右俣まで戻る)~0819右俣~0858二段大滝終了~0930林道~0935左俣下降開始~1022入渓点~1030ウルシガ谷沢出合い


「沢登り始めました」。


今年もついにこの季節がやってきました。
いや、やってきているのがどうかは良く分かりません。とにかく、やりたくなったら、シーズンイン!!

今週は北アルプスの予定でしたが、台風並みに巨大で急速に発達中の低気圧の影響であえなく中止。週半ばにはもう中止は織り込み済み??だったので、一日又は半日でも遊べる近場の沢でわらじ初めをしようということになりました。大荒れの天気が予想されているなら、その大荒れになる前に沢を楽しんでこようと。すでに発想が世間的にズレているような気がしないでもないですが、そんなことはもう気にしません。

わらじ初めは、秋川あたりの手ごろな沢で、と考えて選んだのが、このウルシガ谷沢。
秋川周辺の沢は、比較的家からも近く、水量少なめのコンパクトな沢なので、まだまだ暑くない季節のわらじ初めには最適です。

ということで、いつものパジェロに乗りこみます。カーラジオからは、しきりに今日の大荒れの天気情報が流れています。「低気圧が台風並みに発達するので、不要不急の用事がない限り、外出は控えてください」と。「不要不急」ねえ。急いではないけど、沢、「必要」です。自分にとって。

今日の武蔵五日市駅には、いつもバス停に列をなしているハイカーもいません。静かです。彼らにとって、ハイキングは不要不急じゃないですからね。

町の桜はもう大部分が散ってしまいましたが、ここ秋川の桜はまだまだ見応え充分です。ソメイヨシノに限らず、シダレ桜や・・・他のは良く分かりませんが、とにかくいろいろな花が咲いていて、春だな~って感じです。

そうこうしているうちに、小坂志林道を経て、ウルシガ谷沢出合いへ。
出合いには、通行禁止の看板があります。ここでしっかりと沢支度を整えます。去年の10末ぶりの沢。「胸のときめきが止まらない」。天気は曇り気味ですが、超頑張っている低気圧のおかげで、南風が入っているので、気温は十分高いです。

・・・・が!!ここで大問題発生!!

なんと、幸せボケしたテトラオドンさんが沢靴の片っ方を忘れる!!いや、忘れるというよりも、両方右足の靴???
なんと、「はい、頑張ってきてね♡♡♡」と新妻から渡された沢靴は一つがその奥さんの23センチの小さな靴・・・。渡された時に気付かないテトラオドンさんもテトラオドンさんですが、渡した方も・・・。いつでもどこでも一緒がいいんですかねー。
しょうがないので、片方23センチの小さな靴を「クライミングシューズみたいにきつい」とか何とか行って無理やり履きました。なんか見た目が気落ち悪いことになっています。ターンアウト???した靴。秋川の沢は、ターンアウトが効くんです!!ということにしておきました。
初っ端から、ひとネタかましてくれるとは・・・、さすが今絶好調のテトラオドンさん。
ターンアウト???した靴


まあとにかく、気を取り直して、ウルシガ谷沢出合いの通行禁止テープを切って、今季の沢登りの始まり始まり~!!!
ウルシガ谷沢出合い
林道を少し歩いたところが入渓点です。出合いから10分もかかりません。相変わらず、ここら辺の沢の入渓点はどうも見栄えがしません。。。
ワクワクの入渓点

そして、いざ入渓~!!!
うおぉーーー冷たいーーー。
キューと、ある所が縮こまります。うん、今年も沢が始まりました・・・。

普段に比べると、どうなのかよく分かりませんが、一般的に見て、やはり予想通り水量は少なめです。
最初は、小ゴルジュ帯。突っ張ったり、へつったりして、どんどん越えていきます。今日はわらじ初め。なんとなく足さばきがぎこちなく、少し緊張して歩きます。寒くないと言っても、まだまだドボンしてワーイ!!って遊ぶような陽気ではありません。入渓前は、浸かって膝までですかねーなんて話していましたが・・・。


