Date : 2013/08/17
Member : テトオラオドン、うろた、ちえ蔵、組長
Timeline :平標新道ゲート0507~0610大根おろし沢出合い入渓点0640~0737東ゼン出合い~0828第1スラブ~0925第2スラブ~0948黒滝6m~1006「1590二俣」~1115「1873池塘」1138~1155平標山山頂1210~1523平標新道ゲート
谷川連峰の沢、しゃぶり尽くしの旅。
初日は爽快なスラブ登攀が楽しめる仙ノ倉谷西ゼンに行ってきました。
前夜。2週連続でまりりんさんに「ダンナをお借りします」と挨拶して出発。そろそろ菓子折りでも持っていかないと本当にヤバい。。。
うろたさん、ちえ蔵さんをピックアップして土樽へ。最初は平標新道車止めゲート前で寝る予定だったが、何となく??土樽駅で寝ることに。関越&深夜の貨物列車がうるさくてほぼ寝られなかった。
さあ、気を取り直して出発。
平標新道車止めゲートまで、パジェロが喜ぶ悪路を駆け抜ける。ゲートから歩き始め、しばらく行くと群大仙ノ倉山荘。綺麗な建物だった。以前は、、この建物より少し下流に吊橋がかかっていたようだが、2012年くらいにこの建物から対岸に立派なコンクリートの橋ができ、徒渉が楽になった。ここらへんは、今年3月に予定していた仙ノ倉北尾根の事前下調べで頭に入っている。
大根おろし沢出合いまで平標新道を歩く。前日に雨が降ったので、ぬかるんでいたり、岩が滑ったりして歩きづらいが、ほぼ平坦なので楽。
小1時間で大根おろし沢出合いへ。このあたり分流になっている。最初の沢を過ぎ、二つ目の遭難碑がある沢から入渓した。どこで大根が下せるのかは分からなかった。
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仙ノ倉出合いの遭難碑兼道標。ここから入渓。 |
入渓後しばらくは河原歩き。分流しているので、時折、水の流れもかなり細くなり、この後に広大な沢が広がっているのか不安になる渓相が続く。
しかししばらく行くと、次第に空は開け、お待ちかねのスラブ・ナメが始まる。
今回の皆さんの足回りは、ちえ蔵さん以外は皆アクアステルス。ちえ蔵さんはお馴染みのフェルト。結論から言うと、西ゼンはフェルトは全く歯が立たない。いちいち滑らないところを探しながら歩かなければならないストレスフルな登高になってしまう。一方のアクアステルスは、乾いたスラブでも水流の中でもこれまたバチ効きで、ペタペタと快適にどこでも登れる。ファイブテン様さまだ。
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浸かれる釜もあります |
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水流の中を果敢に直登するけど・・・ |
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滑るーーー
アクアステルスのフリクションを最大限に生かして登れば、水流の中も登れました。 |
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一方のフェルトは歯が立たず・・・ |
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遡上中 |
やがて、東ゼン・中ゼンとの出会いが見えてくる。その手前には6m滝。こいつは簡単に右から上がる。
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東ゼンとの出合いの6m滝 |
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フェルトはこんな傾斜でも通用せず |
こっから先が広大な西ゼン大スラブの始まり始まり。
雪によって磨き上げられたなめらかな岩肌を優しい水流がナメまくっている。天気も非常に良く、岩と空と水と、コントラストが素晴らしい。爽快そのもの。
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出合いのスラブ |
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超快適 |
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延々と続くスラブ |
スラブは基本的にどこからでも登れるが、場所によって傾斜がきつい。まあ、登りたいところを好きなように登ればいいのだ。自分は、、とことん水流沿い。一番難しいところで小川山のガマスラブ程度。5.6くらいのスラブ。最近小川山のスラブで鍛えているので??問題なし。バランシーでとても楽しいスラブ登攀を味わった。本日も巻きのウロタは健在。果敢に(笑)右側草付きの緩傾斜帯を天才的に?巻いていた。フェルトのちえ蔵さんもその後に続く。
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巻きのうろた |
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水流沿いの直登は5.6くらい |
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明るくて広くて開放的で・・・言いたかったことが何でも言いたくなっちゃうね |
多段のナメ滝を過ぎると、8mくらいのチムニー状の滝が現れる。左の草付きから登れば簡単だが、自分とテトラオドンさんは水流左のカンテ状を登った。スリッピー。直登は専門外のうろたさんはあえなく滑り落ちた・・・。
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8mチムニー滝 |
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左のカンテ状を登る |
やがて第1スラブ入り口となる2段10m滝へ。
右岸側から小さく巻き気味に登れば簡単だが、自分は右壁を登った。残置ハーケン一つあり。乾いているのでそれほど問題なし。Ⅳ-。
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2段10m |
そして始まる第1スラブ。とにかく広い、デカイ。雪が削り磨き上げた造形美が延々と続く。これぞ、西ゼンといった景色が続く。
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第1スラブを仰ぐ |
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ペタペタと快適な登高 |
相変わらずアクアステルス組は乾いた岩肌をペタペタと快適に歩く。傾斜は緩くどこでも登れる。一方のフェルトちえ蔵さんは、傾斜の緩い右へ右へと追いやられる。落ちたら、一気に土樽駅に到着???そしたら先に温泉でも入っててねー笑。
第1スラブ出口の3m滝前で一本取る。その先には8m滝、そして青空へ続く第2スラブが控えていた。
8m滝は水の流れるランぺをドバドバ水を浴びながら登る。夏万歳の爽快登攀。。
