Member : テトラオドン、まり、Uさん(guest)、組長
Timeline :10日 堰堤入渓点1036~1141関越換気口~1153沖ドウキョウのトロ~1528一ノ滝~1700幕営地(一ノ滝・二ノ滝間)
11日 幕営地0647~0705二ノ滝~0753三ノ滝0923~1214肩の小屋直下の稜線~1314オキノ耳~1505天神平ロープウェイ駅
谷川岳の名渓として名高い万太郎谷本谷を遡行してきました。
前夜。「パパ、お借りします」とまりりんさんとテトラオドンジュニアに告げて出発。まりりんさんとジュニアに「またパパの悪い友達が来た」とか何とか思われてるんじゃないかと最近少々気になる(ジュニアはまだ分からないか・・)。少し前、まりりんさんに「もっとダンナを誘ってあげてね」といわれたが、そこに「ウラ」「オモテ」があるんやないか、と。。。
まりさん、Uさんをピックアップしていつものように夜の土合駅に到着。ステビバ組は少なかったが、車はそこそこあった。皆さん車中泊のようだ。
翌朝、土合駅始発の電車に乗り込んで土樽駅へ。今回は、入山場所と下山場所が異なるため、車は土合駅に置いておいた方が都合がいい。
それにしても、何度来たことかこの土合駅だが、電車利用は初めて。あれ、ここってホテルじゃなかったっけ???って具合に、不思議な感じだった。
有名なモグラ駅から電車に乗った。観光的にも楽しい。電車は思ったよりも混んでいた。
ハイカーおじさん数人と共に土樽駅を下車。くそ蒸し暑い道路を吾策新道目指して歩き始めるが、早速道を1本間違えて右折して、こっちじゃねーな、いやこっちかなと、2,30分のロス。酷暑の中でリアルに熱中症になりそうだった。
Uさんに、「頂ではアプローチで歩きまくって、『もう飛び込まずにはいられない』という状態に仕上げるのが伝統なんですよー」とか何とかテキトーなことを言って、お茶を濁す。
Uさんは、今回は初参加。といっても、最近、よく一緒に小川山で切磋琢磨??させていただいているベテラン山ヤさんだ。独特な雰囲気はあるけど(笑)、謙虚でいろいろなことに造詣が深いのでいろいろ勉強させていただいている。
まあそんなこんなでようやく入渓点へ。
スリット状の堰堤からスタート。早速、腰まで浸かって堰堤を突破。一気に沢のスイッチオン!!
天気はうす曇りだが、蒸し暑い。
入渓点の堰堤 |
早速腰まで浸かっちゃうのだ |
沢で泳いでみたいと言っていたまり姉さんは、初めての泳ぎに少々苦戦気味。沢での泳ぎはザックの影響もあるのでなかなか難しいですよね。
行ったり来たりでなかなか進まない |
やっぱり雪国の沢は美しい。奥多摩・奥秩父などの苔むす谷も美しいと思うけど、冬の厳しさに磨かれた雪国の美しい沢におおいに魅かれてしまう。わび・さびよりも、端的な美しさに。趣のある沢よりももっとデッカイ谷に・・・。まだまだ、人間が青いからかもしれない。
超快適~ |
ナメは続くよどこまでも・・・ |
やがて、豪快な4mの直瀑がお目見え。こちらも深い釜を持っており、右岸をへつりながら泳ぎ、左壁の好きな所を攀じ登る。
4m直瀑 |
ゆらゆらと泳ぐ |
この後も自然の織りなす美しい造形美が続く。水の流れるままに掘られ磨かれた岩。「自然」とはまさしくこういうもんだ、と思わせてくれる。美しい森、悠久の流れ、デッカイ煙突・・・???煙突???
出ました、いきなり現れるデッカイ人工物。。煙突の正体は、この下を走っている関越トンネルの通気口。この下を車がびゅんびゅん走っていると思うと何とも不思議な気分。通気口の存在はあまり気分がいいもんではないが、良い目印にはなる。
水が作ったアート |
関越トンネルの通気口 |
右側の滝が沖ドウキョウ沢の5mスダレ状 |
沖ドウキョウのトロ |
まずは、心と体の準備のために??沖ドウキョウ沢の5mスダレ状滝で滝行。。本流よりも水温が低く、気持ちとアソコが一気に引き締まる。
準備万端でLet'sダイブ!!
一応ヒモをつけてまずは右岸の壁をへつりながら進み、対岸の岩が近づいてきたあたりで左岸の足がつく岩まで泳ぐ。水流は弱いのでスィースィーっと楽しく突破できる。セカンド以降はロープもあるので楽チンだ。まり姉さん、Uさんも楽しく突破。そして、テトラオドンさん。何やらザックからけったいなものを取りだして顔面に取り付けている。なんと、ここの泳ぎのために、シュノーケル持参!!
