Member : まり(L)、かよ(記録)
Timeline :
8/15 高瀬ダム - (ブナ立尾根) - 烏帽子テン場
8/16 烏帽子テン場 - 野口五郎 - 水晶 - ワリモ北分岐 - 高天ヶ原山荘
8/17 高天ヶ原山荘 - 雲ノ平山荘 - 三俣蓮華 - 双六岳 - 双六キャンプ場
8/18 双六キャンプ場 - 新穂高温泉
お盆休みを利用して、まりさんと裏銀座~高天ヶ原~雲ノ平という贅沢なコースをまわってきました。
山行前夜に、あずさ終電でまりさんと落ち合い、携帯で今晩のお宿をまず検索。
深夜に松本に到着して始発の信濃大町行きの電車に乗るまでの、睡眠をとれる場所を見つけなければならないのです。
昔の松本駅は登山客のメッカで、構内で仮眠をとれたようですが、最近は治安維持のためから、深夜には閉鎖されるとのこと。
駅前の格安ホテルはさすがに予約で埋まり、いちばん近い漫画喫茶も1.5キロ先と、重いザックをしょって行くには少し遠いです。
いざとなったら、近くのカラオケボックスに飛び込むしかないかなぁ、どうしたもんかと電車を降りて、うろうろしていると 山ヤらしき人たちを発見。
あとをついていくと、駅を出たすぐそばの広場に20人近くの山ヤ達が銀マットをひいて寝ていました。
つい数年前までは、浮浪者以外に駅で野宿をする人がいるなんて想像したこともありませんでしたが、山ヤという人たちもどこでも寝れる人種のようです。
雨露もしのげる場所だし、となりで高校生がダンスの練習をしていることを除けば、それほど騒々しくないし、ありがたく私たちもここで仮眠をとることにしました。
まさか30過ぎて野宿をするなんて。人生なにがあるかわかんないですね。。。
翌日は信濃大町からタクシーで高瀬ダムへ。8,000円ほどです。
4人で乗れば、バスより安くつくとのこと、親切な女性の運転手さんが教えてくださいました。
さて、高瀬ダムのトンネルをくぐると、裏銀座入口。
いよいよ縦走の始まりです。
烏帽子テン場までのブナ立尾根は北アルプス3大急登の一つ。
なかなかの急勾配な上に、展望もまったくなく、登り始め数時間で、
いろいろな不安がこみあげ、「とても今回は高天ヶ原まで行けそうにもありません。」と半ベソを
かいてしまいました…。
とりあえず烏帽子まで行ってみようと、冷静なまりさんに慰めていただき
なんとか登りきりました。
小屋まで辿り着けば、北は前烏帽子、南は野口五郎の稜線が広がっていて、開放的。
いっきにテンションが上がりますね。
荷物をデポして、烏帽子まで往復1時間強をピストンしました。
二日目。
烏帽子テン場から高天ヶ原山荘までのコースタイム10時間強の道のりを歩くため、
4時半には出発。
三ツ岳でご来光を仰ぎ、8時前に野口五郎岳に到着。
向いの水晶岳から赤牛岳、遠くは鹿島槍から五竜、そして槍がきれいに見え、
青空がどこまでも広がっていました。
そして、東沢乗越から水晶小屋までが本日の核心でした。
強力な晴れ女まりさんのおかげか、お天道様が少々張り切り気味。
陽射しは強いし、ザックは肩に軋むしで、心がぽきりと折れ、
りんりんと響いていたまりさんの熊鈴が徐々に聞こえなくなり、
いつの間にか姿もずっと先の方で小さく見える始末。
お一人で水晶岳までピストンしてもらい、わたしは小屋で休むことにしました。
小屋前の展望も十分よかったですが、水晶岳からは360度北アルプスが見渡せたそうです。
そして、ワリモ北分岐で谷を下り、本日のメイン、高天ヶ原を目指します。
裏銀座からは槍や雲ノ平を目指す人がほとんどで、この先は人がいません。
そして、途中に逃げ場もないため、高天ヶ原まで約3時間、突き進むしかありません。
きれいなお花畑を過ぎ、鬱蒼とした森林地帯にうんざりしたころ、
突然現れた木道のうれしかったこと。人の手が感じられるってありがたいことですね。
小屋で荷物を下し(テン場はなく、小屋泊のみ)、山岳警備隊のお兄さんに教えていただいた夢の平と龍晶池に足を伸ばしました。
