Member : テトラオドン、ちえ蔵、組長
Timeline :谷川温泉0532~0610牛首(谷川本谷入渓)~0714二俣~0725ヒツゴー沢出合い入渓点~1118「1480二俣」~1210稜線~1348天神平
前日の西ゼンに引き続き、谷川連峰の沢をしゃぶり尽くす旅2日目は、谷川南面のヒツゴー沢を遡行してきました。
西ゼン遡行に大満足の我々は、道の駅水上でささやかな宴を催し、そのまま車中泊。
道の駅には、堂々とテントを張る人、堂々と地べたで寝る人、いろいろいる。でもまあ,
おそらくみんな沢ヤだろう。こういうのはあんま良くないと思う。こっそりとテントを張るくらいならいいけど。普通の人から見たら、地べたに人が転がっていたら、なんだ?どうした?おかしな人がいるぞ?ってなるはずだ。そんなことは気にしないのが本物の沢ヤ??いややっぱり一般の人に沢ヤって変な人たちだって思われるのは宜しくない。渓中なら豪放磊落、大いに盛り上がってもいいけど、これらの公共施設はある程度慎ましく使いたいものだ。
さてさて、本日は良く寝られ、昨日の睡眠不足もすっかり解消。
レッツゴー、ヒツゴー!!
谷川温泉から少し林道を入った駐車スペースまで車を走らせる。「ヒルに注意」みたいな看板がある。そう、ここ谷川温泉から先の山道はヒルがいっぱいいるらしい。
おどろおどろしい道標。ここから歩く。 |
早速、谷川本谷に沿った登山道を歩き始める。まだ朝早く、ひんやりとしている。うっそうと茂った下草が陰湿な雰囲気だ。よく踏まれてはいるが、途中の橋は一部崩壊している。しばらく歩いていって、ふと足のあたりを見たら、早速、ヤツが太ももあたりでウネウネしていた。うわ!!やっぱいた。。
いると分かっていても、実際に足を這われると気色悪い。その後、もうしばらく歩いて、またズボン周りをみたら、実はもっと這っていた。5~6匹がウネウネしている。マジでテンションが下がる。それも先頭を歩く自分に集中攻撃だ。来るとは分からない人間に、彼らにとっては超高速で移動する人間に、ピンポイントで狙いを定めて張り付くアイツら。その驚異的な本能に脱帽するけど、マジで絶滅してほしい・・・と思った。
入渓前にこれ以上アイツらを気にするのはテンションが下がるので、山道が谷川本谷の沢床に下りるあたりでいっそ入渓してしまうことに。そこは後から気づいたが、牛首だった。このあたりから先の登山道は、結構荒れていて、指導センターの登山道情報でもあまり行かないように、みたいなアナウンスがされている。
沢装備に整えていると、さらに4、5匹のヒルがついていたので、憎しみをこめて、叩き潰した。
昨日と同じ沢装備はやけに沢臭い。渓中1泊ならともかく、一度街の人になってしまうと余計に臭いが気になる。
谷川本谷に入渓する。やつらもここまでは来まいと思うと、気分が晴れる。
谷川本谷は二俣までは平凡な河原歩きだ。目の前に、マナイタグラ山稜の荒々しい山肌が立ちふさがる。
谷川本谷 |
最初の滝 |
すぐ下を人間が通り過ぎたもんだから、次から次へとスクランブル発進していた。こりゃいかんとスタコラ滝を登る。ヒルならまだしも、スズメバチにたかられたらシャレにならない。いや自分よりも後続のお二人の方がヤバい。でも、どーにかこーにか事なきを得たようだ。
左の庇状の下にスズメバチの巣。 |
蜂から逃げてのシャワークライム |
6m。水流左をシャワーを浴びて。 |
6m |
7m。こちらも水流左。 |
階段状で簡単 |
このあたりからいくつも小滝が続き、合間合間の渓相も素晴らしい。どっぷりつかった釜泳ぎもできるし、ボルダームーブで乗り越えてみたり、へつってみたり、と、好きなようにやっちゃう。
こんくらいの滝が次から次へと現れる |
たまには泳いじゃったりしながら |
右が熊の穴沢避難小屋への支沢 |
すぐ先にも滝。滝。滝。滝。10m前後の滝が次から次へと現れる。
2段8m |
15mほどのまっすぐなトイ状滝は面白かった。まっすぐ綺麗なウォータースライダー滝だ。右壁を登る人が多いらしいが、スライダーの中に入った方が面白そうだったので、途中からそっちに。スライダーに流されたらヤバい高さだけど、突っ張りで登れるので問題ない。一応ロープを出し、滝上の倒木にフィックスした。ちえ蔵さんは、突っ張りムーブがうまいこと決まらないらしく、少し苦戦。
テトラオドンさんは華麗なムーブですいすい。
15mトイ状 |
突っ張れ突っ張れ |
華麗なムーブ |
4mスダレ |
次のポイントが20mのトイ状滝。多段になっており、水流の中をバシャバシャ進んで、最後の滝で右壁を登り、バランシーなムーブで滝上にトラバース。バランシーな部分にA0用残置スリングが垂れているが、ホールドはあるので必要ないだろう。
