Date : 2015/04/18-19
Member : すぐりん、組長
Timeline :18日:二股0730~0838猿倉~1048小日向のコル~1224樺平
19日:樺平0445~0605JP~0705杓子岳山頂~0730最低鞍部~大雪渓下降~0840白馬尻~0953猿倉~1056二股


白馬主稜の喧騒から離れて、自分たちだけの雪稜を堪能してきました。



4月は天気がイマイチで順延、順延になっていた後立山にようやく訪れることができました。
猿倉までにの林道はまだ閉鎖されており、二股からの林道歩きがありますが、思っていたよりも近く、1時間ほどで猿倉山荘に到着。

早速、双子尾根に取付き、美しい猿倉大地を散歩します。
天気は非常に良く、誰もいないトレースのない雪面を快適に歩みます。

小日向のコルに着く頃にはだいぶ風が強くなってきました。今日は予報では稜線で風速20mとなっています。時折、持って行かれそうなくらいの風が吹きますが、気温も高いし、大した問題ではありません。




白馬岳

鑓と杓子

最近、雪が少ないせいか、下部はブッシュが露出している部分があり、うまく雪の部分を繋げながらリッジを登っていくと、突然、目の前に絵画のような美しい場所が出現しました。
樺平という平坦地で、美しい岳樺が1本、真ん中に立っています。

いい夜過ごしてね、と言わんばかりの、夢のような美しい場所でした。
まだまだお昼の12時くらいで、もう少し上のJP上にもテントを張れるそうなので、先に進んでも良さそうでしたが、雪煙舞うJPにテントを張るのはリスキーだし、午後の腐った雪を登高するのはあまり快適ではありません。
ということで、この素晴らしいテントで良い夢見ることにしました。
時間もあるし風も強いので、とにかく気合入れて壁作ろうということになり、早速、掘り始めます。
テーマは、GWにいらっしゃったお客さんが樺平で素晴らしいひと時を過ごすための頑丈なテントサイト。丹念にこしらえました。
テントはすっぽり壁の中に隠れました。たぶん、GWまで残っているはずです。
樺平



樺平の主

風よ、かかってこい、、
予報によれば、明日の天気は思ったより早く崩れるようです。
風がどれだけ弱まってくれるか、とても心配でしたが、天気の崩れる前に速攻で片付けることにしました。

朝。
立派な防風壁をものともせずにテントを揺らしていた風はだいぶ穏やかになっていました。
白馬主稜上には何パーティー入っているのでしょうか。滑走路の誘導灯のように、尾根上に灯がいくつも点っています。

JPまでの上りは、予想通りのウィンドクラストした快適な雪壁登攀でグイグイ高度を稼ぎます。
次第に背後に朝日が昇り始め、あたりはモルゲンロートに染まります。

朝だ

快適な雪壁登攀
杓子岳東壁の景色は素晴らしく、無性に登りたくなりました。
左上の岩峰は右から巻きました

双子尾根を振り返る
尾根上には、時々、岩稜が出現しますが、どれもボロボロであまり登る気がしません。右やら左やら、簡単に雪壁をトラバースしていきます。
傾斜は40~50度くらいで、特に怖いところはありません。
ところどころ、大きくクラックが開いているところがありますが、特に問題はありません。
ところどころ雪面が口を開けています。
白馬岳、白馬鑓、五竜を眺めながらの登攀は格別でした。

杓子

白馬
 ボリューミーな雪稜を超えていくと、頂上への最後のリッジが現れます。
傾斜は少しきついですが、特に問題なしです。最後は簡単な岩場を登って、山頂へのウィニングクライム。
劔がボクらを迎えてくれました。今年の雪山のゴールがそこにありました。

劔の後ろには薄暗い空が広がっていました。天気が崩れるようです。さすがに稜線は少し風が強かったですが、危険を感じるほどではありません。


最後の急なとこ


下山は、最低鞍部から大雪渓をひとっ走り。
雪は非常に安定していて、雪崩の心配はありませんが、団子がものすごくつくので、上部の傾斜のきつい部分では、何度かこけそうになりました。

白馬尻で来週の白馬主稜の取り付きをよく確認し、猿倉までハイクしていると、ポツポツと雨が降ってきました。
山頂付近は早くもガスに巻かれ、午前中の爽快な天気に比べ、悲壮感を漂わせ始めています。
速攻戦略は奏功したようです。

11時には、車まで戻り、新しくなった八方の湯で汗を流して、17時過ぎには家に着きました。たまりにたまった家のことを片付ける余裕がある週末。なんて素敵な週末なんだろう。

杓子岳双子尾根は、素晴らしい内容のリッジでした。猿倉大地の快適なハイキング、白馬三山を眺めながらのスノーリッジ歩きから、絵画のように美しい樺平でのキャンプ。鑓や杓子の美しい壁を眺めながらの雪壁登攀から、一転、平和な稜線からの劔岳のお出迎え。白馬主稜の喧騒を離れ、我々だけの静かな登攀でした。トレースもないボリューミーな雪稜登攀はやはり雪山の最も楽しい瞬間です。
全体的に困難なところはなく、後立山のバリエーション入門として、素晴らしい課題だと思います。困難度のついては、最近行ったリッジで比較すると、谷川東尾根>西穂西尾根>双子尾根、くらいの感じです。
白馬主稜のルートを確認できたこと、大雪渓が下降できない場合の下降路の選択肢を増やせたことが我々にとっては大きな収穫でした。

(組長)

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