Member : フジ(L)、ゼロ(SL)、あーさ
Timeline :19日 5:35上高地BT~7:55横尾~10:10大曲り
~11:25水俣乗越~13:05北鎌沢出合
20日 5:10北鎌沢出合~5:30二股~7:30北鎌コル南
~10:35独標取り付き~11:00独標ピーク
~13:20北鎌平~14:40槍ヶ岳穂先
~16:00槍ヶ岳山荘~16:25殺生ヒュッテ
21日 6:40殺生ヒュッテ~13:00上高地BT
憧れの北鎌尾根に行ってきました。
初めて参加した例会(2012年12月)で自己紹介したとき進行役のMに怯えながら
『北鎌に行きたいです・・・・。』と、言ったのを懐かしく感る。
一人で山登りを初めて2年目、槍に行ったのはまだ20代のころ
ハイシーズンだったけど穂先の渋滞はまだなかった。
中房温泉から入り槍経由で上高地に抜けるガイドブックおすすめルートで本当に楽しかった。
その後も裏銀座縦走、中崎尾根からの冬ルートと槍を訪れ
東鎌尾根、西鎌尾根、穂高縦走路を踏み、おのずと北鎌へ憧れていった。
18日
何年かに一度のシルバーウィーク5連休
天気予報は最高の行楽日和を連日伝えている。
沢渡での駐車場合戦を心配し早めに出たのが正解、いつもの足湯の横にすんなり駐車できた。
19日
ジャンボタクシーで上高地入り。
どこから出てきたと思うくらいのアルピコバスとタクシーが行き交っている。
上高地バスターミナル |
槍沢ロッジまではほぼ平坦な道のり。
あーさが高速で引っ張りゼロとフジが続く。あっという間に大曲。
天気は最高、見上げると紅葉も始まっている。
大曲から水俣乗越を見上げる |
看板の裏側を行く |
単独のお兄さんはやたら荷物が多くすでにバテいる。
明日は何組北鎌に入るのだろう。渋滞しなければよいが、、、。
水俣乗越からは北鎌が臨め、テンションもあがる
道標は丁字路だが直進する。
北鎌が見えた(P8辺り) |
しっかりした踏み跡があるので迷うことはないが
この下りがなかなか悪い。ザレだったり浮石だったり、途中FIXも数か所ある。
1時間ほど下ると天丈沢と合流し大きな河原になってくる。
意外と悪い水俣乗越からの下り |
程よく広い砂地に荷物を置いて場所を確保し北鎌沢の出合を確認しに行く。
天井沢に幕営 |
北鎌沢出合 |
時間もあったしコルまで上がろうかとも思ったが
先行パーティーが入っているためコルでテン場が確保出来ないと判断した。
ここなら焚火もできるしゆっくり休んで明日に備えよう。
この後も次々と人が入り10組ほどここで幕営していた。
個々の仕事をする |
薪は湿っていたが松の枝が良い仕事をし良い焚火になった。
晩飯はあーさ特性ゴーヤチャンプルー高野豆腐入り
ゴーヤの苦みがたまらなく旨かった。(ちなみにゴーヤもドライ品)
ゼロの日本酒と、いつもの安いバーボンともよく合う。
20日
4時起床。
3人とも8時間しっかり寝た。
朝から食いきれないほどの雑炊をかき込んだ。
(おっさん二人はよく食うのを食担あーさも理解している)
ヘッテンが次々と北鎌沢を上がっていく。
ついにこの日が来た。期待と緊張で高揚を感じる。
出合 |
10分ほどで二股が現れ、ここで水を汲む。(この先しばらく水は枯れなかった)
二股は水の少ない右俣へ。
右俣を行く |
3~4パーティーが道を譲ってくれた。
ボルダー |
銀座から日が昇る |
花畑 |
コルに出る。
この分岐を右に入ると激しい岩稜帯に迷い込んでしまうらしい。
我々はその最上部を待たずに左へ進みコルから少し先に出た。
(踏み跡あり)
北鎌のコルの少し先 |
北鎌のコル、奥はP7 |
ここでハーネスを&ヘルメットを装着。
ここから天狗の腰掛(P9)までは明瞭な踏み跡がある。
前方には独標がそびえる。
独標(P10) |
出来るだけ自分達の判断でルートを取りたいからだ。
天狗の腰掛(P9)に腰掛けて独標を臨む |
独標(P10)の取り付き
独標は北鎌尾根最初で最難といわれるエリアだ。
その容姿は堂々としていて単独峰と言っても過言ではないが北鎌尾根にあっては
脇役的存在らしい
P9P10のコル |
独標トラバースルート |
FIXあり |
遠目で見るとザレたトラバースだが意外としっかりと道があった。
ザレ場を過ぎたところを右上しその後に岩の張り出しが現れる。
ここが核心と言う記録もあり警戒していたところだ
確かに踏み外したらサヨウナラだがホールドもしっかりしていて
全く問題ない。
バンドの下を通過
後半は膝をついて |