20mトイ状 |
最後は右壁を登る。残置スリングあり。 |
手前の6mトイ状。右のカンテから |
20mチムニー |
チムニー内 |
落ちたらハマっちゃうよ |
2段5m |
ここには左に巻き道があるようだが、右から登れる。階段状から1.5mほどの岩を乗り越える。難しくはないが岩が少々脆い印象。Ⅲ+。初心者がいれば要ロープかな。。
10m滝 |
階段状からチムニーを抜ける |
ここらへんから水量もぐっと少なくなる。源頭の雰囲気も出てきた。目の前には青空と緑と岩と花と・・・色彩に溢れている。とても気持ちがいい。今日は午後から下り坂の天気予報だったが、思ったよりも雲の発達は遅く、じりじり照りつける太陽と細くなる水流に暑さを感じる。
小さな釜があるたびに涼をとるために入浴。ヒツゴー沢は読図的に難しいところはあまりない。基本的には沢形に忠実に進めばよい。ただ、他の人の記録では、結構間違っている人も多いようだ。まあ間違っても大きな問題はないが、正しいところを進めば、藪こぎゼロで快適に稜線に出られるのだ。
ポイントは二つ。1480の二俣を左に行くこと、1600の二俣を右に行くこと、だ。そうすると、1835くらいの方の小屋すぐ下の稜線上に出られる。最後も膝くらいの柔らかい草をかき分けるだけ。
1480二俣。ここは右に行くとはまるらしい |
稜線は近い |
お花畑 |
沢形に忠実に |
柔らかな草をかき分け、登山道のある稜線へ |
稜線の反対側は先週登った万太郎谷だ。先週はちょうど反対側からほぼ同じ稜線上に上がった。もの好きだねー俺ら。
肩ノ小屋付近には山のようなハイカーの群れ。先週と同じ風景だ。2週連続の天神尾根の下山は億劫。ヒツゴー沢の下山は、車のある谷川温泉方向に下りるために熊の穴沢避難小屋からいわお新道を下りることもできるが、いち早くパパを家族の下に帰してあげる必要性があったし、楽しい遡行を終えた後に、再びヒルの巣窟で嫌な思いをするのもいやだ。ということで、貧乏人的にはあり得ないことだが、ロープウェイ&タクシーでのブルジョア下山・・・。超快適。世の中、金が全てだ!!!
行儀よく山ガールの後ろに並ぶ・・・ |
下山中、ザックの後ろに「谷川岳3千回登頂!」「2806回目!」と張りつけたおじさんがいた。この手??の人は時々いるけど、いまいち理解しがたい趣味だ。世の中にはもっといっぱい素晴らしい山はあるに、世界広いのに、と思ってしまう。人生一度きり、まだ見ぬ景色を求めることこそやりがいがある。
まあひとそれぞれ。あと193回。せいぜい頑張ってくれや、おっさん。どーせなら、ロープウェイじゃなくって、西黒から登ったら??
おっさんのザックのサイドには、また別に、「千恵子、一番。谷川岳、二番」と張りつけられていた・・・。
温泉はいつもの湯テルメ。食事は先週目をつけておいた水上の育風堂というかつ丼やソーセージなどが有名なおしゃれなお店。精肉店がやっているレストラン。かつ丼とみんなで割り勘したソーセージ盛り合わせを頂く。これがまた激うま!!!昨日もかつ丼だったが、そんなことはもはや気にならない。腸詰も最高だ。まあ1本200円のソーセージなんだから、美味くて当然。まずかったら厨房に殴りこんでやる。
かつ丼は900円でそんなには高くないので、今後、谷川に来た時のマストになること間違いない。
お盆最終日、壮絶渋滞覚悟すべしと臨んだ関越は、意外にも大きな渋滞にははまらずに、比較的スムーズに帰れた。
ということで、ヒツゴー沢。
一言で言うと、とても完成度が高い沢。
半人前が生意気言うな、と怒られてしまうかもしれないけど、そう思った。
たくさんの滝は、そのすべてが水流の中や水流脇を快適に登れるし、合間合間のナメ帯などの渓相も素晴らしい。全体的に明るく開放的。歩きごたえもある。源頭は青空と緑とお花畑が広がり、柔らかな草をかき分け藪こぎゼロで稜線に抜けられる。素晴らしい1本。
ヒツゴーは、一ノ倉の岩登りに向かう前の練習として利用されてきた歴史があるようで、残置もたくさんあるのかなと思っていたが、思ったよりも残置は少なく、すっきりしていた。クリーニングされたからだろうか。
こんなに素晴らしい渓なのに、本日の遡行者は我々のみ。ヒルの影響か、はたまた、遭難防止条例の規制の影響か。ヒルは遡行中は全く気にすることはない。ヒツゴー沢は一ノ倉沢同様、群馬県の遭難防止条例の規制地域であり、入山には所定の手続きが必要になる。
以上、谷川連峰の沢、しゃぶり尽くしの旅も終了、非常に充実した二日間でした。
テトラオドンさん、うろたさん、ちえ蔵さん、どうもありがとうございました。
(組長)