水の中を探検しながら泳いできた。この準備万端ぶりに少々呆気にとられたが、「是非やってみるべき」という言葉に誘われて、皆さんそれぞれ遊泳を楽しんでみる。
これがまた素晴らしかった。一転、音のない深淵を覗き込むと、そこはまさに別世界。深さは5mくらいはあるだろうか。陽光がゆらゆらと揺れる緑の淵。良い体験をさせてもらいました。
右岸をへつり、左岸まで泳ぐ |
サブマリン |
家族そっちのけで楽しむパパ?? |
河童の河流れ |
深淵を覗き込む |
左岸から巻くこともできるそうですが、この先もやっぱり泳ぎで突破。
左岸の側壁を伝いながら泳いで行き、ゴルジュ出口の滝の前で足のつく岩に乗り上げる。目の前には3mほどの水量の多い滝と泡立つ深い釜。釜に巻き込まれやしないかと少し心配になって躊躇しましたが、意を決して泡立つ釜を泳ぎ、最後はバッシャバシャとシャワーを浴びてゴルジュ出口の滝を突破し、滝上の倒木にロープをフィックス。
皆さんも、体が冷え切っていたので水の中に入ることにまず躊躇していましたが、それぞれロープを使って泳いでくる。そして、相変わらずテトラオドンさんは淵や釜の中を探検しながら突破。
最後のゴルジュ帯と出口の滝 |
冷たいよー |
かっこいいねー |
私はこうやって人生の荒波に打ち勝ってきたのだ |
出口の滝は豪快なシャワークライム |
釜の中を探検中 |
岩の上から飛び込めます |
残置スリングは使わなくても簡単です |
4m斜滝 |
そして現れる本日のメインディッシュ。一ノ滝の登場!!
一ノ滝25m |
しばし滝見物をしたあとは、さてさてこいつをどう突破しようか。。左壁も右壁もどちらも登れそうです。この滝は左岸から高巻くパーティーも多いらしい。でも難しそうじゃないので登ることにした。
右壁でも左壁でもどちらでもよかったが、下から見た感じ右壁には残置は見当たらないが、左壁にはいくつか残置が散見された。ま、とりあえず左を登ってみますか、ってことで、左壁に取り付く。
下部のホールドはスローパーばかりだが、それほど難しくはない。残置も豊富だ。笑っちゃうくらい浅打ちのピトンもあるが、2発ほどしっかり効いたアングルもある。上部は滑りやすいスラブ。傾斜も緩いのでこちらも特に問題なし。高度感あって楽しいし、全体的にはⅣのクライミングで悪いところもないので、巻くより登っちゃった方がいいだろうと思った。もちろん岩登りに慣れない人はやめた方がいいけど。
30mロープギリギリ一杯で、右岸灌木にロープをフィックスして、皆さんにはアッセンダーで登ってもらう。
まり姉さんにはちょっと厳しかったようで、下部はロープをガシガシつかんでA0。そうそう、何より落ちないことが重要。変に見栄を張るより、潔くA0でもなんでもして素早く通過することが大事です。Uさんとテトラオドンさんはもちろん余裕のクライミング。
左壁に取り付く |
スローパー気味 |
上部はホールドの乏しいスラブ |
滝上から |
早速、夕食。最近、小川山とかでA子さんとかUさんに美味い物を食わせてもらっているので、だいぶ舌が肥えてるんスよねー、と、食担のまり姉さんにプレッシャーをかける。ま、作ってもらっている身なんですけどね。
しかし、まり姉さんの野菜たっぷりラタトゥイユは、その上がったハードルをあっさり越すほど美味かった。さすがアラフォー。…って最近、この手のツッコミにすっかり慣れっこになっていちいち動じなくなってきたまり姉さん。まさに不惑の40ですな。
クライマーの三大北壁、就職・結婚・出産を乗り越えたUさんの話も貴重。テトラオドンさんはまさにその北壁と奮闘中の身。といっても、こうやって毎週のように自分のような根なし草と山に行っているのだから、テトラオドンさんにとって結婚も出産も三大北壁どころか高尾山くらいの高さしかないのかもしれない・・・笑。・・・なんてね、しっかりと合間合間に家族サービスに勤しんでいることは知ってますよー。素晴らしいパパぶりです。ヘタレの僕には真似できそうもありません。
散らかしてるねー |
2日目。
歩き始めるとすぐに二ノ滝が現れる。朝に弱いまり姉さんはまだ何だかぼんやりしている。テトラオドンさんもUさんもまだまだテンション低め。一ノ滝に比べたら見劣りするが、二ノ滝もまた素晴らしい。丹沢にあれば???名瀑だ。
右側の階段状を簡単に登れる。
二ノ滝10m |
右側を簡単に登れる |
御岳にあればボルダラー満員御礼間違いなしのボルダー群を通り過ぎ、3mチムニー滝を過ぎると、前方に豪快な滝が見えてくる。終盤の山場、三ノ滝だ。
正面には支流の三の滝沢の滝がかかり、左手に本流の三ノ滝が下段の直瀑と上段のスダレ状の2段の滝となって、豊富な水を落としている。三ノ滝沢は山肌を鋭く切り込んだ急峻な谷で、とても手ごわそう。