張り出した岩を超えるとクラックが待っている。
ザックがひかっかりなかなか悪い(が楽しい)
FIXもある |
上から |
我々はここを上がった。
乾いたスラブ |
後ろに千丈沢 |
ここを詰めると独標の先の小さなコルに出る
大槍までの北鎌尾根の全貌が。
ザックをデポして少しもどって独標をピークハント。
大槍、小槍、孫槍、曾孫槍、カニのハサミ
前穂北尾根もかっこよい。
しばらくここで槍を眺めた。
(ピーク北側にテン場あり)
圧巻 |
やり! |
出来るだけ直登した。巻く場合は千丈沢側をできるだけ小さく。
巻くと落石は怖いし下るのもかったるい。
まき中 |
直登 |
直登 |
直登 |
目指す槍が徐々に多きくなっていく、
クライミングも普段のジム、沢、ゲレンデのトレーニングの範疇を超えるものはなく
程よい緊張感で楽しい。
ここまで6時間歩いているが全く疲れを感じなかった。
P15を過ぎると数年前にテトラオドンと組長が懸垂したという下りが現れる。
クライムダウンで十分下れるがせっかくだから我々も懸垂した。
(穂先で会ったパーティーは我々の懸垂を見てP15の直登を諦めたらしいw)
P15 |
懸垂ポイント |
P15から懸垂 |
テント4張は行けそうだ。ここでしっかり休憩
千丈沢側に少しトラバースしてから急なゴーロをしばらく登る。
ゴーロ帯 |
一度登山道のようなところに出てから
クライマックスの穂先に取り付く。
カニのハサミ |
ハサミの上部からは東鎌尾根のヒュッテ大槍と殺生ヒュッテが臨める。
ヒュッテ大槍、殺生ヒュッテ |
穂先への期待と北鎌が終わってしまう寂しさが入り混じる。
独標に雲がかかってきた |
ゆっくりどうぞ!ともう一度北鎌を振り返った。
チムニー |
岩がしっかりしていて気持ちよく登れる。
穂先にいる人たちが我々をのぞき込んでいた。
あー終わりなのかー と準備してきた数か月を振り返った。
最後の岩稜帯を丁寧に攀じると祠の脇から穂先に出た
小屋からは渋滞が |
我々は乱していたようだ。
普段なら山の渋滞にゲンナリするところだがそんな気にもならなかった
皆それぞれの山があって槍にチャレンジしてるんだなぁ
少し気持ちが大きくなっていたw
渋滞の中20分くらいかけて山荘に到着
槍ヶ岳山荘のテン場は予想通りいっぱいで山荘での生ビールとはいかなかった。
殺生ヒュッテまで下山、一気に疲れが出たのかやたら長く感じた。
夜はかなり冷えたが缶ビールで乾杯した。
21日
この日は上高地に向けてひたすら下山。
山は少し色づき始めていた。
このメンバーで北鎌を目指そうと決めたたのが5月。
それから約4.5ヵ月我々なりに準備をしてきた。
とはいえ皆働き盛りのメンバーで時間を合わせるのも大変だった。
実力も経験も浅い我々にとっては大チャレンジ。
強いリーダーに連れて行ってもらうのではなく自分達の力で成功させることに意味がある。
メジャールートとは言え初級バリ。我々の実力で成功させるために出来るだけの備えをした。
迷いやすい分岐、危険個所等はネット等の画像を頭にたたきんだ。
軽量化の為に装備一つ一つを計りに乗せたメンバーもいた。
食事も栄養価が高く軽量なものを研究してくれた。
チーム結成時に以下を約束した
・個々の山行でも下界でも北鎌に向けての課題克服に取り組む。
・トレーニングは報告し合う。
・出来るだけこのメンバーで山に入る。
メンバーで行ったトレーニング山行↓↓↓
‐両神山赤岩尾根(読図、ルーファイ、ロープワーク、体力錬成)Z,A,F
‐丹沢勘七の沢(読図、ルーファイ、ロープワーク、クライミング)Z,A,F
‐鋸岳(読図、ルーファイロープワーク、体力錬成)Z,A,F
‐八ヶ岳硫黄岳~阿弥陀岳縦走(体力錬成)Z,A
‐ジャンダルム(ルーファイ、体力錬成、クライミング)Z,A
大げさだという声が聞こえてきそうだが
我々はブレずに淡々とこなし、またそれが楽しかった。
3日間 常に余裕をもって行動できた。
実力の100%で山に臨むなと言われていたが80%以下ですべての工程を
こなすことができたと思う。
それはやはり十分準備し皆がそれぞれの役割をしっかり果たしたからこそだ。
北鎌は体力、技術ともに相当厳しいと言うイメージであったが
実際に行ってみると厳しさもさることながらルート事態の素晴らしさに感動した。
これぞ北アルプスという絶景、徐々に迫ってくる大槍、程よい難所の連続。
山の楽しさが凝縮された至極のルートであった。
同行したゼロ兄貴、あーさ、アドバイスし見守ってくれた頂メンバーに感謝したい。
(フジ)