早速、ドボンで夏休み突入~~
もう知らねぇー、ってバシャバシャ浴びます
 
いやいやなんて楽しいんでしょう。小ゴルジュ帯を越えても次々と楽しい滝登り・・・・・あれ何か違うな・・・、遡行予定の右俣は、小ゴルジュ帯後に大滝で出合うのになぁ・・・・。
道を間違えました。いや~やっぱ沢っすねー、なんて暢気に無邪気にはしゃいでいたら、うっかり右俣を通り過ごし、下降予定の左俣に入ってしまいました(5m滝まで)。他の記録でも、ついうっかり見落とす人も多いようです。
楽しく登っていますが・・・間違っています。左俣3m滝。
 
来た道を少し戻ると、事前に調べて見たことのある滝が左岸に見えました。ウルシガ谷沢自体がとても短い沢なので、右俣までもすぐです。右側をちゃんと見ていないと、通り越してしまいます。
 
右俣は、12mと8mの2段の大滝で出合います。傾斜はそれほどでもないですが、高さもあるのでロープをつけた方がいいと思います。
基部で30mロープをつけ、登り始めます。今日は、テトラオドンさんの足回りに不安があるので、大滝全部自分がリードすることにしました。
最初の12m滝

最初の12m滝は、左のルンゼを上がり、上部で中央のカンテを乗越します。カンテを乗り越すところに、古い残置ハーケン1枚。傾斜もあまりなく、特に問題ありません。快適な滝登りですが、久しぶりなので少し緊張します。

続く8m滝との間にビレイするのに十分なスペースがあるので、ここで一度ピッチを切ります。良く効いた新し目のハーケンが一枚残置してありました。もう一枚ハーケンを打ち足し(回収済み)、テトラオドンさんをビレイします。リスはたくさんあるので、プロテクションは問題ありません。エイト環でビレイするのも久しぶり。なんか楽しいなぁ。
ターンアウトしたエッジを効かせて???
続いて、8m滝。
落ち口付近の狭くなっているあたりが、少々恐いです。おそらくここが核心でしょう。右壁はヌルヌルであまり使えません。特に難しいわけではありませんが、誰もが登れるという感じではありません。Ⅲ+くらいです。ランニングがほしかったので、側壁のリスをいろいろ探しましたが、あまり効きそうなリスがありません。・・・と、目の前の水流の中を見たら、なんと7mmくらいの残置スリングがバシャバシャと水に揉まれながら垂れ下がっていました。最初は、枝かなんかかなと思っていましたが、スリングでした。あまり余計なもんは残さないで頂きたいものです。不本意ながらもそれにランニングを取り、落ち口の岩を掴んでよっこらせ、と、滝上に上がりました。ここはかなりバシャバシャと水を浴びました。まだまだムーブがぎこちないですが、結構楽しめました。
8m滝

8m滝の最後のところを上がる、テトラオドンさん
8mの先には4m滝がありますが、こいつは簡単。4m滝上の左岸の立木でロープをフィックスし、4m滝をクライムダウンして、8m滝上でテトラオドンさんをビレイしました。もちろん余裕で上がってきます。

ウルシガ谷沢は、一応、2級・中級のグレードです。行程も短く、読図も簡単なので、おそらくそれらの評価は、この大滝登攀につけられたものでしょう。
そういえば、昨年6月には、今日と同じ市道山に続く尾根上に出る石津窪を遡行しました。石津窪も同じく短い沢でしたが、滝登りがとても楽しい沢でした。25m大滝の登攀が何より楽しいです。ここウルシガ谷沢の大滝と比べて、登攀の難しさは大して変りありませんが、石津窪の大滝の方がスケールが大きく楽しいかもしれません。

大滝上は、4~5mの滝がいくつか続きます。どれも水流沿いを直登でき、気持ちがいいです。
大滝後すぐの5m滝。右から簡単

倒木のある5m滝。倒木使って登る

沢登りは何でこんなに楽しいんでしょう。
登山には様々なジャンルがあります。あくまで私見に過ぎませんが、様々あるジャンルの中で、冒険的要素が強いものとスポーツ的要素が強いものがあると思います。
スポーツ的要素が強いジャンルの最たるものが、ボルダリングでありショートルートのフリークライミングです。一方で、冒険的要素の強いジャンルに当たるのが、この沢登りだと思います。冬季登攀なども同じだと思います。