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8m滝と青空に続く第2スラブ |
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水流をバシャバシャ浴びてランぺを登る |
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あれ、巻いてない??? |
続いて、第2スラブ入り口となる2段10m滝。きらめく飛沫がとても美しい滝だ。
右からも左からもどこからでも登れる。テトラオドンさんとちえ蔵さんは右壁を、自分は左壁(Ⅲ)を登って、水流を浴びながら中段のバンドを右にトラバースして抜けた。当然のことながら、うろたさんは左の草付きを巻く。
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2段10m。背後に第2スラブが待っている。 |
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見とれてしまうよ |
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陽光に 煌めく飛沫と 巻くうろた |
さてさてお待ちかねの第2スラブへ突入。
目がチカチカするほどのスカイラインを目指して、広大なスラブを快適に登攀する。これぞ、西ゼン。
ルーファイに間違えるとはまる、とか、落ちたら100mは吹っ飛ぶ、とか、なんとかいろいろなひとがいろいろなとこで言っているようだが、基本的にまあどこでも登れた。フェルトではルーファイが重要になるだろうけど。
みなさんあっちこっち思い思いのところを登る。自分は水流の中あるいは水流沿い。よく見ると残置がいくつかあった。傾斜はところによりキツイが、ホールドは結構あるので難しいところはない。黒い段々のナメも楽しく登れる。Ⅲ+。
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第2スラブ |
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傾斜はこんくらい |
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落ちたらどこまで行っちゃうのかなー |
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第2スラブ上部 |
第2スラブの出口の3mをシャワークライムすると、最後の6m黒滝へ。西ゼンの遡行ポイントは実質???ここで終了(藪こぎ大好きのもの好き以外)。
6m黒滝はツルツルの垂壁なので直登は13くらい???
左から簡単に越える。
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6m黒滝 |
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今日でお帰りのうろたさんは、ここぞとばかりに浴びまくる。これで明日の合コンもバッチリだ。
あれ、合コンじゃないんでしたっけ??? |
次第に両岸の藪が迫ってくる。そう、ここからが西ゼンの核心???藪こぎ・・・。。
しばらくはぬめりの強い小沢をてくてく歩いていくが、1590二俣を右折してしばらく行くと、急に水が涸れて、背丈以上のネマガリタケが行く手を塞ぐ。ついに来ました。さ、行きますか・・・。
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しばらくは緩やかな流れが続くが・・・ |
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次第に藪が迫り・・・ |
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ついに背丈を越える藪に包まれる・・・ |
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プチ遭難状態 |
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ひたすら漕ぐ・・・ |
思っていたよりも藪が長い。灌木が出てきたり、傾斜がきつくなったりで、かなり奮闘的な藪こぎが続く。踏み跡はあると言えばあるし、ないと言えばない???稜線や~い!!って思いながら、とにかく平泳ぎ。。
頑張っていると、やがて藪が低くなり、たおやかな稜線に登山道が見えたと思ったら、目の前に静かな池塘が広がっていた。池塘の上を赤とんぼやオニヤンマが優雅に飛び回っている。奮闘的な藪こぎから急に牧歌的な幻想的な空間が広がった。ここで西ゼンの遡行は終了だ。
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稜線かなと思ったら・・・ |
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池塘が現れる。後ろの山は仙ノ倉山 |
ほんの2,30分もすれば平標山の山頂だ。山頂には思ったよりも多くのハイカーが午後のひと時をまったりと楽しんでいた。紅葉の時期とかならまだしも、特に何もない?今の時期に平標山をハイクするなんてもの好きもいるもんだ。背丈以上の藪を漕いで必死に稜線にたどり着いた我々とどっちが本当にもの好きなのかどうかは分からないけどね・・・。
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山頂までお散歩 |
帰りの平標新道は不快。あまり歩かれていないのか、上部は刈り払いがされてなく、歩きづらい。樹林帯に入ると、風通しがなく見晴しもゼロで蒸し暑い上に、滑りやすい急登が延々と続く。こんなとこ登る人いるんだろか。うんざりしたところで大根おろし沢出合いまで戻り、生き返ったように水浴びして、しばらく河原で昼寝。天気は良い。心地よい風が吹いていた。
下山後は、いつもの岩の湯へ行って、湯沢町の豚カツ屋さんの「人参亭」へ。初めて行ったが、ご飯うまし、冷ややっこうまし、もちろん豚カツもベリーにグッドで、大満足。また来よう。
うろたさんと越後湯沢駅でバイバイして、明日のヒツゴー沢に向けて水上へ移動。ささやかな宴で楽しい一日が終わった。
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今夜はこいつで良い夢見るぜ |
西ゼンはとても個性的な沢だった。一応、日本百名谷のひとつ。以前から狙っていた沢だ。広大なスラブ登攀は西ゼンならでは。暖かな陽光の下、煌めく水流を愛でながら、雪が磨き上げたツルツルの造形を攀じるのは最高の気分。ただし、悪く言えば、スラブ登攀だけ??沢登りの要素としては非常に単純だ。そういった意味でとても個性的な沢。最後の壮絶藪こぎもまた一興??突如現れる池塘の幻想的な景色と優しい山頂はとてもよいアクセントになる。下山の平標新道のめんどくささが玉に瑕・・・。
結局ロープは使わなかったが、落ちたらどんぐりころころ土樽駅へ、みたいな感じなので、初心者がいる場合は出した方がいいかも。ただ、スラブなんで当然プロテクションは取りづらい。
ヒツゴー沢へ続く・・・
(組長)