左が本流の三ノ滝 |
三ノ滝下段15m |
先行2Pがすでに取り付いていたのでしばし休憩してから、水流右側のルンゼ状の岩場に取り付く。残置は豊富。ホールドもしっかりしていて簡単だ。Ⅲ+くらい。上部は傾斜も緩くなる。ビレイ点のピトンはグラグラ、さびさび。浅打ちで打っている方向も悪いので、衝撃荷重がかかれば間違いなくポッキリいくだろう。ナッツで補強した。
右側のルンゼ状から登る |
上部は傾斜も緩む |
Uさんも余裕のクライミングだ。Uさんは背も高く手足も長いので、クライミングをしているとカッコよく見える。一方の自分を見ると・・・典型的なニッポン人体系・・・。まあしょうがない。東京生まれヒップホップ育ちだかんね(あ、間違えた、埼玉生まれ盆踊り育ち、だった)。
上段には20mのスダレ状の滝。先行Pは右の小沢を登って、上部灌木帯を左にトラバースして滝上まで巻いているようだ。
ここは水流左まで移って左壁も登れるようだが、傾斜も緩いのでまあどこでも登れそうだ。とりあえず水流右側を登ることにした。Ⅲ+くらいの草付きスラブを直上。上の方で水流の方に寄って行って、最後の傾斜が緩んだあたりから水の中をバシャバシャと登って行く。ロープスケールで45mくらい。先行Pのようにジャングル探検するより、右なり左なりから登った方が快適です。残置は少ないが、灌木に支点は取れる。滝上の右岸の太い灌木でロープフィックス。
上段スダレ状20m |
先行Pのパンチラを狙うテトラオドンさん(うそです) |
最初は水流沿いを登る。先行Pは右の小沢を登って行ったようです |
上部はちょっと滑ります |
スラブ登攀中のUさん |
滝上から。目の前に広がるのは三ノ滝沢の急峻な谷 |
最後は水流の中をバシャバシャと・・・ |
三ノ滝上のトイ状4m。ハマってみたり・・・ |
突っ張ってみたり・・・ |
暑くなったら滝とハグ♡♡♡ |
滝に身を任せるも良し・・・ |
精神鍛錬するもよし・・・自由に何でもやっちゃってー |
おそらく稜線は灼熱地獄。そんな思いもあって、むやみやたらに浴びまくる。今のうちに浴びとかないと稜線で持たない。
浴びてるねー |
浴びまくってるねー |
この二俣を過ぎると、急に水が涸れる。次第にあたりにはお花畑が広がり、背の低い藪の中を快適に登って行く。後ろを振り返れば、遡行してきた万太郎谷が眼下に広がる。素晴らしく雄大な谷だ。ずいぶん遠くに来たもんだ。
しばらく行くと左手に肩ノ小屋が見え、わずかの笹やぶ漕ぎで肩ノ小屋直下の登山道に出た。
時にはお花も撮っちゃうぜ |
後ろに広がるのが遡行してきた万太郎谷。スケールがデカイ |
お花畑 |
左手に肩ノ小屋が見えると、もうすぐゴール |
最後はわずかの笹やぶ漕ぎ |
肩ノ小屋に来ると、人いっぱいでテンションがた落ち・・・ |
一応、オキノ耳とトマノ耳の山頂を踏む。ガスがかかって展望は得られなかった。まあ谷川なんていつもこんなもんだ。
帰りはこれまたうんざりの天神尾根。夏休み中の親子、カラフルな格好のカップル、汗だくのおやじ、キャーキャーうるさいおばはん、渋滞の登山道をわき目も振れずささっと下りる。
天神平からはロープウェイの楽チン下山。
帰りのカーテレビからは、二日連続で40度越えのニュース。暑苦しいレポーターが「暑いです」と連呼している。アンタの顔の方が暑苦しい。
いやいや東京を脱出していて良かった。
万太郎谷本谷は素晴らしかった。
今まで行った沢の中でも№1か№2に入る大満足の沢登りだった。序盤の緑の中の悠久の流れから始まり、延々と続く煌めくナメ帯、泳いで突破するトロ場、中流部の連瀑帯と一ノ滝、二ノ滝m三ノ滝と続く楽しい滝登り、上流部も素晴らしい小滝が続き、最後はお花畑が迎えてくれる。つめの藪こぎもほぼゼロだ。こんなにゴキゲンな沢はそうないだろう。さすが人気の沢なだけある。
全体的な難易度は、2級中級の沢といった感じ。ワンポイント要お助けなボルダーもあるが、全体的に特に難しいところはなく、ある程度沢登りをやっていればだれでも行けるだろう。沖ドウキョウのトロも水量が多くて突破困難なら左岸から巻くこともできるし、一ノ滝は登れなくてもこれまた左岸から巻ける。三ノ滝下段は巻けなさそうだが、Ⅲ+くらいで簡単なクライミングだ。一部ぬめりもあるが、雪に磨かれたスラブ主体の岩は、アクアステルスソールがバチ効きでフェルト組は少々苦戦している感もあった。
ということで、大満足の1本だった。上越の沢大好きです。しばらく上越通いになりそうだ。
今回初参加のUさんも大満足だったようなので、こちらとしてもとてもうれしい。いろいろと協力もしていただき感謝です。フリーの方もまた宜しくお願いしたいですが、沢もまた行きましょう!!
(組長)