自分はどうも登山に冒険的要素を強く求めているようです。確かに、登っている沢はトポや誰かの記録を参考に選んでおり、真に冒険的な沢登りはしていないのかもしれません。しかし、沢は絶えることなく水が流れつづけ、常に変化し続ける諸行無常の世界。昨日の水は今日はもう流れていません。当たり前か・・・。とにかく、何が言いたいかと言うと、沢登りは冒険的要素に満ち満ちていて、自分が登山に求めるものに溢れているわけです。まあ、笑われてしまうような遠い目標ではありますが、剱沢などの真に冒険的な沢登りにもいつか挑戦できるようになればなあ、と思います。

また、ボルダリングやフリークライミングなどのように、あのホールドは使っちゃだめとかなんとかは一切ありません。沢では何をやってもOK。ロープにバイルをくっつけて、城壁を攀じ上る忍者ばりに、滝上目がけて、エイヤって投げてもいいわけです。何でもアリです。フリークライマーが絶対に登らないボロ壁、悪壁を冷や汗かきながらダマシダマシ登る。右足が崩れる前に左足に乗り、左足が崩れる前に右足に乗る、といった具合に・・・。そのなんとなく訳の分からなさが「ダマシダマシ」生きてきた人間にとっては心地よい???のかもしれません・・・。クライミングは全然登れなくて落ちちゃうから、下手くそなのはすぐバレるしなぁ・・・。

その上、ロープワークもとにかく臨機応変。シチュエーションごとに様々な方法が考えられ、最も安全で合理的な方法を素早く考えセットするのも、頭と培った技術・経験を使う楽しい作業です。

要するに、何が言いたいかと言うと、皆さん今年も沢の相手して!!!つーことです。

下らないダラダラのいつもの悪い癖がでてきたので、この辺でウルシガ谷沢に戻ります。
滝場が終わると、この先は落ち葉ラッセル。水流は落ち葉の下になって、分からなくなります。源頭部の雰囲気が漂ってきます。落ち葉ラッセルは、思ったよりも楽チンで、すぐに終わりました。新芽の匂いがむせるほどに漂っていました。


小さい片方の靴だけ脱いで、片方だけランニングシューズという斬新なスタイルになったテトラオドンさん

ウルシガヤの頭に至る手前に新しい林道が走っていました。たぶん、仕事用の林道なのでしょうが、削られた山肌はなんともかわいそうでした。
林道を見やる
林道を5分ほどで一つ尾根をまたぎ、次にツメ上がっている沢が下降する左俣です。
最初は短調な落ち葉道。途中で、何か動物が逃げる音がしました。シカか熊??と思っていましたが、山と高原地図を見たら、市道山一帯は野生ニホンザルの生息地だ書かれていました。もしかしたらサルかも。

それにしても、下降を始めてから、何かこうポカーンと心に隙間ができたような、何かをやり残したような感覚が湧いてきました。しばらく考えると、その原因は、山頂を踏んでいないということの様な気がしました。ウルシガ谷沢をツメ上げると、ウルシガヤの頭に着きます。そして、山頂というと、そこからさらにもう少し歩いた市道山ということになります。今日は、ウルシガヤの頭から左俣を下降し始めたので、市道山の山頂を踏んでいません。もちろんピークハントをするということは沢登りにとって重要なことではないかもしれませんが、山頂をしっかり踏む、そこで一服する、というのは自分の登山にとっては重要なことだと改めて認識しました。

そうこう思案していると、伏流だった水がだんだんと音を立てて流れ始めました。そして、10m滝が出てきます。他の滝と比べて水量も多くなかなか見栄えのある滝です。左岸から大きく巻けそうですが、落ち口に私を使ってくださいと言わんばかりの立木があるので、そいつを使ってラッペルした方が楽チンです。

10m滝の懸垂下降
その後は、今日間違えて登ってきてしまったところを本日2度目の下降。概ね右岸側を簡単にクライムダウン又は巻けます。小ゴルジュ帯でひとしきり遊んだら、もう入渓点に戻ってきてしまいました。
無意味にへつりつつ・・・

今日はかなりテンション高め・・・からの・・・

ドボン!!!

まだ4月ですけど・・・からの・・・

ドボン!!!

結局、道を間違えたり、いろいろ遊んだりしながらも、遡下降含めて3時間弱。短い中にも、楽しめる大滝登攀あり、懸垂下降あり、クライムダウンありと、「台風並みの急速に発達する低気圧」がやってくるという予報が出たら、是非お勧めの1本です笑。。

家に帰ってもまだ13時。メレンゲの気持ちなんか見ながら、昼飯を食う。贅沢な一日です。

(組長)



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