「そこは言葉はいらない、合掌をしたくなるような場所だ」と聞いていましたが…
壮大な名前をつけ過ぎたんじゃないかと、二人で首をかしげかしげ。
一瞥すると早々に疲れと汗を流しに温泉に向かいました。
乳白したぬるりとしたお湯はぬるめで、何時間も浸かっていられそうなほどでした。
男性湯は囲いもなく、開放的でとても気持ちよさそう。
おじちゃんがビールを片手に大の字で浸かる気持ちもわかります。
こういう時、男の人ってうらやましい。
そして、三日目。
この日も雲ノ平~三俣蓮華~双六と10時間強の道のりのため、4時半に出発。
日が昇る前に樹林帯を超えて、憧れの雲ノ平に到着。
よい場所だと聞いていましたが、ほんとうに素晴らしいの一言につきます。
お椀のように、薬師・黒部五郎・水晶と錚々たる山に取り囲まれ、
台地のうえには可憐な花が一面に咲いています。
まりさんの撮影意欲も高まり、ぱしゃりぱしゃりと、いったい何枚チングルマを
撮るのでしょう(笑)。でも、咲き始めなのか今まで見た中で一番きれいでした。
雲ノ平から三俣蓮華までは、鷲羽経由、祖父岳経由、黒部源流経由の3ルートありますが、
体力的に限界だったため、登りの少ない、黒部源流経由を選択。
黒部川の起点ですが、そのときは暑さと疲れで、なんの感慨も感じませんでした。
キーンと冷えたジュースを目指して、急坂を登ると、三俣山荘は品不足のため何もなし。
お盆後半だったため、水晶・雲ノ平・ここ三俣とどこもジュース・ビールを
切らしていました。
そして、三俣山荘からの槍の見事なこと。
お昼時にもかかわらず、雲一つなく、槍のきりりとした頂と硫黄岳の赤い山肌が対照的でとても美しかったです。
スター槍。
稜線でこの最高の景色を見ようと双六を目指しますが、三日間の疲れがたまり、
すっかりバテていたわたしは巻道コースで、小屋に向かうことにしました。
巻道と言えども景色はなかなかです。
ただ、前日にこの巻道にも熊が出没したのこと。
三俣から双六の辺りは熊がうろうろしているようなので、気を付けてくださいね。
(烏帽子岳付近でもこの前日に熊に人が襲われる事故があったそうです。)
双六小屋では、お忍びで雲ノ平に行っていたひらさんと出会い、いっしょに乾杯。
本日のごはんは、まりさん特製のトムヤムスープとコンビーフのちらしずし。
疲れたからだに酸っぱいものがうれしく、とてもおいしかったです。
連日続いた晴天も最終日まではもたず、どんより曇り空。
ほとんど山を見上げることなく、写真を撮ることなく、ぺちゃくちゃ
ガールズトークを繰り広げ、新穂高温泉まで一気に下山しました。
裏銀座は、長期縦走の大きなザックを担いだ、山が好きなんです、
といった雰囲気の渋い方たちが多く、華やかで込み合っている表銀座と対照的。静かでとてもよかったです。
また、道中会う人と小屋で再会し、ちょっとした交流が生まれるのが
長期縦走の楽しみの一つ。今回も写真好きの青年、白馬から槍まで目指すお兄さん、四国からきた陽気な会社のおじさんの集まりと皆個性的でおもしろかったです。
最高の天気に、最高の景色、最高のパートナーと、ほんとうに充実した山行でした。
個人的には、今回を節目にしばらく山での活動をお休みしようかなと思います。
本格的に山に登り始め、それまで見たことのない景色を見たり、ハラハラする思いをしたり、わいわいお酒を飲んだりと、いつも楽しく、
以前はシャワーのない場所では寝泊りできなかったのに、野宿でも平気なほど図太くなり、
少なからず生活スタイルや考え方にいい変化があったように思います。
でも、少し燃え過ぎちゃったかな。
夢中になって、何かに打ち込むのも大切だけど、少し引いてみようかなと、ふとそんな気持ちになりました。
まりさん、実力的にまだ少しハードな今回の縦走をリードしてくださって、
ありがとうございました。まさか一度に裏銀座~高天ヶ原~雲ノ平を堪能できるなんて…そして、あんな話、こんな話とても楽しかったです。
本当に四日間お世話になりました!